ビートきよし、丸刈りでロケ参加するも出演せず帰国──映画『戦場のメリークリスマス 4K修復版』トークショー・レポート

実はビートきよしも出演するはずだった!?──絶賛公開中の『戦場のメリークリスマス 4K修復版』は最後の大規模公開がされていますが、それを記念し第2弾のトークショーが開かれました。丸坊主にして撮影現場にも訪れ出る気満々だったにもかかわらず結局出演しなかった理由とは……?

〈以下、メイカー・インフォメーションより〉
 

鮮烈かつ、鮮明によみがえる──大島渚監督、最後の大規模ロードショー。

『戦場のメリークリスマス 4K修復版』

ビートきよし(お笑い芸人)さん
丸刈りでロケ参加するも出演せず帰国。
大島監督「全然出ないで帰ったほうが、ネタになるでしょ。
ギャラはあげるから」

このたび映画の公開を記念し、お笑い芸人のビートきよしさんと映画評論家で映画監督の樋口尚文さんをゲストに迎えたトークショーを開催。『戦メリ』に出演していないにもかかわらず、今回のイベントに登壇した経緯や、デヴィッド・ボウイらとの思い出を振り返っていただきました。

映画 『戦場のメリークリスマス 4K修復版』トークショー
日時:1月20日(土)
登壇者:ビートきよしさん(お笑い芸人)/樋口尚文(映画評論家・映画監督)

第36回カンヌ国際映画祭で、そのテーマを巡って大きな話題を巻き起こした本作は、デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしなどの本業が俳優ではない個性的なキャスティングで描かれる戦闘シーンが一切登場しない異色の “戦争” 映画。日本軍俘虜となるジャック・セリアズ少佐を演じたデヴィッド・ボウイの美しさと存在感が随所で際立ち、坂本龍一扮するヨノイ大尉が次第にセリアズに惹かれていく様が描かれる。東洋と西洋の文化の対立と融合という複雑なテーマゆえに企画は難航し、製作費は膨らんだが、ビートたけしがラジオやテレビでネタにしたことで話題が独り歩きするなど、従来の映画プロモーションとは違う展開になったことも功を奏して、配給収入10億円の大島渚監督最大の大ヒットにつながった。2023年に大島渚作品が国立機関に収蔵される予定のため、今回が最後の大規模ロードショーとなる。

上映前、老若男女でいっぱいになった客席からの盛大な拍手に迎えられ、ビートきよしさんと樋口尚文さんが登場。
相方のたけしさんは出演した一方で、きよしさんは本作に登場しない。しかし今回のトークショー・イベントのオファーが来たことついて第一声、「なんで僕が呼ばれたのか不思議でしょうがない」と述べ、会場は笑い声の中、明るいムードでトークショーがスタートした。

続けて、「ぼくも本当は出演する予定だったんですよ」と話し始めるきよしさんに、「出演していたはずのきよしさんが出てらっしゃらないことについては、色んな都市伝説があるので、今日は真相をぜひ語っていただきたい」と前のめりに尋ねる樋口さん。
それに対しきよしさんは、ヴァラエティ番組『笑ってる場合ですよ!』にレギュラー出演していた当時、大島監督から映画出演のオファーがきたことを回想し、なんと生放送中に「戦争映画に出るんなら頭刈っちゃえって、坊主にさせられたんですよ」といきなり驚きのエピソードを明かした。

そうして坊主となり、撮影地ラロトンガ島へと向かったきよしさんだが、島での夕食中、「うちの娘と結婚してくれ」と現地の住人にお願いされる出来事が。当時のラロトンガ島では、男性は別の島に出稼ぎに出るため、女性ばかりだったという知られざる背景を明かすとともに、「(既婚者だったから)結婚したら、重婚で刑務所入れられちゃうからね」と話し、会場の笑いを誘った。

また毎晩ほとんどの映画関係者が集まる夕食会場には、デヴィッド・ボウイが毎日のようにギターを持参し、目の前で歌を披露したという贅沢なエピソードも登場。実際に会ったボウイの印象を聞かれたきよしさんは、「大変気さくな方で、映画で見てもかっこいいですけど、近くで見たらすごくいい男でかっこよかった」と懐かしそうに語った。

飛行機の都合できよしさんのラロトンガ島滞在は1週間のみだったそうだが、連日の雨天により、撮影はなかなか進まず。ようやく晴れた最終日に大島監督から、「きよしさん、これね、ワンカットしか出番が撮れないんだよ。だからこれ……全然出ないほうがいいんじゃない? 全然出ないで帰ったほうが、ネタになるでしょ。ギャラはあげるから」との提案が。それに対しきよしさんは、「いいですよって喜んで帰りましたよ」とサラリと明かした。そして大島監督の予言通り、40年がたった今、出演していない映画のトークショーに登壇するという “ネタ” になっている。

先に決まったたけしさんの戦メリ出演の話を聞いて、どう思ったのか?という樋口さんの質問に対しては、「大島監督は異色の俳優を並べて撮りたかったんでしょうね」と語り、生放送中に丸刈りになり、撮影地まで赴くも出演せず帰ってくるという自身の境遇については、「現地で出番前に頭刈るならまだしも、坊主頭になった意味がなかった」と感想を述べ、笑いに包まれながらイベントは幕を閉じた。

そんな『戦場のメリークリスマス 4K修復版』は、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、立川シネマシティ、アップリンク吉祥寺ほかにて連日満員御礼の大ヒット上映中です。ぜひ本イベント報告のご掲載をよろしくお願いいたします。

『戦場のメリークリスマス 4K修復版』劇場一覧

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『戦場のメリークリスマス 4K修復版』

出演:デヴィッド・ボウイ、トム・コンティ、坂本龍一、ビートたけし、ジャック・トンプソン、ジョニー大倉、内田裕也

監督・脚本:大島渚
脚本:ポール・マイヤーズバーグ
原作:サー・ローレンス・ヴァン・デル・ポスト「影の獄にて」
製作:ジェレミー・トーマス
撮影:成島東一郎
音楽:坂本龍一
美術:戸田重昌

1983年/日本=イギリス=ニュージーランド/英語・日本語/123分/ビスタサイズ/ステレオ
協力:大島渚プロダクション
配給・宣伝:アンプラグド

©大島渚プロダクション

公式サイト

新宿武蔵野館ほかにて、全国順次 “最終” 公開中

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