ザ・ローリング・ストーンズ、ミック/キース/ロニーが参加した記者会見の日本語訳全文公開
去る日本時間9月6日夜にライヴストリーミングで行なわれた、ストーンズの新作発表記者会見。そのやりとりの全文日本語訳が到着しました。
〈以下、メイカー・インフォメーションより〉
ザ・ローリング・ストーンズ、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッドが参加した記者会見の日本語訳全文が公開。
ザ・ローリング・ストーンズが、18年ぶりとなる新作スタジオ・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』のリリースを発表し、日本でもテレビや新聞・ウェブなどで大きく報じられ、本国UKのiTunes Storeでは、先行シングル「アングリー」がいきなり1位を獲得するなど世界中で話題となっている。
UK時間9月6日にイースト・ロンドンのハックニー・エンパイアで、アメリカのテレビスターであるジミー・ファロンが司会を務め、メンバー本人が出席した記者会見が行なわれた。
YouTubeを通じて世界中にストリーミングされたこの会見では、シングルとアルバムのリリース発表に加え、制作秘話などがメンバー自身の口から語られた。
この会見の日本語訳全文が、ユニバーサル ミュージックのザ・ローリング・ストーンズオフィシャルサイトにて掲載となった。
ザ・ローリング・ストーンズ、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッドが参加した記者会見の日本語訳全文が公開。
ザ・ローリング・ストーンズが、18年ぶりとなる新作スタジオ・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』のリリースを発表し、日本でもテレビや新聞・ウェブなどで大きく報じられ、本国UKのiTunes Storeでは、先行シングル「アングリー」がいきなり1位を獲得するなど世界中で話題となっている。
UK時間9月6日にイースト・ロンドンのハックニー・エンパイアで、アメリカのテレビスターであるジミー・ファロンが司会を務め、メンバー本人が出席した記者会見が行なわれた。
YouTubeを通じて世界中にストリーミングされたこの会見では、シングルとアルバムのリリース発表に加え、制作秘話などがメンバー自身の口から語られた。
この会見の日本語訳全文が、ユニバーサル ミュージックのザ・ローリング・ストーンズオフィシャルサイトにて掲載となった。
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ザ・ローリング・ストーンズ記者会見 フル・ヴァージョン
2023年9月6日
JF:ジミー・ファロン(司会)
MJ:ミック・ジャガー
KR:キース・リチャーズ
RW:ロン・ウッド
SS:シドニー・スウィーニー
JF:世界中の皆さん、こんにちは。ジミー・ファロンです。もう、誰かの電話が鳴っていますね。なんてことだ。出ていってくださいよ。皆さん、マナーモードにするなり、なんとかしてください。
皆さん、どうでしょう。私たちは今、ロンドン東部にある象徴的なハックニー・エンパイア劇場で、世界に向けて生中継しているところですよ。ご視聴ありがとうございます。
私たちがここにいる理由はただ一つ。1960年代から60年にわたり、2億5000万枚を超えるアルバムの売り上げを記録し、音楽シーンに忘れがたい足跡を残してきたバンドがあります。彼らはポピュラー・カルチャーの真髄を定義づけることとなった究極のロック・バンドです。そう、思いませんか? ああ、でしょうね。私もご多分に漏れず、生涯を通じてこのバンドをフォローし、レコードを買ったり、ライヴを観たりして、少しでも彼らみたいにカッコよくなろうと、できることは何でもやってきたのです。私の大好きな彼らが、今日ここにいらしています。お迎えください。ミック・ジャガーさん、キース・リチャーズさん、ロニー・ウッドさん。ザ・ローリング・ストーンズです。
(メンバー3人登壇)
JF:ようこそ。全世界で、生中継でお届けしています。これはとても重要なことで、大勢の人がこれをご覧になっています。
MJ:ロサンゼルスは早朝だね。
JF:そうです。ロサンゼルスは早朝です。一つ、お聞きしたいのですが、これは何のイベントなのですか?私たちはなぜここに集結したのでしょう?
MJ:なぜここに集まったかというとだね。立ち上がりたい気分だな(と言って、椅子から立ち上がる)。ニュー・シングル「アングリー」と、後で観てもらうそのビデオを紹介しに来たんだ。「アングリー」はニュー・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』からのファースト・シングルで、だからハッニーにいるというわけさ。10月20日にリリースされる。というわけで、ここにいるんだ。(拍手)
アルバム・タイトル『ハックニー・ダイアモンズ』とは
JF:ニュー・シングルは「アングリー」です。このQ&Aが終わるとすぐ、ビデオのワールド・プレミアを、それに出演している、皆さんがご存知のとてもクールな方とご一緒にお披露目します。アルバムは10月20日リリースされます。『ハックニー・ダイアモンズ』とはどういう意味なのでしょう。キースさん、あなたにとっては何を意味するのですか? 『ハックニー・ダイアモンズ』とは何なのでしょうか?
KR:タイトルが『ハックニー・ダイアモンズ』になったのは、タイトルのアイデアがいくつかあって、「Hit & Run」だったのが「Smash & Grab」になり……。
JF:それらは良いですね。
KR:その2つから、どういうわけか『ハックニー・ダイアモンズ』を思いついたんだ。それら2つ両方のヴァリエーションのようだからね。そして、ロンドンのバンドだから、ということもある。(拍手)
JF:この『ハックニー・ダイアモンズ』というのは、スラングの一種か何かなのでしょうか?
MJ:ああ。土曜の夜にハックニーあたりで、フロントガラスが割られ、その破片が路上に散乱しているようなものだよ。
RW:粉々になったフロントガラス。「Smash and grab(窓ガラスを割り店内に侵入する窃盗の意のスラング)」さ。
MJ:それが、『ハックニー・ダイアモンズ』なんだ。
JF:ロニーさん、このアルバムの制作にはどのくらいかかりましたか?
RW:実は結構早くできたんだ。アイデアがたくさんあって、去年のクリスマス前にそれらを集め、やってみたんだよね。
MJ:ああ。
RW:そうさ。かなり早くできた。
JF:でも、もう18年にもなりますよね。
MJ:俺たちはとても怠惰だったんだよ。
RW:電撃戦ってわけだ。
JF:待ってくださいよ。全然早くないでしょう。
MJ:やったことはあったんだ。ほとんどずっとツアーに出ていた。いや、少し怠惰だったのかもしれない。そこで突然……。
MJ:「期限を決めよう。レコードを作って、期限を決めようじゃないか」ということになった。キース、俺、ロニーが話し合い、「よし、このアルバムをクリスマスに作り、ヴァレンタイン・デーまでに完成させよう」と言ったんだ。
RW:そうやって、2枚分のアルバムができた(笑)。
JF:はい、その通りですよね。
MJ:そこで、ロニーが言ったように、12月にスタジオ入りし、23曲をあっという間にカットして、1月に仕上げ、2月にミックスしたってところかな。そんな感じだったね。
JF:キースさんとジャマイカに行かれたのですか? そこから始まったという噂を聞いたのですが。
KR :実はジャマイカで「アングリー」を書き始めた。ミックが用意していて、準備ができていた。そこで、その曲をまとめたんだ。それ以外にもたくさん曲があったが、この曲が最初に際立っていると感じたね。
MJ:そう、キースと俺と……。
RW:スティーヴも。
MJ:スティーヴとマットがジャマイカに行って、俺たちは「スタジオで色々試してみる」と言った。そこに行って、アイデアを出し合い、その後、ニューヨークに行き、ロニーも加わった。その後、アンディ・ワットというプロデューサーが俺たちに喝を入れた。それからロサンゼルスに行って、さっき言ったように曲をカットしたんだ。
チャーリーの不在とその影響
JF:チャーリー・ワッツがスタジオで一緒にプレーしていないというのは、違和感があるのではないでしょうか。いかがでしたか?
