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ロジャー・マッギン、トム・ペティのファースト・アルバムを聴いてマネジャーに「俺、こんなのいつやったっけ?」

1965年、ロジャー・マッギンはリッケンバッカーの12弦ギターを手に、フォーク・ロックの真髄とも言うべきサウンドを創りあげました。ザ・バーズによるボブ・ディランの「Mr. Tambourine Man」は、フォーク衰退期とブリティッシュ・インヴェイジョンの挟間で揺れていたギタリストたちの鬨の声となったのです。

その年の4月12日──ディランが初めてエレクトリック・ギターを採り入れたアルバム『Bringing It All Back Home』をリリースしたのと同じ月──のリリースから間もなくして、フォーク・ロックはサイモン&ガーファンクルやバッファロー・スプリングフィールドといったアクトに成功をもたらすひとつの勢力となりました。
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しかし、かのリッケンバッカー360/12、そして後には自身のシグネチャー・モデルのリッケンバッカー370/12RMで奏でる独特の澄んだ響きを持つメロディ・ラインによって、誰よりもこのスタイルを体現していたアーティストがマッギンでした。それから10年以上経過した後も、彼のサウンドとスタイルはR.E.M.のピーター・バック、ザ・バングルズのスザンナ・ホフスとヴィッキー・ピーターソン、トム・ペティのギタリストだったマイク・キャンベル、そしてそのどこかぶっきらぼうで物憂げなヴォーカル・スタイルがマッギンを彷彿させるペティ自身も含めた、新世代のプレイヤーたちに引き継がれ、活かされていったのです。

「僕が初めてトムのレコードを聴いたのは、うちのマネジャーのLAの自宅だったんだけど」とマッギンは語ります。「奴が彼のファースト・アルバムの完パケ版だかラフだかを手に入れてね、僕に言ったんだ、『まあ座って、ちょっと聴いて欲しいものがあるんだよ』って。聴いた後に僕は思わず言ったよ、『俺、こんなのいつやったんだっけ?』って。勿論半分冗談だったんだけどね、だって自分じゃないことは分かってたから」

「あのレコードはグレイトだと思ったよ、だからトムのマネジャーに連絡をつけて、トムに会いに来てもらったんだ」

マッギンは後に1977年のアルバム『Thunderbyrd』でペティの「American Girl」をカヴァーしています。「そこから僕らは仲良くなって、一緒にツアーもしたね。彼が僕の前座を務めてくれて、ザ・ボトム・ラインとか、あちこちでデュエットもやったりして」
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そんなマッギンが、シカゴからニューヨーク・ロサンジェルスと拠点を移しながら、自身の60年に及ぶキャリアの中で出会ったギタリストたちについて振り返ってくれました。

[マイク・ブルームフィールド]

「僕はシカゴのオールド・タウン・スクール・オブ・フォーク・ミュージックってところに通ってたんだけど、そこにマイク・ブルームフィールドも通ってたんだ。僕が入ってから1年後ぐらいに彼が入って来たんだよ。僕はその学校ができて間もなく入ったうちのひとりで、もう上級クラスまで進んでいた。ある日マイクが僕をつついて言ったんだ、『俺は絶対お前より巧くなってやる』って。

それから彼はベンド(チョーキング)の仕草をして言ったんだ、『あのさ、あの音あるじゃん、あの “mmmuimmmmm” ってやつ? あれどうやったら出るの?』

それで僕は彼にそのやり方を教えてやったんだ──つまり、マイク・ブルームフィールドがギターの弦をベンドできるようになったのは僕のおかげなんだよ」

[ボブ・ディラン]

「彼は僕ら(ザ・バーズ)が出てくる前にはまだエレクトリックは使ってなかったんだよね。“Mr. Tambourine Man” が出たのが65年の春で、僕は彼とはニューヨークのヴィレッジで会った。〈Gerde’s Folk City〉のフーテナニー(非公式のコンサート)でプレイしてるのも何度か観たよ。一度挨拶したけど、大した話はしなかった。

彼は(ザ・バーズ版の “Mr. Tambourine Man” を)気に入ってたと思う。『あれはクールだね』って言ってたよ。それから僕らがLAにあったワールド・パシフィックのスタジオでリハーサルをやってる時に、訪ねて来てくれたことがあった。僕らが “All I Really Want to Do” をプレイしたら、『今の何?』って訊いてきたよ。僕らがあまりにラディカルに変えちゃってたもんだから、彼には分からなかったんだ」

