【連載・朝日順子】ロック史の現場を見て！食べて！飲む！ UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏 第5回 “全ての始まり” となった2軒のコーヒー・ショップ

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【連載・朝日順子】ロック史の現場を見て！食べて！飲む！　UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏　第5回　“全ての始まり” となった2軒のコーヒー・ショップ

2023.10.02

連載・朝日順子の英国＆アイルランド「ロック聖地巡りの旅」第5回、“全ての始まり” となった2軒のコーヒー・ショップ

朝日順子さんによる英国とアイルランドでのロック聖地巡りの旅の記録、第5回め。今回朝日さんはロンドンのソーホーにある2アイズ・コーヒー・バーと、リヴァプールのカスバ・コーヒー・クラブという2軒のコーヒー・バーを訪れます。

朝日順子のサイト

2アイズ・コーヒー・バーは、ビートルズの出演こそなかったものの、彼らが世界へ羽ばたくきっかけを作りその地ならしをしてくたようなお店。また、カスバ・コーヒー・クラブの方は、これまたビートルズと浅からぬ縁があってスタートして今に至るということですが、はてさて……。

やっぱとりあえずこれは食べとかなきゃな “F&C”

第5回　“全ての始まり” となった2軒のコーヒー・ショップ

全てはここから始まった！──日本からロンドンに到着した最初の晩に、旅の第一歩を記念して訪れる場所は、”ブリティッシュ・ロック生誕の地”にしようと決めていた。

2 i's COFFEE BAR ── HOME OF THE STARS

昔ライヴが行なわれた地下に向かう階段。

生誕地の認定プレートが掲げられたその店は、1950年代に10代の若者がエスプレッソ片手にスキッフルやロックンロールのライヴを楽しんだ2アイズ・コーヒー・バーで、現在はフィッシュ・アンド・チップスの店になっている。ソーホーのゲイ・ピープルが集う飲食店が並ぶ通りに面しており、店から歩道まで溢れた人々の活気にわくわくしながら、席に着く。

2アイズに出演せず、常連客でもなかったビートルズだが、この小さな店は彼らの成功に大きな影響を与えている。プロデューサーのジョージ・マーティンが最初に手がけたポップ・バンドは、2アイズ最初の箱バンだったヴァイパーズだ。また、ビートルズがドイツ巡業するようになったのは、彼らの初代マネージャーとドイツのプロモーターが、2アイズで偶然会ったことがきっかけだった。

店内には2アイズから巣立っていったロックスターの写真と共に、カウンターで働いていたマーク・ボランの写真も飾られていた。さくっと揚がった白身魚とフライドポテトに酢をたっぷりかければ、長時間フライト後の揚げ物でも美味しく食べられた。

2アイズ跡地にあるフィッシュ＆チップスのお店、ポピーズの外観。

ポピーズでいただいたフィッシュ＆チップス。

そして何よりも、ビートルズがキャヴァーン以前に箱バンを務めたリヴァプールのカスバ・コーヒー・クラブ誕生のきっかけは、モナ・ベスト（ビートルズの元ドラマー、ピートの母）が、2アイズの様子をテレビで観て、リヴァプールに同様の店を開こうと思ったのがきっかけだったのだ。当時のまま保存されているカスバを案内してくれたのは、モナと、ビートルズを生涯支えたニール・アスピノールの孫にあたるローグ・ベストJr.だ。

カスバ・コーヒー・クラブ外観

カスバ２代目ステージ前で、ローグ・ベストJr.と筆者

開店準備も手伝ったビートルズ（当時のバンド名はクオリーメン）が演奏した初代ステージの頭上には、ポールの塗ったカラフルなペインティングの手前に、ジョージがペンキを全部混ぜて塗った茶色の天井が（手抜きか？）。2代目ステージの前で記念写真に応じてくれたローグに聞いてみた──「モナに会うことはできたのですか？」。彼はにっこりしてこう言った「亡くなる前にベッドで私を命名してくれました」。

カスバ初代ステージ

朝日順子氏「ロック史の現場を見て！食べて！飲む！ UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏」第5回目は、半世紀以上前に想いを馳せるにはうってつけの場所でした。フィッシュ＆チップスのまあ美味しそうなこと！　そしてリヴァプールでは関係者の血縁の方ともお会いして、ゆかりの地巡りらしい出会いもあったのですね。

というわけで、次回第6回は、リヴァプールを訪れたとあるとんでもねえ旅行者をきっかけにしたお話。ハトバスの都内観光で隣にマイケル・ジャクソンが一人で座っているようなもの、とでも言いますかね……。てことでまた次回もどうぞお楽しみに！

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