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【イベント・レポート】
マーティ・フリードマン×Yuki Kuroyanagi
「ラモーンズは原点なんです!」
「I Love RAMONES Deluxe Edition」発売記念トーク・イベント
2026年5月9日/ジュンク堂書店池袋本店
ラモーンズと密接につながりながらバンドの歩みを見つめ続け、日本でのファンクラブ会長も務めたフォトグラファー:Yuki Kuroyanagiさんによって綴られた書籍『I Love RAMONES Deluxe Edition』。この出版記念として、ジュンク堂書店池袋本店にて『Yuki Kuroyanagi写真展 ロックの激情』が開催されています(6月2日まで開催中。詳細は下記)。
会場ではトーク・イベントも行なわれ、その第2弾として5月9日のゲストに招かれたのは、ラモーンズ信奉者であることを公言してやまないマーティ・フリードマンさん。公私ともに親交が深く、そしてラモーンズ愛の深さでは引けを取らないお2人による熱烈トークの模様をお届けします!
まず、演壇に登場したのはYukiさん。身につけているのはマーティさんがUSAツアー時に作ったTシャツで、なんとラモーンズのロゴ・マークのオマージュになっているというクールなデザイン。続いて登場したマーティさんによれば、「これはアメリカ・ツアーの物販で一番売れてるTシャツ」とのこと。
トークはまず、お2人の交流が生まれたきっかけや、親しくなってからのエピソードが飛び出していきなりスピード全開状態に。ポイントを抜き出すと以下の通り。
●2人が知り合ったのは、メガデスのアルバムを日本で発売していた東芝EMIの担当氏からYukiさんに電話があり、「マーティ・フリードマンがラモーンズのライナーノーツを読んで、(執筆者に)会いたいと言っている」との連絡を受けたことがきっかけ
●マーティさんが日本に移住するため、家を探している時にYukiさんの家に居候していた。ゴミの捨て方なども教えてもらった。
●マーティさんが中野から渋谷に向かう時に「バスに乗るように」アドバイスしたら、その週の『POWER ROCK TODAY』で「マーティ・フリードマンにそっくりな人が中野のバス停に並んでいたんですけど、そんなことないですよね?」というリスナー投稿が伊藤政則氏に読まれた。
…という2人の絆の深さを感じさせるエピソードで早速盛り上がりましたが、「ラモーンズについて1つも話せなくなっちゃう」ということで、若干慌て気味に本題へ。まず、マーティさんが「トミー・ラモーンを含むオリジナル・ラモーンズのライヴを観たことがある」という話題から。
Yuki:70年代のラモーンズを観てる人なんて日本にほぼいないと思うんです。いらっしゃいますか? 70年代のラモーンズを観た人。
(挙手する人はゼロ)
Yuki:いないよね。だって1980年が初来日だから。もうドラムはマーキー(ラモーン)。
マーティ:(トミーのいるラモーンズを観た経験は)自慢ですよ(笑)。
Yuki:それ、どこで観たの?
マーティ:何回も自慢するのが本当に申し訳ない…。年がバレちゃうし(笑)。
Yuki:バレてもいいでしょ(笑)。何歳で見たの?
マーティ:14歳ぐらいで、僕は東海岸のワシントンD.C.に住んでたんですよ。(ラモーンズの本拠地の)ニューヨークに近いから、何回も来るじゃないですか。だから多分3、4回ぐらい、ワシントンD.C.、ボルチモア、ヴァージニア州とかで、ラモーンズのライヴを観に行ったんです。
Yuki:どうやって行ったの? 車で?
