6弦ベースのパイオニア、アンソニー・ジャクソンが73歳で死去

6弦ベース（エレクトリック・コントラバス・ギター）のパイオニアで、セッション・ミュージシャン／ライヴ・アーティストとして活躍したアンソニー・ジャクソン（Anthony Jackson）が10月19日、73歳で死去しました。

ジャクソンと長年にわたり緊密な関係を築いてきたフォデラ・ギターズ（Fodera Guitars）がSNSで訃報を発表しており、死因は発表されていませんが、ジャクソンは2017年から脳卒中とパーキンソン病による療養のため、活動を休止していました。

「アンソニー・ジャクソンの訃報を知り、深い悲しみに暮れています。彼は、当社の楽器の歴史において最も先見の明があり、影響力のあるベーシストの一人でした。 アンソニーの影響力は、彼が演奏した音符だけにとどまりませんでした。

彼は6弦の “コントラバス・ギター” というコンセプトの先駆者になり、アート、ジャズ、ファンクなど、様々な分野におけるエレクトリック・ベースの役割に革命をもたらしました。

フォデラのチームにとって、アンソニーとの初期のパートナーシップは深く感動的なもので、私たちは1984年、彼のヴィジョンを体現したプロトタイプやシグネチャーモデル、つまり「プレゼンテーション」や「プレゼンテーションII」といったモデルを製作することからコラボレーションを始めました。

アンソニー、安らかに眠ってください。あなたの貢献により、ベースの世界は永遠に豊かになりました」

1952年にNYCで生まれたジャクソンは、10代でギター演奏を始め、ジェイムズ・ジェマーソンやジャック・キャサディの影響でベースに転向しました。

セッション・ミュージシャンとして活動したジャクソンは、ビリー・ポール・バンドやフィラデルフィア・インターナショナル・レコードでも活躍し、ビリー・ポール1972年のヒット曲「Me and Mrs. Jones」は、ジャクソンにとって初のNo.１シングルになりました。

また、ジャクソンが共作し、ベースを演奏したオージェイズ1973年の「For the Love of Money」は、1974年にポップ・チャートで9位、R&Bチャートで3位を記録しました。

そのほか、アル・ディ・メオラ、リー・リトナー、ミシェル・カミロ、ダイアナ・ロス、ビー・ジーズ、スティーリー・ダン、ポール・サイモン、サイモン＆ガーファンクル、チャカ・カーン、マドンナ、日野皓正、矢野顕子、上原ひろみ、渡辺貞夫、渡辺香津美、小比類巻かほるなど、様々なジャンルのミュージシャンとレコーディングやライヴを行ない、アル・ディ・メオラは、追悼メッセージで次のように綴っています。

「親愛なる友人であり、伝説のベーシストであったアンソニー・ジャクソンの訃報に深く悲しんでいます。アンソニーは、私がこれまでに一緒に仕事をする栄誉を得た中で最も素晴らしいミュージシャンの一人であり、6弦コントラバスの才能で現代音楽を再構築した真の革新者でした。彼のサウンド、正確さ、そして魂は比類のないものです。

“Land of the Midnight Sun” や “Elegant Gypsy” から、数え切れないほどの忘れられないステージ上の瞬間まで、彼は聴く者すべてを感動させる力と繊細さをもたらしました。

この数年間、アンソニーを愛し、お世話をしてくださったダネット・アルベッタさんに心から感謝いたします。あなたの献身的な愛情が支えとなりました。

兄弟よ、安らかに眠ってください。あなたの音楽は永遠に響き続けます」

安らかなる眠りをお祈りいたします。