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映画『ジョージ・マイケル 栄光の輝きと心の闇』
【特別企画】サイモン・ネイピア=ベル・インタヴュー【監督/マネージャー】

「彼らは双子なんかじゃなかった。まったく違うタイプの2人でした」

12月26日から公開される『ジョージ・マイケル 栄光の輝きと心の闇(George Michael:Portrait Of An Artist)』を監督したサイモン・ネイピア=ベル(写真)は1939年生まれ(御年86歳)。60年代にジェフ・ベック期〜ベック&ジミー・ペイジ在籍時のヤードバーズをマネジメントする一方、T.レックス結成前夜のマーク・ボランを発掘した名裏方である。その後ジャパンの売り出しに成功したサイモンは、80年代にワム!と契約して解散までマネジャーを務めた。

映画の日本公開に先駆けて、サイモンの最新インタビューが奇跡的に実現した。ワム!のみならず、マーク・ボランやジャパンの逸話も含むインタビューの全文は、2026年初夏に発売を予定しているムック『MUSIC LIFE ジョージ・マイケル』に掲載する予定。ここではロック・ファンの多くが気になるであろうヤードバーズを手がけていた頃のエピソードと、映画で描かれた初期ワム!の実像に関する発言を抜粋してお届けしよう。

──あなたがザ・ヤードバーズを手掛けていた頃、それまでスタジオ・ミュージシャンだったジミー・ペイジがベーシストとして加入、その後クリス・ドレヤがベースを担当することになり、ジミーとジェフ・ベックのツイン・ギター体制になりましたよね。ミケランジェロ・アントニオーニ監督の映画『欲望(Blow-Up)』への出演も実現しましたが、あれもあなたの功績ですか? 当初はザ・フーの出演が予定されていたそうですが。

「私はとても “悪いヤツ” だったんです(笑)。ザ・フーのマネジャーのキット・ランバートは、私の親しい友人で、一番の親友の一人でした。ある晩、私たちは一緒に夕食をとりました。キットはとても興奮していて、『いま町にいる有名な映画監督のミケランジェロ・アントニオーニと、明日会うんだ』と言いました。そして彼はアントニオーニがザ・フーの出演を望んでいることを教えてくれました。

それで、私は彼にこう言ったんです。『アントニオーニには大金を要求するべきだよ。ザ・フーは非常に価値が高いんだから、「撮影した場面を我々も一緒に編集する権利がある」と主張しないと』とね。なぜなら、アントニオーニは自分のシーンを誰にも編集させないだろうと知っていたからです(笑)。そしてキットはアントニオーニに会いに行ったとき、ザ・フーの出演シーンを編集したいと言って、アントニオーニに追い出されました。それから私はアントニオーニに電話して、ヤートバーズを使うべきだと伝えました。というわけで、私はとても “悪いヤツ” だったんです」



──ベック&ペイジのツイン・ギター期はすぐに終わり、ジミー・ペイジが牛耳るようになったヤードバーズはアルバム1枚で活動を終了、やがてレッド・ツェッペリンへと移行していきましたね。

「ヤードバーズとの関係が短かったのはジミー・ペイジ以上に私の方です(笑)。ジミーの加入は素晴らしい結果を生むだろうと思ったし、実際その通りになりました。しかし同時に、これでヤードバーズが終わるだろうとも思っていました。私は優秀なセッション・ミュージシャンだったジミーを見ていて、セッションで何度も彼を起用していました。彼は若くて野心的で、今とは違う特別な場所に行きたいと望んでいる若者でした。そしてヤードバーズ……あのバンドにおける唯一の大きな音楽的推進力は、脱退したポール・サミュエル=スミスでした。彼がいなくなるとヤードバーズは音楽的な焦点を失ってしまう。とても難しい時期でした。

ジミーが少しずつバンド内に入り込んできて、自分の望む方向に傾けるであろうことはわかっていたし、それは必ずしも悪いことではなかったと思います。彼は本当に、とても良いミュージシャンでしたから。しかし、最終的にジェフ・ベックがバンドを去るだろうという予感もしました。ジェフはまったく独自な世界を持つプレイヤーで、観客のことさえ好きではなかった。ジェフはステージで演奏中に目を閉じ、自分の世界に浸ることを好んでいました。ジミーが観客とは何たるかを理解していたのとは対照的に、ジェフは観客のために演奏をしなかったのです。

