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今年初めて候補者リスト入りしたINXSから紐解く、「ロックの殿堂」とオーストラリア出身アーティストたちの距離

※INXSの代表作であり歴史的ヒット作『Kick』(1987年)のアルバム・カヴァーとバック・カヴァー。

2月26日MLCニュースでお伝えした今年度「ロックの殿堂」ノミネートの顔ぶれの中に、INXSの名前を見つけて喜んだ人も多いことでしょう。シドニーのノーザン・ビーチで結成されてから40年以上経過した彼らが、今年の殿堂入り候補に選ばれたことは、世界的成功を収めたオーストラリア出身バンドの一組である彼らにとって、非常に意義深い瞬間となりました。
2026年の候補者17組には、他にマライア・キャリー、フィル・コリンズ、ピンク、シャキーラ、ローリン・ヒル、ウータン・クラン、ルーサー・ヴァンドロス、オアシス、そしてジョイ・ディヴィジョン/ニューオーダーが選出されています。このうちINXSを含む10組が初ノミネートです。
 
ロックの殿堂には、最初の商業レコーディングから25年が経過したアーティストのみが選出対象という厳然たる規定があります。その基準をクリアしたこれらの候補者の中から、1,200名以上のアーティストたち、歴史家及び業界の専門家たちから構成された審査委員会によって選定された2026年の殿堂入り対象者が発表されることになっています。
 
オーストラリアにとって、INXSの候補入りはクリーヴランド(ロックの殿堂本拠地)における国家としての存在感をめぐる議論を再燃させるものです。現在までのところ、オーストラリア出身で殿堂入りしているアーティストは数えるほどしかいません。2003年、AC/DCが『Back In Black』をはじめとする作品で、世界的に認められたその革新性により殿堂入りを果たしました。ビー・ジーズのギブ兄弟は英国生まれですが、育ったのもグループを結成したのもオーストラリアで、長年にわたりポップとディスコの概念を再定義した功績により、1997年に殿堂入りしています。オリヴィア・ニュートン=ジョンがポップとカントリーのジャンルを超えた圧倒的なポピュラリティを評価されて殿堂入りしたのは2022年になってようやくでした。メルボルン生まれのベーシスト、フリーがレッド・ホット・チリ・ペッパーズのメンバーとして殿堂入りしたのは2012年のことです。

[左から]
AC/DC『Back In Black』(1980年)Amazon Music(JUL 25 1980)
ビー・ジーズ『Main Course』(1975年)Amazon Music(JUN 01 1975)
オリビア・ニュートン・ジョン『Physical (Deluxe Edition)』(1981年)Amazon Music(OCT 01 1981)
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『Blood Sugar Sex Magik』(1991年)Amazon Music(SEP 24 1991)

INXSのグローバルな商業的実績は、これらのアーティストと並べても全く引けを取るものではありません。レコード総売り上げ枚数は7000万枚超を数え、3度のグラミー賞ノミネートも経験し、バンドはパブ・サーキットの常連からスタジアムのヘッドライナーへと深化を遂げました。1977年にザ・ファリス・ブラザーズとして結成された彼らのオリジナル・ラインナップのマイケル・ハッチェンス、アンドリュー・ファリス、ティム・ファリス、ジョン・ファリス、カーク・ペンギリー、そしてガリー・ゲイリー・ビアーズは、1980年代のオーストラリアを代表するロックの輸出品でした。
 
彼らのアメリカでのブレイクには圧倒的な勢いがありました。「What You Need」が1985年に初めての全米トップ10シングルとなったのを手始めに、1987年には「Need You Tonight」はビルボード・ホット100で第1位を獲得、続く「Devil Inside」は最高位第2位、 「New Sensation」も最高位第3位を記録しました。「Never Tear Us Apart」、「Disappear」、そして「Suicide Blonde」も続けざまにヒットとなり、INXSはこの時代において最大級の成功を収めたインターナショナル・アクトとなったのです。「Never Tear Us Apart」は今もオーストラリアのカルチャーにおけるひとつの試金石で、一番ホットなオーストラリア生まれの楽曲を選ぶ投票でも 3年連続で首位を獲得、彼らの海外での実績と並行して、国内でのレガシーも一層強固なものにしています。