KR:チャーリーが逝ってしまってからというもの、前とは違うよ。当たり前だ。分かるかい? 彼はNo.4だ。その彼がいない。(場内上の方を指し)あそこにいるさ。彼はもちろん、とても惜しまれている。でも、チャーリー・ワッツのおかげで、スティーヴ・ジョーダンがいるんだ。チャーリーに何かあったら、「スティーヴ・ジョーダンが適任だ」と彼が推薦してくれたからね。
JF:彼がスティーヴ・ジョーダンを選んだのですか?
KR:そうだ。かなり以前のことだよ。彼は俺たちの友人でもあった。俺はスティーヴと仕事をしたことがあったし、それは自然な流れだったね。チャーリーが快く賛成してくれなかったらもっと大変だったと思うが、ね。同時に難しいことでもあったんだ。
JF:彼はアルバム収録曲のどれかを担当したのですか?
MJ:チャーリーが、かい?
JF:はい。
MJ:アルバムには12曲収録されている。そして10曲が……。いや、それは違うな。ほとんどはスティーヴだが、2曲は2019年にチャーリーとレコーディングした曲だ。というわけで、以前にチャーリーとレコーディングした2曲を使用している。
RW: 「Living by the Sword」と「Mess it Up」だ。
MJ:ああ。
JF:それらが彼の演奏した2曲なのですね。
MJ:そうさ。
JF:それからもう一つ聞いた噂は、ビルが……。
MJ:そう、ビルね。ビルにスタジオに来て欲しいと頼んだんだ。
JF:「Living by the Sword」ですか?
MJ:ビルが来て、1曲弾いた。つまり、1曲でローリング・ストーンズのオリジナルのリズム・セクションが揃ったというわけさ。
JF:うわ、それはすごいですね。
MJ:でも、ほとんどは新しいものだ。この曲は2019年だけどね。
JF:そうですね。1曲目は「アングリー」です。怒りというのはこのアルバムのテーマなのですか?
MJ:ああ、キースと俺はアルバムのテーマが怒りであるべきだと思ったんだ。
JF:はい。
MJ:どの曲でも怒っているべきだ。
JF:私がそう言ったので、怒りがこみ上げてきていませんか?あなたが怒る姿を見たくないですが。
MJ:怒りと嫌悪だ。
JF:怒りと嫌悪?
MJ:それがコンセプトだ。
JF:どの曲も怒っているとか。
MJ:そう、どの曲も怒っている。
JF:どの曲も「アングリー」というタイトルなのですか?
MJ:曲のタイトルが全て「アングリー」ってことはない。そんなの馬鹿げているだろう。
JF:馬鹿げていますけれど、前人未踏ですから、いかがでしょう?
MJ:いや、オリジナルのアイデアではあるが(笑)。
KR:そんなに長い間、怒っていられる人はいないさ。
JF:私の義理の両親に会ってみてくださいよ。
MJ:それから2つ目のアイデアがあった。それは全曲を怒りについての曲にしないというもの。もっと多岐にわたったものとし、ラヴ・ソングやバラード、カントリー風の曲などを何曲が入れよう、とね。
JF:ほう?
MJ:そこで、色々組み合わさったものとなった。
消防係「リチャーズさん、タバコを吸うべきではありません」
キース「わかっているよ。体に悪いからね」
JF:最後に御三方を見たのは、ここロンドンのハイドパークでプレーされたときでした。あれはすごかったですね。ハイドパークがあのようなショーを開催したことはありませんでした。とても美しいもので、公園で7pm頃から始まって、日が暮れていく。そして10pmには誰もが退場となるのです。とてもイギリスらしい規則ですよね。「さあ、皆さん、帰った!帰った! 全員、退場! さあ、帰ってください」という。あれは素晴らしい公演でした。そしてその翌日、私はミックさん、あなたにこう言いました。「公演はいかがでしたか? 私は素晴らしいと思いましたが、あなたはいかがでしたでしょう?」と。すると、あなたは、「俺たちは昼間のバンドじゃないんだよね」とおっしゃっていました。(笑)
JF:あれはとても面白いと思いました。
MJ:「悪魔を憐れむ歌」を8pmにプレーするなんて。
JF:そうですよね。子供と一緒にサンドイッチを食べながら、「黒くぬれ!」を聴きたくはないですよね。
MJ:そうだよな。
JF:でもあなた方は夜のバンドだと思いますか?
KR:大概はね。
MJ:そうだ。
JF:でもこのアルバムは1日のうちいつ聴いても良いですよね。
MJ:一日中いつでも、世界中の好きな場所で、好きな時間に聴けばいいさ。
JF:『ハックニー・ダイアモンズ』の3曲目はいつでも……。
MJ:4曲目もそうだ。プレーしていいぞ。
JF:やめてくださいよ。
MJ:4曲目はプレーできる。
JF:なるほど。
KR:5曲目、6曲目もそう。
JF:5曲目と6曲目もそうですか。
RW:オーストラリアはもう明日になっているぞ。
JF:明日ですか。そこではもうこのアルバムを聴いているかもしれませんね。そうですよ。それは良いですね。キースさん、あなたといえばいつもこの話を思い出します。私の番組に出演してくださいました。ありがとうございます。
KR:問題ないよ。
JF:私たちは楽屋裏にいて、あなたはタバコを吸っていた。
(笑)
JF:スタジオは禁煙なのですが、警報が鳴り、消防係の人がやってきた。消防係がいたなんて知りませんでしたが、スタジオにやってきて「リチャーズさん、タバコを吸うべきではありません」と言いました。するとあなたは「わかっているよ。体に悪いからね」と言ったのです。
(笑)
JF:覚えていますか?
KR:ああ、覚えているさ。その時は本当にそうだったんだ。
JF:今でもタバコは吸われますか?
KR:いや、あの後すぐに止めたよ(笑)。
JF:ほらね。私に借りがありますよ。本作は24枚目のスタジオ・アルバムなのですね。
MJ:ああ。
JF:皆さん、24枚目ですよ。1作目の記者会見のことを覚えていますか?