[ジョージ・ハリスン]

「僕らのマネジメントは僕らに初期のザ・ビートルズみたいな恰好をさせようとしたんだ、ヴェルヴェットの襟つきスーツとかでね。だけどそんなの着せてもらったって、ものの2週間であちこち破れてズタボロだった。その案がボツになって僕らは万々歳だったよ。

で、ザ・ビートルズと会った時、彼らが僕らに訊いてきたんだ、『キミら、何でジーンズ穿かせてもらってるの? 僕らはバカみたいなスーツ着なきゃいけないのに』って。僕らが着せられたスーツがどんな運命を辿ったかって話をしたら、彼ら口を揃えて言ってたよ、『ナンてこった、誰かが僕らのスーツも破いてくれたらよかったのになあ』って。

ジム・ディクソン(ザ・バーズの初代マネジャー兼プロデューサー)はワールド・パシフィックで働いてたんだ、ラヴィ・シャンカールのレーベルのね。(デヴィッド・)クロスビーがしょっちゅうウロチョロしてて、彼がスタジオでラヴィを聴いたんだ。それで僕らに面白いよって教えてくれて、それがきっかけで僕らみんな12弦をプレイするようになったんだよ。

ザ・ビートルズと友達になってからは、彼らが迎えのリムジンをよこしてくれて、LAの丘の上にある彼らの家に遊びに行くようになった。ある日、その場に居た全員でアシッドを服った。みんなでバスルームの床に座り込んで、ギターを弾いてたら、そのうちクロスビーが自分の12弦でインドっぽいやつを延々と弾き出した。ジョージは凄く惹きこまれた様子でね。彼はその手のものを聴くのが初めてだったらしい。その後ビートルズは本国に帰ってから、本格的にそっちにイレあげ始めたんだよね。すっかり夢中になっちゃってさ。

僕らはその家で、とにかくジャムしまくってた。ジョージと一緒に子供の頃に聴いてたものとか、影響を受けたものの話をしていて、そう言えば一番最初にギターで弾けるようになった(覚えた)のは何だったって話題になったんだ。それで僕がジーン・ヴィンセントの “Woman Love” のリード・ブレイクか何かをその場で弾いたら、ジョージが『それ、まさに僕が一番最初に覚えたやつだ!』って。

僕も彼も、最初からいきなりコードを覚えたわけじゃなかったんだよね。まずピックでリードのところの弾き方を覚えて、それからコードに入って行ったんだ。僕らはコード・ブックなんて持ってなかったからね」

[グラム・パーソンズ]

「(グラム・パーソンズとクラレンス・ホワイトがザ・バーズに加入した当時)僕はもう結構くたびれて来てたんだよね(笑)。グラムは強力な音楽的エナジーの持ち主だった。だからとりあえず奴の好きなようにさせて、それに合わせるようにしてたんだよ、実際面白かったからね。カントリーっぽいことをやるのも楽しいなと思ってた。

みんなで『Nudie’s』っていうロデオ用の服を仕立てるテイラーに行って、カントリーっぽい服やカウボーイ・ハットを揃えた。僕はキャディラックを買い、カントリー系のラジオを聴くようになって、南部訛りで喋ってた(笑)。僕としてはちょっと長めの、延長版ハロウィーンみたいな感覚だったんだ。

『Sweetheart of the Rodeo』(邦題『ロデオの恋人』)は一度限りの冒険だった。ずっとカントリー・ミュージックに行きっぱなしになるつもりは毛頭なかったんだ。だからそのアルバムを出した後、クリス(・ヒルマン)とグラムがもう一枚カントリー・レコードを作りたいって言い出した時、僕は言ったよ、『ノー、ノー! ちょっと待ってくれ。もうあれで十分だろ』って。

彼らはたいそう腹を立てて、それを機にフライング・ブリトー・ブラザーズを始めたんだ。僕はフライング・ブリトー・ブラザーズは大好きだよ、だけどあれは僕の行きたかった方向性とは別物だった。僕がやりたいのはロックンロールだったんだ」
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