フレディ・マーキュリーのサザビーズ・オークション展示会詳報 by 塚越みどり

これまでにも何度かお伝えしてきたロンドン、サザビーズ会場でのフレディ・マーキュリーのオークション・アイテム展示会。今回特別に、ロンドンより塚越みどりさんからのリポートをお送りします。

塚越さんは、当時の『ミュージック・ライフ』読者の皆さんならご存知のはず、編集部でクイーンを担当して取材にあたっていた方です。現在はロンドン在住で、これまでのオークション速報の画像(その1:8月4日その2:8月7日MLCニュース参照)も塚越さんから送られてきたものでした。今回長文でのレポートをお送りくださったので、ごゆっくりお楽しみください!

フレディ・マーキュリー A World Of His Own Auction Exhibition 現地レポート

文◉塚越みどり(ミュージック・ライフ)

“ありがとう、フレディ” 胸いっぱいの感謝の気持ちをもう一度彼に言いたい

 世界屈指のオークション・ハウス、サザビーズが9月頭の3日間にわたって行なう、生前フレディ・マーキュリーが愛した所有物のオークション、“Freddie Mercury A World Of His Own” のパブリック・ビューイング/エキシビジョンは、どう言葉に置き換えたらいいのかわからないほど素晴らしいものだった。
 オークションのエキシビジョンというよりフレディ・マーキュリー・ミュージアムを訪れているような、そんな素晴らしい時間が持てる特別な空間だった。
 大きな美術品、調度品、工芸品から小さな置物、小間物に至るまで、ここに展示された1,000点をこえる全てのものは、フレディが生前愛で、大切にし、彼のすぐ側で彼の人生、彼の毎日を幸せにしてきたものばかりだ。
 部屋から部屋へ歩いているうちに、私はフレディが送った彼の人生を一緒に歩いているような気がしてきた。ここに展示された彼が大切にしていた、愛してやまなかった全てのものからフレディの息づかい、笑い声が聞こえてくるようだった。彼の毎日をハッピーにしてくれていたものたちに送っていた彼の暖かな視線を感じることができた。

 フレディが単なる美術収集家、アート・コレクターではなかったところはそこだ。
 フレディはこうした彼が愛した全てのものに “生命” を吹き込んでいた。
 ここにある全てのものが、どれだけフレディに愛されていたか、フレディの人生の中で、フレディの側で、いかに大切な思いで手に取られていたか。それがはっきりと、そして痛いほどヒシヒシと伝わってきた。
 大変な美術品、彼が生涯に渡り愛用していたYAMAHAのミニ・グランド・ピアノ、「ボヘミアン・ラプソディ」をはじめとした自筆のリリック・シート、ステージ衣装や彼がオフで愛用していた服や靴、ステージでも着ていた着物の数々、彼がデザインや制作に関わった家具や調度品、大切にしていた本やレコード、ここにあるもの全てにフレディの美意識が貫かれ、どこを見ても、何を見ても、そこにフレディが見えた。

 その中で見つけたミュージック・ライフ、ML別冊クイーン特集号、長谷部 宏カメラマンの写真集『ROCK SHOTS』、ML リーダーズ・ポールの盾。見つけた瞬間、胸がいっぱいになった。
 クイーンとして、フレディ・マーキュリーとして、世界中の何百という雑誌の表紙を飾ってきた中で、フレディが本当に大切にしていたのは『ミュージック・ライフ』と長谷部 宏カメラマンの写真集だった。
 何度も手にとって見ていたようなあとがあった。
 涙が出そうなくらいうれしかった。
 『ミュージック・ライフ』の編集者として、インタビューア、カメラマンとして、フレディが愛し、大切にしていてくれた雑誌の一員として関われたことに、限りない幸運と誇りを感じた。そして “ありがとう、フレディ” と胸いっぱいの感謝の気持ちを、もう一度彼に言いたくなった。

