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坂本龍一ドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4Kレストア版公開記念、イベント・レポート二題

坂本⿓⼀のドキュメンタリー映画『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4K レストア版の公開記念トークイベントが、別々の登壇者で2回行われました。ひとつは「嶋田ちあき × 安珠 × 鈴木正文」の三氏が出演した “表現者が坂本龍一を語る”(1月28日MLCニュース)。もうひとつは「岡村靖幸 × 藤原ヒロシ」両氏が登壇しての、「80年代から現在に至るまで、“東京” そして “坂本龍一”」を語るという内容 (2月5日MLCニュース)。
〈以下、公式インフォメーションより〉
■2/6(金)実施:公開記念トークイベント

〈自然体〉だからこそ後世に残っていく、坂本龍一の本質を捉えた映画

安珠・嶋田ちあき・鈴木正文が語る当時の貴重な舞台裏。細野晴臣のエピソードも

2/6(金)『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4K レストア版 トークイベント概要

▋日時:2月6日(金)19:00 の回 上映後 トークイベント 20:05〜20:45
▋場所:109シネマズプレミアム新宿 シアター7(東京都新宿区歌舞伎町1丁目29-1 東急歌舞伎町タワー10F)
▋登壇者(3名):安珠(写真家)、嶋田ちあき(メイクアップアーティスト)【司会】鈴木正文(編集者)

今もなお⼈々の⼼に⽣き続ける世界的⾳楽家・坂本⿓⼀、若き⽇のポートレートを通して《東京の⾳》を体感できる幻のドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』が4Kレストア版として、制作から約40年の時を経て劇場公開を迎えた。80年代の息づくような東京の景⾊とともに映し出されるのは、幼少期の記憶、変わりゆく⽂化と社会、創作のプロセス、そして⾃らが追い求める⾳楽について語る、当時32歳の坂本の姿。そんな本作の公開を記念し、2月6日、109シネマズプレミアム新宿にて公開記念トークイベントが開催された。

この日のゲストは、80年代の一時期、坂本龍一氏の「顔」をつくったメイクアップアーティスト・嶋田ちあき氏。そして1980年代にモデルとして世界で活躍し、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)主演の映画『プロパガンダ(A Y.M.O. FILM PROPAGANDA)』にヒロインとして出演。現在は写真家として活動する安珠氏。そして、司会としては、元『GQ JAPAN』編集長で、坂本龍一氏と同世代、長年にわたり親しく対話を重ねてきた編集者・鈴木正文氏が登壇。80年代の坂本龍一氏と仕事をともにした表現者たちが一堂に会する貴重な機会となった。
映画鑑賞後、大勢の拍手に迎えられてステージに登壇した安珠氏は「私から見ると1984年というのは、1983年にYMOが『散開』した後で『戦場のメリークリスマス』があって。その次に世界への扉がバーンと開いたのが1987年(映画『ラストエンペラー』)ですから、ちょうど凪の時間というか、エアポケットみたいな時期だったと思うんです。その時の音楽に向き合う真摯な姿がすごくナチュラルで。本当に教授らしくて。その時間を捉えている映画だなと思いました」と映画の感想を述べると、「この映画の中で私が若いクリエイターに見てもらいたいと思ったのは、社会との向き合い方。彼も映画の中でも言っていましたが、バブルで大変な時だけれど、その歪みに自分は興味があるんだと。そういったものを感じ取って、ものを作る姿勢みたいなものは見てもらいたいなと思いました」とコメント。
 
ジェンダーレスでアヴァンギャルドなメイクを施し、80年代の一時期、坂本龍一の「顔」をつくってきた嶋田ちあき氏が彼と出会ったのは22歳の時のことだった。「僕がフリーになって数カ月頃、ある雑誌社の編集長から『矢野顕子さんのメイクをしてほしい。カメラマンは坂本龍一さんだ』というオファーがあったんです。スタジオに行ったらお二人がいて、矢野さんにメイクをして教授がカメラで撮っているわけです。撮影が終わった時、教授から『ちあきさん、時間ありますか? 僕のメイクをしてくれますか?』と言われたんです。後からわかったことですが、あれがメイクのオーディションだったんですね」
 
そしてその撮影の帰りには、嶋田氏の事務所に連絡があり、「ツアーを回ってほしい」というオファーを受け、YMO全員のメイクをすることに。その後は『散開』コンサートの頃まで、アルバムや数々のCMなどで教授たちと組んでいくこととなる。

