【MLC】追悼・ブライアン・ウィルソン ──ブライアンとの縁がありそうでなかった『ミュージック・ライフ』

こちらの画像は弊社刊の書籍『ブライアン・ウィルソン＆ザ・ビーチ・ボーイズ消えた『スマイル』を探し求めた40年』です。この表紙での（正確には帯での使用）このブライアンの画像は、『ペット・サウンズ』をレコーディング中のカットだということです。となると1965年から66年の半ばにかけてに撮影されたものということになるわけですが。

ちなみにちょうどこの頃、ビーチ・ボーイズは来日公演を敢行。1966年1月、お正月明けのことでした。ただ一説によると、実はその前に米軍キャンプ内での公演のためにすでに日本には来たことがあったのだとか。とはいえ一般の日本のファンのためのコンサートは初めてだったわけで、そのためこの時の『ミュージック・ライフ』1966年1月号では「ビーチ・ボーイズがやってくる」と銘打って、ビートルズを抑えてこうして5人が上で表紙を飾っているのですが……。

当時すでにツアーではステージに立っていなかったこともあって、本文の記事でもブライアンについて「メンバーといっしょに来日することと思いますので」という微妙な記述に。結果、実際にはツアーに同行していませんでした。とはいえ表紙を飾るほどの人気、この記事時点での全国で12もの公演を予定という人気ぶりのため、ブライアン不在とはいえ次号ではしっかりそのステージの模様などはリポートされています。──この時にしてみれば、まあ次があるさ的な感じだったかも知れませんね。

続くビーチ・ボーイズ二度目の来日公演は、1979年の「Japan Jam」。江ノ島での二日間と京都、それぞれの特設会場で行なわれ、この時はブライアンも同行！　ステージにも上がっています。しかしこの時もやはり体調が思わしくなかったようで、ほんの一部演奏には参加したものの、結局それだけだったという記録がウェブ上にも見受けられます。『ミュージック・ライフ』にも長谷部カメラマンが撮影した写真が残されていますが、ステージ右側にブライアンが弾いたはずの白いピアノの一部が映るばかり……。ステージでピアノを前にしたブライアンの写真が他では残されているものの、結局この時も『ミュージック・ライフ』はご縁がありませんでした。

今回ブライアンの他界を受け、MLCとしても追悼記事を！と思いいの一番に『ミュージック・ライフ』のアーカイヴをすぐに検索したのですが。健康不良から回復した彼が次に来日したのは、なんと1998年。残念ながらこの年に『ミュージック・ライフ』は休刊することになってしまったのです……。この時ばかりはこちら側の都合ではありましたが。こうして三度も、合間見えそうで合間見えられなかった『ミュージック・ライフ』とブライアン・ウィルソンだったのでした。

謹んでお悔やみ申し上げます、ゆっくりとお休みください。

ということで、現在弊社から刊行しているビーチ・ボーイズの書籍はこちら。他界という大変残念な出来事がきっかけとなってしまいましたが、ぜひこの機会にご一読いただければ。

【書籍】
ブライアン・ウィルソン＆ザ・ビーチ・ボーイズ消えた『スマイル』を探し求めた40年

ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』に続く新作として発売が予告されながら、制作途中で放棄された未完のアルバム『スマイル』。

その録音が続いていた1966年、ブライアン・ウィルソンの自宅に足を踏み入れ、試作段階の『スマイル』を耳にした18歳の幸運な青年が、本書の著者＝故ポール・ウィリアムズ。本書はウィリアムズが10代で創刊した伝説のロック雑誌『クロウダディ！』をはじめ、ブライアンとビーチ・ボーイズについてのテキストを集約、ブライアンの貴重な対面インタビューも加えてまとめたもの（日本でも2000年に『ブライアン・ウィルスン、そしてビーチ・ボーイズ』として刊行）。今回新たに2004年の原稿を追加し、約40年にも及ぶ“幻の名盤”との長い旅を総括します。

¥ 2,530（本体 2,300+税）

・発売日：2016/4/11
・著者：ポール・ウィリアムズ（著）、五十嵐正（訳）
・サイズ：A5判
・ページ数：344ページ

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【CONTENTS】

序文デイヴィッド・リーフ

1章ブライアン宅訪問
2章 1966～1967年の『クロウダディ！』のニュース・コラムから
3章アウトロウ・ブルーズ（『ビーチ・ボーイズ・パーティー！』）
4章『ワイルド・ハニー』を褒め称える
5章いかにして『スマイル』は失われたか
6章世界の大規模な消費
7章『フレンズ』
8章新しいパッケージ（『エンドレス・サマー』、『ワイルド・ハニー＆20/20』）
9章ニューヨークでのライヴ、1974年9月と11月
10章『フレンズ＆スマイリー・スマイル』（再発盤）
11章『ブライアン・ウィルソン』
12章〈ファン、ファン、ファン〉

13章〈アイ・ゲット・アラウンド〉／〈ドント・ウォリー・ベイビー〉
14章〈グッド・ヴァイブレーション〉
15章〈英雄と悪漢〉
16章とにかく君を信じるよ（『グッド・ヴァイヴレーションズ、30イヤーズ・オブ・ザ・ビーチ・ボーイズ』）
17章「そのなかには愛がたくさんある」（ブライアン・ウィルソンとの会話、95年12月）
18章海はどのくらい深い？名匠からの新しい測深（『アイ・ジャスト・ワズント・メイド・フォー・ディーズ・タイムズ』、『オレンジ・クレイト・アート』）
19章『スマイル』はできあがった（デイヴィッド・アンダールとの会話第4部、97年3月）
20章『ザ・ビーチ・ボーイズ・ラヴ・ユー』と『スプリング』
21章幸せな日々が再びここに［日本版特別寄稿］（ブライアン・ウィルソン『イマジネーション』）
22章円柱がドミノ倒しの廃墟［日本版特別寄稿］（ブライアン・ウィルソン『スマイル』）

【書籍】
幻のアルバム失われた音を求めて

ビーチ・ボーイズの『Smile』、ザ・ビートルズの『Get Back』、バッファロー・スプリングフィールドの『Stampede』、ジミ・ヘンドリックスの『Black Gold』……。制作当時、何かしらの理由でお蔵入りとなり、日の目を見なった“幻のアルバム”、音楽の歴史の中に埋没してしまった音源の数々、60年代から2000年代にかけての“幻のアルバム”62作品を発掘！それらの存在を可能な限り徹底的に調べ上げ、その真相を検証し、リリースの可能性までを探った音楽マニア必読の一冊。著名デザイナーが作成した“架空のアルバム・ジャケット”をオール・カラーで掲載。巻末には「その他のお気に入り幻のアルバム」（12作品）、「ようやく世に出た……名作アルバム」（12作品）を掲載しています。

【CONTENTS】
イントロダクション

第1章 1960年代
第2章 1970年代
第3章 1980年代
第4章 1990年代
第5章 2000年代

ノット・カミング・スーン……その他のお気に入り幻アルバム
ようやく世に出た……名作アルバム
アルバム・カヴァー・デザイナー紹介
寄稿者
主な参考文献＆ウェブサイト
索引
写真クレジット

¥ 3,630 （本体 3,300+税）

・発売日：2015/9/14
・著者：ブルーノ・マクドナルド（著）、上西園誠（訳）
・サイズ：B5変型判
・ページ数：256ページ

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