ソウル／ファンク・シンガーのパイオニア、マイルス・デイヴィスの元妻・ベティ・デイヴィスが77歳で死去

ベティ・デイヴィスは1944年、ベティ・メイブリーとしてノースカロライナ州で生まれ、家族とピッツバーグに移住した後、16歳でNYCへ移り住み、ニューヨーク州立ファッション工科大学に通っていました。60年代初期のグリニッチ・ヴィレッジ文化とフォーク音楽に浸かっていたデイヴィスは、アーティストやモデル、俳優、シンガーらが集う人気クラブ「ザ・セラー」の常連となり、初の黒人モデルの一人として、雑誌『Glamour』や『Seventeen』にも登場していました。

またニューヨークでは、ジミ・ヘンドリックスやスライ・ストーン、ソウル・シンガーのルー・コートニーらと出会い、1963年にコートニーがプロデュースしたファースト・シングル「The Celler」（常連だったクラブ名）をリリースし、翌1964年にも「Get Ready for Betty」とB面に「I’m Gonna Get My Baby Back」を収録したセカンド・シングルをリリース。その後デイヴィスは、チェンバーズ・ブラザーズ1967年のシングル「Uptown」を作曲し、同曲はバンドがビルボードHot 100チャートにランクインした初めての楽曲になりました。

1968年には、トランペット奏者のヒュー・マセケラがアレンジした「Live, Love, Learn」と「It’s My Life」をシングルとしてリリースし、マセケラと破局したデイヴィスは同年9月、マイルス・デイヴィスと結婚しました。マイルスとの結婚は1年しか続きませんでしたが、当時のファッションや新たな音楽トレンドを彼に紹介したデイヴィスは、マイルスに多大な影響を与えました。マイルスは、1968年のアルバム『Filles de Kilimanjaro』のカヴァー・アートに彼女の顔写真をフィーチャーし、同作には彼女をモデルにした「Mademoiselle Mabry」（マドモアゼル・メイブリー）をラストに収録しています。

離婚後のベティ・デイヴィスは、1973年のデビュー・アルバム『Betty Davis』に続き、1974年の『They Say I’m Different』、1975年の『Nasty Gal』をリリースしましたが、どれも商業的に成功せず、1979年にいくつかのレコーディング・セッションを行なった後、音楽作りから身を引き、ピッツバーグで静かに暮らしていました。

その後、2017年にデイヴィスの生涯を描いたドキュメンタリー『Betty : They Say I’m Different』が公開され、デイヴィスは2019年、自身が作曲、アレンジ、プロデュースした新曲「A little Bit Hot Tonight」で復帰し、同曲はダニエル・マッジオが歌っていました（2019年7月25日MLCニュース参照）。

安らかなる眠りをお祈りいたします。