MJ:ああ、記者会見のことを覚えているよ。キースと俺は、デンマーク・ストリートのパブにいたんだが、アルバムをリリースし、ジャーナリストが二人来た。『NME』から一人と、『メロディ・メイカー』から一人だ。俺たちは彼らにビールを一杯買って、「俺たちのアルバムはこれだ」と言ったんだ。
JF:それだけだ。
MJ:「聴いてみて」と言って、その場を離れた。それだけだった。
JF:今とは少し様子が違いますね。
MJ:写真も一切なかった。
JF:全く何もないですね。
MJ:売れ行きは良かったぞ。
JF:レヴューはいかがでしたか?
MJ:評価は分かれていたが、売り上げは良かった。
JF:それは良かったです。シンガーがレコード制作を希望したら、皆さんがレコードを作りたいと思うものなのですか。
KR:シンガーがレコードを作りたいと言ったら、彼のレコーディングをする。というのも、彼が次にいつできるか分からないからね。
MJ:行ってしまうかもね。
KR:だから、ミックが俺に「レコードを作りたい」と言ったら、何とかして「さあ、やるぞ」と言うんだ。
MJ:それが分かって、良かったよ。
KR:君にそう言ったことはこれまでなかったな。
MJ:そんなこと言わなきゃ良かったのに。俺がやるのはそれだけでいいんだと分かって良かったよ。
JF:ロニーさん、あなたはいつもプレーしていますよね。最近、ヴァン・モリソンと一緒にプレーしているのを見ましたよ。よく好きなバンドとプレーされるのですか?
RW:ああ、そうなんだよ。ギグとギグの合間に、テクを維持している。この年になると、指を動かし続けておかなきゃならないんだ。全てを動かし続けなきゃいけない。
KR:それは面白いな。
MJ:それについて、もっと詳しく話してみないか?
RW:年をとれば、俺が言っている意味がわかるようになるさ。
(ミックとロンが立ち上がって踊り出す)
JF:上下に、全てを動かして!
RW:体を揺らして! 揺らして!
収録曲は全12曲
JF:トラックリストがあるのですが、ファンの皆さんは、トラックリストについて知りたいと思います。1曲目は「アングリー」です。
MJ:そう。
JF:ある種の感情が湧いてきたりしますか?
MJ:怒りはあるね。
JF:質問が悪かったですよね。すみません。
RW:リフがいいんだ。
KR:超ファンキーなリフがあるのが特徴だ。
JF:いいリフがありますよね。それから「Get Close」。
(間)
MJ:うん。
(笑)
JF:「Depending on You」?
RW:心を動かされる。
MJ:それは、いつも誰かを頼りにしていたいと思うのに、がっかりさせられることについてだ。
JF:それは私のことではないですよね?
MJ:いや、君はここにいるだろう。はるばるニューヨークから来てくれたじゃないか。
JF:そうですね。
RW:「Mess it Up」は君についてだ( 笑)。
JF:「Bite My Head Off」は?
MJ:「Bite My Head Off」は、ガールフレンドが本気でキレたとき、「ダーリン、俺に向かって噛みつくのはよしてくれ」と言うようなものさ。
JF:そう、噛みつかないで、と言うものですね。
MJ:失礼な物言いだね。
JF:ああ、失礼な言い方ですよね。「Whole Wide World」は?
KR:そういうことなのか?
MJ:しっくりくるようになるよ。
RW:.ファンキーなリフだ。「Whole Wide World」はとてもファンキーさ。
JF:本当ですか? 「Dreamy Skies」は?
RW:「Dreamy Skies」夢見る感じだ。
MJ:ほら、何についてなんだ?
RW:まあ、ミック足止めを食らい、全てから逃れようとしていることについてだと思う。だよな? 全てを忘れ、往年のハンク・ウィリアムスやホンキー・トンクスなどを聴きたいと言っていた。
JF:実現が難しいものですよね。
MJ:いや、ロックダウン中に実現した。
JF:そうですか。
MJ:あれで十分だった。
JF:十分でしたか。「Mess it Up」は?
RW:それは君についての曲だ(笑)。
JF:私の曲なんですか? 「Live by the Sword」はチャーリーがプレーしているのですよね。
MJ:彼が参加している。ちょっとレトロな感じだ。
JF:「Driving Me Too Hard」は?
MJ:それについてはキースが話す。
KR:どの曲も、それが何についてかなんて言えないよ。いや、リフとメロディが良いんだ。
RW:(さまざまなリフやメロディの)るつぼだね。
KR:えーっと、そうさ。そういうことだ。
JF:「Tell Me Straight」?
KR:ストレートに言うと、それが何についてなのかはさっぱり分からない。
JF:リフが良いですよね。
MJ:その曲はキースが歌っている。彼の歌が良いね。
KR:彼はその曲を盗もうとしたので、「きっと良いに違いない。俺がやろう」と言ったんだ。
JF:「Sweet Sound of Heaven」は聴かせてもらいましたよ。こういった曲をいくつか聴いてみましたが、驚異的です。
MJ:これはどちらかというと……。
RW:スティーヴィー・ワンダー。
MJ:ゴスペルのような曲だ。ゴスペル・ソングだよ。
JF:ゲスト・シンガーを招いていますよね。度肝を抜かれます。
MJ:ゴスペルは大好きなんだ。
KR:教会には、今まで一度も行ったことないくせに。
MJ:一度あるよ。教会に行ったんだ。お前は完全に間違っているぞ。
KR:どうだったんだ?
MJ:大概大きな建物だ。アーチがあって、ね。
RW:大きな尖塔がある。
JF:あなたが入った瞬間に全焼したりしませんでしたか? (ミックの口調を真似て)「皆さん、こんばんは。今日は俺が説教する。さあ、始めるぞ。誰が聖体拝領を受ける? 誰が受けるというんだ? どうした? イエスよ、ありがとう!」
MJ:俺はそんな話し方はしないぞ。
JF:あなたのモノマネではありません。ロニーの真似をしていたんです。
MJ:ああ、そうか。
「でも俺たちが気に入れば、観客も気に入るだろう」(キース)
JF:キースさん、あなたは以前、聖杯(“究極の理想” の意)はレコードを作ることだとおっしゃっていましたね。今でも皆さんは一緒にスタジオにいるのが好きなのですか? 楽しかったですか?
KR:ああ、楽しいね。そこはバンドが一つになれる場所だ。ライヴ演奏というのが、もう一つの聖杯だ。でも、レコーディングというのは、メンバーが集結し、干渉されることなど一切なく、アイデアを出し合える場所なんだ。うまくいけば、素晴らしいことだが、聖杯ではないものもある。本当さ(笑)。バンドが全てをやりくりするには最高の場所だね。
JF:曲を作る際、ファンの反応を意識したりしますか?