ジェフが脱退した後、私たちは残りのUSツアーをこなし、オーストラリアツアーを行ないましたが、その後ジミーと私はうまくいかなくなりました。喧嘩はしませんでしたが、とても難しかった……。私がグループを管理するとき、たいていグループにはひとり支配的な人物がいて、多くの場合それは歌手です。そして歌手は他のメンバーよりも注目を集め、あれやこれやと要求してくる。しかし、他のメンバーも管理しなければならないことを忘れてはいけないですし、全員と平等に接しなければなりません。そんな頃にジミーがやって来て、次第にグループを自分のものにし始めたのです。

私は他の三人のメンバーと同等にジミーを扱うことを、常に意識していなければなりませんでした。しかしジミーが『もっと違う方向性へ行きたい』と言ってきたので、彼の望みはおそらく正しいだろうと理解していても、彼のペースを落とさなければならなかったことが少し辛かったです。マネジャーとしての私の “正しい行動” に反することなく、彼のためにそれを実現することはできませんでした。

私が離れてから、ジミーはヤードバーズを続けましたが、メンバーがバンドに残らなかったので、新しい顔ぶれでニュー・ヤードバーズを始めました。しばらく残っていたクリス・ドレヤは非常に優れたベーシストになっていたので、レッド・ツェッペリンに入ることもできたのでは、と個人的には思います。彼はジョン・ポール・ジョーンズと同じくらいうまいベーシストでしたが、あのバンドに適任だったのはやはりジョンでしょう」



──あなたはマーク・ボランを発掘、ジャパンも手がけた後、80年代にワム!のマネージメントをすることになるわけですが。初対面時のジョージ・マイケル、アンドリュー・リッジリーの印象はどんな感じでしたか?

「最初に『トップ・オブ・ザ・ポップス』で見た時の二人の印象は素晴らしいものでした。若々しく、楽しい、二人の街の若者が遊びにくりだすような、酔って踊ってナンパするコンビ。まるで双子のような、『刑事スタスキー&ハッチ』や『明日に向かって撃て!』のようなハリウッドのコンビのイメージです。

でも二人が初めてうちに来た時の印象は、双子(のようなイメージ)とは真逆でした。お互いがまったく違うタイプだったんです。スクリーンに映し出されていた素晴らしいイメージは、彼らの実像ではなかった。アンドリューはスクリーンで見る彼そのままでした。ジョージは、スクリーン上ではアンドリューを真似ていましたが、実際に会うと実物は違いました。ジョージは疑り深く、知性的で、非常にビジネスライクだったんです。

アンドリューは椅子に腰かけると『いいお部屋ですね』と言い、飲み物を出すと足をあげていました。一方ジョージは、きちんとした姿勢で座り、『今までのあなたの仕事について教えてください。戦略は? 僕らがあなたと契約すべき理由は?』と尋ねました。素晴らしいと思いましたね。彼らのイメージは完ぺきでしたから。その点ではすでに惚れ込んでいましたが、実際に会った時点で彼らには必要なものが全てそろっていることに気がつきました。イメージを持っている人物がいて、ビジネスは真剣勝負だと理解している人物がいる。さらに、彼が人をあっと言わせるようなソングライターであることも判明しました。私が加わらずとも、ひとつのグループのなかに、イメージも、作詞力も、ビジネスマインドもそろっている。そこに私の経験を加え……実際、私がグループに加えたのはそれと少しの常識だけでした……成功しないわけがないと思いました。それが最初の印象ですね。彼らは双子なんかじゃなかった。まったく違うタイプの二人でした」

MUSIC LIFE ジョージ・マイケル

シンコーミュージック・ムック

MUSIC LIFE ジョージ・マイケル

2026年初夏発売予定
予価2,200円(税込)

『ミュージック・ライフ』のアーカイヴに残された写真・記事を一挙発掘。ワム!を含む全アルバムの詳細なレビューも掲載し、ジョージ・マイケルの功績を改めて振り返る永久保存版です。発売に関する詳細情報は、追ってMUSIC LIFE CLUBでもお知らせします。お楽しみに!

【舞台挨拶決定!】

『ジョージ・マイケル 栄光の輝きと心の闇』の監督でワム!(Wham!)の元マネージャーのサイモン・ネイピア=ベル監督の来日舞台挨拶が決定! 登壇は28日、29日にそれぞれ下記の劇場となります。

12月28日
■kino cinema新宿 10:30の回
■ヒューマントラストシネマ有楽町 13:40の回
■シネマジャック&ベティ 16:40の回

12月29日
■アップリンク吉祥寺 11:25の回
■池袋シネマ・ロサ 15:00の回

〈以下、メイカー・インフォメーションより〉
 
栄光の日々と語られなかった永遠の孤独を描くドキュメンタリー
〈あらすじ〉

1981年、18歳のジョージ・マイケルは、12歳の時からの友人であるアンドリュー・リッジリーとボップ・デュオ=ワム!を結成。当初契約したインナーヴィジョン・レコーズとの契約の問題でシングルが出せない状況となるが、賢く乗り切る。しかし、人気絶頂でも、ジョージ自身は幸せを感じず、1986年、ジョージはソロ・シングル「ディファレント・コーナー」でセクシャリティの葛藤を歌い、直後にワム!は解散を発表。

