連載・朝日順子の英国&アイルランド「ロック聖地巡りの旅」、第4回のテーマは “ビートルズの地元にしてクイーンゆかりの地” リヴァプール

朝日順子さんによる英国とアイルランドでのロック聖地巡りの旅の記録ももう第4回め。今回朝日さんはブリテン島中部にあるイングランド北西部の街、リヴァープルを訪れます。

朝日順子のサイト

リヴァープルといえば、何はともあれビートルズの出身地。しかし実はかなりクイーンゆかりの地でもあり、キャヴァーン・クラブもフィルハーモニック・ダイニング・ルームも彼らに縁があるのです。今回はそんなリヴァープルへの旅。話はそこへ向かう前、ロンドンから始まります。

本日のお料理:牛肉のパイとマッシュド・ポテト、もちろんビールも忘れずに

第4回 ビートルズの街・クイーンの街、リヴァプール

ロンドンとリヴァプールは、体力の続く限りいくらでも徒歩でロックの聖地をまわれるため、ついつい欲張って毎日2万歩超えに。アドレナリン全開で一日中歩き回り、パブでこってりした料理とビールを食らってから宿で泥のように眠るという、健康なのか不健康なのかよく分からない日々が続いた。
画像、左下拡大。ドアには「GARDEN LODGE」の文字が。
家中のお宝がサザビーズに出展されたため、ほぼ空となったロンドンのフレディ・マーキュリー邸ガーデン・ロッジは、さしずめロック版の紫禁城(財宝は台湾に持ち出され、北京には建物だけ)か。一抹の寂しさを紛らわしてくれたのは、今でも現役バンドであるクイーンが制作したミュージカル『We Will Rock You』だ。歴史ある美しい劇場ロンドン・コロシアムで、クイーンの歌を使ってSF物語が展開され、彼らの歌詞の汎用性の高さを証明していた。

London Coliseum Theatre 公式インスタグラム
ブライアン・メイが、クイーンのメンバーを被写体に長年撮りためてきた3D写真の写真展も、劇場近くの画廊で見ることができた。子供の頃によく遊んだ立体写真を覗けるカメラ型のおもちゃを思い出し、ほっこりした。
リヴァプールはビートルズだけでなく、クイーンゆかりの地でもある。キャヴァーン・クラブには、1970年のギグを記念してクイーンの大きな写真が飾られている。
クイーン加入以前のフレディは、リヴァプールのバンドに属していた。『クイーン 誇り高き闘い』(ジャッキー・スミス、ジム・ジェンキンズ著。2022年・弊社刊)には、ロジャー・テイラーとブライアンがフレディを応援しようとリヴァプールに来た時のことが書かれている。路上でスキンヘッドの若者に絡まれたロジャーが、偽の空手キッドになって撃退──その目の前に建つのは、フィルハーモニック・ダイニング・ルームだ。「有名人になって残念なことは?」と聞かれたジョン・レノンは、「“フィル” で一杯飲めないこと」と答えたらしいが、このパブはフレディの大のお気に入りでもあった。
2人の偉大なるロック詩人に思いを馳せながら、ビールと巨大な牛肉のパイをいただく。マッシュド・ポテトにたっぷりグレービーをかけると、自然と笑みがこぼれるのであった。
アメリカCBSのTV番組『The Late Late Show with James Corden』の人気コーナー「Carpool Karaoke」に、ソロ・アルバム『III』をリリースしたばかりのポール・マッカートニーが出演した際(2018年6月放送)、通常はロサンゼルスをドライヴするところを特別にリヴァプールを訪問。終盤でフィルハーモニック・ダイニング・ルームでサプライズ・ライヴを披露し、たまたま居合わせた客を驚かせた。
朝日順子氏「ロック史の現場を見て!食べて!飲む! UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏」第4回目、リヴァプール訪問の巻でした。「1日2万歩」ってまさに体当たり。それだけ歩けば、美味しさがさらに何倍にも感じられたのでは。そしてクイーン・ファンの皆さん、イギリスにいらっしゃるならロンドンばかりでなくぜひリヴァプール詣も忘れずに!

というわけで、次回第5回もロンドンとリヴァプールのお話になる模様。この他にめぐるべきゆかりの地とは何なのか……? ではまた次回もお楽しみに!

朝日順子・主な著作

商品詳細
アジョイ・ボース(著)、朝日順子(翻訳)、藤本国彦(解説)
『インドとビートルズ:シタール、ドラッグ&メディテーション』

単行本(2022/12/26)¥2,860
Kindle版(電子書籍)(‎‎ 2022/12/26)¥2,717
商品詳細
朝日順子(著)、藤本国彦(監修)、杉本綾子(イラスト)
『クイーンは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』

ムック(2019/7/31)¥1,935
Kindle版(電子書籍)(‎ 2019/7/31)¥1,742
商品詳細
朝日順子(著)、藤本国彦(編集、読み手)
『ビートルズは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』

ムック(2018/6/4)¥1,731
Kindle版(電子書籍)(‎2018/6/4)¥1,558
クイーン 誇り高き闘い

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3,520円

ジャッキー・スミス、ジム・ジェンキンズ 著/田村亜紀 訳
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