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追悼:山内テツ──英国ロック界に名を轟かせた偉大なベーシストを偲ぶ
黎明期の日本ロック・シーンを切り拓き、フリー、フェイセズというトップ・バンドに在籍することで海外にもその名を轟かせたテツ。彼の活躍を、『MUSIC LIFE』に残っている貴重な写真も交えて振り返ってみましょう。
同年には初ソロ作『TETSU』をリリース。そして再結成フリーが発表したアルバムとしては唯一作となった1973年の『Heartbreaker』にも、テツは引き続いて参加しています。バンドの混迷した状況が反映されたアルバムではありましたが、ハード・ロック・ファンの間で非常に高く評価されています。
『Heartbreake』を残してフリーはあえなく再度解散してしまいますが、1973年、テツはロニー・レインの後任としてフェイセズに加入。1974年1月にリリースされたロッド・スチュワート&フェイセズ名義でのライヴ・アルバム『Coast to Coast: Overture and Beginners』にその名を残しており、2月の来日公演で再び凱旋。
フェイセズ1974年のヒット・シングル「You Can Make Me Dance, Sing Or Anything」では作曲にもクレジットされており、強力なベース・プレイが際立つ1曲になっています。
1975年、フェイセズの解散とともに帰国し、山内テツ&グッド・タイムズ・ロール・バンドを結成。翌年にゴダイゴのミッキー吉野らを従えてソロ・アルバム『ききょう』を発表しています。フォーキーなメロディとR&B的なグルーヴが同居する力作でした。
その後はクリエイションへの一時的な参加(ツアーのみ)などを挟み、ジャズ・ドラマーの羽野昌二とのユニットOpe Bandを展開するなど、マイペースながら幅広い活動を行ないました。2010年代になると表舞台に立つ機会がありませんでしたが、2023年以降はライヴ活動を再開し、ファンの前で勇姿を見せる機会が増えていきました。が、11月10日に原宿クロコダイルで予定されていた“山内テツ×嶋田吉隆 MEETSDUO♯7” は体調不良を理由に開催中止に。そして12月4日頃からテツが亡くなったという情報がSNS上に拡散され、フェイセズ、サイモン・カークといったかつての盟友たち、テツと同じく日本から海外へと羽ばたいたラウドネスの高崎晃といったミュージシャンたちが次々に追悼メッセージをアップ。その後12月6日には公式Xアカウント上で正式な訃報が伝えられました。
ロックがようやく日本に根付き始めるも、洋楽と邦楽の溝が広く、海外ミュージック・シーンなど遠い世界の話だったあの時代。ロック界の日本発メジャーリーガーとして、後続のプレイヤーたちに勇気を与えたのが山内テツというミュージシャンでした。そのファットでコクのあるトーンは永遠に語り継がれることでしょう。
改めて、安らかな眠りをお祈りします。
山内テツ
『ききょう』
Amazon Music(NOV 18 1994)
フリー
『Heartbreaker』
Amazon Music(JAN 01 1973)
Amazon(2011/11/9)¥1,601
ポール・コゾフ
『Blue Soul』
Amazon Music(JAN 01 1986)
フェイセズ
『The Best of Faces: Good Boys When They're Asleep』
Amazon Music(AUG 17 1999)
Amazon(2017/5/31)¥1,182
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