今回、あらためて映画を鑑賞し、「考えさせられることだらけの映画でした」と語る嶋田氏。「楽しめましたが、龍一さんも言っていましたが、音楽というのは非日常ですよね。でも東京や日本にいると常に音の中で暮らしているなと。音のない世界の方が逆にないなと、自分たちの生活を振り返って思いました。そんな時に、音のない世界に行きたくなる自分もいるなと感じたんです。作り出されていく音楽や、音の重なり合いで文化が作られ、文化だけがちょっと取り残されているようなところもある。これから先、僕たちはどういう日本、どういう東京で暮らすのかな、自分はどういう世界に生きていくのかなと、不安と入り混じった感情で見入ってしまいました」

また、リハーサルの時に見せた教授の姿も嶋田氏の記憶に深く刻まれているという。「YMOでまわっていたツアーでのリハーサルの時、照明のチェックなどもあって。なかなかリハーサルがはじまらないんです。そんなとき、龍一さんはひとり先にステージに来て。他のメンバーが来るのを待っている間、必ずと言っていいほど、静かにピアノを弾いている。それは当時作っていた音楽とは全く違う、ナチュラルな彼の本質みたいなものがそこにあって。とにかく綺麗なメロディをピアノで弾いて、目を瞑ってずっと弾いているんです。僕はそれを聞いていて『YMOの坂本龍一じゃない坂本龍一がそこにいる。この人の心の中はどうなっているのかな』と考えていたことを思い出しました」
それを聞いた安珠氏は、ヒロインとして参加したYMOの主演映画『プロパガンダ(A Y.M.O. FILM PROPAGANDA)』撮影時のエピソードを披露する。

「千葉の海での撮影の時です。夜に雪が降ってきて寒かった日だったんですが、教授から『安珠、散歩行こうぜ』と誘われました。二人で夜の暗い中、雪明かりで歩いていました。その時に、知り合いのおじさんから教えてもらった、私が好きだった歌(三浦洸一の「踊子」)を口ずさんだんです。そしたら教授が『ちょっと待って、その歌ちょっと違うんじゃない?』と言うんです。『その曲は知らないけど、多分転調はこうだよ』と指摘するわけです。散歩しているうちに、どんどんその歌が完璧になってきて『なんでわかるの?』と聞きました」

そんな雪景色の中、ふたりの足跡がまるで音符のように見えたという。教授から「これを音符だと思ったら、音楽はここから始まって、道に外れてもまたそこの道に戻ってくる。音楽は外れてもいいけれど、必ずそこに、戻ったり交差したりしてメロディは作られているから。でも安珠のは行ったきりになっちゃってるから」と言われた安珠氏はその時に『すごい、教授だ!』と思い、音楽を構築する、ということにハッとさせられたと明かす。
教授の素顔にまつわる興味深い話はさらに続く。嶋田氏が振り返るのは、忌野清志郎氏とのコラボ曲「い・け・な・いルージュマジック」の時期のことだった。「あれは1982年頃、資生堂のコマーシャルの撮影でしたが、その後もプロモーションなどでいろんなテレビ番組に出たので、その都度お二人のメイクを僕がしていました。でも撮影の最初の時はどういうメイクをするかという打ち合わせも全くなくて。何も決まっていなかったんです。『嶋田さん、今日はこういう格好なんだけど、僕たちをどういうふうに変えてくれる?』という発想なんですね、いつも。教授からメイクのオーダーというのは、いつも全くないんです。むしろ楽しみに待っているという感じでしたね」

さらに今回の映画を見返してみて、「正面で見ると坂本さんの眉が不思議な色で、左右のバランスが崩れているんです。あれもどうして自分がそうしたのか振り返ってみると、彼の中にある『掴みどころのないバランスの崩れている部分』と『正統派の部分』の両極端にあるものを表現したかったのだと思います」と振り返る嶋田氏。

「違和感のあるメイク、居心地の悪さを出すことで、それが逆に居心地の良さに繋がっていくようなところは多分、坂本龍一さんだから表現できた気がします。元々ルックスも綺麗なお顔立ちだから、そこに綺麗にメイクすればもっと綺麗になっていくのですが、彼の持ち味や音楽の深さ、一度出て行って色々と動き回ってまた元のところに収まるようなところが彼の中にある」と付け加えた。
そしてあらためて本作を振り返った鈴木氏は「夢のような映画だなと思いました。音楽にも故郷があるんだなと。あの時代の東京、YMOの3人の演奏の仕方も自信に満ち溢れていますよね。『自分たちが世界の最前線にいるんだ』という確信を持ちながらやっている。実際にあの時代は、ファッションでも三宅一生さん、山本耀司さん、川久保玲さんが出てきて。『TOKYO MELODY』というタイトルがまさにぴったり。東京でなければ生まれなかった音楽で、彼の音楽の故郷があの時代の東京や日本にあったのかなと感じました」と指摘。

