本日発売の新刊・近田春夫『未体験白書』発売によせて──担当編集者が語るその裏側。12/11(木)には発売記念トークライブも
本日、近田春夫氏による新刊『未体験白書』が弊社より発売されました。そもそもがミュージシャンでありながら、文筆業でもその力を遺憾なく発揮し続け、やはり特に視線鋭く斬り込んだは音楽批評の場でした。常にシーンの最先端を見続けてきた氏の長い長い音楽生活の旅路を俯瞰した一冊、ぜひともご一読いただきたい!──ということで、担当編集者よりその裏側を語るモノローグが到着。12月11日(木)には、自身の口で語られるこの本のライナーノーツ的トークイベントも東京・渋谷で開催されます。
近田春夫さん『未体験白書』発売によせて
文◉荒野政寿
近田春夫さんの新刊『未体験白書』は、前書きにもある通り、近田さんがコロナ禍の間に綴られた未発表のエッセイから始まりました。この正直で時に赤裸々な文章を世に出すために、本としてどんな肉付けが可能だろう?と考えていくなかで、『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』で語られていたストーリーをより立体的に伝えるべく、現在の音楽的パートナーであるOMBさんから、プロのミュージシャンとして近田さんが最初にバンドを組んだ相手と言えるカルメン・マキさんまで、共に音楽を作ってきた皆さんとの対談をたっぷりフィーチャーすることに決めました。ハルヲフォンを応援、近田さんに歌詞を提供した楳図かずおさんとの、本書のために取材した対談も初めて全文を掲載しています。
もうひとつ、僕がこの本でどうしてもやりたかったのは、“歌謡曲批評の人” というイメージで語られがちな近田さんと、洋楽との関係を知ってもらうこと。洋楽から甚大な影響を受けてミュージシャンになった近田さんは、70〜80年代の音楽媒体においては最新の洋楽の紹介者でもありました。当時の仕事を知らない人のために、近田さんがインタビュアーを務めたキッスやチープ・トリック、J.ガイルズ・バンド(いずれも初来日時!)の記事を発掘、掲載することにしました。本書を発売する直前、キッスのエース・フレーリーが亡くなったのはショックでしたが⋯…ちょうど「最後のジャパン・ツアー」で来日したチープ・トリックを、武道館で近田さんに観て頂くことができました。
また、キーボード奏者である近田さんにとって永遠のアイドル、ブッカー・T.ジョーンズのインタビューは要注目。近田春夫&ハルヲフォンはマイルド・メンソール&シガレット・カンパニーという変名で、「ブッカー・T.&ザ・MGズのスタイルで、彼らが採り上げていない曲をカバーする」というひねった企画のアルバム、『GOODY GOODY OLDY MUSIC』を1976年に発表しています。「ブッカー・T.と対談した際、このアルバムを渡したが聴いてもらえたかどうか⋯…」と近田さんから伺っていましたが、その対談を本書に掲載すべく読み返してみると、ブッカー・T.に曲を聴かせ、本人から感想をもらえていたことがわかりました。このコメントが最高なので、ぜひご一読ください。
さらに、近田さんがL.L.クール・Jにインタビューした際の記事も本書に掲載しました。ちょうど近田さんがヒップホップから刺激を受けて活動していた時期の記録。大ブレイク直後、初来日時のL.L.のインタビューというだけで貴重ですが、会話の内容から彼のラップ観が伝わってくると同時に、バンドを編成してビブラストーンとしての活動に力を入れていく当時の近田さんの心境も、言葉の端々から伝わってきます。
本書の後半では、「近田春夫を作った洋楽100曲」という、これまでありそうでなかった企画も読めます。オールディーズからハード・ロックやグラム・ロック、ソウルまでジャンルの幅広さもさることながら、各曲に対する着眼点の面白さが近田さんならでは。近田さんのパブリックイメージからするとやや意外な結果にもなっていて、編集する側として新鮮でした。
今年はなんといっても、ハルヲフォンがレコードデビューを果たしてから50年という節目の年。それと同時に、手塚眞監督の映画の原作となった近田さんのコンセプトアルバム『星くず兄弟の伝説』もリリース45周年を迎え、サブスクで世界に向けて配信が始まったところです。
Haruo Chikada
The Legend of the Stardust Brothers
近田 春夫
『星くず兄弟の伝説』
Amazon Music(OCT 25 1980)
本書の発売と近田さんのWアニバーサリーを記念して、12月11日(木)に渋谷LOFT9で、“近田春夫『未体験白書』発売記念トークライブ”を 開催。ハルヲフォンの恒田義見さんと高木英一さん、ハルヲフォンに絶大な影響を受け、映画『星くず兄弟の伝説』に出演した高木完さんをお招きして、70〜80年代の音源を聴きながら深掘りトークしていきます。この顔ぶれが揃う貴重な機会、お見逃しなく。
また、イベント当日は会場で、近田さん初のアクリルスタンドを限定販売! 十代の頃に近田さんが描いた自画像をアクスタ化しました。レアアイテムになること必至の「ハルヲくんアクスタ」も、あわせてチェックしてください。
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近田春夫『未体験白書』
音楽家 近田春夫の半世紀超を、ここに永久保存
ハルヲフォンがデビュー50周年を迎えた近田春夫。本書はコロナ禍の真っ只中で綴った未発表コラム70本と、共に音楽を作ってきた仲間たちとの対話、音楽誌に残されたインタビュアー仕事まで一挙掲載。日本のロック史、ヒップホップ史に深く関わってきた長い旅路を俯瞰します。
また、巻末では自身が解説する「近田春夫を作った洋楽100曲」企画に加えて、奇跡的に発掘された青年期~幼少期の日記も公開! 音楽と共に歩み続けてきた男の半世紀超を詰め込んだ、全ファン必携の永久保存版です!
【主な内容】
◎コロナ禍の間に綴られた未発表コラム『未体験ゾーンに突入』
◎仲間たちとの対話:デビュー50周年記念 ハルヲフォン鼎談(近田春夫・恒田義見・高木英一)/楳図かずお/カルメン・マキ/竹田和夫/沖山優司/窪田晴男/渡辺秀文/高木完+OMB
◎洋楽インタビュー集:キッス/チープ・トリック/J.ガイルズ・バンド/ブッカー・T.ジョーンズ/L.L.・クール・J
◎ソロアルバム『天然の美』(1979年)リリース時の貴重なインタビューを復刻
◎自ら解説、“近田春夫を作った洋楽100曲”
◎青年期~幼少期の日記を公開
(*表紙・口絵イラスト:近田春夫)
近田春夫『未体験白書』
A5判/428頁/定価:3,300円(税込)/11月25日発売
近田春夫『未体験白書』発売記念トークライブ
ハルヲフォン デビュー50周年&
『星くず兄弟の伝説』45周年 Wセレブレーション
近田春夫の半世紀以上に及ぶ音楽家人生をグッと凝縮した
書籍『未体験白書』が11/25に発売。
同書の対談企画で再会したハルヲフォンは、今年でデビュー50周年!
そして近田のソロアルバム『星くず兄弟の伝説』はリリース45周年!
2つのアニバーサリーを、
ハルヲフォン+高木完という顔ぶれで盛大に祝います。
ゲスト:恒田義見・高木英一(ハルヲフォン〜活躍中)、高木完
●日時:12/11(木)18:00開場 19:00開演
●料金
前売り:3,500円(+ドリンク)
当日:4,000円(+ドリンク)
●会場:LOFT9 Shibuya
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