マーティ:車。16歳から免許(が取れるから)、16歳ぐらいの友達がいるとか。僕も16歳で観に行った時は、車を自分で運転して。
Yuki:はいはい。
マーティ:(ラモーンズを観て)人生が変わったんですよ。みんな観てますよね、“エンド・オブ・ザ・センチュリー”(2003年のドキュメンタリー映画『End of the Century: The Story of the Ramones』のこと)。その中で「Judy Is A Punk」とかやってるじゃないですか。あのサウンドそのままですよ。本当に人生の転機で、「これだ!」と思ったんです。
Yuki:いいよねえ、トミーを観てるんだから。
マーティ:(自慢げに)トミーでしか観たことないし(笑)。もちろんマーキーも大好きなんですけど、でもトミーの時代って、純粋なラモーンズのサウンドが生まれて、みんなそれが大好きになった。その後も(バンドは)その音を守ろうとしていましたよね。でも僕が本当に純粋なラモーンズを観られたのはその時だけ。
Yuki:それが14〜15歳の時でしょ? (ラモーンズを観て)ギターをやろうかなとか思っちゃったの?
マーティ:観る前にギターは弾いてたんですよ。ギターを弾こうと思ったきっかけもラモーンズ。ド下手でしたけどね。難しくて、手が動かなくて。
Yuki:そうなの?
マーティ:ラモーンズの2枚目はジャケ買いしました。『Leave Home』。
Yuki:あれでジャケ買いしちゃったんだね。
マーティ:「こういう人たち、かっこいいかも!」と思ってジャケ買いして、聴いた瞬間に大好きになって。「なんとかギターで弾けるかな」と思ったんです。(それから)ずっとラモーンズしか弾かなかった。
Ramones
『Leave Home (40th Anniversary Deluxe Edition)』
Amazon Music(JAN 10 1977)
Yuki:今のマーティの感覚で言っても、ラモーンズって難しいの?
マーティ:実は、ちゃんと弾くのはかなり難しいんです。適当に弾くなら超簡単(笑)。でもちゃんと弾くのは…まあ僕の知っている人の中でも、手で数えられる程度だと思います。だってさ、言っちゃ悪いですけど──僕はCJ(ラモーン)と一緒にツアーを回ったんですよ。(渋谷クラブ)クアトロだったかな?
Yuki:あ、違う違う。高円寺HIGHだ。
マーティ:そう。僕は3〜4曲ぐらいやったんですけど、その他の曲(でギターを弾いたの)はラモーンズのプロデューサーのダニエルさん。
Yuki:CJとダニエル・レイが来たんですよ。ダニエル・レイ・バンドっていうかね。
※2010年2月に来日。ダニエル・レイは『Halfway To Sanity』(1987年)以降のアルバム・プロデュースの他、作曲や演奏でも度々ラモーンズに助力。この来日時のドラマーは元カイアスのブラント・ビョークだった。
マーティ:彼はラモーンズのアルバムを何枚もプロデュースしてるじゃないですか。なのに、ラモーンズの曲でダウン・ストロークを一切しなかったんです。僕は超がっかりしたんですよ!
Yuki:素晴らしい! ここは拍手ですよ!
マーティ:僕はラモーンズのピュリスト(純粋主義者)ですから。
Yuki:知ってます、だからここにいるんです(笑)。ダニエル・レイを観て(マーティが)「あれでいいの?」って言ってた(笑)。
マーティ:よくあれでCJに怒られなかったですよね。
Yuki:ギタリストが見つからなかったんじゃない?
マーティ:だからラモーンズを本当にガチでやるのは難しいんですよ。日本でラモーンズのカヴァー・バンドをやったことがあるんです。僕がヴォーカルで。あのギタリストはちゃんとダウン・ストロークしていましたね。
Yuki:そう。マーティは時々ラモーンズをやりたくなっちゃうんだよね?
マーティ:いつでもやる! 呼んでください!(笑)
Yuki:はい、呼びますけどね(笑)。そのマーティが日本に来て居候していたのって、私がラモーンズのイベントをよくやってた時で…あれはもう19年前だ。『I Love RAMONES』の初版が出た時に、少年ナイフと広島のバンドとで、横川シネマっていう映画館を借りて、そこでラモーンズのコピー大会をやったんです。
※2007年10月26日、広島の横川シネマで開催された『RAMONES NIGHT SPECIAL EDITION』。ドキュメンタリー映画『TOO TOUGH TO DIE』の上映や、少年ナイフ、マーティ、早朝ピストンズによるライヴが行なわれた。
Yuki:その時マーティは仕事で大阪にいたんですよ。「僕も出る」って言い出して。「でも大阪と広島って遠いよ」「知ってる」「新幹線に乗るんだよ」「知ってる」って。仕事が大阪であったのに来ちゃったんです。で、ギターだけは貸してくださいっていうことで、他のバンドもいたからモズライトのギターがあったんです。で、そのモズライトを借りてラモーンズをやったんだけど、ダウンでずっと弾いていたら、爪が割れたか何かで流血しちゃって、白のモズライトが本当に血まみれ(笑)。革ジャン着たラモンーズ・ファンが唖然として「マーティさん大丈夫なんですか? 明日も大阪で仕事があるのに」って、引くぐらい真っ青になってました。
マーティ:血を出さないと良いライヴと言えないですよ!