KR:それはない。
MJ:それはないと思う。
KR:他の人がどう思うかなんて、考えない。ただ、(気に入ってもらえることを)祈り、願うだけだ。
MJ:思うに、作業に臨んだら、自分自身を喜ばせなければならないものだ。分かるかい? 他人を喜ばせることでは全くなく、まずは自分のためにプレーし、他については考えない。後になって、「ああ、みんなもこれが好きかもしれない。あるいは気に入らないかもしれない」などと思うのかもしれない。
KR:そうだね。それからかなり経ってから、「でも俺たちが気に入れば、観客も気に入るだろう」と思うものだ。みんなにも伝わっていく。
JF:誰かがその曲を口パクするのを目にするまでは。
KR:俺が間違っているのかもしれない。
RW:レディ・ガガが実に見事に歌っている。
MJ 「Sweet Sound of Heaven」だ。
JF:貴重な情報を流していますね。でも、レディ・ガガは信じられませんよね。見事ですよ。
KR:そうなんだ。
チャットでのファンからの質問に答える
JF:ファンといえば、世界中のファンから質問を頂いています。ルーさんは、「ストーンズの曲の中でずっと好きな曲はありますか?」と聞いています。
KR:ルー。
MJ:ルー?
JF:この場にはいませんよ。
KR:ルーは一番答えられない質問をしたな。
MJ:ストーンズの曲で、ずっと好きな曲は全くないね。答えは「ルー、ノーだ。ない」。
KR:世界一、あり得ない質問だ。
JF:ルー、この馬鹿者が! 最初になんて質問をしてくれたんだ。この愚か者め!
KR:でも、ルーのために、「ギミー・シェルター」か「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」だと言っておく。個人的には一晩中プレーしていられる。
JF:私は「オフ・ザ・フック」が好きなのです。
MJ:何だって? そんなの聞いたことないぞ。
(歌い出す)
Sittin' in my bedroom late last night
[Does riff twice]
Got into bed and turned out the light
Decided to call my baby on the telephone
All I got was an engaged tone
It's off the hook
(拍手)
JF:ここにまた座りますから。大丈夫です。
MJ:あいつをまた座らせてやった。
JF:アルゼンチンのマリアさんから「観客の中のあるファンを見て、この子なら結婚してもいいと思ったことはありますか」という質問です。
MJ:観客席で結婚する人たちを見たことがある。
RW:ああ、見たね。
JF:そうなのですか?
MJ:結婚したいと思った人は見たことはないが、結婚する人なら見たよ。
JF:ロニーさんは実際に誰かと結婚したのですか?
RW:ああ。
JF:したのですか?
RW:夢の中で、だ。ベイビー!
JF:おいおい。もしかしたら……。
KR:全員と結婚できるかもしれないな(笑)。
MJ:一夫多妻制は生きている。
KR:俺はモルモン教徒なんだ。
JF:フランスのオリヴァーさんより、「ロニーさん、この前、ヴァン・モリソンと一緒に演奏する姿を見ましたが、なぜ他のバンドとプレーするのですか?」と質問があります。
RW:スキッフルをプレーしたんだ。彼は新しいスキッフルのアルバムを出したんだが、あれは最高だったね。俺はそこから入っていったんだ。
MJ:スキッフルのアルバムか。
RW:だから簡単なことだよ。
JF:これは南ウェールズのジェリーさんからの素晴らしい質問です。「ダーツを投げるのが一番うまいのは誰ですか?」
MJ:みんな下手だよ。
JF:ダーツはやるのですか?
MJ:この会場の楽屋裏の外に「Ship」というパブがあり、そこにダーツボードがあるから、この後、誰が一番うまいか見てみよう。
KR:結果は後で知らせるよ。
MJ:その結果は連絡する。
RW:金的を射落とそうとして、朝の3時になってもそこにいるだろう。
JF:カリフォルニアのブランドさん。
MJ:マーロンか。
JF:「キースさんとミックさんの二人は、僕と妻よりも長い年月一緒にいますが、幸せな結婚生活の秘訣は?」と聞いています。
KR:彼らに教えてもらおうじゃないか(笑)。
MJ:あまりしょっちゅう話さないことだ。
KR:「黙れ」といかに丁寧に言うか、だね。
JF:『ハックニー・ダイアモンズ』は以上です。あなた方は他の誰にも成し得なかったことをやりました。
MJ:何だ? アルバム1枚作るのに18年かけたことか?
JF:いや、真面目な話、皆さんのようなバンドは他にいません。比較対象すらいないのです。
KR:そこがポイントなんだ。
JF:そうですね。あなた方がやっていることは、未開拓の領域です。このバンドが全く新しいアルバムを出すなんて、誰が想像できたと言うのでしょう? しかも今、2020年代で、とは。
MJ:分からない。
JF:あなたは60年代にいましたよね。
MJ:言いたいことがあるんだ。偉そうなことは言いたくないが、このアルバムを俺たちが本当に気に入っていなかったら、リリースすることはなかっただろう。なんでも良いから作って出すなんてことはしたくなかった。作る前に、俺たち誰もが「自分たちが本当に気に入るようなレコードを作りたい」と言っていたんだ。他の人は気にいるかもしれないし、そうではないかもしれない。でも、自分たちがこの作品に満足していると言えなければならない。俺たちは偉そうなことを言っているわけではないが、本作には満足しているよ。
RW:それに乾杯だな!
MJ:そして、みんなに気に入ってもらえると嬉しいよ。
(拍手)
ビデオに出演のシドニー・スウィーニーとそのママも登場
JF:これからステージを片付けて、ビデオ映像をご覧いただきます。最新アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』からのビデオのプレミアです。リリースは10月20日です。それでは皆さん、ザ・ローリング・ストーンズです。
MJ:ありがとう。
3人:ありがとう。
JF:さあ、一人一人が伝説的な存在です。また、アルバムは最高です。皆さん、「アングリー」のワールド・プレミアを観る準備は整いましたか? ザ・ローリング・ストーンズが作るビデオは毎回、最もホットなハリウッド俳優・女優が登場しますが、それは今回もそうでした。このビデオには、シドニー・スウィーニーが出演しており、今夜、シドニーさんがいらしています。
シドニーさん、お会いできて嬉しいです。
SS:お会いできて嬉しいです。
JF:ザ・ローリング・ストーンズのビデオ出演を依頼されたときというのは、どんなことを考えるものなのでしょう。
SS:まあ、大変! 私は驚愕し、家族に電話したのです。母を連れてきました。
JF:はじめまして。自慢の娘さんですね。
母親:とても誇りに思います。
JF:ビデオを撮ったことはありますか?
SS:あります。
JF:あるのですね。でもこんなのはありませんでしたよね。
SS:こんなのはないわ。
JF:いや、ないですね。お母さん、あなたはストーンズのファンなのですか?
母親:もちろんです。
JF:ああ、もちろんそうですよね。あなたにはお気に入りの時代はありますか?
母親:一生分の音楽です。
JF:一生分の音楽ですね。娘さんがこのビデオに出演することになるなんて、思っていましたか?
