【新刊セルフ・ライナーノーツ】『東芝EMI洋楽部の輝ける日々 ビートルズ、クイーンからデュラン・デュラン、デヴィッド・ボウイまで』by 森 俊一郎

東芝EMIに入りたかった最大の理由はジェスロ・タル

発売前の近刊やすでに発売中の刊行物について、“ライナーノーツ” の名の通りその見所・読み所を「著者ご自身で」解説していただこうという連載「新刊セルフ・ライナーノーツ」第三回。今回ご登場いただいたのは、MLCでのクイーン・イベントにもご登場いただいたことのある森 俊一郎氏。

東芝EMIは、レコード会社の統廃合で現在そのカタログのほとんどはユニバーサルミュージックが保有し発売元となっていますが、そもそもが洋楽も邦楽も大物が多数所属し次から次へとヒットを出した大手レコード会社でした。氏はその東芝EMIに2006年まで洋楽ディレクターとして勤務、クイーンはじめアイアン・メイデン、 スージー・クアトロ、デュラン・デュラン、デヴィッド・ボウイ、ザ・ビートルズ、ポール・マッカートニーを日本の市場に送り出してきた張本人。本日発売となる新刊書籍『東芝EMI洋楽部の輝ける日々 ビートルズ、クイーンからデュラン・デュラン、デヴィッド・ボウイまで』は、その舞台裏のエピソードや氏の尽きることない洋楽愛が詰め込まれた一冊です。

詳しくは本そのものでお読みいただくとして、ここではそこに入れるには至らなかった余談や裏側などを、「新刊セルフ・ライナーノーツ」のお題通り、「見どころ・読みどころ」をご本人に解説していただきます。

【新刊セルフ・ライナーノーツ】

『東芝EMI洋楽部の輝ける日々 ビートルズ、クイーンからデュラン・デュラン、デヴィッド・ボウイまで』by 森 俊一郎

東芝EMI洋楽部の輝ける日々
『東芝EMI洋楽部の輝ける日々』執筆のきっかけ
デジタル世界だけなんてもったいない……
日々SNSを眺めていると「元レコード会社の洋楽担当者」の方々が、諸先輩から現役に近い後輩たちまで、それぞれがたどってきた歴史を語っています。中には今回ベンチャーズの章を書いてもらった元東芝EMIの阿佐美俊夫氏のように、当時の7インチ・シングル盤のコレクションを惜しげもなく公開して詳細な説明をつけている人もいます。「デジタル世界だけなんてもったいない……紙の本にすればいいのに」と思って、そんなことを阿佐美氏に伝えたのがそもそものスタートでした。
東芝EMI洋楽部の輝ける日々
実際に書き始めて
対話することで記憶が呼び覚まされるのが醍醐味!
はじめはもう一人、東芝EMIの先輩も入れて3人の共著という形で構想しましたが、紆余曲折あってベンチャーズは阿佐美氏にお願いし、他は自分が書き上げるということになりました。もちろん経験してきたことは限られていますので、ビートルズ担当の先輩、クイーンを担当していた後輩、ベイ・シティ・ローラーズやスージー・クアトロをヒットさせた伝説の先輩たち、デヴィッド・ボウイとの数奇なストーリーを持つ切り絵作家の方などなど何人もの方にお話を聞きました。聞く側も聞かれる側も対話することで記憶が呼び覚まされるのが醍醐味で、制作する中で一番楽しかった部分です。
東芝EMI洋楽部の輝ける日々
一番強い思い出は?
1984年、クイーンの二人のプロモーション来日
アルバム『シアー・ハート・アタック』で東郷かおる子さんのライナーを読んで以来クイーンとの付き合いが始まったロック少年にとって、1984年にジョン・ディーコンとロジャー・テイラーのプロモーション来日を仕切ったことは、洋楽ディレクターとしていきなりのハイライトでした。しかしスケジュールの切り方に無理がありすぎたり、自分の英語が非常につたなかったり、段取り説明の要領が悪かったりで付き人にキレられたのが、最初の洗礼だったと思います。彼とは後に良い関係を築けましたが、かなりキツい経験でした。
東芝EMI洋楽部の輝ける日々
一番思い入れの強いアーティストは……
東芝EMIに入りたかった最大の理由、愛しのジェスロ・タル!
アイアン・メイデン、クワイアボーイズ、サンダーなどとつながれたことも幸せでしたし、東芝EMIに入りたかった最大の理由である、愛するジェスロ・タルの日本未発売音源も含めたCD化が完璧に出来て、しかも19年ぶりの来日公演が実現したことが個人的なキャリア・ハイです(間口が狭い……笑)。
東芝EMI洋楽部の輝ける日々