Yuki:怖いよ!(笑)
マーティ:怖くないですよ! その魂がわかる人はいると思います。僕のバンドのドラムのCHARGEEEEEE...君もその魂を分かってる。血を出したライヴが終わったら、ビールが美味しいんですよ(笑)。
Yuki:いやいや、ホラーだね(笑)。
マーティ:100%を出したんだから、全然痛くないんです。
Yuki:マーティは、80年代のアメリカにいたじゃない。本(『I Love RAMONES Deluxe Edition』)にも載ってるんですけど、その頃のラモーンズのライヴって800とか1000ぐらいのキャパシティのクラブばかりなんです。全然人気がないっていう意味で。でも、80年代だとメタリカとか色んなバンドがカヴァーしてくれたりしたでしょ。アメリカで人気はないんだけど、ミュージシャンの間では「ラモーンズっていいよね」みたいなことはなってたんですか?
マーティ: えー…実は70年代に観た時も、そのぐらいのサイズの箱でしたよ。最初からそんなに人気じゃないけど、ファンは非常に熱狂的。レベルが違う…レベチの熱狂的なファンたちだから、ラモーンズ(の人気)が上がったり下がったりしても、ファンたちの熱は変わらないんです。
Yuki:なるほど。
マーティ:ちょっとアウトサイダーでマニアックな世界なんだから、「今年のラモーンズは人気」とか「人気がない」とか、ファンたちはそんなこと考えないで、何をやってもとにかく応援する、みたいな感じ。
Yuki:まあファンは今もそうだよね。ミュージシャンの間ではどう?
マーティ:一般の方よりミュージシャンの方がラモーンズファンは多いですよ。
Yuki:あ、そうなの?
マーティ: なんでだろ? 僕がそうだけど、楽器を頑張る刺激になるんです。簡単でもないけど、再現できる。ちょっと達成感を得られる。
Yuki:あ、なるほどね。
マーティ:どんなアーティストでも、完璧(にコピーするの)は難しいじゃん。でもラモーンズ(の曲は)、すごい達成感がある。だって「Surfin' Bird」は1コード。でも、その1コードを3分弾くと疲れるでしょ。だからラモーンズのトリビュート・バンドも、ガンズ・アンド・ローゼズもメタリカも…みんな僕と同じようにラモーンズファンで、「あ、ギターってこんだけ楽しいんだ」って、みんな共感するんです。
Yuki:なるほど。すごい説得力がある。
Yuki:ジョニー・ラモーンが私にファンクラブをスタートさせたのは、日本のファンと繋がりたかったからなんですね。ジョニーは日本のファンと色々話したい、何かしてあげたいと思っても、言葉の壁があって通じない。「だからお前がファンクラブをやれ」と。そうすれば私が司令塔になってジョニーの気持ちを伝えられるから、っていうことでファンクラブをスタートしたんですよ。
マーティ:え、ジョニーのアイデアだったんですか?
