【連載・朝日順子】ロック史の現場を見て!食べて!飲む! UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏 第8回「アイルランド最高のバンドは、U2ではなくシン・リジィです」

朝日順子さんによる英国とアイルランドでのロック聖地巡りの旅の記録、もう第8回め。今回朝日さんはブリテン島を離れアイルランドへ渡ります。
朝日順子のサイト
アイルランド人が好きな/誇りに思うアイルランドのバンドとは──正解は見出しにもうありますが、そんなアイルランド人の心意気にシビれます。そして現地のパブで「舟唄」を熱唱する朝日さん、男前過ぎます。八代亜紀で正解だと思います。

「正誤よりも好き嫌い」は、かの国では1杯めのギネスと同じくらい宇宙の真理
第8回 アイルランド最高のバンドは、U2ではなくシン・リジィです
リヴァプールのジョン・レノン空港からアイルランドまで1時間で行くはずが、出発直前にフライトがキャンセルになり24時間かかってしまった。へとへとになりダブリン空港で乗ったタクシーで、ギネスを飲むのに23時間お預けをくらったと言うと、運転手さんは「苦しみが大きいほど喜びも大きいんだよ」と慰めてくれた。ホテルに着いて荷ほどきもそこそこにパブへ向かう。バーカウンターの青年に「人生初のダブリンで、初めて入る本物のアイリッシュ・パブで、最初の一杯を飲みます」と言うと、彼は「光栄です」と言ってギネスを注いでくれた。
ギネスを飲みながら参加したのは、歴史あるパブを周り、アイルランドの音楽について様々な伝統楽器を奏でながら教えてくれるツアーだ(Traditional Irish Musical Pub Crawl - Welcome)。といっても堅苦しいものではなく、みんなで酒を飲みながら歌う酔いどれツアー。「日本からの参加者を待ってた! 酒の歌があるなら歌ってくれ!」と言われ、「サキ(日本酒を英語ではこう発音)の歌があるよ」と言うと大喜び。「舟唄」を歌ったが上手く歌えず、「北酒場」にすれば良かった。
アイリッシュ・ロックンロール・ミュージアムは、機材やロックのお宝が満載の現役のスタジオで解説が聞ける。伝統音楽のツアーでボノの悪口が出ていたが、ここでも──「アイルランド最高のバンドは、U2ではなくシン・リジィです。ロリー・ギャラガーのような人を尊敬する我々にとって、ボノは傲慢です。U2の銀行口座は国内にありませんし」。加えて、ヴァン・モリソンの性格の悪さについても詳しく説明を受けた。参加者のリヴァプール人は、U2の部屋で「嫌いだから出て待ってるね」と。
ダブリンの人々は、商業的に成功した人よりも、名より実を取った人や、志半ばで亡くなった人が好きなようだ。ファクトや正しさが声高に主張されるSNS時代ではあるが、ひょっとしたら百年単位でみればネットの登場は伝説には何の効力もなく、正誤よりも好き嫌いが勝り、こうやって英雄は誕生するのではないかと思った。海辺で緑の丘を眺めながら、酒好きの人が多く、首都の景色がこの絶景では、アイルランドで伝説が誕生しがちなのも無理はないと納得した。
U2の顔ハメ看板
─────────────
朝日順子氏「ロック史の現場を見て!食べて!飲む! UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏」第8回でした。改めて言葉にしなくとも、地元への愛はそこに住む人たちにはちゃんと通じてしまうものなのだと思います。アイルランド出身のビッグ・スターは数え切れませんが、そこでフィル・ライノットやロリー・ギャラガーの名を上げてくれるのは、どういうわけかとても誇らしいですね。今夜は奮発してギネスだ、シン・リジィとロリーと、ポーグスとか聴きながら泥酔しよう。
というわけで、次回はもう最終回。当初朝日さんにたくさんあるテーマの中から8本に絞り込んでいただいたのが今回までで、おまけとして復活当選のリクエストをお願いしました。ローラ! デイズ! デッド・エンド・ストリート! どうぞ最終回までお付き合いください!
というわけで、次回はもう最終回。当初朝日さんにたくさんあるテーマの中から8本に絞り込んでいただいたのが今回までで、おまけとして復活当選のリクエストをお願いしました。ローラ! デイズ! デッド・エンド・ストリート! どうぞ最終回までお付き合いください!
朝日順子・主な著作

商品詳細
朝日順子(著)
『ルート66を聴く: アメリカン・ロード・ソングは何を歌っているのか 』
・単行本(2021/6/25)¥1,980
・Kindle版(電子書籍)(2021/6/25)¥1,881
朝日順子(著)
『ルート66を聴く: アメリカン・ロード・ソングは何を歌っているのか 』
・単行本(2021/6/25)¥1,980
・Kindle版(電子書籍)(2021/6/25)¥1,881

商品詳細
アジョイ・ボース(著)、朝日順子(翻訳)、藤本国彦(解説)
『インドとビートルズ:シタール、ドラッグ&メディテーション』
・単行本(2022/12/26)¥2,860
・Kindle版(電子書籍)( 2022/12/26)¥2,717
アジョイ・ボース(著)、朝日順子(翻訳)、藤本国彦(解説)
『インドとビートルズ:シタール、ドラッグ&メディテーション』
・単行本(2022/12/26)¥2,860
・Kindle版(電子書籍)( 2022/12/26)¥2,717

商品詳細
朝日順子(著)、藤本国彦(監修)、杉本綾子(イラスト)
『クイーンは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』
・ムック(2019/7/31)¥1,935
・Kindle版(電子書籍)( 2019/7/31)¥1,742
朝日順子(著)、藤本国彦(監修)、杉本綾子(イラスト)
『クイーンは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』
・ムック(2019/7/31)¥1,935
・Kindle版(電子書籍)( 2019/7/31)¥1,742

商品詳細
朝日順子(著)、藤本国彦(編集、読み手)
『ビートルズは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』
・ムック(2018/6/4)¥1,731
・Kindle版(電子書籍)(2018/6/4)¥1,558
朝日順子(著)、藤本国彦(編集、読み手)
『ビートルズは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』
・ムック(2018/6/4)¥1,731
・Kindle版(電子書籍)(2018/6/4)¥1,558

この記事についてのコメントコメントを投稿
この記事へのコメントはまだありません





RELATED POSTS
関連記事
-
2025.01.07 クイーン関連 最新ニュース(2025/4/30更新)
-
2024.04.04 ザ・ビートルズ関連 最新ニュース(2025/4/22更新)
-
2023.03.07 直近開催予定のイベントまとめ(2025/4/30更新)
LATEST POSTS
最新記事