母親:いいえ。
JF:そうですよね。あなたは『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート』や、『ユーフォリア/Euphoria』に出演してきましたが、本作が一番ビッグな作品でしたよね。
SS:これまでで一番ビッグです。
JF:今までで最大ですね。音源は聞かれましたか? それがファースト・シングルになるとご存じでしたか?
SS:最初のシングルになるとは知りませんでしたが、聴いた時、とても気に入りました。頭から離れません。
JF:頭から離れないのですね。
SS:はい。
JF:本当に、本当にいい曲ですね。最高です。皆さんにご覧いただきたいです。この後数分後に上映しますので、準備を整えてください。ローリング・ストーンズとシドニー・スウィーニーさんによる「アングリー」のプレミアです。お楽しみください。
皆さん、どうでしょう。私たちは今、ロンドン東部にある象徴的なハックニー・エンパイア劇場で、世界に向けて生中継しているところですよ。ご視聴ありがとうございます。
私たちがここにいる理由はただ一つ。1960年代から60年にわたり、2億5000万枚を超えるアルバムの売り上げを記録し、音楽シーンに忘れがたい足跡を残してきたバンドがあります。彼らはポピュラー・カルチャーの真髄を定義づけることとなった究極のロック・バンドです。そう、思いませんか? ああ、でしょうね。私もご多分に漏れず、生涯を通じてこのバンドをフォローし、レコードを買ったり、ライヴを観たりして、少しでも彼らみたいにカッコよくなろうと、できることは何でもやってきたのです。私の大好きな彼らが、今日ここにいらしています。お迎えください。ミック・ジャガーさん、キース・リチャーズさん、ロニー・ウッドさん。ザ・ローリング・ストーンズです。
(メンバー3人登壇)
JF:ようこそ。全世界で、生中継でお届けしています。これはとても重要なことで、大勢の人がこれをご覧になっています。
MJ:ロサンゼルスは早朝だね。
JF:そうです。ロサンゼルスは早朝です。一つ、お聞きしたいのですが、これは何のイベントなのですか?私たちはなぜここに集結したのでしょう?
MJ:なぜここに集まったかというとだね。立ち上がりたい気分だな(と言って、椅子から立ち上がる)。ニュー・シングル「アングリー」と、後で観てもらうそのビデオを紹介しに来たんだ。「アングリー」はニュー・アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』からのファースト・シングルで、だからハッニーにいるというわけさ。10月20日にリリースされる。というわけで、ここにいるんだ。(拍手)
アルバム・タイトル『ハックニー・ダイアモンズ』とは
JF:ニュー・シングルは「アングリー」です。このQ&Aが終わるとすぐ、ビデオのワールド・プレミアを、それに出演している、皆さんがご存知のとてもクールな方とご一緒にお披露目します。アルバムは10月20日リリースされます。『ハックニー・ダイアモンズ』とはどういう意味なのでしょう。キースさん、あなたにとっては何を意味するのですか? 『ハックニー・ダイアモンズ』とは何なのでしょうか?
KR:タイトルが『ハックニー・ダイアモンズ』になったのは、タイトルのアイデアがいくつかあって、「Hit & Run」だったのが「Smash & Grab」になり……。
JF:それらは良いですね。
KR:その2つから、どういうわけか『ハックニー・ダイアモンズ』を思いついたんだ。それら2つ両方のヴァリエーションのようだからね。そして、ロンドンのバンドだから、ということもある。(拍手)
JF:この『ハックニー・ダイアモンズ』というのは、スラングの一種か何かなのでしょうか?
MJ:ああ。土曜の夜にハックニーあたりで、フロントガラスが割られ、その破片が路上に散乱しているようなものだよ。
RW:粉々になったフロントガラス。「Smash and grab(窓ガラスを割り店内に侵入する窃盗の意のスラング)」さ。
MJ:それが、『ハックニー・ダイアモンズ』なんだ。
JF:ロニーさん、このアルバムの制作にはどのくらいかかりましたか?
RW:実は結構早くできたんだ。アイデアがたくさんあって、去年のクリスマス前にそれらを集め、やってみたんだよね。
MJ:ああ。
RW:そうさ。かなり早くできた。
JF:でも、もう18年にもなりますよね。
MJ:俺たちはとても怠惰だったんだよ。
RW:電撃戦ってわけだ。
JF:待ってくださいよ。全然早くないでしょう。
MJ:やったことはあったんだ。ほとんどずっとツアーに出ていた。いや、少し怠惰だったのかもしれない。そこで突然……。
MJ:「期限を決めよう。レコードを作って、期限を決めようじゃないか」ということになった。キース、俺、ロニーが話し合い、「よし、このアルバムをクリスマスに作り、ヴァレンタイン・デーまでに完成させよう」と言ったんだ。
RW:そうやって、2枚分のアルバムができた(笑)。
JF:はい、その通りですよね。
MJ:そこで、ロニーが言ったように、12月にスタジオ入りし、23曲をあっという間にカットして、1月に仕上げ、2月にミックスしたってところかな。そんな感じだったね。
JF:キースさんとジャマイカに行かれたのですか? そこから始まったという噂を聞いたのですが。
KR :実はジャマイカで「アングリー」を書き始めた。ミックが用意していて、準備ができていた。そこで、その曲をまとめたんだ。それ以外にもたくさん曲があったが、この曲が最初に際立っていると感じたね。
MJ:そう、キースと俺と……。
RW:スティーヴも。
MJ:スティーヴとマットがジャマイカに行って、俺たちは「スタジオで色々試してみる」と言った。そこに行って、アイデアを出し合い、その後、ニューヨークに行き、ロニーも加わった。その後、アンディ・ワットというプロデューサーが俺たちに喝を入れた。それからロサンゼルスに行って、さっき言ったように曲をカットしたんだ。
チャーリーの不在とその影響
JF:チャーリー・ワッツがスタジオで一緒にプレーしていないというのは、違和感があるのではないでしょうか。いかがでしたか?
KR:チャーリーが逝ってしまってからというもの、前とは違うよ。当たり前だ。分かるかい? 彼はNo.4だ。その彼がいない。(場内上の方を指し)あそこにいるさ。彼はもちろん、とても惜しまれている。でも、チャーリー・ワッツのおかげで、スティーヴ・ジョーダンがいるんだ。チャーリーに何かあったら、「スティーヴ・ジョーダンが適任だ」と彼が推薦してくれたからね。
JF:彼がスティーヴ・ジョーダンを選んだのですか?
KR:そうだ。かなり以前のことだよ。彼は俺たちの友人でもあった。俺はスティーヴと仕事をしたことがあったし、それは自然な流れだったね。チャーリーが快く賛成してくれなかったらもっと大変だったと思うが、ね。同時に難しいことでもあったんだ。
JF:彼はアルバム収録曲のどれかを担当したのですか?
MJ:チャーリーが、かい?
