FM COCOLO『Vintage Hits Parade』月イチ企画【森田編集長　今月の一冊】『ROLLYのロック・ギター異人館２～風雲編～』

この本は『YOUNG GUITAR』で連載している「ROLLYのロック・ギター異人館」をまとめた書籍の2冊目となります。この本の面白いところは、なかなか知られていない、だけど実は隠れた魅力を持ったギタリストがいるというのをたっぷり紹介していまして、実は私もこれを読んで「おーっ！　こんな人がいたのか！」とか、「こういう魅力があるのか」とか、改めて思い知らされる部分が多々ありました。

自分のクラシック・ロック的な知識を試す意味でも、目次のギタリスト名だけで知っているかどうかテストするのも面白いですよ。「この名前どこかで聞いたことある。でもどこのバンドなんだろう？」と、自分でその答えを探すという楽しみもあります。そして、一番のこの本の魅力は、やはりプロのギタリストの目から見て、こういうギタリスト、ここがスゴイ。ここが魅力的という部分を改めて教えてもらえるところだと思います。リスナーとしての聴き方と、プロのギタリスト、プレイヤーとしての聴き方の違いもありますし。「なんでこの人、良いギタリストなのに消えてしまったんだろう？」と遠くに目をやる部分もあったりして、色んな楽しみ方が出来ると思います。

個人的にも「そう言えば忘れていたけど、コイツよく聴いてたな」とか。そういう人がいたりして、思わず頬が緩む楽しみ方が出来ました。個人的にはラマタムのエイプリル・ロートンとか、まさにそんな一人でした。

ROLLYさんの〈すかんち〉がやっていた、所謂パワー・ポップ的なギタリスト。ちょっとハード・ロック的なところから、パワー・ポップ的なところ。あるいはまったく違うような毛色のギタリストまで、色々幅広く紹介されていますし、クラシック・ロックの自分はマニアだと。結構詳しいよと、思ってるような人こそ、この本開いてみると、非常に楽しめるんじゃないかと思います。

ベイ・シティ・ローラーズのエリック・フォークナーもこの本で紹介していますが、個人的にはエリック・フォークナーの凄さなんてのは考えた事もありませんでした。この視点は本当にROLLYさんの独自のもの。例えば、ベイ・シティ・ローラーズの曲のポップさとか、ポップスとして非常に優れているフックのあるメロディとか、そういうのは楽曲を作っていた人達がソングライターとして有名な人だったり、職人だったりということもあって一定の評価はあるんだけれども、所謂プレイヤーとしての評価っていうのは、改めて「あーなるほど」と学ぶことができました。

この本の中で実際に会ったのは何人かいるけど、意外なところはレス・ハント（下画像、左から二人め）。彼はディーモンのギタリストですね。『ミュージック・ライフ』の編集者時代に、インタヴューしたことがある。何ともマニアックな（笑）。

ディーモンは日本盤が出るか出ないかという段階だけれど、レコード会社の人からは『ミュージック・ライフ』で取材してくれ。と話が来て、記事を載せるかどうか分からないけど取材をしたんですね。結局、取材してから数カ月経ってから記事を書いた記憶があるんで、そういう意味で印象に残っている。本人はディーモンというグループ名の割には、非常に紳士で理路整然と喋る人だった印象は残ってますね。