ゲイリー・クラーク・ジュニア、ジョージ・フロイド事件についてビデオ・メッセージを公開
ブルース・ギタリストのゲイリー・クラーク・ジュニアが、人種差別抗議運動やジョージ・フロイド事件について語り、およそ10分のビデオ・メッセージを公開しました。
クラークがこれまで口を閉ざしていたのは、あきれて物が言えなかったからとのこと。
「いろんな事を考えているが、うんざりしている。それしか言うことはない。俺が言うべきことは、この前のレコードで全て言ってある。
テレビを見て涙を流し、腹を立て、悲しむことにも疲れ、憂鬱になり不安になることにもうんざりだ。俺は疲れ果てたよ。自宅から外へ出るたびに、今日死ぬんじゃないかと思う。俺は6.4フィート(=195cm)もある黒人の大男だから、おそらく世間にとっちゃ最悪の悪夢なんだろうよ。
気付いてなかっただろうけど、俺は夜ホテルの前でタバコを吸いながら、通りを渡る白人の姿を見ているし、地下鉄に乗ってる姿だって見ているぜ。
俺は(殺された)ジョージ・フロイドやブレオナ・テイラー*、アマード・アーベリー*のように善良な人間で心根だって良い。俺たち黒人は、朝起きて外に出て、出来ることを精いっぱいやり、自分たちと家族のために得られるものを手にし、家に帰りたいだけなんだ。それだけなんだよ。何故、それがこんなにも大変なんだ? 何故、それが気苦労で難しいことなんだ?」
クラークにその答えはないものの、白人も堂々と意見を述べるべきだと語っています。
「俺は、キミたち全員に全ての人々と話してほしい。本当の会話をね。何も失うものなどないだろう? 負のエネルギーがあり、ひねくれたヤツらとの関係を失うことになるのか?」
「白人は、黒人ミュージシャンの誕生日や命日に彼らを称賛するが、俺たち黒人が地面に横たわっている時は、どこに立っているんだ? 俺たちは首を膝で押さえつけられ、丸腰なのに銃を突き付けられるんだ。俺たちが両手を上げても、撃ち殺されるのさ」
「俺たち黒人が実力者でスーパースターなら称賛するが、俺たちに助けが必要な時は知らん顔かい?」
またクラークは、人種差別主義の学習行動を止め、子供たちを正しく育てる必要があると語っています。
※ブレオナ・テイラー:ケンタッキー州ルイヴィルで、今年3月13日に警察官によって射殺された事件の犠牲者。警察は容疑者を探すため、捜査令状を持って彼女の自宅を訪れました。にもかかわらず予告なしに彼女の部屋に押し入った後、少なくとも8回にわたり彼女を撃ったとされています。しかも容疑者の男性は当時もう彼女のアパートには住んでおらず、事件の夜に警察官がテイラーの家に到着したときにはすでに警察に拘留されていた、と報じられています。
※アマード・アーベリー:今年2月23日ジョージア州ブランズウィックで、ジョギング中に射殺された犠牲者。容疑者であるグレゴリー・マクマイケルと息子のトラヴィスの2容疑者はすでに逮捕されており、二人は近所で発生した強盗事件から逃げる途中の犯人だと思ったと主張していますが、その一部始終を収めたショッキングな動画が拡散されたことで話題になり、人種差別に根ざしたヘイトクライムであると受け止められています。

ゲイリー・クラーク・ジュニア
『ディス・ランド』
CD (2019/3/1)¥2,057
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