2023年12月2日(土)@東京・銀座ラウンジZERO

「QUEEN & MUSIC LIFE 1974-2024」イベント・レポート

まさかこんなに膨大な数の物が、ガーデンロッジから運ばれて来るとは思わなかった……という〈フレディ最後の至宝〉に呆然としました──吉田

『MUSIC LIFE CLUB Presents  クイーン・オブ・マイ・ライフ ファンによるファンのためのファンブック』
写真左より吉田聡志、清水一雄氏[クイーンネス・アンプラグド・ユニット]、東郷かおる子氏、フレディ・エトウ氏[クイーンネス・アンプラグド・ユニット]、 赤尾美香氏
クイーンのミュージック・ライフ誌初掲載から50年を記念したファンブック『MUSIC LIFE CLUB Presentsクイーン・オブ・マイ・ライフ ファンによるファンのためのファンブック』2024年2月発売に先駆けてのイベント「QUEEN & MUSIC LIFE 1974-2024」が、12月2日銀座ラウンジZEROにて開催された。

トークゲストに東郷かおる子さん(元『MUSIC LIFE』編集長)を、ライヴ・ゲストにクイーンネス・アンプラグド・ユニットを迎え、同書の編集を担当した赤尾美香さん(元『MUSIC LIFE』編集部)の司会、同署の企画・監修者クイーン・コンシェルジュ=吉田聡志も加わっての濃密な2時間となった。
トーク第一部

『トーク第一部』は先だって開催された〈フレディ最後の至宝サザビーズ・コレクション〉を現地で体験したコンシェルジュ=吉田がレポート。センターの大きなスクリーンに数々の至宝が写しだされ、そのエピソードが語られた。

吉田:サザビーズでは、これがフレディが使っていた◎◎か、フレディが愛した◎◎か……の連続で頭の中が真っ白になって、しばらく呆然としていたんですよ。ニュースとかでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、その空気感をお伝えできれば──。僕は自分の中にある『ミュージック・ライフ』の誌面や映像での残像を求めて、色々と探してきました。

実際に体験してきた装飾や展示物などをスクリーンに映しての熱のこもった解説。色々と紹介したい──けれども、時間が限られた中、下記のようなアイテムが紹介された。

・フレディのアイコン髭のオブジェが入り口上部を飾るオークション会場
・名古屋城散策のフレディの写真と共に展示された当日着用の派手なジャケット(これは落札にチャレンジしたがゼロの桁が一つ多くて手が出なかった)
・『MUSIC LIFE』誌の人気投票でグループ、個人部門で何度もグランプリに輝き、その時編集部が贈った盾(受賞時の笑顔のメンバーが表紙を飾る『MUSIC LIFE』も資料として映し出された)
・壁一面のゴールド・ディスク
・こんなに細身だったの!!という驚きのステージ衣装群
・広間の宙空に展示されたカラフルなお気に入りの着物
・コレクターの最終地点と言われている200枚しか作られなかった「ボヘミアン・ラプソディ」のブルーのシングル・レコード盤[シリアルナンバー2](ナンバー1は一足先に事務所についたロジャー・テイラーがゲットしていた)
吉田:例えば着物一つにしても、展示された物以外に別室に山のようにあった──と元『MUSIC LIFE』編集部の塚越さんが仰ってました。
赤尾:今回の書籍『クイーン・オブ・マイ・ライフ ファンによるファンのためのファンブック』のためにサザビーズの担当の方にもインタビューしたのですが、“まさかこんなに膨大な数の物がガーデンロッジから運ばれて来るとは思わなかった” と驚いていらっしゃって。

そういった一連のお気に入り小物類の一部も紹介された。
・FMという文字が書かれた特注のバスルームの扉
・7cmくらいの髭用の櫛(高価なブランド品)、「愛という名の欲望」などで使われたタイプのサングラス、「We Will Rock You」のPVで有名な★のサングラスなどなど
・猫好きのフレディならではの猫関連のアイテム
・先方の係員に交渉して展示物に加えられた栗田美術館から贈呈された陶磁器
・落書きをいっぱいされていた当時のガーデンロッジの扉


吉田:最後にフレディが愛用したコンパクトなヤマハのグランドピアノと、マーティン・ギターのD-35。
赤尾:ピアノは今回のオークションの最高価格、なんと3億2,000万円で落札されたそうです。
吉田:本の中には、このピアノを使ってフレディと曲を作ったマイク・モランとモンセラート・カバリエの感動的な話もあるのですが、紹介する時間がない!