一方の安珠氏は、2000年代に入って教授と話したエピソードを披露する。「教授は細野さんが大好きで、いつも細野さんのことを聞くんです。ある時、『細野さんって本当は大きな大輪を咲かせる人なのに、色んな人に花を咲かせている。もったいないよ。彼は大輪を咲かせてみんなに見せるべき人なんだよ』というのを、私に言うんです。教授が亡くなった時、細野さんのコメントが『大きな花が散ったよう』といった言葉だったんです。その後に細野さんに『教授が大輪の花を咲かせる人なんだよって言っていたのを覚えてる?』と聞いたら、『忘れてた』と言いながらも、『教授は細野さんが大好きだから、あなた自身が大輪の花で、それで命を全うして散っていったということを、細野さんは言っているんだよ』と伝えて、お祈りをしました」

そんな教授との思い出話は尽きないが、いよいよ終了の時間に。最後に嶋田氏が「僕は今日これを見て、懐かしいというよりも大いに刺激を受け、喜びが芽生えてきたんです。教授と仕事をさせていただいた時期、離れていた時期、そして今こうして再び映画を観て、音って素晴らしいなと思うのと同時に、彼が色んな音を拾い集めて楽譜にしていく作業は、やっぱり偉大な人だなと。彼の内側にあるパワフルな部分と、すごく静寂な「静」の部分。その両方が魅力的に音となって現れてきて、今聴いても全く古くない。むしろ新しくも感じるこの音は、ずっとこれからも聴き伝えられ、ずっと後世に残っていく、自然体のような音に聞こえる。それはまさに教授が自然体で、環境の中に身を置きながら活動されていたからなのかなと、今日は感じました」とコメント。

さらに安珠氏が「教授が言った言葉で、晩年に言った大好きな言葉があります。“植物の静寂は平和の象徴” という言葉です。その言葉がすごく好きです」と続けると、鈴木氏も「言葉で通じ合うことだけではない。わかっているけれどわからない、どちらが正しいということでもない。至るところに音楽があるし、それは言葉になっていない言葉。坂本さんが残したものは、現代そのものであり、全く古びていない。ますます『本当』になってきていることだと思います。二回、三回見たくなる映画でした」とコメントし、トークショーを締めくくった。

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■2/8(日)実施:公開記念トークイベント

32歳の坂本龍一の言葉に隠されたもの

岡村靖幸・藤原ヒロシが語る

2/8(日)『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4K レストア版 トークイベント概要

▋日時:2月8日(日)18:00 の回 上映後 トークイベント 19:20〜20:00
▋場所:109シネマズプレミアム新宿 シアター7(東京都新宿区歌舞伎町1丁目29-1 東急歌舞伎町タワー10F)
▋登壇者(2名):岡村靖幸(音楽家)、藤原ヒロシ(音楽プロデューサー)【司会】奥浜レイラ

今もなお⼈々の⼼に⽣き続ける世界的⾳楽家・坂本⿓⼀、若き⽇のポートレートを通して《東京の⾳》を体感できる幻のドキュメンタリー『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』が4Kレストア版として、制作から約40年の時を経て劇場公開を迎えた。80年代の息づくような東京の景⾊とともに映し出されるのは、幼少期の記憶、変わりゆく⽂化と社会、創作のプロセス、そして⾃らが追い求める⾳楽について語る、当時32歳の坂本の姿。そんな本作の公開を記念し、2月8日、109シネマズプレミアム新宿にて公開記念トークイベントが開催された。

この日のゲストは、80年代から現在まで “東京” を牽引してきた二人のレジェンドが登場。岡村氏が「ヒロシさんとはドキュメンタリー好き仲間として、LINE仲間として、よくドキュメンタリーの話をしているんです」と語る通り、この日は音楽のみならず、ドキュメンタリーの視点からも鋭いコメントが次々と飛び出し、それらの言葉に、観客も熱心に耳を傾けていた。

本作について「すごく貴重な映像ですよね」と語る岡村氏は、かつて発売されていたDVD版で本作を鑑賞したことがあったとのことで、「坂本さんの『音楽図鑑』というアルバムのレコーディング風景や、当時の東京の風景もあって。今だったらこれオッケーが出るのかな、というような映像や、スタジオでご飯を食べているシーンなど、いろんな映像が入っていて。すごく生々しくて、貴重な映像が満載で。当時から面白いと思っていました」と振り返る。
 