フレディとの最後のインタビュー、そしてフレディと時代を共有できたことに感謝

 私はロンドンに渡英する直前、フレディにインタビューする機会があった。フレディは滅多にインタビューに応じる人でなく、フレディが亡くなる前にやったインタビューとしては私のこのインタビューが最後のインタビューになったと思う。
 その時フレディはプライヴェートの旅行で日本に来ていた。日本の美術品や日本画、日本の陶器などを買うためのおしのび来日だった。日本滞在中に陶器の窯元などにも訪れていたようだ。
 インタビューをしたのはフレディが滞在するホテルのペントハウスだった。扉が開いた途端に目に飛び込んできたのは、フレディが日本で購入していたという物凄い数の品々だった。部屋を埋め尽くしたそうした品々の間を通り抜け、その先の部屋でのインタビューは、アルバム発表やツアーのプロモーションというわけでもなかったので、自然と話は日本の美術や文化の話に流れた。
 私自身、美術の勉強をしたし、日本美術を学んだはしくれだが、フレディの日本の美術や工芸、伝統や文化に対する造詣の深さ、理解の深さ、そしてそれらに対する愛と敬意の深さに驚き、心動かされた。
 こんなにも “上っ面の日本好き” ではなく、日本を、日本の文化を、日本の美術、芸術を尊意をもって愛し、理解してくれているフレディに、日本人として深い繋がりと感謝を感じた。

 このエキシビジョンの日本コーナーに飾られている品々の中にも、きっとあの時フレディが日本で見つけたものがたくさんあるに違いない。
 このオークション/エキシビジョンがいかに大切な意味を持っているか、それはこのエキシビジョンがクイーンのフレディ・マーキュリーの人生を飾ってきた品々、フレディが愛して大切にしてきた品々、フレディの側で彼の毎日を見つめてきた品々で埋め尽くされているというところだ。これはフレディの人生そのもの、その素晴らしかった人生をセレブレイトするオークション/エキシビジョンなのだ。
 9月頭に3日にわたってオークションが行なわれる。オークションで落札された品々は、新しいオーナーの元へと散っていく。ここに集められた1,000を超えるフレディが愛してやまなかった彼の所有物の品々が、一堂に集められることはもうないだろう。
 この素晴らしいエキシビジョン、フレディの愛がつまった品々を一堂に見るチャンスは、本当に一生に一度、宝物にしたい体験としか言いようがない。

 このエキシビジョンで見えてくるのは、フレディ・マーキュリーという20世紀が生んだ最も素晴らしいアーティスト、アイコンの一人である彼と、一人の人間としての彼の素晴らしさだ。
 フレディが類稀なる才能を持ったアーティストであったことは、クイーンやフレディのファンでないとしても認めざるを得ないところだと思う。
 が、それ以上に一人の人間としてのフレディが、いかに魅力に溢れた人間であったか。こんな言い方はフレディに失礼かもしれないが、一人の人間としてのフレディは美しいものを愛した、本当に愛おしい、愛してやまないような人間だったと思う。
 私が知るフレディは、エゴのない、とことんアーティスト気質の、そして優しい人だった。
 部屋から部屋をまわり、フレディが側にいるような気持ちで彼が愛した品々を見て、誰かのこんな言葉を思い出した。

 去ってしまったことを悲しむのではなく、ここにいてくれたことを祝福しよう。

 フレディ・マーキュリーという素晴らしいアーティスト、アイコンと時代を共有できたことに感謝。彼が生み出したこれから先も輝きを失うことなく生き続けるであろう音楽に感謝。
 このエキシビジョンを見て、私はもう一度、心の底からこの一言を言いたくなった。

“フレディ、ありがとう‼︎
Thank you for having been so beautiful ! ”

Midori Tsukagoshi

〈以下、公式インフォメーションより〉
QUEEN + ADAM LAMBERT -THE RHAPSODY TOUR-

2024年2月4日(日)愛知 バンテリンドーム ナゴヤ
2024年2月7日(水)大阪 京セラドーム大阪
2024年2月10日(土)北海道 札幌ドーム
2024年2月13日(火)東京 東京ドーム
2024年2月14日(水)東京 東京ドーム
Bojan Hohnjec © Miracle Productions LLP
【公演詳細】

■愛知

・日程:2024年2⽉4⽇(⽇)
・会場:愛知 バンテリンドーム ナゴヤ
・時間:OPEN 16:00/START 18:00
・料金
GOLD席 ¥48,000(限定グッズ付き/物販優先レーン/専⽤⼊場⼝)
SS席 ¥25,000、S席 ¥17,000、A席 ¥12,000

⼀般プレイガイド発売⽇:10月28日(⼟)
〈問〉サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

■⼤阪
・日程:2024年2⽉7⽇(水)
・会場:⼤阪 京セラドーム⼤阪
・時間:OPEN 17:00/START 19:00
・料金
GOLD席 ¥48,000(限定グッズ付き/物販優先レーン/専⽤⼊場⼝)
SS席 ¥25,000、S席 ¥17,000、A席 ¥12,000
※未就学児⼊場不可