と、駆け足ながら、その膨大な至宝の一端を垣間見ることができた第一部が終了。休憩を挟み、クイーン・トリビュートバンド、クイーンネスのスペシャル版[クイーンネス・アンプラグド・ユニット]によるライヴが行なわれた。


■クイーンネス・アンプラグド・ユニット ファースト・ステージ

ヴォーカル、フレディ・エトウが曲によりアコーステイック・ギター、ピアノと楽器を持ち替え、清水一雄(レッド・スペシャル、エレアコ)とのユニットで名曲の数々が披露された。


◎曲目
1. 愛にすべてを
2. 地獄へ道づれ
3. 恋のゆくえ
4. セイヴ・ミー
5. ラヴ・オブ・マイ・ライフ


■トーク第二部

トーク第二部はクイーンと日本の架け橋となった『MUSIC LIFE』誌の編集長・東郷かおる子さんが登壇。スクリーンに当時の模様を映し出しながらクイーンとの出会いなどが語られた。最初は74年に別のミュージシャンのライヴ取材に行ったニューヨークのレストランで、なんと偶然にもクイーンのメンバーに遭遇したところから。
東郷:モット・ザ・フープルというバンドの前座でクイーンが出るのは知っていて──実はそれが目的だったので、何か機会があればいいな……と思っていたら、ランチをとっていたレストランにロジャー・テイラーとジョン・ディーコンが入ってきた。すぐに “日本から来ました、日本でもクイーンの人気上がってきてます”と 挨拶したんですよ。

ポカ〜ンとした二人だったがミュージック・ライフ誌を見せたところ態度が一変、翌日取材をすることに決まった。
しかし当日ブライアン・メイは体調不良、フレディは買い物で不在だった。そんな嘘のような出会いだったが、ライヴを見た東郷さんには〈クイーンが日本の女の子にはで絶対ウケる!〉という確信があった。

東郷:フレディがステージに登場するでしょ、すると相手が50人だろうが5,000人だろうが彼は自分の世界に引き込んでしまうのね。ロック・ミュージシャンじゃなくてエンターテイナー、圧倒的な力でその場の全員を巻き込んでしまう。

その後クイーンの人気は爆発、初来日の75年には『MUSIC LIFE』誌の人気投票にも登場し、翌76年には一位を獲得。そしてエアロスミス、キッスとのミュージック・ライフ3大バンドの時代に入っていく。

東郷:この3大バンドにはお世話になりました。今みたいにSNSだ、ネット情報だ、とかが何もない時代。だから何もないところから作り上げていかなきゃならない。でも毎月クイーンの記事だけというわけにはいかないから、何か対抗馬がいて切磋琢磨してシーンを盛り上げていくのがいいね──って編集部で話してたんです。条件は〈アメリカでそれほど人気が出ていない〉〈キャリアが大体クイーンと同じ〉〈3バンドともそれぞれ全然違う〉。そこで申し訳ないくらいハマったのがエアロとキッスでした。
東郷さん曰く〈フレディは世の中を超越して一般常識から外れたファンタジックな世界の人〉。それに対し、ロックンロール・バンドのエアロスミスは初来日初ライヴは〈メンバー自から楽器を持ち在来線で前橋スポーツセンターに移動〉という人たち。駅の立ち食いそばも食べていたという。最近はたい焼きとのコラボがニュースになった。

赤尾:日本にはすごいシンパシーを感じてくれていて、日本が大好きなバンドなんですけど、表現の仕方が違いますね。

東郷:エアロスミスは無邪気な感じでいいじゃないですか、世話が焼けそうだけど。インタビューした時もフレデイは思いのほか繊細で、物事を深く考えるタイプ。その正反対がスティーヴン・タイラーで、笑うときは仰け反って笑う。
吉田:フレディのインタビューはいつも一人でした? 他に誰かいる時もありました?
東郷:最初の頃はメンバーが一緒のときもあったけれど、一番驚いたのは、九州まで追いかけてインタビューをしたとき。部屋に入ったらメアリーさんがニッコリ笑って座っていて、お茶を出したりしてくれたのはその当時のフレディのボーイフレンド。
吉田:3人で一部屋。
東郷:ちょっとびっくりしました。