JF:はい。
MJ:アルバムには12曲収録されている。そして10曲が……。いや、それは違うな。ほとんどはスティーヴだが、2曲は2019年にチャーリーとレコーディングした曲だ。というわけで、以前にチャーリーとレコーディングした2曲を使用している。
RW: 「Living by the Sword」と「Mess it Up」だ。
MJ:ああ。
JF:それらが彼の演奏した2曲なのですね。
MJ:そうさ。
JF:それからもう一つ聞いた噂は、ビルが……。
MJ:そう、ビルね。ビルにスタジオに来て欲しいと頼んだんだ。
JF:「Living by the Sword」ですか?
MJ:ビルが来て、1曲弾いた。つまり、1曲でローリング・ストーンズのオリジナルのリズム・セクションが揃ったというわけさ。
JF:うわ、それはすごいですね。
MJ:でも、ほとんどは新しいものだ。この曲は2019年だけどね。
JF:そうですね。1曲目は「アングリー」です。怒りというのはこのアルバムのテーマなのですか?
MJ:ああ、キースと俺はアルバムのテーマが怒りであるべきだと思ったんだ。
JF:はい。
MJ:どの曲でも怒っているべきだ。
JF:私がそう言ったので、怒りがこみ上げてきていませんか?あなたが怒る姿を見たくないですが。
MJ:怒りと嫌悪だ。
JF:怒りと嫌悪?
MJ:それがコンセプトだ。
JF:どの曲も怒っているとか。
MJ:そう、どの曲も怒っている。
JF:どの曲も「アングリー」というタイトルなのですか?
MJ:曲のタイトルが全て「アングリー」ってことはない。そんなの馬鹿げているだろう。
JF:馬鹿げていますけれど、前人未踏ですから、いかがでしょう?
MJ:いや、オリジナルのアイデアではあるが(笑)。
KR:そんなに長い間、怒っていられる人はいないさ。
JF:私の義理の両親に会ってみてくださいよ。
MJ:それから2つ目のアイデアがあった。それは全曲を怒りについての曲にしないというもの。もっと多岐にわたったものとし、ラヴ・ソングやバラード、カントリー風の曲などを何曲が入れよう、とね。
JF:ほう?
MJ:そこで、色々組み合わさったものとなった。
消防係「リチャーズさん、タバコを吸うべきではありません」
キース「わかっているよ。体に悪いからね」
JF:最後に御三方を見たのは、ここロンドンのハイドパークでプレーされたときでした。あれはすごかったですね。ハイドパークがあのようなショーを開催したことはありませんでした。とても美しいもので、公園で7pm頃から始まって、日が暮れていく。そして10pmには誰もが退場となるのです。とてもイギリスらしい規則ですよね。「さあ、皆さん、帰った!帰った! 全員、退場! さあ、帰ってください」という。あれは素晴らしい公演でした。そしてその翌日、私はミックさん、あなたにこう言いました。「公演はいかがでしたか? 私は素晴らしいと思いましたが、あなたはいかがでしたでしょう?」と。すると、あなたは、「俺たちは昼間のバンドじゃないんだよね」とおっしゃっていました。(笑)
JF:あれはとても面白いと思いました。
MJ:「悪魔を憐れむ歌」を8pmにプレーするなんて。
JF:そうですよね。子供と一緒にサンドイッチを食べながら、「黒くぬれ!」を聴きたくはないですよね。
MJ:そうだよな。
JF:でもあなた方は夜のバンドだと思いますか?
KR:大概はね。
MJ:そうだ。
JF:でもこのアルバムは1日のうちいつ聴いても良いですよね。
MJ:一日中いつでも、世界中の好きな場所で、好きな時間に聴けばいいさ。
JF:『ハックニー・ダイアモンズ』の3曲目はいつでも……。
MJ:4曲目もそうだ。プレーしていいぞ。
JF:やめてくださいよ。
MJ:4曲目はプレーできる。
JF:なるほど。
KR:5曲目、6曲目もそう。
JF:5曲目と6曲目もそうですか。
RW:オーストラリアはもう明日になっているぞ。
JF:明日ですか。そこではもうこのアルバムを聴いているかもしれませんね。そうですよ。それは良いですね。キースさん、あなたといえばいつもこの話を思い出します。私の番組に出演してくださいました。ありがとうございます。
KR:問題ないよ。
JF:私たちは楽屋裏にいて、あなたはタバコを吸っていた。
(笑)
JF:スタジオは禁煙なのですが、警報が鳴り、消防係の人がやってきた。消防係がいたなんて知りませんでしたが、スタジオにやってきて「リチャーズさん、タバコを吸うべきではありません」と言いました。するとあなたは「わかっているよ。体に悪いからね」と言ったのです。
(笑)
JF:覚えていますか?
KR:ああ、覚えているさ。その時は本当にそうだったんだ。
JF:今でもタバコは吸われますか?
KR:いや、あの後すぐに止めたよ(笑)。
JF:ほらね。私に借りがありますよ。本作は24枚目のスタジオ・アルバムなのですね。
MJ:ああ。
JF:皆さん、24枚目ですよ。1作目の記者会見のことを覚えていますか?
MJ:ああ、記者会見のことを覚えているよ。キースと俺は、デンマーク・ストリートのパブにいたんだが、アルバムをリリースし、ジャーナリストが二人来た。『NME』から一人と、『メロディ・メイカー』から一人だ。俺たちは彼らにビールを一杯買って、「俺たちのアルバムはこれだ」と言ったんだ。
JF:それだけだ。
MJ:「聴いてみて」と言って、その場を離れた。それだけだった。
JF:今とは少し様子が違いますね。
MJ:写真も一切なかった。
JF:全く何もないですね。
MJ:売れ行きは良かったぞ。
JF:レヴューはいかがでしたか?
MJ:評価は分かれていたが、売り上げは良かった。
JF:それは良かったです。シンガーがレコード制作を希望したら、皆さんがレコードを作りたいと思うものなのですか。
KR:シンガーがレコードを作りたいと言ったら、彼のレコーディングをする。というのも、彼が次にいつできるか分からないからね。
MJ:行ってしまうかもね。
KR:だから、ミックが俺に「レコードを作りたい」と言ったら、何とかして「さあ、やるぞ」と言うんだ。
MJ:それが分かって、良かったよ。
KR:君にそう言ったことはこれまでなかったな。
MJ:そんなこと言わなきゃ良かったのに。俺がやるのはそれだけでいいんだと分かって良かったよ。
JF:ロニーさん、あなたはいつもプレーしていますよね。最近、ヴァン・モリソンと一緒にプレーしているのを見ましたよ。よく好きなバンドとプレーされるのですか?
RW:ああ、そうなんだよ。ギグとギグの合間に、テクを維持している。この年になると、指を動かし続けておかなきゃならないんだ。全てを動かし続けなきゃいけない。
KR:それは面白いな。
MJ:それについて、もっと詳しく話してみないか?
RW:年をとれば、俺が言っている意味がわかるようになるさ。
(ミックとロンが立ち上がって踊り出す)
JF:上下に、全てを動かして!
RW:体を揺らして! 揺らして!
