伝説的シンガー／ソングライター、クリス・クリストファーソンが88歳で死去

アメリカを代表するロック／カントリーのシンガー・ソングライターで、俳優としても活躍したクリス・クリストファーソン（Kris Kristofferson）が9月28日、ハワイ州マウイ島の自宅にて88歳で死去しました。

家族が彼のフェイスブック・ページで訃報を伝えていますが、死因は発表されていません。

1936年にテキサス州ブラウンズヴィルで生まれたクリストファーソンは、奨学金で入学したオックスフォード大学で音楽活動を開始、クリス・カーソンという名前で最初のレコードをリリースしましたが、成功しませんでした。

大学卒業後、アメリカ陸軍のヘリコプター・パイロットになり、60年代初頭の西ドイツ駐留中にバンドを結成し、除隊後にナッシュヴィルに移ったクリストファーソンは、本格的にソングライティングに取り組み始めました。

その後、ナッシュヴィルのコロンビア・スタジオでジューン・カーター（ジョニー・キャッシュの妻）と出会い、彼女を通じてジョニー・キャッシュにテープが渡り、その中からキャッシュが録音した「Sunday Mornin’ Comin’ Down」が大ヒット、この曲でクリストファーソンはCMAアワードを受賞しました。

それから数年間、クリストファーソンはソングライターとして数多くのヒット曲を手掛け、ジェリー・リー・ルイスの「Once More With Feeling」や、ファロン・ヤングの「Your Time’s Comin’」、レイ・プライスの「For the Good Times」、ウェイロン・ジェニングスの「The Taker」などの名曲を世に送り出しました。

続いてソロ活動を開始したクリストファーソンは、1970年にデビュー・アルバム『Kristofferson』を発表し、同作からジャニス・ジョプリンがカヴァーした「Me & Bobby McGhee」が全米No.1ヒットになりました。

クリストファーソンは、70年代以降の数十年間を音楽活動と俳優業に費やし、バーブラ・ストライザンドと共演した1976年の映画『A Star Is Born』（邦題『スター誕生』）では、ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞に輝きました。

レコーディングとツアーも続けていたものの、ソロとしての商業的ピークには及ばず、1985年にウィリー・ネルソン、ウェイロン・ジェニングス、ジョニー・キャッシュと、スーパーグループのハイウェイメンを結成し、バンドのデビュー・アルバム『Highwayman』が大ヒットしました。

なお、クリストファーソンは1985年に「ソングライターの殿堂」入り、2004年には「カントリー・ミュージックの殿堂」入りも果たし、2020年にツアーとレコーディング、俳優業から正式に引退しましたが（2021年1月29日MLCニュース）、2023年4月29日と30日に開催された「ウィリー・ネルソン生誕90周年記念コンサート」に出演していました（2023年5月2日MLCニュース）。

安らかなる眠りをお祈りいたします。