1987年に発表したソロ・デビュー・アルバム『フェイス』は、グラミー賞を受賞するが、1990年発表の「フリーダム!'90」のMVでは、『フェイス』のキーアイテムだった革ジャンを燃やし、ポップ・スターのイメージから脱却。望んでいたはずの名声と引き換えに葛藤とジレンマを抱えていたジョージは、1988年のテレビのインタヴューで不意打ちで同性愛者か聞かれた際は、「違うけど、誰にも関係ない」と答えていたが、1991年、ブラジル人衣装デザイナーのアンセルモ・フェレッパと運命的な出会いを果たす。幸せな日々を過ごしていたのも束の間、治療法のない時代にアンセルモがHIV陽性になり急逝。

1993年、所属レコード会社の幹部の一人が自分のセクシャリティに対して差別用語を使ったという噂を聞いて怒ったジョージは、自分のためでなく、業界全体のためにと他の業界では改善されているアーティスト個人の権利の確保のために裁判で闘い、結果、敗訴。2002年、「シュート・ザ・ドッグ」でブレア首相とブッシュ大統領を批判すると、今度はメディア王マードックとの闘いに……。2011年、オーストリアで肺炎にかかって危篤状態となったジョージは……。

〈現時点で決まっている上映館一覧〉

青森県:青森松竹アムゼ(近日公開)

茨城県:シネプレックスつくば(12月26日~)
栃木県:小山シネマロブレ(12月26日~)
栃木県:宇都宮ヒカリ座(近日公開)
神奈川県:ジャック&ベティ(12月26日~)


東京都:kino cinema新宿(12月26日~)
東京都:ヒューマントラストシネマ有楽町(12月26日~)
東京都:池袋シネマ・ロサ(12月26日~)
東京都:アップリンク吉祥寺(12月26日~)
東京都:キネカ大森(12月26日~)
東京都:MOVIX昭島(12月26日~)

山梨県:アイシティシネマ(1月23日~)
静岡県:静岡シネ・ギャラリー(1月30日~)
愛知県:ミッドランドスクエアシネマ(12月26日~)
愛知県:ユナイテッドシネマ豊橋(12月26日~)
新潟県:シネウインド(近日公開)
石川県:ユナイテッドシネマ金沢(12月26日~)
大阪府:テアトル梅田(12月26日~)
大阪府:MOVIX堺(12月26日~)
大阪府:kino cinema心斎橋(12月26日~)
京都府:アップリンク京都(12月26日~)
兵庫県:シネ・リーブル神戸(12月26日~)
奈良県:ユナイテッドシネマ橿原(12月26日~)

岡山県:シネマ・クレール(近日公開)
広島県:横川シネマ(近日公開)
広島県:シネマ尾道(近日公開)
高知県:シネマ四国(近日公開)
福岡県:kino cinema天神(12月26日~)
熊本県:Denkikan(近日公開)

『ジョージ・マイケル 栄光の輝きと心の闇』

 

・監督:サイモン・ネイピア=ベル
・出演:ジョージ・マイケル(アーカイヴ)、アンドリュー・リッジリー(アーカイヴ)、スティーヴィー・ワンダー、スティーヴン・フライ、サナンダ・マイトレイヤ、ルーファス・ウェインライト、ディック・レイフィー

2023年/イギリス/94分/カラー/英語/原題 "George Michael: Portrait of an Artist"/字幕監修:山本さゆり /配給:NEGA

A PROTOCOL MEDIA PRODUCTION ©2022

公式サイト
公式X
公式Facebook

12月26日(金)より全国順次公開

商品詳細
George Michael
「Careless Whisper」


12 inch Single(2024/10/18)輸入盤
商品詳細
ジョージ・マイケル
『オールダー(リミテッド・コレクターズ・エディション)』


2CDs(2022/7/8)¥3,960【Amazon.co.jp限定】メガジャケ付
2CDs(2022/7/8)¥3,960
商品詳細
ワム!
『ジャパニーズ・シングル・コレクション:グレイテスト・ヒッツ』
(DVD付)

CD+DVD(2020/11/11)¥2,987
商品詳細
ジョージ・マイケル 
『Ladies & Gentlemen : The Best of George Michael』


Amazon Music・MP3(1998/11/9)¥2,700
2CDs(1998/11/10)輸入盤

 
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