収録曲は全12曲
JF:トラックリストがあるのですが、ファンの皆さんは、トラックリストについて知りたいと思います。1曲目は「アングリー」です。
MJ:そう。
JF:ある種の感情が湧いてきたりしますか?
MJ:怒りはあるね。
JF:質問が悪かったですよね。すみません。
RW:リフがいいんだ。
KR:超ファンキーなリフがあるのが特徴だ。
JF:いいリフがありますよね。それから「Get Close」。
(間)
MJ:うん。
(笑)
JF:「Depending on You」?
RW:心を動かされる。
MJ:それは、いつも誰かを頼りにしていたいと思うのに、がっかりさせられることについてだ。
JF:それは私のことではないですよね?
MJ:いや、君はここにいるだろう。はるばるニューヨークから来てくれたじゃないか。
JF:そうですね。
RW:「Mess it Up」は君についてだ( 笑)。
JF:「Bite My Head Off」は?
MJ:「Bite My Head Off」は、ガールフレンドが本気でキレたとき、「ダーリン、俺に向かって噛みつくのはよしてくれ」と言うようなものさ。
JF:そう、噛みつかないで、と言うものですね。
MJ:失礼な物言いだね。
JF:ああ、失礼な言い方ですよね。「Whole Wide World」は?
KR:そういうことなのか?
MJ:しっくりくるようになるよ。
RW:.ファンキーなリフだ。「Whole Wide World」はとてもファンキーさ。
JF:本当ですか? 「Dreamy Skies」は?
RW:「Dreamy Skies」夢見る感じだ。
MJ:ほら、何についてなんだ?
RW:まあ、ミック足止めを食らい、全てから逃れようとしていることについてだと思う。だよな? 全てを忘れ、往年のハンク・ウィリアムスやホンキー・トンクスなどを聴きたいと言っていた。
JF:実現が難しいものですよね。
MJ:いや、ロックダウン中に実現した。
JF:そうですか。
MJ:あれで十分だった。
JF:十分でしたか。「Mess it Up」は?
RW:それは君についての曲だ(笑)。
JF:私の曲なんですか? 「Live by the Sword」はチャーリーがプレーしているのですよね。
MJ:彼が参加している。ちょっとレトロな感じだ。
JF:「Driving Me Too Hard」は?
MJ:それについてはキースが話す。
KR:どの曲も、それが何についてかなんて言えないよ。いや、リフとメロディが良いんだ。
RW:(さまざまなリフやメロディの)るつぼだね。
KR:えーっと、そうさ。そういうことだ。
JF:「Tell Me Straight」?
KR:ストレートに言うと、それが何についてなのかはさっぱり分からない。
JF:リフが良いですよね。
MJ:その曲はキースが歌っている。彼の歌が良いね。
KR:彼はその曲を盗もうとしたので、「きっと良いに違いない。俺がやろう」と言ったんだ。
JF:「Sweet Sound of Heaven」は聴かせてもらいましたよ。こういった曲をいくつか聴いてみましたが、驚異的です。
MJ:これはどちらかというと……。
RW:スティーヴィー・ワンダー。
MJ:ゴスペルのような曲だ。ゴスペル・ソングだよ。
JF:ゲスト・シンガーを招いていますよね。度肝を抜かれます。
MJ:ゴスペルは大好きなんだ。
KR:教会には、今まで一度も行ったことないくせに。
MJ:一度あるよ。教会に行ったんだ。お前は完全に間違っているぞ。
KR:どうだったんだ?
MJ:大概大きな建物だ。アーチがあって、ね。
RW:大きな尖塔がある。
JF:あなたが入った瞬間に全焼したりしませんでしたか? (ミックの口調を真似て)「皆さん、こんばんは。今日は俺が説教する。さあ、始めるぞ。誰が聖体拝領を受ける? 誰が受けるというんだ? どうした? イエスよ、ありがとう!」
MJ:俺はそんな話し方はしないぞ。
JF:あなたのモノマネではありません。ロニーの真似をしていたんです。
MJ:ああ、そうか。
「でも俺たちが気に入れば、観客も気に入るだろう」(キース)
JF:キースさん、あなたは以前、聖杯(“究極の理想” の意)はレコードを作ることだとおっしゃっていましたね。今でも皆さんは一緒にスタジオにいるのが好きなのですか? 楽しかったですか?
KR:ああ、楽しいね。そこはバンドが一つになれる場所だ。ライヴ演奏というのが、もう一つの聖杯だ。でも、レコーディングというのは、メンバーが集結し、干渉されることなど一切なく、アイデアを出し合える場所なんだ。うまくいけば、素晴らしいことだが、聖杯ではないものもある。本当さ(笑)。バンドが全てをやりくりするには最高の場所だね。
JF:曲を作る際、ファンの反応を意識したりしますか?
KR:それはない。
MJ:それはないと思う。
KR:他の人がどう思うかなんて、考えない。ただ、(気に入ってもらえることを)祈り、願うだけだ。
MJ:思うに、作業に臨んだら、自分自身を喜ばせなければならないものだ。分かるかい? 他人を喜ばせることでは全くなく、まずは自分のためにプレーし、他については考えない。後になって、「ああ、みんなもこれが好きかもしれない。あるいは気に入らないかもしれない」などと思うのかもしれない。
KR:そうだね。それからかなり経ってから、「でも俺たちが気に入れば、観客も気に入るだろう」と思うものだ。みんなにも伝わっていく。
JF:誰かがその曲を口パクするのを目にするまでは。
KR:俺が間違っているのかもしれない。
RW:レディ・ガガが実に見事に歌っている。
MJ 「Sweet Sound of Heaven」だ。
JF:貴重な情報を流していますね。でも、レディ・ガガは信じられませんよね。見事ですよ。
KR:そうなんだ。
チャットでのファンからの質問に答える
JF:ファンといえば、世界中のファンから質問を頂いています。ルーさんは、「ストーンズの曲の中でずっと好きな曲はありますか?」と聞いています。
KR:ルー。
MJ:ルー?
JF:この場にはいませんよ。
KR:ルーは一番答えられない質問をしたな。
MJ:ストーンズの曲で、ずっと好きな曲は全くないね。答えは「ルー、ノーだ。ない」。
KR:世界一、あり得ない質問だ。
JF:ルー、この馬鹿者が! 最初になんて質問をしてくれたんだ。この愚か者め!
KR:でも、ルーのために、「ギミー・シェルター」か「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」だと言っておく。個人的には一晩中プレーしていられる。
JF:私は「オフ・ザ・フック」が好きなのです。
MJ:何だって? そんなの聞いたことないぞ。
(歌い出す)
Sittin' in my bedroom late last night
[Does riff twice]
Got into bed and turned out the light
Decided to call my baby on the telephone
All I got was an engaged tone
It's off the hook
(拍手)
JF:ここにまた座りますから。大丈夫です。
MJ:あいつをまた座らせてやった。
JF:アルゼンチンのマリアさんから「観客の中のあるファンを見て、この子なら結婚してもいいと思ったことはありますか」という質問です。
MJ:観客席で結婚する人たちを見たことがある。
RW:ああ、見たね。
JF:そうなのですか?