Yuki:そうですよ。それでね、(マーティに)聞きたいのは──ジョニーは日本のファンが特別だって言うわけ。日本とアメリカと、あと南米でも人気があったから…(各国の)ファンって、そんなに違うの? これはマーティじゃないと分からないと思う。
マーティ:かなり違いますよ。年齢や仕事や生活のタイプとか、そういうのは関係ない。例えば、このバンドのファンたちはみんな14歳の女の子…みたいなのが関係ない。それが日本のファン。もう一つ、日本のファンはミュージシャンを尊敬するんです。
Yuki:それはありますね。
マーティ:尊敬心というか、日本人はマナーが良くて、品がいい。とても優しいですね。英語が喋れなくても、ちょっと海外のファンとはその空気が違う。英語を一言も喋らなくても、品のある空気感が出るんです。
※マーティさんの目から見た日本のロック・ファンに対する印象、箇条書きするとこんな感じに。
●日本のファンはファンレターをくれる。しかも『くまのプーさん』が描いてあるような可愛い封筒に入っている。プレゼントも多数。
●ス○ッカーズしか食べられないようなロック・ミュージシャンにもデパ地下で売ってるような高そうなチョコレートをくれる。海外だとプレゼントをくれるのはストーカー行為に近い。
●こういうイベントに来るだけでもちゃんとオシャレをして来る。コンビニに行くだけでもしっかりメイクする。
Yuki:私がカメラを持って3〜4年目ぐらいだったんですけど、ジョニー・ラモーンからフォトパスをもらえるようになったんですよ。で、普通だったら(ライヴ時に撮影できるのは)頭3曲、最初の3曲しか撮っちゃいけないというルールがあるんだけど、ジョニーから「お前は今日からオールエリアのパスをあげるから、全曲撮っていいぞ」と言われるようになりました。それは嬉しいことじゃないですか。だから、このパスをもらえて感謝しているということで、「appreciate(感謝します)」って言ったんですよ。
マーティ:(笑)
Yuki:そしたら、「日本人はなんで、すぐ感謝するんだ?」って言うんですよ。そりゃパスをもらって、全曲撮っていいって言われるカメラマンはほとんどいないし、嬉しいからですよ。「どうしてappreciateって言っちゃいけないの?」って言ったら、「言う必要がない」って。これはどういうことなんでしょう?
マーティ:いや、簡単に説明できます。
Yuki:あ、簡単ですか。お願いします。
マーティ:ジョニーはユキさんを信用してるじゃないですか。ユキさんのことが写真家として好きなんです。「あなたの写真を確認した。オッケーです」ということ。だから彼からしたら、3曲だけじゃなくて、全部働けっていうこと。
Yuki:(強い口調で)「働け!」 って感じ?(笑)
マーティ:もしラモーンズが好きじゃなければ──嫌いなバンドに「3曲じゃなく全曲撮ってください」と言われたら、「感謝してます」って言わないでしょ(笑)。
Yuki:言わないかも…いや言うよ…いや、言わないな(笑)。
マーティ:彼からしたら、「この人だけは全曲撮ってほしい」。だから、命令。
Yuki:そう、(口調が)命令系なんですよ、ジョニー・ラモーンって。
マーティ:そうそう。だから命令されて、感謝してますって答えられる人、世の中には少ないでしょ(笑)。でもそれって、ファンとしては幸せじゃないですか。
Yuki:幸せでした。だから、「appreciate」って頭まで下げちゃった。
マーティ:超分かる。僕も全く同じことをしますよ。
Yuki:そうでしょう。
マーティ:(同じことを)するんだけど、「頑張ります」って言う方がもっとかっこいい。侍魂ですよ。
Yuki:侍魂なんだ(笑)。「サンキュー」ぐらいにしといたほうがよかったってことね?
マーティ:サンキューじゃなく、「かしこまりました」。だって、働けと言われたんだから。
Yuki:そうか、まあ仕事ってことね。
マーティ:そう。でも、ジョニーは非常に厳しかったみたいですね?
Yuki:厳しいです。
マーティ:でもユキさんの写真は大好きだったみたい。ちなみに、ライヴで3曲しか撮影が許されないって、なんでだか分かります? みんな分かるでしょ?
