映画『ロックの礎を築いた男:レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』、まさかの血縁者取材&ご招待券プレゼント!
ドキュメンタリー映画『ロックの礎を築いた男:レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』は今週金曜、5月23日公開。公開はもうすぐそこですが、ご招待券プレゼントも一番下にご用意していますので、ぜひ最後までお読みください!
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MOVIE|MUSIC・2025.03.27
伝説の12弦ギタリストのドキュメンタリー──『ロックの礎を築いた男:レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』



──レッド・ベリーの曲は日本でよく知られていますが、彼自身については名前さえ知らない人も多いようです。劇場に足を運んでもらうため、そのような人々に向けてレッド・ベリーとはどんな人物だったか、改めて教えていただけますか?
「レッド・ベリーは第一にミュージシャンで、その結果、国際人でもありました。彼はみんなのために音楽を作りました。第二に、昔話の英雄並みの体力があり、今に伝わる様々な逸話が残されています。それと同時に、時事問題にも通じていました。タイタニック号や第二次世界大戦の曲も歌っています。世界でその時起こっていることを把握し、自分を歴史の中で捉えていたのです。どんな人でも共感してしまう、そんなところが、彼を特別にしています。子供も同じです。童謡を歌うレッド・ベリーは60歳でしたが、子供達は彼を囲むのが大好きだったんですよ」
──レッド・ベリーはフォーク・ヒーローであると同時に、時事的な事柄も歌ったと。古いフォーク・ソングに新しい言葉を乗せるのは、ボブ・ディランやウディ・ガスリーよりも早かったのですよね。どのように始めたのでしょう?
「旅する音楽家だったからでしょう。行く先々で、群集の前で歌いました。一度だけ海外公演も行ないました。フランス語でスクランブルエッグの曲を作り、フランスで歌ったのですよ。日本に行っていたら、間違いなく何か日本語で覚えたでしょう。それだけ共鳴力の高い人でした」
──ビッグ・ビル・ブルーンジーやマディ・ウォーターズよりも前に渡欧していますものね。本作にはレッド・ベリーの姪であるあなたの祖母が出演していますが、いつ頃彼の存在に気づきましたか?
「確か12歳くらいだったと思います。家に巨大な証書が額に入って飾られていて、大学の卒業証書だと思っていました。祖母に聞くと、レッド・ベリーの恩赦状だと。とても誇らしいものとして、彼はずっと持ち歩いていたのです。それは、彼にとっての自由証明書(注:奴隷から解放されている身分を証明する文書)でした。あれが無ければ、現在あるレッド・ベリーの膨大な音楽や物語も存在しないのです。それから数年の間に、切手が発行され、ロックの殿堂入りもし、どこに行ってもレッド・ベリーを目にしました。式典などで遠くに行くことも多かった祖母は、よく私達にレッド・ベリーのことを教えてくれました。DJをやっているので分かりますが、ワイクリフ・ジョンやシャブージーなど、現在でも多くのアーティストに影響を与えています」
──ロニー・ドネガンを通して、UKロックにも大きな影響を与えていますね。ポール・マッカートニーはレッド・ベリーの伝記を読み、最新アルバム収録の「ウィメン・アンド・ワイヴズ」を書きました。レッド・ベリーの人生には、音楽・歴史・文化の上であらゆる重要なものが詰まっています。本作ではどの部分に焦点を当てたいと思いましたか?
「音楽面では、やはりビートルズを初めとするUKロックに対する影響について触れています。他には、政治的な音楽についてです。人種隔離政策下のアメリカに住むアフリカン・アメリカンとして、夫婦でホテル宿泊を拒否された体験を、レッド・ベリーは “ブルジョワ・ブルース” という曲にします。彼はとても正直で、はっきり物を言い、そして人生に対して前向きでした」
──「グッドナイト・アイリーン」のように大勢に向けた曲だけでなく、同胞に注意を促すような曲も書いています。そのような曲を歌うことで、トラブルに巻き込まれることは無かったのでしょうか?
「本作にも出てきますが、特定の見方をする音楽家を、国が政治的な裁判にかけるようになる直前に、レッド・ベリーは亡くなっています。ピート・シーガー、ポール・ロブスン、ジョシュ・ホワイト、ウディ・ガスリー、この四人はレッド・ベリーの友人です。レッド・ベリー自身がトラブルに遭うことはありませんでしたが、彼は友人達に大きな影響を与えました。友人達は、ブラックリストに載って演奏できなくなります。そしてレッド・ベリーは、その次の世代であるボブ・ディランにも、政治的な曲を作る点で影響を与えています」
──先の大統領選で大きな争点となったウォーク(Woke)という言葉を、公式の録音で初めて使ったのがレッド・ベリーとされています。本作でウォークについて触れられていないのはなぜですか?
「ここ2、3年でニュースを騒がせるようになった言葉で、本作の編集には間に合いませんでしたが、それについては是非改めて取り組みたいと思っています。レッド・ベリーが “Stay woke”(目を覚ましていろ)と最初に言ったのは、南部を旅するアフリカン・アメリカンに向けてですが、注意深く見ると、全ての人に向けられたスローガンなのです。分断を引き起こす目的は無く、身を守るための言葉でした。どちらの側に寄っている訳でもないのです。みんなのための言葉です」
──世の中をより良くした偉大な人々が、本作のために特別に出演しています。出演者のインタビューはいつ頃始めたのですか?
「2007年です。祖母の電話帳を見て皆さんに連絡しました。ピート・シーガー、B.B.キング、オデッタ、ハリー・ベラフォンテ、オスカー・ブランドといった偉大な人々が、喜んで引き受けてくれました。ジャック・ホワイトのような若い音楽家も依頼を喜んでくれたのですが、10分しか時間が取れないと言われました。ところがレジェンド達は丸一日時間を割いてくれて、その話といったら、キャンプでたき火に当たりながら聞くような本当にワクワクするものでした。キング牧師のワシントン大行進に参加したような人々ですよ」
──そして、実際にレッド・ベリーに会ったことがある。南北戦争の20年後に生まれたレッド・ベリー。そんな彼と親しかった人々が、亡くなる前に本作に出演。信じられないほど貴重ですね。