MJ:結婚したいと思った人は見たことはないが、結婚する人なら見たよ。
JF:ロニーさんは実際に誰かと結婚したのですか?
RW:ああ。
JF:したのですか?
RW:夢の中で、だ。ベイビー!
JF:おいおい。もしかしたら……。
KR:全員と結婚できるかもしれないな(笑)。
MJ:一夫多妻制は生きている。
KR:俺はモルモン教徒なんだ。
JF:フランスのオリヴァーさんより、「ロニーさん、この前、ヴァン・モリソンと一緒に演奏する姿を見ましたが、なぜ他のバンドとプレーするのですか?」と質問があります。
RW:スキッフルをプレーしたんだ。彼は新しいスキッフルのアルバムを出したんだが、あれは最高だったね。俺はそこから入っていったんだ。
MJ:スキッフルのアルバムか。
RW:だから簡単なことだよ。
JF:これは南ウェールズのジェリーさんからの素晴らしい質問です。「ダーツを投げるのが一番うまいのは誰ですか?」
MJ:みんな下手だよ。
JF:ダーツはやるのですか?
MJ:この会場の楽屋裏の外に「Ship」というパブがあり、そこにダーツボードがあるから、この後、誰が一番うまいか見てみよう。
KR:結果は後で知らせるよ。
MJ:その結果は連絡する。
RW:金的を射落とそうとして、朝の3時になってもそこにいるだろう。
JF:カリフォルニアのブランドさん。
MJ:マーロンか。
JF:「キースさんとミックさんの二人は、僕と妻よりも長い年月一緒にいますが、幸せな結婚生活の秘訣は?」と聞いています。
KR:彼らに教えてもらおうじゃないか(笑)。
MJ:あまりしょっちゅう話さないことだ。
KR:「黙れ」といかに丁寧に言うか、だね。
JF:『ハックニー・ダイアモンズ』は以上です。あなた方は他の誰にも成し得なかったことをやりました。
MJ:何だ? アルバム1枚作るのに18年かけたことか?
JF:いや、真面目な話、皆さんのようなバンドは他にいません。比較対象すらいないのです。
KR:そこがポイントなんだ。
JF:そうですね。あなた方がやっていることは、未開拓の領域です。このバンドが全く新しいアルバムを出すなんて、誰が想像できたと言うのでしょう? しかも今、2020年代で、とは。
MJ:分からない。
JF:あなたは60年代にいましたよね。
MJ:言いたいことがあるんだ。偉そうなことは言いたくないが、このアルバムを俺たちが本当に気に入っていなかったら、リリースすることはなかっただろう。なんでも良いから作って出すなんてことはしたくなかった。作る前に、俺たち誰もが「自分たちが本当に気に入るようなレコードを作りたい」と言っていたんだ。他の人は気にいるかもしれないし、そうではないかもしれない。でも、自分たちがこの作品に満足していると言えなければならない。俺たちは偉そうなことを言っているわけではないが、本作には満足しているよ。
RW:それに乾杯だな!
MJ:そして、みんなに気に入ってもらえると嬉しいよ。
(拍手)
ビデオに出演のシドニー・スウィーニーとそのママも登場
JF:これからステージを片付けて、ビデオ映像をご覧いただきます。最新アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』からのビデオのプレミアです。リリースは10月20日です。それでは皆さん、ザ・ローリング・ストーンズです。
MJ:ありがとう。
3人:ありがとう。
JF:さあ、一人一人が伝説的な存在です。また、アルバムは最高です。皆さん、「アングリー」のワールド・プレミアを観る準備は整いましたか? ザ・ローリング・ストーンズが作るビデオは毎回、最もホットなハリウッド俳優・女優が登場しますが、それは今回もそうでした。このビデオには、シドニー・スウィーニーが出演しており、今夜、シドニーさんがいらしています。
シドニーさん、お会いできて嬉しいです。
SS:お会いできて嬉しいです。
JF:ザ・ローリング・ストーンズのビデオ出演を依頼されたときというのは、どんなことを考えるものなのでしょう。
SS:まあ、大変! 私は驚愕し、家族に電話したのです。母を連れてきました。
JF:はじめまして。自慢の娘さんですね。
母親:とても誇りに思います。
JF:ビデオを撮ったことはありますか?
SS:あります。
JF:あるのですね。でもこんなのはありませんでしたよね。
SS:こんなのはないわ。
JF:いや、ないですね。お母さん、あなたはストーンズのファンなのですか?
母親:もちろんです。
JF:ああ、もちろんそうですよね。あなたにはお気に入りの時代はありますか?
母親:一生分の音楽です。
JF:一生分の音楽ですね。娘さんがこのビデオに出演することになるなんて、思っていましたか?
母親:いいえ。
JF:そうですよね。あなたは『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート』や、『ユーフォリア/Euphoria』に出演してきましたが、本作が一番ビッグな作品でしたよね。
SS:これまでで一番ビッグです。
JF:今までで最大ですね。音源は聞かれましたか? それがファースト・シングルになるとご存じでしたか?
SS:最初のシングルになるとは知りませんでしたが、聴いた時、とても気に入りました。頭から離れません。
JF:頭から離れないのですね。
SS:はい。
JF:本当に、本当にいい曲ですね。最高です。皆さんにご覧いただきたいです。この後数分後に上映しますので、準備を整えてください。ローリング・ストーンズとシドニー・スウィーニーさんによる「アングリー」のプレミアです。お楽しみください。
【商品詳細】
●アルバム
ザ・ローリング・ストーンズ
『ハックニー・ダイアモンズ』
収録曲:後日発表
Amazon Music・MP3(OCT 20 2023)¥1,900
チャーリー・ワッツ公認評伝 人生と時代とストーンズ
3,740円
著者:ポール・セクストン(著)、久保田祐子(訳)
著者:ポール・セクストン(著)、久保田祐子(訳)
●関連ニュース
BOOK・2023.08.04
いよいよ日本上陸。ミック・ジャガーとキース・リチャーズが序文を寄稿
BOOK・2023.08.04
いよいよ日本上陸。ミック・ジャガーとキース・リチャーズが序文を寄稿
商品詳細
ザ・ローリング・ストーンズ
『Forty Licks』
・Amazon Music・MP3(JUL 26 2023)¥3,100
・4LPs(2023/7/2)輸入盤
ザ・ローリング・ストーンズ
『Forty Licks』
・Amazon Music・MP3(JUL 26 2023)¥3,100
・4LPs(2023/7/2)輸入盤
商品情報
ザ・ローリング・ストーンズ
『Live At The El Mocambo』
・Amazon Music・MP3(2022/5/13)¥2,210
・2CDs(2022/5/13)¥4,400
ザ・ローリング・ストーンズ
『Live At The El Mocambo』
・Amazon Music・MP3(2022/5/13)¥2,210
・2CDs(2022/5/13)¥4,400
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