Yuki:分かんない。
マーティ:最初の3曲って、まだバンドが綺麗でしょ。
Yuki:そう。
マーティ:その後、(汗とかかいてメイクが)ボロボロになっちゃうから。
Yuki:そうなのかぁ(笑)。でも撮る側からしたら、5曲目とか6曲目に「この曲だよ!」みたいなのもあるんですよ。
マーティ:それも分かります。世の中にいい写真家って少ないんです。だからいい写真家を見つけたら、できるだけ多く撮ってほしい。だから、多分ジョニーの中で、ユキさんは世界一の写真家だったんですよ。
Yuki:あ、ありがとうございます。
マーティ:いや、僕もそう思います。
Yuki:ラモーンズで最初にカヴァーした曲ってなんだか覚えてる? 2nd(『Leave Home』の曲)かな?
マーティ:まあ、2ndから(の曲)なんですけど。僕はその当時、レコード、アナログ盤、だから、サイド1を全部やる。それからサイド2を全部やる、セットみたいな。
Yuki:そうかそうか。A面、次はB面、みたいな感じで。
マーティ:セットリストみたいなやり方で、それでスタミナを(つける)。ラモーンズは何よりスタミナが必要だから。
Yuki:本当にその通り。アリゾナに住んでた時にお友達とカヴァー・バンドをやってよね? その頃はまだ(今みたいに)ネットでやり取りができなかったんじゃないかな。そしたら、マーティから「今日ラモーンズTシャツだぜ」って(メッセージが)ポンと送られてきて、「今から友達とリハやるんだ」って。それこそメガデスのツアーが終わったばっかりの時でしょ。まだ(ツアーが終わって)2日ぐらいしか経ってないのに、「疲れていてもラモーンズはやるんだ!」みたいな感じで、びっくりした。
マーティ: だからいくら疲れても、やるの!
Yuki:絶対やる! すごいですよ! メガデスの長いツアーから帰ってきて2日目で、もうラモーンズをやるなんて。
マーティ:その時はね、『It’s Alive』のアルバムを完全演奏したんですよ。
Yuki:『It’s Alive』全部やったんだ!(笑)
Ramones
『It's Alive (40th Anniversary Deluxe Edition)』
Amazon Music(SEP 27 2019)
マーティ:そのまま最初から最後まで再現しました。もうスタミナ祭り。
Yuki:スタミナ祭り!(笑) なんか卵が乗ってそう(笑)。アリゾナに行けば『It’s Alive』がフルで観られたんですよ。すごくないですか?
マーティ:実はYouTubeで…フルではないですけど、1、2曲ぐらい(その時のライヴ動画が)あるんですよ。
Yuki:あるんだ!
マーティ:探さなくてもいいんだけどね(笑)。ラモーンズには負けるから!
Yuki:いやいや、負けてないですよ。流血ライヴなんだから。
※「marty friedman rocket to russia」と検索すると何か見つかる…かも。
Yuki:ラモーンズの曲をやる時の大事なポイントは何ですか?
マーティ: まず、当たり前なんだけど全部ダウン・ストローク。あと、ガチでやるんだったらメンバーのポーズ(のコピー)とかね。ギターとベースはAメロが終わったら(前に)出る、サビが終わったら(後ろに)戻るとか、そういうタイミングがいつも同じだから。
Yuki:思い出した! いつだったっけな、亀戸のライヴハウスでラモーンズ・ファンクラブのイベントをやったんですよ(2010年11月)。その時にマーティがギターを弾いて、POTSHOTのRYOJI君が歌って、っていう即席バンドをやったんです。でも、マーティがうるさいのよ、色々な注文をして。
マーティ: うるさい…(笑)。
Yuki:いい意味でうるさい。ラモーンズのライヴって前に出てフォーメーションして、一回下がるとか、ここで革ジャンを脱ぐとかあるんですよ。
マーティ: そう。
Yuki:マーティは 「あの人たち、そういうの分かってるかな?」みたいな感じで、もうすごいんですよ(笑)。マーティって、ラモーンズとはタイプの全然違うギターを弾くじゃないですか。でもこだわりが本当にすごくて。それを見ていると(尊敬気味に)「はぁ〜」って感じになっちゃうんだよね。
マーティ:申し訳ないです(笑)。
Yuki:申し訳なくないです(笑)。
マーティ: でも、やるんだったらちゃんとやる!