1888年、開拓が始まったばかりのルイジアナでは珍しい核家族の一人っ子として生まれ育ったハディ・レッドベターことレッド・ベリーは早くからギターを学び、10代の頃から出入りしていたシュリーヴポートの赤線地区ファニン・ストリートで演奏していたという。ダンス・パーティでは人気者で、女性にめっぽうもてたことから多くの男たちから反感を買い、トラブルに巻き込まれることもしばしば。
初めて刑務所に収監されたときは脱獄に成功したが、2度目はナイフを持って追いかけてくる男を拳銃で殺した罪でテキサス刑務所に投獄された。しかし、パット・ネフ知事に捧げた曲が気に入られ、35年の刑罰から2年で釈放。その後、アンゴラ刑務所にも収監され、そこで民族音学者ジョン&アラン・ローマックス親子と出会う。アメリカン・ブラック・ソングのルーツを探していた彼らはレッド・ベリーの音楽性に魅了され、O.K. アレン知事に恩赦を求める歌を録音するなど陳情に協力、レッド・ベリーは再び釈放された。
以降、レッド・ベリーはローマックス親子の歌の収集・録音の手伝いを申し出て、刑務所ツアーなどのアシスタントとして参加。その後、ニューヨークへ移住し、ローマックスによって世界に紹介されたレッド・ベリーの音楽は観客を熱狂させた。レッドベリーは、当時のアメリカの黒人に「自分がいる場所から抜け出せる」と見本を示した。1949年に61歳で逝去した後も、彼の曲は多くのミュージシャンによってカヴァーされ、新たな音楽が生まれ続けている。
監督:カート・ハーン
出演:レッド・ベリー、ピート・シーガー、ハリー・ベラフォンテ、B.B. キング、ジョーン・バエズ、アンナ・ローマックス・ウッド、アーロ・ガスリー、バーニス・ジョンソン・リーゴン、オスカー・ブランド、クイーン・“タイニー”・ロビンソン、ラリー・リッチモンド、マイケル・タフト、クリストファー・ローネル、ジェフ・プレイス、オデッタ
2021年/アメリカ/80分/カラー/ステレオ/原題 “Lead Belly - The Man Who Invented Rock & Roll”/字幕監修:ピーター・バラカン、朝日順子/配給:NEGA
© 2024 House of Lead Belly
・公式サイト
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■限定上映アフター・トーク

