マドンナやトーキング・ヘッズと契約、サイアー・レコードのシーモア・スタインが80歳で死去

サイアー・レコード（Sire Records）の共同創始者で、マドンナやトーキング・ヘッズ、ラモーンズ、プリテンダーズらと契約したレコード業界の重鎮、シーモア・スタイン（Seymour Stein）が4月2日、80歳で死去しました。

家族が訃報を伝えており、スタインは長年ガンと闘った末、ロサンゼルスの自宅で亡くなったそうです。

1942年にNYCのブルックリンで生まれたスタインは、10代の頃から『ビルボード誌で事務員として働き、ジェイムズ・ブラウンが所属していたシンシナティのソウル・レーベル、キング・レコードに勤めた後、1966年にリチャード・ゴッテラーとサイアー・レコードを共同設立しました。

先見の明があり、ほとんどのトレンドを先取りしたスタインは、パンクがニューヨークとイギリスで文化的勢力として台頭し始めた70年代、ラモーンズやトーキング・ヘッズ、リチャード・ヘル＆ザ・ヴォイドイズ、デッド・ボーイズらと契約しました。

80年代初頭、スタインがマンハッタンのクラブで踊っていたマドンナと契約したのは有名な話で、サイアー・レコードは、マドンナ1983年のデビュー・アルバム『Madonna』から1994年の『Bedtime Stories』に至るまで、6枚のアルバムをリリースしました。

また、カレッジ・ロックやオルタナティヴ・ロックが出現し始めると、スタインはリプレイスメンツ、ザ・キュアー、プリテンダーズ、ザ・スミス、エコー & ザ・バニーメン、ミニストリー、デペッシュ・モードらと契約を結び、その他にも、アイス-T、ルー・リード、シール、K.D.ラング、ブライアン・ウィルソンらが所属しました。

スタインは、ワーナー・ブラザーズの副社長も務め、2018年に引退を発表。2005年の「ロックの殿堂」入り式典で、生涯の功績を称えるアーメット・アーティガン賞を受賞し、2016年の「ソングライターの殿堂」入り式典では、リッチモンド・ヒットメイカー賞を受賞しました。

スタインの訃報を受け、トーキング・ヘッズはSNSに声明を発表しています。

「シーモア・スタインの訃報を知り、悲しんでいます。彼は私たちを熱心に擁護し、我々のために勇敢に戦い、最後まで忠誠を尽くしてくれました。ダイヤモンドの原石を発見できる人もいますが、シーモアがその一人でした。彼は、CBGB's（NYのクラブ）で一度会っただけなのに、我々が心の準備もしないうちにレコード契約を申し出てくれたのです。最終的に『YES』と返事をするまで、彼は18ヵ月も待っていてくれました。シーモアの人生には、大成功と悲劇がありましたが、生涯を通じて音楽に夢中でした。チェッカー・キャブでブロードウェイを疾走しながら、彼が私たちの曲を歌うのを聞くのは、我々の人生における大きな喜びの一つでした。これは、彼の美しい娘マンディと、サイアー・レコードのファミリー全員に敬意を表する言葉であり、彼は、我々と音楽業界が決して忘れることのない “高潔の士” でした」

安らかなる眠りをお祈りいたします。