ミック・ジャガー、自伝を書かない理由を語る

「80年代に自伝を書き始めた時は大金をオファーされたんだけど、実際にやってみたら全然楽しめなかったんだ。今の生活に支障をきたしてまで、人生を追体験するってことがね。自伝を書くといっても1週間で出来るものじゃないし、疲労困憊するんだよ。昔の感情や友情関係、人生の浮き沈みを追体験するんだからさ。とにかく退屈で心が乱れるし、気分が盛り上がることもなかった。それで、『やる気にならない』と言って、出版社に契約金を返したんだ。『またの機会に』ってことにして、それで終わり。当時は、何も思い出せないから書けないとか、見え透いた言い訳をしていたけど、実際はそのプロセスを楽しめなかったんだよ。また自伝を書きたいかって？ 　当分ないね」

また、ミックは2014年、ハリウッド・リポーターに次のように語っていました。
「ロックンロールの自伝は供給過剰なマーケットだし、僕は何か新しいことをやりたい。映画や音楽を作ったり、ツアーに出たりね。僕が1965年に何をしたのか知りたければ、Wikipediaを見ればいいんだ。そうすればお金もかからないんだから」

なお、パブリッシャーのジョン・ブレイク氏は2017年、ジャガーが途中まで執筆した75,000ワードの原稿を受け取り、『ちょっとした名作』と評していました。ブレイク氏は、ジャガーが30年前に執筆した未完成の作品であることを強調し、ミックによる前書きを掲載して出版するという合意にもっていくところだったそうですが、「僕はやんわりとプッシュし続けたが、最終的に決断を迫ったら鋼鉄の門が音をたてて閉まった。ミックは本の出版を全く望んでいない」と、雑誌『ザ・スペクテイター（The Spectator）』に綴っています。