映画『ロックの礎を築いた男 レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』の公開を記念して、以下の映画館では、上映後、アフタートークが行なわれます。チケットは各映画館にお問い合わせください。
(2025.05.19現在。今後追加の予定もございます)
【上映館情報】
■限定上映アフター・トーク予定
■大阪:扇町キネマ 12:35の回
登壇者:朝日順子(音楽ライター・本作字幕監修) ・ ジョージ・カックル(DJ/コラムニスト)
MC:汐月しゅう
■大阪:テアトル梅田 14:25の回
登壇者:朝日順子(音楽ライター・本作字幕監修)・ ジョージ・カックル(DJ/コラムニスト)
MC:汐月しゅう
■京都:アップリンク京都 18:00の回
登壇者:朝日順子(音楽ライター・本作字幕監修)・ ジョージ・カックル(DJ/コラムニスト)
MC:汐月しゅう
【5月24日(土)】
■池袋:シネマロサ 10:20の回
登壇者:朝日順子(音楽ライター・本作字幕監修)・ 妹尾みえ(音楽ライター)
MC:汐月しゅう
■吉祥寺:アップリンク吉祥寺 12:55の回
登壇者:朝日順子(音楽ライター・本作字幕監修)・ 川原伸司(音楽プロデューサー・作曲家)
MC:汐月しゅう
■横浜:シネマジャック&ベティ 17:10の回
登壇者:サエキけんぞう(作詞家・アーティスト)
MC:汐月しゅう
■福岡:小倉昭和館 10:00の回
登壇者:サエキけんぞう(作詞家・アーティスト)
MC:汐月しゅう
■福岡:Kinocinema天神 15:30の回
登壇者:サエキけんぞう(作詞家・アーティスト)
MC:汐月しゅう
【5月26日(月)】
■吉祥寺:アップリンク吉祥寺 18:40の回
登壇者:#ピーター・バラカン(本作字幕監修)
MC:#汐月しゅう
【5月28日(水)】
■池袋:シネマ・ロサ 19:20の回
登壇者:#ピーター・バラカン(本作字幕監修)
MC:#汐月しゅう
【6月1日(日)】
池袋シネマ・ロサ(時間調整中)
登壇者:伊藤銀次(ミュージシャン)・川原伸司(音楽プロデューサー・作曲家)
MC:汐月しゅう

MUSIC LIFE CLUB会員限定
ロックの礎を築いた男
レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点
ご招待券を5名様にプレゼント
■公演名
ドキュメンタリー映画『ロックの礎を築いた男:レッド・ベリー ビートルズとボブ・ディランの原点』
■日程
公開劇場/公開期間/上映時間などは、公式サイト【映画館情報】にてご確認ください。
■招待人数:5名様
■応募締切:5月25日(日)23:59まで
「応募する」ボタンをクリック後、応募フォームより必要事項を明記の上ご応募ください。
※『MUSIC LIFE CLUB』へ会員登録済みのメールアドレスでご応募ください。会員以外の方は無効になります。
※応募はお一人様1回のみでお願いします。重複応募の場合は無効とさせて頂きますのでご了承ください。
※当選の発表は5月26日頃を予定しています。当選された方には mailmagazine@musiclifeclub.com より案内メールを差し上げます。

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