⼀般プレイガイド発売⽇:10月28日(⼟)
〈問〉キョードーインフォメーション 0570-200-888

■北海道
・日程:2024年2⽉10⽇(⼟)
・会場:北海道 札幌ドーム
・時間:OPEN 16:00/START 18:00
・料金
GOLD席 ¥48,000(限定グッズ付き/物販優先レーン/専⽤⼊場⼝)
SS席 ¥25,000、S席 ¥17,000、A席 ¥12,000

⼀般プレイガイド発売⽇:10月28日(⼟)
〈問〉キョードー札幌 011-221-0144

■東京
・日程:2024年2⽉13⽇(火)
・日程:2024年2⽉14⽇(水)
・会場:東京 東京ドーム
・時間:OPEN 17:00/START 19:00
・料金
GOLD席 ¥48,000(限定グッズ付き/物販優先レーン/専⽤⼊場⼝)
SS席 ¥25,000、バルコニー席 ¥20,000、S席 ¥17,000、A席 ¥12,000
BOXシート
・THE 3rd プラチナBOX(4名)¥80,000
※グループでお楽しみ頂けるボックスシートになります。
※座席に座ってコンサートを鑑賞される場合、⼀部⾒えにくい場合がございますので、予めご了承の上お買い求めください。
※セット販売のため、バラ売り不可となります。
・マスBOX(4名)¥80,000
・マスBOX(5名)¥100,000
・マスBOX(6名)¥120,000
・マスBOX(7名)¥140,000
・マスBOX(8名)¥160,000
・マスBOX(9名)¥180,000
・マスBOX(10名)¥200,000
※グループでお楽しみ頂ける半個室になります。
※座席に座ってコンサートを鑑賞される場合、⼀部⾒えにくい場合がございますので、予めご了承の上お買い求めください。
※セット販売のため、バラ売り不可となります。

⼀般プレイガイド発売⽇:10月28日(⼟)
〈問〉クリエイティブマン 03-3499-6669

■チケット先行
8月3日(木)12:00〜クリエイティブマン会員先行
8月10(木)12:00〜オフィシャル先行

■チケットに関する注意事項
※全席指定・価格は全て税込み。
※GOLDチケットのグッズは後⽇発表予定。
※未就学児(6歳未満)⼊場不可。6歳以上はチケット必要。
※先⾏販売で規定枚数に達し次第、受付を終了させて頂きます。その場合、⼀般発売はございませんので予めご了承ください。
※演出によっては⼀部ステージが⾒にくい座席がございます。
※ハンディキャップエリアをご希望のお客様はS席のチケットをご購⼊お願いいたします。チケットご購⼊後、お⼿数ですが各公演お問合せ先へハンディキャップエリア利⽤申請のご連絡をお願いいたします。
※チケットの破損・紛失・公演⽇当⽇チケット忘れ等、いかなる理由でもチケットの再発⾏は⾏いません。
※万が⼀本公演が中⽌や延期となった場合、それに伴う会場までの旅費・宿泊費等(キャンセル料含む)の補償はいたしません。
※公演延期、中⽌の場合を除き、お客様ご⾃⾝のご都合、病気(新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ含む)や怪我などいかなる理由であってもチケット購⼊後の変更・キャンセル・払い戻しは⼀切できません。予めご了承ください。

QUEEN 来日公演オフィシャルサイト
QUEEN オフィシャルサイト

総合主催・企画/制作・招聘:クリエイティブマンプロダクション
協⼒:シンコーミュージック/ユニバーサル ミュージック

・東京公演
後援:J-WAVE

・⼤阪公演
主催:キョードー関⻄/FM COCOLO/FM802

・名古屋公演
主催:東海ラジオ放送/サンデーフォークプロモーション
後援:ZIP-FM

・北海道公演
主催:道新⽂化事業社/キョードー札幌/マウントアライブ
特別協⼒:UHB北海道⽂化放送/AIR-Gʼエフエム北海道/STVラジオ

クイーン グレイテスト・デイズ 366日の記憶

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2,200円
『クイーン詩集 完全版』

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3,300円

山本安見(訳)
クイーン 誇り高き闘い

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3,520円

ジャッキー・スミス/ジム・ジェンキンズ(著)
田村亜紀(訳)
クイーン 輝ける日々の記憶 浅沼ワタル写真集

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通常盤:3,300円
SMRS直販・特典付:3,300円 送料として別途650円
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