ニューオーリンズ音楽の巨人、ドクター・ジョンが77歳で死去

pic:www.facebook.com/DrJohn
ニューオーリンズ出身のピアニスト/シンガー/ソングライターのドクター・ジョン(本名Malcom John Rebennack Jr.)が、6月6日に心臓発作のため77歳で亡くなりました。彼の死はジョンの公式ツイッターで発表されています。

ドクター・ジョンの音楽は、R&B、ポップ、ジャズ、ブギウギ、ロックンロールを融合させたサウンドで、その背景にはサイケデリックなブードゥー教文化が横たわっています。「ドクター・ジョン」という芸名も、19世紀のニューオーリンズに実在したブードゥー教司祭の名前に由来します。

60年代後半から、ニューオーリンズとロサンゼルスでセッション・ミュージシャンとして活躍し、1967年にソロ・アルバム『Gris-Gris(グリ・グリ)』でデビュー。ヘロイン中毒に陥ったこともありましたが見事に克服し、1973年のアルバム『In the Right Place』からは、「Right Place, Wrong Time」が大ヒットしました。

1976年には、ザ・バンドの解散コンサートでは「Such A Night」をプレイし、その模様が映画『ラスト・ワルツ』に収録された他、1998年公開の映画『ブルース・ブラザーズ2000』では、劇中のバンド「ルイジアナ・ゲーター・ボーイズ」のメンバーとして出演。2010年から2013年には、HBOのTVドラマ・シリーズ『Treme』にもレギュラー出演していました。

2011年には〈ロックの殿堂〉入りを果たし、これまでに6度のグラミー賞を受賞。2012年に発表したアルバム『Locked Down』(プロデュースはダン・オーバック/ザ・ブラック・キーズ)は、グラミー賞の〈最優秀ブルース・アルバム〉を受賞しています。

音楽キャリアにおいて共演したバンドやアーティストは数えきれないほど多く、70年代のローリング・ストーンズやマイク・ブルームフィールドをはじめ、90年代にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズやB.B.キングらのアルバムにもゲスト出演、その他にもカーリー・サイモン、リンゴ・スター、ジョニー・ウィンター、デヴィッド・ボウイ、ベット・ミドラー、シェール、アレサ・フランクリン、フランク・ザッパら大物アーティストのコラボレーターを務めています。

2010年頃には肝硬変を患っており、2017年に酷く体調を崩すまではヘヴィなツアー活動も行っていましたが、それ以降は公に姿を現わさず、ニューオーリンズの自宅で静養していたといいます。地元ミュージシャンの間でも復帰は難しそうだと伝えられていました。

ブロンディのデボラ・ハリーが、ドクター・ジョンとのツーショット写真と共に追悼メッセージ「RIP Mac Rebennack, Dr. John」をツイートし、ほかにもリンゴ・スター、オールマン・ブラザーズ・バンド、ブーツィー・コリンズ、ジョージ・クリントン、スラッシュ、ショーン・レノンといったアーティストが追悼メッセージを掲載しています。また日本にも何度か来日しており信奉者も数多く、すでに矢野顕子、高田蓮、田島貴男といったアーティストが追悼メッセージを寄せています。

「ドクター・ジョンに神の恵みを、彼のご家族に平和と愛を。僕はドクターが大好きだ。ピース&ラヴ」__リンゴ・スター

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