1925年にマサチューセッツ州ニュートンで生まれたウェインは、8歳からピアノを習い、高校時代からボストン周辺でいくつかのジャズ・バンドと演奏していました。
1950年にボストン大学を卒業した後、ボストンにジャズ・クラブ「Storyville（ストーリーヴィル）」をオープンし、同名のレコード・レーベルも設立したウェインは、1954年にニューポートの資産家ロリラード夫妻と出会い、彼らが資金提供するジャズ・フェスティバルの開催を任され、人生の大きな転機を迎えました。

この時、ウェインが手掛けたアメリカ初の野外ジャズ・フェスティバル「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」は、その後も毎年8月に開催されるのが恒例となり、1959年には、ピート・シーガーらとニューポート・フォーク・フェスティバルをスタートさせました。
1965年の同フェスで、ボブ・ディランがエレキ・ギターのパフォーマンスを披露したのは有名な話ですが、アコースティック演奏を期待していた観客からブーイングが起き、ディランにステージに戻ってアコースティックの曲を弾くよう助言したのがウェインでした。

ニューポートのみならず、ニューオーリンズ・ジャズ＆ヘリテッジ・フェスティバルや、LAでプレイボーイ・ジャズ・フェスティバルを開催するなど、他の都市でも数々のフェスティバルを手掛けたウェインは、60年代に大規模なジャズ・イベントをプロモートする「フェスティバル・プロダクション」を設立、イベントに企業スポンサーを付けるアイディアを考え出し、シュリッツ・ビールとクール（タバコ）をスポンサーにしたジャズ・フェスティバルを手始めに、日本ビクターをスポンサーにした「JVC ジャズ・フェスティバル」を世界の大都市で開催しました。

2009年には、自身が担当していたニューポート・フォーク・フェスティバルのプロデューサーをジェイ・スウィートに引き継いだものの、その後も「ニューポート・フェスティバル基金」を立ち上げるなど積極的に関わり続け、後年はフェスティバル会場で「ウェイン・マシーン」と呼ばれたゴルフカートに乗り、ステージからステージへ移動する姿が目撃されていましたが、今年のニューポート・フェスティバルに彼の姿はありませんでした。

なお、ウェインはジャズ・ピアニストでもあり、1955年から1993年にかけて10枚以上のアルバムをレコーディングし、2019年までパフォーマンスを行なっていました。

安らかなる眠りをお祈りいたします。