25年前にプリンスがシンボルマークになった理由

ちょうど25年前の今頃、プリンスは1993年の6月初旬にプリンスという名前を抽象的なシンボル(写真)に変えていました。

ワーナー・ブラザーズとの長年にわたる契約問題に激怒していたプリンスは、経営陣から発売するアルバムの枚数を減らすように言われ、我慢の限界を迎えていたのです。

プリンスは、(1983年のシングルを除き)1978年のデビュー・アルバム『For You』以来、毎年新しいLPを発表していましたが、ワーナーは、市場に彼のアルバムが溢れ、需要を圧倒し、ますます音楽評論家から興味を持たれなくなるのでは、という不安を募らせていたのです。

80年代のプリンスは、『パープル・レイン』(1984)や『Sign O’ the Times』(1987)などの名作を発表していましたが、ワーナーは彼が神秘性を失い、過剰な親しみやすさのために軽視されるかもしれないと危惧していたようです。

それに激怒して反発したプリンスは、頬に“SLAVE”(奴隷)という文字を書いてステージに立つようになりました。

常に人と反対意見を持つ彼は、溢れ出る創造力の芽を摘みとるように言われたことで我慢の限界を越え、プリンスという名前の代わりにあのシンボルを思い付き、別名でレコードを出せば、契約に違反することなく自分のレコードを発売できる、と考え実行した、というわけです。

当時のプリンスは、次のように説明しています。
「ワーナーから解放されるのが究極の目標で、その最初の一歩が、プリンスという名前をシンボルに変えることだった。プリンスというのは、生まれた時に母からもらった名前だけど、ワーナーはその名前を商標登録し、僕が作曲した全ての音楽をプロモーションするために使ったんだ。ワーナーは、プリンスという名前と、プリンスという名前で発売される全ての音楽を所有しているのさ。僕は、ワーナーに金を作り出すために使われる人質になったのさ」

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