Yuki:いつもそうだよね。本当にびっくりしました。フォーメーションとかもちゃんとやってて、ラモーンズをよく見てるねえって。
マーティ: そりゃ見てますよ。だって原点じゃん。
Yuki:「原点じゃん」! これ、メモしといてください。
Yuki:ラモーンズで「やりたい曲は何ですか?」って訊かれたら、どの曲になります?
マーティ: CJともやった曲ですね。「Glad To See You Go」「California Sun」…あと、「Oh, Oh, I Love Her So」とか、「Let’s Dance」とか。
Yuki:わりと速い曲ばかり。
マーティ:そう、「Rockaway Beach」とか。
Yuki:CJとやった時って、リハーサルはやったの?
マーティ: やってない。いつもやらないよね。ラモーンズの曲をやるのにリハが必要だったら可哀想でしょ。
Yuki:可哀想!
マーティ: ラモーンズは体の中に染み込んでるはずですよ!
Yuki:マーティは染み込んでますからね。CJとやった時、“ラモーンズ感” みたいなのは味わえた?
マーティ:すっごい光栄でした! だって本物のラモーンズですよ。彼のおかげで、ラモーンズの命が延ばされたでしょ。
Yuki:すごい、なんか評論家みたいになってきた(笑)。
マーティ: いや、本当に。みんなわかってるじゃないですか、本物はディー・ディー・ラモーン(在籍時のラモーンズ)だって。でもディー・ディー(が在籍したまま)だとラモーンズはそのままで終わっていた。 CJのおかげで僕らはずっとラモーンズを楽しめたんです。もう永遠に感謝ですね。ありがたいです。
Yuki:(客席を眺めて)みんな、うん、うんって頷いてます。
マーティ:もちろんディー・ディーには続けて欲しかったんですけど…彼はそんな人間じゃないから(笑)。
Yuki:ラモーンズのアルバムは、やっぱり初期の3枚ぐらいが好きですか?
マーティ:そうですね。僕は結構厳しいですよ。
Yuki:はい、知ってます(笑)。
マーティ: もちろん、全部買ったんですけど、『Road to Ruin』までは、もう全部100点。
Yuki:おおー。
マーティ: その後は、まあ、あの…当たり外れがあります(笑)。
Yuki:それってプロデューサーのせいかな? 『End of the Century』とかその後の…。
マーティ:僕が世界一好きなプロデューサーは(『End of the Century』を手掛けた)フィル・スペクターなんです。だから(あのアルバムは)まあ良かった。でも最初の4枚のアルバムは、本当になんていうか…もうダイアモンド。触ることができない完璧さなんです。魔法ですよね。まあ、これは僕一人の意見だけど。
Yuki:そういう風に思ってる人、多いと思いますよ。
マーティ: あと『It’s Alive』の音は、本当にラモーンズのライヴそのままの音。
Yuki:だって、トミー(在籍時のライヴを)観てるもんね。
マーティ:あ、それは言わないでください(笑)。
Yuki:なんで? 羨ましいよ(笑)。
マーティ:トミーに会ったことありますか?
Yuki:ないよ。会ったことあります?
マーティ:会ったのはジョニー。15歳ぐらいで、ライヴを観に行った時に出待ちしてたんです。
Yuki:出待ちしたんだ!
マーティ: その時にジョニーを発見して、「本当に全部ダウン・ストロークでやってますか?」って聞いて、「ああ、やってたよ」ぐらいの会話。
Yuki:おおー!
マーティ:で、90年代のことなんですけど、空港で(ジョニーに会った)。彼も同じ空港だったんです。二人ともそれぞれのバンドでツアーしていて。2人とも走りながら、僕は「あ、ジョニーだ」、彼は「あ、マーティ」みたいな感じ。話はしなかったんですけど、僕の存在が分かったのかな?
Yuki:そりゃあ、分かったんじゃない? だってメガデスのツアーの時でしょ?
