ダンカン・シーク死去。シンガー・ソングライターとしてデビュー曲「Barely Breathing」がヒット、ブロードウェイ作品でトニー賞受賞も

商品詳細 ダンカン・シーク『Duncan Sheik』
Amazon Music(JUN 04 1996)

9月17日、1996年にデビュー・シングル「Barely Breathing」を歌ってヒットさせ、後にはブロードウェイ・ミュージカル『Spring Awakening』[邦題:春のめざめ]の楽曲制作でトニー賞を受賞したシンガー・ソングライター、ダンカン・シークが亡くなりました。享年56。『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に対し、シークの母スザンヌが息子の死を確認し、死因は臓器不全だったと付け加えたとのことです。彼は先週初め、詳細不明の健康上の問題により、「重篤ながら現在は小康状態にある」ことが伝えられており、病院での「治療が継続している」とされていました。

「ダンカン・シークがこの世を去りましたことを、私たちの深い悲しみと共にお伝えいたします。この世界からまたひとつ、類稀な才能と、音楽界及び演劇界に多大な影響を与えた声が失われました」と、シークのSNSアカウントは18日に投稿しました。「ダンカンはひとりの父親であり、夫であり、息子であり、兄弟であり、そして友人でした。彼を知る人々や愛する人々に示してくれた、その繊細さ、機知、知性、そして深い精神性は、いつまでも人々の記憶に残り続けることと思います」
 
ニュージャージー出身で、かつて在学したブラウン大学ではリサ・ローブと同級生であり、バンド仲間でもあったダンカン・スコット・シークが、自身の名を冠したデビューアルバムをリリースしたのは1996年のことでした。このアルバムに収録されたシングル「Barely Breathing」はゴールド・ディスク認定を受け、ビルボード・ホット100で16位を記録し、55週連続でチャートにランクインしています。シークはこのヒット曲により、グラミー賞の最優秀男性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス部門にノミネートされました。

Duncan Sheik - Barely Breathing (Official Video)

この曲は結果的にシークにとって最も成功したシングルとなりましたが、彼はその後も音楽を世に送り出し続けており、「She Runs Away」「Reasons for Living」「On a High」等、幾つかのシングル曲ではそれぞれ短期間ながらチャートを賑わせ、中でも「On a High」は、全米アダルト・ポップ・エアプレイ・チャートで最高21位を記録しています。ツアー活動もコンスタントに続けており、ソロ・アーティストとしてリリースしたアルバムは生涯で計9作を数えました(最後のスタジオ・アルバムは2022年の『Claptrap』)。

Duncan Sheik - On A High (Official Video)

その9枚のアルバムの中の1枚、2001年にリリースしたアルバム『Phantom Moon』――ニック・ドレイクの『Pink Moon』に対する一種のトリビュート作――は、シークが日蓮宗の修行中に出逢った、詩人でソングライターのスティーヴン・セイターとの共作による作品でした。
 
2人が初めてタッグを組んだのは1999年のセイターの戯曲『Umbrage』で、この時はシークがセイターの書いた詞に曲を提供するという形でした。そして『Phantom Moon』の後、2人は三たび手を組み、2006年に彼らの代表作となる『Spring Awakening』を生み出します。これは、1891年にドイツで上演された青春群像劇を原作としたロック・ミュージカルでした。

『Spring Awakening』はオフ・ブロードウェイで成功を収めた後、ブロードウェイでも2年間にわたり上演され、2007年のトニー賞で最優秀ミュージカル賞を受賞しました。シーク自身も最優秀オリジナル楽曲賞と最優秀編曲賞を受賞し、直後にはグラミー賞の最優秀ミュージカル・ショウ・アルバム賞も獲得しました。
 
「彼は天才だと思うよ」と、シークはセイターとの仕事について『ローリング・ストーン』誌に語っていました。「彼は “かなりイッちゃってる” 人物で、エキセントリックでユニークなんだけど、だからこそ僕は彼が大好きなんだよね。僕の音楽にも、そういう要素がちゃんと反映されるように心がけてるよ」
 
その後20年間にわたり、シークはセイターとのコラボレーション(2人は2019年のミュージカル『アリス・イン・ワンダーランド』の舞台版『Alice by Heart』でもタッグを組んでいる)をはじめ、様々な人々と組んで演劇界で活動を続け、『アメリカン・サイコ』の舞台化作品への音楽提供なども手掛けました。

Duncan Sheik - Mama Who Bore Me (Live at Cafe Carlyle)

「『アメリカン・サイコ』は解釈によっては、通俗的で安っぽいお涙頂戴仕立てにすることも可能だし、とんでもなく大仰でコミカルな演出を加えることも可能だ。でも、僕はそういうことには興味がなくてね」と、このミュージカルがブロードウェイで上演された2016年、シークはローリング・ストーン誌に語っていました。「僕としては、もうちょっと深みがあって曖昧で、奇妙で風変わり、そしてできれば美しい作品にしたかったんだ」
 
シークはまた、シェイクスピアの『じゃじゃ馬ならし』や、『The Secret Life Of Bees』、そしてこの秋に初演予定だったオフ・ブロードウェイ作品『Memoirs of Amorous Gentlemen』を原作とする舞台の音楽も手掛けていました。また、オフ・ブロードウェイでは今年11月に『Spring Awakening』がリバイバル上演されることになっています。
 
18日に公開した声明で、シークの家族は「ファン、友人、共同制作者、そして芸術界の皆様から寄せられた温かいお心遣いに、深く感謝しております」と付け加えていました。「彼の音楽的レガシーは、今後も多くの世代の人々にインスピレーションを与え続けることでしょう」

安らかなる眠りをお祈りいたします。

商品情報
ダンカン・シーク & スティーブン・セイター
『Spring Awakening (Original Broadway Cast Recording)』


Amazon Music(JAN 01 2006)

商品情報
ダンカン・シーク
『Phantom Moon』


Amazon Music(FEB 27 2001)

商品情報
ダンカン・シーク
『Claptrap』


Amazon Music(AUG 26 2022)

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