ユニバーサル・ミュージック・グループが集団訴訟の却下を求める申し立てを申請

6月26日のMLCニュースでお伝えしたように、2008年のユニバーサル・スタジオ火災で焼失したマスター音源を巡り、ホール、サウンドガーデン、スティーヴ・アールの弁護士と2パック、トム・ペティの遺産管理人らが6月末に集団訴訟を起こしましたが、それにに対し、ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)が却下を求める申し立てを申請しました。

UMGによると、焼失したマスター音源はUMGの所有物となっていたため、ミュージシャンらがそのマスター音源を自分のものだと主張することは出来ないとし、典型的なレコーディング契約には、「全てのマスター音源は永久にUMG唯一の所有物であり、契約相手からのいかなる権利の主張からも免れる」という条項があると主張しています。

また、火災による被害は数年前に公表されており、マスター音源を安全に保管するという契約条項に違反したとする主張は、出訴期限法により消滅時効となるため、訴訟は却下されるべきとも主張しています。

これに先駆け、UMGは焼失したマスター音源の調査に関し、新たな社内メモを作成しました。アーカイヴ・マネジメントのヘッドを務めるパット・クラウスによると、UMGのプロジェクト・チーム(6月28日MLCニュース参照)が、これまでにアーティスト30名の音楽的資産26,663件について再調査した結果、火災により行方不明もしくは焼失した資産はわずか424件にとどまり、そのうち349件がオーディオ・レコーディングで、アーティスト5人のオリジナル・マスターが22件含まれるといいます。また、火災で焼失したマスター音源やその他の音楽的資産に関する明確なリストは存在せず、『ニューヨーク・タイムズ』が発表した数字には、誤謬があると綴られています。

しかし、元UMGのアーカイヴ&マスタリング・スタジオのヘッドで、『ニューヨーク・タイムズ』に情報提供したランディ・アーロンソンは、以前報告された焼失資産の数が118,000件から175,000件に及んだ事を確認しており、(今回の発表はわずか30名分の調査についてですが)424件という数字は非常に低く、UMGが火災による損害を見くびっているのは間違いないと語っています。

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