マーティ:そう。でも彼がメガデスを知っていたかどうか分からないから。CJだったら知ってたかもしれないけど。ジョーイは僕のことを分かってましたね。ジョーイとニューヨークのバーで会って、盛り上がったんですよ。彼はメタルをよく知ってたからね。
Yuki:そうそう、ジョーイは知ってるんです。
マーティ:僕はちょっとミーハーな気持ちでジョーイと話したんですけど。
Yuki:何話したの? いいな。
マーティ: えー…ジョーイがオーストラリアのツアーの時にメガデスのMVを観てくれた、って話しか覚えてないです。一番話をしたのはディー・ディーですね。yukiさんが一緒の時だったんですよ。
Yuki:それ、ちょっとやばい時だよね。ディー・ディーが来日して…ひっどいライヴだったんですよ。
※ディー・ディーが亡くなる前年の2001年7月に来日が実現。ディー・ディーの妻でザ・リメインズのベーシストでもあったバーバラ・ラモーン(ザンピニ)も参加。
Yuki:原宿アストロホールで、これだったらラモーンズのイメージが崩れるから見たくないと思ったわけ。そしたらファンの方たちが出てきて、私の顔を見てすぐ言ったんですよ。「ひどいのは分かってます。でも、僕にとってここで “1-2-3-4”(ラモーンズが曲を始める時の独特なタイミングでのカウント)が聴けたのは、それだけでもう幸せだから、これ以上は何にも言わないでくれ」って。
マーティ:そういうことですよ。僕は(ディー・ディーと)一緒に写真を撮れたのが、何より嬉しかったんです。
Yuki:そう、マーティは本当に嬉しそうで。本当にファンなんだということ。(ラモーンズの曲を)聴き込んでるし、バンドのポリシーみたいなものも分かってる。ちょっと話が脱線しちゃうんだけど、私はレイヴンっていうイギリスのバンドも好きなんですよ。で、マーティがウチに居候していた時に「僕はレイヴンも好きだ」って言うから「あ、この人は居候しているから、気を遣ってそういうことを言ってるんだな」って思ったら、レイヴンのジョン・ギャラガーにファンレターまで書いていたっていうんです。
※マーティさんはレイヴンの2009年来日公演にもゲスト出演。
Yuki:で、何で今レイヴンの話を出したかっていうと、ジョニー・ラモーンとCJ・ラモーンがウチに来たことがあるんですよ。その時にジョニーが、ウチのLP棚をこうやって(仁王立ちのようなポーズで)見て、「ふーん」って。「このラモーンズの次にあるレイヴンって何だ?」みたいに言って。「そのバンドも好きで」って言ったの。そしたらジョニーが「どういう音なんだ」って訊くから「うーん、うるさいかな」って言ったら、CJが「レイヴンを知らないの?」みたいなことになったんです。(ラモーンズとレイヴンの)どこに共通点があるか分からないけど、そういうバンドが好きっていうところが似てるよね、マーティとは。
※こういった話で盛り上がっていると、あっという間に終了の時間に。
マーティ:いやー、超嬉しい。皆さんがこうやって来てくれて、Yukiさんを応援して、こういう素敵な本が出せて…ラモーンズの魂がこれだけ生きてるっていうことですよ。心が一杯になりますね。
Yuki:ありがとうございます。マーティはオリジナルの「I LOVE RAMONES」を読んでくれてたんですよね。すごいよね、あの日本語の本を全部読むって。読んでみて、どう思いました?
マーティ:本当にインサイダーの話が載っていますよね。でもね、世の中には、少ないんですよ…ラモーンズって友達が少ないバンドなんだと思う。
Yuki:そうなの!?(笑)
マーティ:ラモーンズのインナーサークルの中に入れる人は少ないんです。だから、この(本に載っている)情報は非常に貴重。本当にわかりやすいし。僕はYukiさんの立場が分かるし、性格も分かるから、このこのインサイダー情報を一言一言大事に読みましたよ。楽しかった。
Yuki:ああ、もうありがとうございます。
マーティ:あとYukiさんはね、正直言うタイプですから。
Yuki:え? ごめんね(笑)。
マーティ:日本人はみんな、(物事を)柔らかく、優しく言うんですよ。Yukiさんは正直なタイプだから、その本に書かれてる情報は絶対正しいと分かる。
Yuki:そう…ね。そうかも(笑)。
マーティ:あれがすごく好きです。ラモーンズのバンド・ライフって、綺麗なものじゃなかったでしょ?
