全国クイーン・ファンが集った「秋のクイーン・デイ 11.23」リポート@羽田TIAT HALL

全国からクイーン・ファンが集うイベント、「秋のクイーン・デイ」が今回は、クイーン公式写真集『輝ける日々の記憶』の発売を記念して、勤労感謝の日(11月23日・祝/火)に羽田空港・TIAT SKY HALLにて開催されました。
ソーシャル・ディスタンスを取って通常の1/3以下の100席限定、入場時の検温にマスク着用、声出し禁止という充分な感染症対策の中、「秋のクイーン・デイ」は開幕。この日はフレディ・マーキュリーの命日の前日ということあり、場内には献花台も設置され、来場者と出演者でフレディを偲んだ。

〈トーク①大貫憲章〉
トーク・ゲストは、写真集『クイーン 輝ける日々の記憶』の写真家の浅沼ワタルさん、さらに日本で最初にクイーンを紹介したキー・パーソンである音楽評論家/DJの大貫憲章さんを迎えて行なわれた。

司会は「クイーン全曲ガイド」などでおなじみの石角隆行さんが担当。まずは大貫憲章が登壇。大貫はクイーンのファースト・アルバム『戦慄の王女』のライナーノーツを担当。日本で最初にクイーンを紹介したと言われる。

冒頭は1973年夏、ロンドンのレコードショップの店頭。クイーンと大貫の最初の出会いまで遡る。帰国後、大貫は『ミュージック・ライフ』をはじめ各雑誌などの編集部に挨拶に行き、英国の音楽事情を話しながら、端々にクイーンについても語っていく。同年12月、大貫は遂にクイーンを聴く機会を得た。「本当に脱力しました。新人のデビュー・アルバムなのに、もの凄い完成度だし、個々はもちろんバンドの実力が凄い。過不足がないんです!」と初めて聴いた時の興奮を隠せない。その場でレコード会社からファースト・アルバムの解説原稿(ライナーノーツ)の依頼を受ける。〈神よ、クイーンに御加護を〉。クイーン史上に残り名言が誕生した。大貫の書いたライナーノーツ内の締めの言葉だ。英訳すると「God Save The Queen」。ただし、この時点でまだクイーン番の「God Save The Queen」は生まれていない。大貫によれば「クイーンは最初からクイーン!、なにか決め台詞を残したいなと思って」あのフレーズを思いついたという。

1975年の初来日では、大貫はメンバー全員にインタヴューも行なった。スクリーンには雑誌『音楽専科』の切り抜き記事が映し出される。また、コンサートは初日と最終日の武道館公演を見た。初めてクイーンのステージを観たときは、戦慄の王女のライナーノーツで綴ったことに「ああ、間違ってなかったな」と得心したという。このあと、話題は国内各地で行なわれたフィルム・コンサートに移る。札幌の会場では女性ファンで溢れ身の危険も感じたという。「当時、クイーン現象と呼ばれていましたが、まさにそれを目のあたりにしました」と振り返る。「世界観が変わりますよね、ロックもこれからはそういう世界に入っていくんだなぁと。そういうことを実際に体感できたのが、クイーンとの出会いでした」と締めた。
〈トーク②浅沼ワタル〉
続いては公式写真集『クイーン 輝ける日々の記憶』を出版した写真家、浅沼ワタルが登壇。浅沼ワタルとクイーンの出会いは1975年7月14日。アルバム「オペラ座の夜」のレコーディングのリハーサルで合宿中のメンバーを、ミュージック・ライフのカメラマンとして訪ねた。

スクリーンには最初のフォト・セッションである日本からのお面のお土産を渡すカットが映し出される。早速、どのお面にするか、取り合いになった。司会のそこを仕切ったのは?の問いに「あの方、ひとりだけ」と浅沼が答えると場内から笑いが漏れる。スクリーンにはこの日の夕方まで続いた取材が時系列に映し出されていく。初めてメンバーに会った印象を浅沼に尋ねると、「ブライアンは親切、丁寧なんです。こちらに気を使ってくれて。ロジャーは、やんちゃなのでフレディとよくぶつかる、そのたびにブライアンが間に入って、ロジャーを嗜めていました。ジョンは中立、おとなしいです。変なことは言わないし文句も言わない、こちらの言うことも聞いてくれる。要はイギリスの紳士です」と当時の彼らを振り返る。