1997年11月シドニーで、マイケル・ハッチェンスが37歳の若さにしてこの世を去ったことで、バンドはその最も華々しい章の半ばで唐突な終止符を打つことを余儀なくされました。彼の死は検視官の公式報告書に自殺として記載されました。INXSはそれから約一年間ライヴ活動を休止した後、ジョン・スティーヴンスを迎えて再始動し、更にはJD・フォーチュンやキーラン・グリビンらがフロントマンを務めました。グループは2012年11月を最後に公の場でライヴは行っていませんが、アーカイヴ・プロジェクトやカタログのリリース等で変わらず活動しています。

ちなみに、前述のアーティストたち以外にも、審査要件を満たしながら殿堂の壁の外側にいるオーストラリア出身アーティストは沢山存在します。ミッドナイト・オイルはその政治性とコマーシャルなインパクトを保持しつつ、アメリカでも『Diesel And Dust』をはじめとするアルバムをリリースして評価を得ています。サヴェージ・ガーデンは「Truly Madly Deeply」と「I Knew I Loved You」の2枚のシングルで全米No.1を獲得しました。ニック・ケイヴは40年にわたり比類なき国際的なカタログを構築しています。そしてカイリー・ミノーグは長きにわたりオーストラリアが誇る最も世界的に知られたポップ・アイコンのひとりとして君臨し、各国市場で絶えずチャートを賑わせ続けています。

[左から]
ミッドナイト・オイル『Diesel And Dust』(1987年)Amazon Music(MAY 06 2008)
サヴェージ・ガーデン『Savage Garden』(1997年)Amazon Music(MAR 24 1997
ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ『From Her To Eternity』(1984年)Amazon Music(MAY 01 1984)
★カイリー・ミノーグ 『Fever』(2001年)Amazon Music(OCT 01 2001)

全米チャートの歴史データもまた、オーストラリアからの輸出アクトの強さを物語っています。リック・スプリングフィールド、ヘレン・レディ、リトル・リヴァー・バンド、エア・サプライ、アンディ・ギブ、そしてメン・アット・ワークといった面々が、それぞれにビルボード・チャート上で相当な成功を収めていることからも、オーストラリアのアーティストたちがアメリカのオーディエンスに対して永続的に共感を呼ぶ力があることの証左となっているのです。

[左から]
リック・スプリングフィールド『Jessie's Girl』(1981年)Amazon Music(FEB 01 1981)
ヘレン・レディ『Love Song For Jeffrey』(1974年)Amazon Music(MAR 25 1974)
リトル・リヴァー・バンド『First Under The Wire』(1979年)Amazon Music(MAR 24 1997)
エア・サプライ『Now and Forever』(1982年)Amazon(2017/8/2)輸入盤・CD
アンディ・ギブ 『Shadow Dancing』(1978年)Amazon Music(JUN 01 1978)
メン・アット・ワーク 『Cargo』(1983年)Amazon Music(JUN 28 1983)

殿堂入りの審査基準には、影響力、カルチャー的インパクト、活動の幅広さ、そしてキャリアの長さが考慮されると言います。その基準に照らしても、ニュー・ウェイヴ、ロック、ダンスのテクスチュアをクロスオーヴァーしつつ、メインストリームのオーディエンスへの到達力も維持していたINXSの実績は十分な説得力を持つものです。
 
2026年に殿堂入りを果たす顔ぶれは4月に発表されます。とは言え、INXSとオーストラリアの音楽界にとっては、この候補者リスト入り自体が、世代を超え国境を越えて人々の間に広まり続けているカタログに対する、あらためての国際的な賞賛の印であると受け取ってよいでしょう。

商品情報
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Deluxe LP + 3CD

Amazon(2025/5/9)輸入盤[LP + 3CD]

 
商品詳細
INXS 
『X』


Amazon Music(SEP 25 1990)
商品詳細
INXS
『Live Baby Live』


Amazon Music(NOV 11 1991)
Amazon(2019/11/15)¥3.960・CD
商品詳細
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Amazon(2020/03/31)輸入盤・DVD
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