東芝EMI洋楽部の輝ける日々

ビートルズ、クイーンからデュラン・デュラン、デヴィッド・ボウイまで

8/5発売/著者:森俊一郎、阿佐美俊夫/A5判/240ページ

レコード会社・東芝EMIに2006年まで勤務した洋楽ディレクター森俊一郎氏が、ビートルズ、クイーン、スージー・クアトロ、デュラン・デュラン、ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイ、アイアン・メイデンなどとのエピソードを回顧しつつ、洋楽への愛と、現代の音楽ファンへの啓蒙を併せて綴る珠玉の一冊。ベンチャーズについては阿佐美俊夫氏が執筆!

【CONTENTS】
■序章
■第1章 ビートルズ五代目担当
■第2章 1984年クイーン移籍
■第3章 鋼鉄な日々
■第4章 ビートルズ以前、と言えばベンチャーズ
■第5章 デュラン・デュラン
■第6章 ヴァージン・レーベルとの出会いと別れ
■第7章 ヘヴィメタル王座決定戦への長い道
■第8章 ボーン・トゥ・ラヴ・ユー
■第9章 ポール・マッカートニー
■第10章 成長し続けるデヴィッド・ボウイ
■第11章 東芝EMI洋楽ディレクター列伝
■第12章 「洋楽の底力」

●関連ニュース BOOK・2025.07.24
8/5発売 レコード会社・東芝EMIに勤務したディレクターが大物アーティストらとのエピソードを回顧しつつ、洋楽へ愛を綴る珠玉の一冊〜『東芝EMI洋楽部の輝ける日々』

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■ 新刊・9月5日発売

絢爛のロックショー、クイーン追想録 〜二代目ディレクターの独白〜

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シマあつこ描き下ろしぬり絵カセット・レーベル、聖地巡礼ガイドMAP付き!! いちファンだった中学時代に始まり、シンコーミュージック入社後は、広告営業マン〜雑誌編集者を経てクイーン展覧会のキュレーターを務めるなど、クイーンと共に歩んだ半世紀。MUSIC LIFE CLUB公認のクイーン・コンシェルジュ=吉田聡志がクイーン・ファンの皆様の様々なご要望にお応えします!! コンシェルジュ的視点が炸裂するオリジナル・アルバム紹介や、ファン魂を燃やす対談などクイーンの世界を深堀り&重箱の隅つつきをお楽しみください。
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2,200円

著者:今泉圭姫子
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フレディ、ブライアン、ロジャー、ジョンとのインタビュー初掲載!!

“スヌーピー”の愛称で親しまれるDJ/音楽評論家の今泉圭姫子の体験をもとにした「ロック少女によるクイーン物語」。クイーンとの出会い、初めてのクイーン・ライヴ、泣き崩れてしまったフレディ・インタビュー、クイーンのパーティ潜入等々。基本のスピリットは「ミーハー」。突撃精神で現場に飛び込む愛と情熱とが詰まった一冊だ。そんな彼女が、クイーンと共にあった大切な時間を、いま、みなさんと共に振り返る。フレディの最後のツアー《マジック・ツアー》体験、88年の記者会見、追悼トリビュート・ライヴなど今まで知られていなかったエピソードも盛りだくさん。『クイーンは何を歌っているのか?』の著者、朝日順子との特別対談も収録!!
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