この取材のフレデイは犬のおもちゃを持ちながら笑って写真に収まっている。着ていたアロハシャツはオークションにも出ていた。日本で買った何十万円もする伊万里焼の陶器を嬉しそうに披露して、“もっと見せたいものがあるんだ” ──と見せてくれたのが、その犬のおもちゃだった。“可愛いだろ、ネジを巻くと鳴くんだぜ” と話すフレディにとっては伊万里焼も犬のおもちゃも同じように大切なものだった。

赤尾
:人から見たらガラクタみたいなものから、高価な絵画まで大事にとってある──という凄さはやっぱりフレディなんだろうなと思います。
東郷:だから『MUSIC LIFE』の人気投票の盾がちゃんと家の中にしまってあったというのには感激しました、あげた甲斐があったな、と。投票した皆さんも同じじゃないですか。

クイーン、エアロスミス、キッスという三大バンドで盛り上げた流れは、その後チープ・トリックやジャパンも加わり70〜80年代の洋楽黄金期を作る。当時はバンドにとって雑誌は必要不可欠なもので、レコード会社と雑誌が一緒になって作り上げていったシーンだった。

そして2020年、クイーン展で来日したブライアとロジャーは東郷編集長と長谷部カメラマンとの再会を果たす。ロジャーは長谷部さんを抱きしめた。

吉田:『ミュージック・ライフ』とクイーンの間柄って凄いんだなと改めて思いました。人気が出てからじゃなくて、ニューヨークで東郷さんが偶然会ったあの日から、ずっと繋がる絆は全然変わっていないんだな──と、見ていて涙が出ました。

この展覧会ではフレディの実物大像も出品されていて、一緒に写真撮影を──と促すのだが、“記念写真を撮る歳じゃないし” と退くブライアンを、東郷さんは先に像の側に立っているロジャーの方に押し、長谷部さんは既にカメラを構えて待っている──という見事な取材フォーメイションの一端も見ることができたとか。

東郷:相手が無名の新人でもブライアンでも取材現場では同じですからね(笑)。
吉田:話は尽きないのですが、そろそろお時間が。
東郷:来年2月のステージを楽しみに待ちたいと思います。ブライアンも “僕たちもいつまでツアーに出られるのか──健康でいられるのかわからない、もしかしたら最後かもしれない” って言ってましたから。
赤尾:東京ドームのすぐ横の小石川後楽園は、フレディが86年に来日したときに、日本庭園を造る参考に見に行ったところですから、ぜひ皆さんライヴ前にご覧になってください。では最後に東郷さんからブライアンとロジャーに言葉をかけてあげるとしたら。
東郷:そうねぇ〜、お互いにまだ生きてたか(笑)、クイーンに関してはそんな感じですね。
赤尾:ありがとうございました。
吉田:東郷さん、ありがとうございました。この後、クイーンネス・アンプラグド・ユニットのセカンド・ステージです。


■クイーンネス・アンプラグド・ユニット セカンド・ステージ

ファーストステージとは趣を変えたメニューで、最後は場内が大合唱に。

◎曲目
1. 悲しい世界
2. ボヘミアン・ラプソディ
3. タイ・ユアー・マザー・ダウン
4. 愛という名の欲望
5. ウイ・ウィル・ロック・ユー

最後に本日の登壇者が全員ステージに集合し、記念写真撮影でイベントを締めくくった。

なお、この日紹介された数々のフレディの至宝をはじめ、クイーン史に残る聖地巡礼、メンバーとの遭遇記他、半世紀にわたる数々のエピソード満載の『MUSIC LIFE CLUB Presentsクイーン・オブ・マイ・ライフ ファンによるファンのためのファンブック』は2024年2月に発売される。

【新刊書籍】
MUSIC LIFE CLUB Presents
クイーン・オブ・マイ・ライフ
ファンによるファンのためのファンブック
企画・監修:クイーン・コンシェルジュ=吉田聡志

予価: 2,750円 (本体 2,500円+税)
2024年2月2日発売予定/A5判/208ページ予定/2024年2月2日発売

発行:株式会社シンコーミュージック・エンタテイメント
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