Yuki:綺麗じゃないです。マーティもそこはミュージシャンだから分かるんじゃない?
マーティ:分かりますよ。Yukiさんはラモーンズの有名な(ツアー移動に使っていた)バンに乗ったことがあるじゃないですか。
Yuki:乗りました。
マーティ:あのバンって、汚くて面白いじゃないですか。
Yuki:乗りたい?
マーティ:乗りたくない(笑)。ドライクリーニング(屋の車)みたいなバンでしょ?
Yuki:そうそう。アメリカの映画とかに出てくるような。
マーティ:でも彼らは僕らのために、そんな汚いバンに乗って苦労していた。よく頑張ったんですよ。
ここで時間終了。
マーティさんとYukiさんの阿吽の呼吸ぶりはレポートをご覧いただければ分かるはずですが、その会話から飛び出してくるマニアックな情報が特に説明も必要ないまま観客の皆さんに伝わり、それを楽しんでいる。会場に集まっている全員がラモーンズ好きだという温かい、いや熱い空気に満ちていたことが何より印象的でした。
マーティさんも絶賛、Yukiさんの熱い想いが篭った『I Love RAMONES Deluxe Edition』、ぜひご覧ください!
I Love RAMONES Deluxe Edition
Yuki Kuroyanagi 著
B5変型/296ページ/3,000円(税込)
ロックの激情 Yuki Kuroyanagi写真展
『I Love RAMONES Deluxe Edition』出版記念
※6/2(火)まで開催中 入場無料
<5/24 Yuki Kuroyanagiトークイベント 開演時間変更のお知らせ>
5月24日(日)17:00から、進行に赤尾美香さん(音楽ライター/元MUSIC LIFE編集部)をお迎えする入場無料のYuki Kuroyanagiトークイベントですが、開演時間が会場の都合により変更となります。新しい開演時間は17:30からとなります。何卒ご理解、ご了承のほどお願い申し上げます。
また、イベントへのご参加に関しましては、「イベント参加整理券」が必要となります。「イベント参加整理券」はイベント当日、5/24(日)午前10時30分から9Fのサービスカウンターにて配布(お一人様1枚)いたします。数に限りがございます。無くなり次第配券終了とさせていただきます。
トークイベント開催概要
開催日:5月24日(日)
開場時間:17:15
開演時間:17:30
出演:Yuki Kuroyanagi
進行:赤尾美香(音楽ライター/元MUSIC LIFE編集部)
テーマ「ロック・フォトグラファーが見たフジロック、サマーソニックの現場」
ジュンク堂書店 池袋本店 9階イベントスペース
イベント参加整理券お持ちの方のみ観覧可能
Yuki Kuroyanagi/畔柳ユキ
ロック写真家、ラモーンズ・ファンクラブ・ジャパン会長。音楽雑誌『BURRN!』創刊メンバーで、83年の創刊号から数年グラフィック・デザインを担当。91年に渡米しニューヨークの撮影スタジオで勤務し、帰国後もスタジオ勤務を経て独立。フジロック、サマーソニックの第1回からオフィシャル・カメラマンとして参加した他、ロックからクラシックまで音楽を中心としたエンタメ業界で現在も活動を続ける。またNYの伝説的バンド、ラモーンズのリーダー、ジョニー・ラモーンから要請を受け、93年にファンクラブを設立し、会長として活動をワールドワイドでアクティヴに遂行中。近年はアジア映画ドラマ雑誌でコラムの執筆や、某プロ野球球団のファンクラブ会報誌の取材・制作に関わっている。
※Yukiさん、マーティさんが同席した『ROCK FUJIYAMA』の動画はこちら。ダウン・ストローク命なマーティさんが観られます。
商品情報
ラモーンズ
『ラモーンズの激情』(MQA-CD / UHQCD・完全生産限定盤)
・Amazon Music・MP3(1976/4/23)¥1,500
・CD(2019/8/7)¥2,851
商品情報
ラモーンズ
『Ramones Mania』
Amazon Music・MP3(1988/5/31)¥2,000
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