いばらの道を辿る〈ウッドストック50〉

4月22日のMLCニュースでお伝えしたように、この日に予定されていたチケット発売が現在も延期になっている〈ウッドストック50〉ですが、4月29日には資金提供をしていた電通イージスが「大規模イベントの開催に必要な許可が未だに下りず、アーティスト、関係者、観客の衛生と安全に懸念がある」などとして撤退を表明、〈ウッドストック50〉をキャンセルすると発表しました。また、5月1日には、プロモーターで制作を手掛けるSuperfly(スーパーフライ) も、イベントから降板すると発表しています。

この発表が “寝耳に水” だったと言う主催者のマイケル・ラングは、電通イージスに〈ウッドストック50〉をキャンセルする権利はなく、新たな資金提供者を探し、イベントは必ず実現させると語っていますが、出演するアーティストのブッキングを担当したエージェントによると、アーティストらが契約を交わしたのは、あくまでも電通イージスであり、マイケル・ラングや〈ウッドストック50〉ではないとのことで、それが事実であれば、電通イージスの撤退は、アーティストらに出演義務がなくなることを意味します。

しかし、ラングの弁護士(Mark Kasowitz)は、「アーティストの契約相手は、ウッドストック50 LLCであり、フェスティバルはキャンセルされておらず、準備は継続中」との声明を発表しています。

また、内部関係者の中には、この状況からイベントを実現させると主張しているラングの手腕に疑問を呈する者もおり、あるアーティスト・エージェンシーは、「イベント開催に必要な全ての許可が下りた事を確認しない限り、ラングと話し合いをするつもりはない。すでに中止になったイベントのチケットを買うよう、どうやってファンを説得するのか、ラングの計画を聞いてみたい」と語っています。

情報筋が〈Billboard〉に語ったところによると、現在のラングはフェスティバルを実現させるためには、5月10日の金曜日までに3,000万ドル(約33億円)の資金が必要になると見積もっているようですが、この金額はすでに電通イージスがフェスティバルのヘッドライナーを務めるアーティストらに支払った出演料の前払金と同額になります。

ラングのスポークスマンによると、降板した Superfly の後任として、Dan Berkowitz と彼の会社 CIDエンターテイメントが候補に挙がっていますが、収容人数の上限が当初予定していた10万人から7万5,000人に減ったとはいえ、本来はイベントの接客とVIPサービスを担当する予定だった CID が、Superfly が担当するはずだった舞台制作と演出、キャンプ地のマネジメントを手掛けられるかどうか、まだ確認は取れていません。また大手プロモーターの Live Nation と AEG にはすでに打診済みですが、断られたと伝えられています。

しかしラングは、「1969年のウッドストックでは、イベントの一か月前に開催地の Wallkill から追い出されたが、翌日には開催地が見つかるという奇跡が起きた。僕らはウッドストックに全力で取り組んでいる。今になって止めるなんてことはない」と語っています。

さてこの先、どのような展開になるのでしょうか。ここしばらくは状況が二転三転しそうです。

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