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ボブ・ディラン、この秋のツアー初日でまた新たなギタリストを起用。ランディ・ニューマンのカヴァーも初披露
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MUSIC|2026.08.04
ボブ・ディラン、ツアー最終公演で新たにジミー・ヴォーンを起用し、バンド参加ギタリストは全日程で計5人に
ショウは「To Be Alone With You」と「Man in the Long Black Coat」というお馴染みの曲で幕を開けましたが、その後、彼は2005年以来初めて『Basement Tapes』の名曲「Crash on the Levee(Down in the Flood)」を演奏しました。そして4曲後、2018年以来初めて「Tangled Up in Blue」を披露。今回は1978年のツアーのアレンジを彷彿とさせる、徹底的にシンプルに削ぎ落とされたトーチ・バラード仕立てで、歌詞にも多くの変更が加えられていました。
こうした一連の出来事による衝撃が、オーディエンスにようやく馴染んできたように思われたまさにその時、ディランはランディ・ニューマンの1974年の曲「Louisiana 1927」を繰り出しました。彼がこの曲を演奏したのはこれが初めてのことで、というよりそもそもニューマンの膨大なレパートリーの中から彼が何かを演奏したのも、これが初めてでした。
「Louisiana 1927」は、1927年にアメリカで発生したミシシッピ大洪水を記録した作品です。この洪水は同州の歴史においても記録に残る大災害であり、メンフィス・ミニーの「When the Levee Breaks」、 ベッシー・スミスの「Blackwater Blues」、バーベキュー・ボブの「Mississippi Heavy Water Blues」、チャーリー・パットンの「High Water Everywhere」といった楽曲が生み出されるきっかけとなった出来事で、さらにディランの2001年の「High Water(For Charley Patton)」はパットンの同曲に触発されて書かれた曲です(ディランがこの晩、「Crash on the Levee」と「Louisiana 1927」の両方をセットに入れる決断をしたことを考えると、何か明らかに彼に終末的な洪水を連想させるものがあったようです。これをディランによる現在の世界情勢へのコメントと解釈したくなる部分もありますが、ディランの心の中を読み解こうとする試みは無意味な努力に過ぎません)。
その5曲後、新たなサプライズ・カヴァーとして披露されたのは、テキサス出身のアウトロー・カントリー・アーティスト、ガイ・クラークの「Dublin Blues」でした。この曲はランディ・ニューマンの「ルイジアナ1927」ほど有名ではありませんが、ディランがスポットライトを当てるのもうなずける名曲です。
さて、ステージ上でこのようにライヴが繰り広げられて行く中、熱狂的なディラン・ファンたちは、ステージの端でギターを弾いているのが誰なのか、必死で突き止めようとしていました。夏の全米ツアーの期間中には、新ギタリストのジョエル・パターソンに、ジュリアン・ラージとジャド・タリクの両名が折にふれ加わるという形が取られていましたが、このツアー初日となるノルウェー公演の晩には2人ともアメリカ国内での仕事の予定があり、参加は不可能であることが事前に判明していたのです。この公演では、ドラマーのアントン・フィグ、ベーシストのトニー・ガルニエと共にパターソンがバンドに復帰していたのに加え、新たなギタリストもステージに姿を見せていました。多くのファンは、その人物がマイク・シールであると見ているが、セットリストの権威であるビル・パゲルは、あくまで慎重を期すためか、各曲のリストの下に記しているバンド・メンバー一覧において、彼を「?」と表記したままにしていました。
残念ながらディラン本人は、セットの間一度もバンド・メンバーを紹介せずじまいだったため、この謎解きには何の助けにもなりませんでした(ちなみにこの夜のライヴの間じゅう、彼は頭にかぶったタイトなパーカーのフードを脱ぐこともなければ、観客に対して声をかけることも一切しませんでした)。しかし、レイ・パジェットが発行しているニュースレター『Flagging Down the Double E’s』には、トム・ウィルキンスによるこの夜のライヴ・レポートが掲載されており、そこには謎のギタリストのクローズアップ写真も含まれています。『ローリング・ストーン』誌の記者によれば、その顔はキレイにヒゲを剃ったマイク・シールにかなり似ているように見えるとのことですが、もしかすると見間違いかも知れません(通常であれば、メジャーなツアー・アクトの新しいメンバーについてはプレスリリースで発表されるか、当の参加ミュージシャン自身がその旨について投稿するものですが、ディランのバンドはまるで『ファイト・クラブ』のようで、ツアーが行われている最中であっても、自分はその一員ではないかのように振る舞わなければならないのです)。
ひとまずこの夜のライヴに関して、確実に言い切れることは、メイン・セットが「I Shall Be Released」で締めくくられた後、ディランが珍しくアンコールのためにステージに戻ってきたということです。彼が選んだアンコール曲は「You Ain’t Goin’ Nowhere」で、これはこの夜3曲目となる『Basement Tapes』収録曲でした。そして、全19曲というセットリストにより、この晩は近年の記憶にあるディランのライヴの中で最も長いものとなりました。
ツアーの次の公演は10月19日、スウェーデンのイェーテボリで、その後ディランはヨーロッパ各地を巡り、1964年以来出演していないロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでの4夜連続公演で幕を閉じます。その頃には、新ギタリストの正体がはっきりしていることを願いましょう(マイク・シール氏、もし新メンバーが単にあなたのドッペルゲンガーだったならお詫びします。もしご本人なら、おめでとう。ここ最近のメンバーたちより長く続けてくれることを願っています。今年のディランのステージはまるで『ゲーム・オブ・スローンズ』のようでしたからね)。
※海外における公演の多くにおいては、オーディエンスによる携帯での撮影、そしてその画像・動画のアップロードがアーティスト側にプロモーションの一環として了承・推奨されている場合が多いため、MUSIC LIFE CLUBではそういった情報も掲載しています。
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ボブ・ディラン
『断章~タイム・アウト・オブ・マインド・セッションズ:ブートレッグ・シリーズ第17集』(通常盤)
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