クイーン新連載! クイーン研究家・いしづみたかゆきのクイーンとプラチナ・ジュビリーを訪ねて5,000マイル![1]

クイーン研究家としてMLCでもおなじみ、我らが石角隆行氏が、クイーンのツアーを追いかけ+先日のエリザベス女王プラチナ・ジュビリーを生で見るべく英国へ! 「いしづみたかゆきの英国徒然漫遊紀行」と題し、4回にわたって新たな連載としてお送りします。あくまでファンの立場で書いた旅紀行、研究家といえど熱いファンの一人に変わりはないのです──しかし端々から滲み出すクイーン愛は、ファンの皆さんに共鳴すること請け合い。存分にお楽しみください!

クイーンとプラチナ・ジュビリーを訪ねて5000マイル!
いしづみたかゆきの英国徒然漫遊紀行①

祝! ラプソディ・ツアー再開!

石角隆行(クイーン研究家)

クイーン+アダム・ランバート(以下QAL)が「ラプソディ・ツアー」を2年ぶりに再開! そんな朗報が飛び込んできたのが昨年2月。英国内の追加公演としてグラスゴーの日程も同時に発表され、彼の地がどこにあるかも知らないまま、チケットを申し込んでいました。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年公開)の世界的大ヒットを受けて、2019年7月にカナダ・ヴァンクーヴァーで始まったQALのラプソディ・ツアー。カナダ、アメリカの北米ツアーを経て、2020年1月には日本で4回、その後、ニュージーランド、オーストラリアと順調に開催されてきましたが、新型ウイルス感染症パンデミックが直撃。同年5月からの最終公演地となる欧州ツアーは2年延期せざるを得ませんでした。

映画の公開が2018年ですから、ヨーロッパやクイーンの地元イギリスのファンにとっては、まさに待ちに待ったコンサートが今回のツアー。私は6月3日(金)のスコットランド・グラスゴーの公演に馳せ参じてまいりました。ツアーは5月27日の北アイルランド・ベルファストから始まりマンチェスターを経て、この日は3都市/6公演目。コンサートの模様は後日のロンドン編(6月5日・O2アリーナ)で詳しく触れますので、ここでは日本とイギリスのQAL周りの環境の違いについてお伝えしようと思います。
あさ10時時点でのゲート前。並んでる方がちらほら
物販ブース。店員さんも暇そう
Tシャツは2020年のと変わらず
非正規のグッズ売り場。ビニールシートの上のTシャツを置く大雑把さ
日本のファンとイギリスのファンとの決定的な違い

QALがスコットランドでコンサートを行なったのは2017年12月以来。フレディ在籍時となると1982年6月の「ホット・スペース」ツアー(開催地はエディンバラ)まで遡ります。

グラスゴー公演の会場となったのは「OVOハイドロ」[OVO Hydro(SSE Hydro Arena)]。キャパ14,500人とありますので、日本の横浜アリーナや大阪城ホールとだいたい同じぐらいの大きさです。泊まっていたホテル会場の目の前。あさ10時頃、市内観光に出かける際、会場前を通りますとゲート前には数十人のファンがいました。開場は18時30分なので、随分前から並んでいるようにも思えますがOVOハイドロのアリーナ・エリアはオール・スタンディング。つまり早いもの勝ちでイイ場所を確保できるのです。とはいえ、数十人はちょっと寂しい気はしましたが。17時を過ぎると、さすがに朝よりかは会場周辺に人が増えてきましたが、それでも人だかりには程遠く、アリーナ・エリア入り口に100人ぐらい、スタンド席ゲートには行列は皆無。みなさん開演時間(20時)ギリギリにいらっしゃるようです。

そして場外に物販ブースを1箇所発見。勇んで目指すも、そこは拍子抜けるほどの閑古鳥。誰も居ません。ディスプレイしてあったのは2020年の日本公演のものとほぼ同じ。日本や豪州では会場ごとに違ったデザインのご当地Tシャツが販売されていましたが、それもなし。“GLASGOW” とプリントされたTシャツを買う気満々だったのに、少々肩透かしを喰らいました。また場外で2箇所、道端にTシャツを並べて売っているオジさんを見かけました。しかも売ってるのはオフィシャルと同じデザイン。さすがに誰も立ち止まってませんでしたが。

日本なら開場の数時間前から物販会場は長蛇の列だけに、信じられない光景ではあります。そうなんです、イギリスのお客さんのクイーンTシャツの着用率はかなり低い。着ていても、せいぜい1割ぐらい。お客さんを眺めているだけだと、いったい何のコンサート会場なのか、よくわからなくなります。道理で、ご当地Tシャツや新しいグッズをつくらない訳です。私なんぞは歴代のフレディの衣装をコラージュした特製ジャケットを着て参戦したのに、誰からも「おお、凄い!」みたいな声をかけられず、見事にガン無視。
開演60分前になると、ようやく集まりだしました
こちらはスタンド席のゲート。開演1時間前でものんびり
フレディ衣装REMIXジャケ着用も、全く注目されなかった筆者
紙チケでなくQRチケで入場。1階スタンド正面の前から2列目。ここで£300(約5万円)します!
場内の物販ブースも同様で誰も並んでいません。その代わり、ドリンク売り場は大盛況! 幾重にも行列が取り囲んでいます。これはライヴが始まっても変わりません。イギリスと日本のお客さんの決定的な違いは、公演中でも頻繁に出入りすること。ひとりが席を離れ、やがて両腕に抱えきれないほどのビールを持って戻り同行者に配りって乾杯! 終演まで、これの繰り返しです。でも、決してコンサートがつまらないわけではなく、大きな声で喋り、歌いながらみんなで楽しんでいます。国民性の違いでしょうか。さいたまスーパーアリーナ等では、ライヴの模様をひたすら撮影し続ける “スマホ地蔵” が散見されましたが、こちらでのそれは少数派。左手でスマホ撮影、右手にはビアジョッキ掲げるといった強者もいたものの、殆どはコンサートを身体中で楽しんでいる感じです(アルコールの力を借りながらですが)。ライヴ中は、日本だって大いに盛り上がって興奮してましたが、熱狂のベクトルが違うように感じました。これはある意味、カルチャーショックを受けました。

客層は50〜60代が中心。男女比率は半々です。なかには70歳超えに見受けられるお爺ちゃん、お婆ちゃんもいました。日本は映画公開直後ということもあって20〜30代の若い世代もいましたが、やはり中心客層はイギリスと同じで、日本のほうが女性比率は高いです。

羨ましいなと思ったのは、ラストの “God save the Queen”。オーディエンス全員が大合唱します。ここはちょっと感動的なシーンでした。当たり前ですが、国歌ですから歌詞はみんな知ってるわけですよね。折しもこの日は、エリザベス女王の戴冠70周年をお祝いするプラチナ・ジュビリー休日。いつものクイーンのコンサートよりも格別な想いを胸にいだいて歌われたことでしょう。

さて次回は、バッキンガム宮殿でのプラチナ・ジュビリー・コンサートについて書きます。ついにQALがロンドンに還ってきます! 今しばらくお付き合い頂ければ幸いです。

終演後のOVO Hydroアリーナの外観

 

■石角隆行の著作

クイーン 誇り高き闘い

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3,520円

ジャッキー・スミス/ジム・ジェンキンズ(著)
田村亜紀(訳)
クイーン 輝ける日々の記憶 浅沼ワタル写真集

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通常盤:3,300円
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