エレクトロニック〜ジョニー・マー・インタビュー「バーニーと僕たちは9年間、生活費をともにして暮らしたんだ」

ワーナーミュージック・ライフで3回にわたって掲載されたジョニー・マー・インタヴューは、ニュー・オーダーのバーナード・サムナーとのコンビ・ユニット、エレクトロニックのセルフ・タイトル・デビュー作の発売から30周年を記念して行なわれたもの。前回はその第1回からの引用で(6月3日MLCニュース参照)、今回はその第2回と第3回から当時を振り返るマーの発言を一部引用し、ダイジェストでご紹介していきます。
そもそもの二人の出会いは?──「きっかけは、バーナードがニュー・オーダー以外で何かやりたいと考えていたからだと思う。ザ・スミスが解散した後、バーナードがプロデュースしていたファクトリーのマイク・ピカリングのレコードで、ほんの少しだけ一緒に仕事をしたことがあったし、何度かあちこちで顔を合わせていたんだけど、お互いをあまり知らずにリスペクトしていたんだと思う」とのこと。調べてみると、マーはマイク・ピカリングのユニット、クアンド・クアンゴがファクトリーからリリースしたシングル「2 From Quando」でギターを演奏しており、同シングルのプロデュースには「Be Music」というニュー・オーダーのメンバーがプロデュースする際の名義がクレジットされていることから、二人が一緒に仕事をした一番最初はこの時なのでは? ただしこれ、1984年のリリースのためザ・スミスは活動中で、定かではないのですが。

いずれにせよマーとサムナーはそこから本格的に親交を深め、一緒に仕事をし始めると「僕たちは9年間、生活費をともにして暮らしたんだ。これは多くの人を驚かせたけど、僕とバーナードにとっても大きな驚きだったね。毎日12時間、13時間、何年も一緒に仕事をした。僕はザ・ザと仕事をし、バーナードはニュー・オーダーと仕事をしていたけど、その9年間はエレクトロニックも続いていたんだ。一方が休暇を取るときには、同時に休暇を取っていた」というのだから驚き。

そして二人がエレクトロニックとして最初のリリースをするのは、1989年のシングル「ゲッティング・アウェイ・ウィズ・イット」。全英チャートでは最高位12位、全米では38位を記録するヒットに。その結果「あっという間に『エレクトロニックはスーパーグループだ』と言われるように」なり、「僕たちは本当にそれを予想していなかった」のだそう。あくまで二人で楽しくやっていただけだったわけですね。

また、インタヴュアーに「あなたは、ディヴィッド・バーンとブライアン・イーノのコラボレーションに影響を受けたと言っていましたが、それは相反するスタイルが一緒になったということですよね?」と問われ、マーはこう答えています──「僕たちはポップ・グループでいながら、かなり革新的な精神を持っていた。インディーズ精神とまでは言わないけど、ジョイ・ディヴィジョンやザ・スミスにいたから、一般ウケを念頭に置いた音楽を書いていても、バーナードと僕は決してそれが売れ線の音楽だとは思っていなかったよ」。ギター・バンドのザ・スミスから、ザ・ザを経てエレクトロニックへ。マーは音楽のジャンルを超えてダンス・ミュージックの制作へと挑み、サムナーの方もニュー・オーダーとは離れた活動としてこのユニットに挑んでいたわけですが、そうしたアプローチは「バーン&イーノ」という大いなる先人から学んでいたわけです。そして次世代の二人によるそのアプローチは後続に多くのギター&ダンス・ビート・グループを生み、その後も輪廻は繰り返している、と。

この他、ザ・スミスのギタリストとして世に出る前、80年代の初頭にDJとして活動していた頃のことを回想して「ハミルトン・ボハノンの “Let's Start The Dance” や、ナイル・ロジャースがプレイしているマテリアルの “I'm The One” とか、そういった曲が頭の中で離れなかったんだ。だから、ダンスフロア向けの曲を作るときには、参考にしたよ。骨の髄まで染み込んでいるからね」と、ディスコ/ファンクの意外な名前も飛び出していたり。

アルバム『エレクトロニック』の舞台裏ばかりでなく、当時の回想やそこに至る道のり、はたまたそこからどう変化していったかまで、あけすけに&濃密に語っております。引用したのはほんの一部ですので、ぜひご一読ください。

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