このあと、話題は「ボヘミアン・ラプソディ」をレコーディングしていた9月1日のスコーピオ・スタジオに。浅沼の印象に残ったのはロジャーが、コーラス・パートの高音を録音しているところ。映画にも描かれたあのシーンが、目の前で語られ、観客も息を呑んで聴き入る。

この頃になると浅沼はクイーンのメンバーに全幅の信頼を寄せられ度々、撮影の要請を直接受けるようになっていく。なかでも「ボヘミアン・ラプソディ」のプロモーション・ビデオの撮影現場の様子は圧巻。この歴史的な現場にカメラマンとして参加したのは浅沼ひとり。写真集『クイーン 輝ける日々の記憶』の表紙の写真は1975年11月1日にエルスツリー・スタジオで撮影された4人のコーラス・シーンのカットだ。同曲はこの前日にイギリスでシングル発売されたばかり。浅沼はこの日、初めて聴いた。そこで合点がいった。9月にスコーピオ・スタジオで聴いたロジャーの高音のハーモニーが、これだったんだと。

輝ける日々の記憶

¥ 3,300

撮影:浅沼ワタル
発売日:2021/11/18
サイズ:A4判
ページ数: 224ページ

 

トークが終わると、浅沼からお客さんに向けてサプライズが。クイーン50周年をお祝いし自身でプリントしたジョン・ディーコンの写真を1名にプレゼントするという。この日の入場者のチケットの半券がステージに持ち込まれ、その中から浅沼が1枚選ぶ。100分の1の確率でみごと当選したお客さんは大喜び。和やかな雰囲気に包まれた客席をあとに、浅沼はステージを降りた。

〈ライヴ・パフォーマンス:GUEEN UNPLUGGED〉

約60分のトークが終わると会場内の換気のため、20分のインターミッションの時間が取られる。続いては GUEEN UNPLUGGED のライヴ・パフォーマンス・コーナー。GUEENは昨年、結成30周年を迎えた国内最古のクイーン・トリビュート・バンド。クイーン・デイには2017年、2018年に出演しているが、今回はフレディ波多江、スパイク山田、モーガン竹中のメンバー3人によるGUEEN UNPLUGGEDとしてアコースティック編成での出演。ステージ左手にはアコースティック・ギター、中央に置かれたグランドピアノの前にはヴォーカルのフレディ波多江と3人だけのシンプルな編成だ。

オープニングに演奏したのは、ゆったりしたジャジィなアレンジの「ドリーマーズ・ボール」(『Jazz』収録)。あの重厚なクイーン・サウンドが、ギターとピアノだけでどうなるのか?と思われたが、ミニマルな編成ゆえに、却ってクイーンのメロディの良さが際立つ。「ラブ・オブ・マイ・ライフ」や「’39」「永遠の翼(Spread Your Wings)」ではスクリーンに歌詞が映し出され、オーディエンスも心の中で歌ってメロディの美しさを楽しんでいた。

今年はクイーン結成50周年。これはベーシストのジョン・ディーコンがクイーンに加入した1971年をクイーン始動の年にされている。そんなことをフレディ波多江が話して、ジョン・ディーコンが作った曲、2曲を歌い客席を沸かす。後半は、定番のクイーン・ナンバーを一気に畳み掛ける。アコースティック編成にもかかわらず、アグレッシヴな演奏で大いに盛り上げる。「RADIO GA GA」や「We Will Rock You」では声こそ出せない環境ながら、オーディエンスもクラッピングで参加。ステージと客席が一体と化し、45分のライヴ・パフォーマンスは幕を閉じた。メンバーがステージを降りると、スクリーンには「The Queen Day will return 17 April 2022」と次回のクイーン・デイの予告が映し出され、2時間20分に及んだ「秋のクイーン・デイ」は終了。

©️ KERO
終演後、ロビーでは写真集購入者を対象にした浅沼ワタルのサイン会も開催。浅沼は長い行列の中、待ってくれたファンひとりひとりに感謝とねぎらいの言葉をかけながら、丁寧にサインを書いていった。

〈GUEEN UNPULUGGED / SET LIST〉
01. Dreamer's Ball
02.Lazing on a Sunday Afternoon
03.Mustapha
04.Thank God It’s Christmas
05.Love of My Life
06.'39
07.You're My Best Friend
08.Spread Your Wings /
09.Tie Your Mother Down
10.RADIO GA GA
11. I Was Born To Love You
12.We Will Rock You
13.We Are the Champions

〈クイーンデイ公式サイト〉

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