一方の藤原氏は今回はじめて映画を鑑賞したとのことで、「僕はすごく当時のことを思い出しました」という。「僕は坂本さんとは世代が離れているんですが、82年から東京にいた。坂本さんとお仕事を一緒にしたことはなかったんですが、同じ空間にいることが結構あったんです。映画には、当時の音楽の作り方が映し出されていて。特に(シンセサイザーの)フェアライトとか、そういうものが出てきて懐かしかったですね」
 
そんな教授との接点について藤原氏は「僕は82年にはDJをしていたので。夜、DJをしているところに坂本さんがお見えになったり、というのはたまにありました」と振り返る。「ただ、音楽の話をしたことはほとんどなくて。ニューヨークでいつも行くお蕎麦屋さんにもよくいらっしゃっていたので、そこで会うと挨拶程度にお話をさせていただいていましたが、今思えばもう少し音楽の話を聞いておけばよかったと思います」
 

本作では、教授の音楽活動を映し出しているだけでなく、80年代の東京の風景を映し出したポートレートとなる。「秋葉原や新宿アルタの前の映像も、今とは全然違う価値観のものがワーッと置いてある。竹の子族やロックンロール族みたいなのも出てくるし、賑々しくて。約40年前の映像と考えると、とても感慨深かったです」と岡村氏が語れば、藤原氏も「僕は82年に東京に出てきたので、この頃はオンタイムでしたし、とても新鮮でした。初めて見るような風景もいっぱいあって、懐かしさもあったし。映画の中で坂本さんが “政治の時代は過ぎ去って” とおっしゃっていたと思うんですが、そうした70年代を経て、坂本さんの目から見た80年代の東京の空虚さみたいなものが現れているのかなと思いました」と振り返った。
 
そんなふたりの目を引いたのは、スタジオの機材だった。世界初のサンプリング・マシンとして知られる「フェアライト(Fairlight CMI)」は、当時1200万円から1400万円もするような超高額機材だった。藤原氏も「これがちゃんと映像に残っているというのはすごいですよね。僕は当時からDJだったので、サンプリングというもの自体は知っていたんですけれど、実際に日本に入ってきた時に初めて見たのがフェアライトだったんです。そのあと85年頃、フェアライトじゃないんですけど、エミュレーターという機材を知り合いのバンドが購入して。それが720万円だったんですけど、それを貸してもらって、YMOのリミックスを作ったこともありました。当時、サンプリングというものがものすごく神々しいものだったんです」と振り返る。

それだけに教授が、スタジオの中で食事をしているシーンは驚きを隠せなかったという。「1400万のフェアライトの前にある卓の上で、出前でとった食事を食べていましたもんね。普通食べないですよ」と藤原氏が話すと、岡村氏は「あの卓だって何千万としますからね」と同意。「俺たちが同じことをやったら怒られますよ」と藤原氏が指摘すると、二人の応酬に会場はドッと沸いた。
 
当時、サンプリングの登場により、「こんな機材が出たらオーケストラがいらなくなるのではないか」「生のアーティストはいらなくなるんじゃないか」といった具合に危惧する人も多く、音楽業界で大きな論争が起こったという。「音楽業界の中でみんなが話題にしているという意味では、今のAIと近いなと思うんです」という藤原氏の考察に、「僕もそれを思った」と同調する岡村氏。「フェアライトとか、最新のテクノロジーとか。ああいうコンピューターにいつも目を光らせていた坂本さんが、今の時代に生きていたら、どういう風にAIと対決していたのか、と考えると興味深いです」と語る岡村氏。「坂本さんは、テクノロジーやコンピューターの進化は止められないけど、その途中で生まれるエラーやノイズ、綻びみたいなもの興味があると言っていて。今日、ヒロシさんと話したかったのは、まさにパンク・ミュージックとかヒップホップっていうのは、音楽教育を普通に受けた上で誕生したものではなくて、エラーやノイズ、綻びみたいなものだということ。理論的なものじゃなくて、ちょっと異形のものだったから面白かったし、スリリングだった」と振り返る。

それを受けて、「僕もそういう教育を受けてたわけでもないし、いまだに音符は読めないので。音楽の理論というのはほとんどわからない状態でパンクやヒップホップに出会って今がある」と自身のルーツを語る藤原氏。「坂本さんはそれとは真逆で、すごくアカデミックなところから来て。アカデミックな人たちというのは、パンクなりヒップホップなり、こういったサンプリングに対してアンチだった人が多かったと思うんです。でもその綻びだったり、ノイズに興味を持って、真摯に向き合ったというのは、すごく坂本さんらしい、いいところなんじゃないかなと思います」
 
さらに教授の音楽性について、「映画音楽に限らず音楽というのはある程度予想された部分と、予想されているという前提で、それを裏切るカウンターパンチを入れる部分と。そのバランスで出来上がる、という風におっしゃっていましたが、これはよく分かります」と共感を示す岡村氏。「坂本さんの音楽はそのバランスが絶妙。ここでこう行くかみたいなメロディがたくさんあるし、前衛的な部分もある。本当に感動的な美しいメロディもあるし。物を作ってる人はみんな、そこを考えていると思います。だからその、分かりやすい部分と、ここはちょっと分かりにくくしておこうとか、そういうバランスはどのアーティストも、物を作る人なら考えてることなんじゃないのかなと思うので、いい言葉だなと思いました」
 
本作を手掛けたのは、ニューヨーク出身のマルチメディア・アーティスト、エリザベス・レナード。外国人である彼女の目を通じて、教授の素顔や、東京の風景を映し出している。そんな映画を観て、「ドキュメンタリーだとよくコメントが入ったり、ナレーションが入ったりと、説明が入るものですが、この映画はフランス映画っぽいですよね。ロードムービーみたいな、沈黙の部分もたくさんあって。間の取り方とかも普通じゃない感じで、ゆったりとして見ることができた。まさに外国の方が撮った感じがすごくしました」と印象を語る岡村氏。藤原氏も「実際、僕らが全く気づかなかった魅力や、良さがすごく切り取られてると思うんです。当時も分からなかったし、今でも本当の意味でこの良さを理解しているのか、自分でも分からないですが、今でも海外のアーティストが日本に来て、PVを撮ったりしていて。なおかつこういう80年代の味付けにわざと加工したりもしているじゃないですか。そういう意味では彼らにとってすごく魅力的なステージなんだろうなと思います」と分析した。
 
そんな教授の魅力についてあらためて「僕は一貫して坂本さんに関して思うのは “ルックスがいい” ということ」と評した岡村氏。「カッコいいというのは大きかったと思います。化粧をしたり耽美的なことをしても似合う人だったから、本当に華があった。だからよく雑誌の表紙にもなっていましたし、特に80年代なんていろんなコマーシャルに出ていたじゃないですか。笑いもできたし、カッコいいこともできたし、実験的なこともできた。まさにトリックスター的な部分もあったと思います」
 
何度観ても新たな発見が見つけられる本作ということで、あらためて注目のポイントについて質問された岡村氏は「映画では大事な言葉をいろいろと言っているんですが、1回目は見逃してしまうこともあります。でも何回か見ていくうちに、こんなこと言っていたんだと。そうした言葉を聞きながら映画を見ると、84年っていう時代も炙り出されるし。坂本龍一さんが、YMOが終わった時にどういう心境だったかっていうのも炙り出されている。その前は学生運動の時代で、政治の季節は終わったということも言っていましたし。そういう言葉をちゃんと聞きながら、追いかけるのも面白いと思います」
 
一方の藤原氏も「やはり僕はこの映画と同世代なので、懐かしい、という見方をしてしまっているんですよ。1回目に見たときは懐かしいという気持ちだったんですけど、実際はそうじゃなくて。違う視点で見て、新しいものが発見できるんじゃないかなと思います。それと坂本さんの発言ですよね。坂本さんの言葉の中に、新しい発見や、今につながる何かが隠されているんじゃないかなと思います」と会場に呼びかけた。

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世界的⾳楽家・坂本⿓⼀、若き⽇のポートレート。
「教授」の⽇常を初めてフィルムに収めた、幻のドキュメンタリー。
Tokyo Melody  Ryuichi Sakamoto
4Kレストア版

監督:エリザベス・レナード
出演:坂本⿓⼀、⽮野顕⼦、細野晴⾂、⾼橋幸宏
撮影:ジャック・パメール
編集:鈴⽊マキコ
⾳楽:坂本⿓⼀
録⾳:ジャン・クロード・ブリッソン
製作:ミュリエル・ローズ
制作会社:INA、KAB Amercia Inc.、KAB Inc.
1985年|62分|フランス、⽇本|⽇本語、フランス語、英語
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ

© Elizabeth Lennard

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全国順次公開中

商品詳細
坂本龍一
『音楽図鑑完璧盤』


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Amazon Music(MAR 25 2015)-2015 Edition-
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「energy flow」(坂本龍一)掲載
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