連載・朝日順子の英国&アイルランド「ロック聖地巡りの旅」、第2回のテーマはビートルズ映画のロケ地

先週からスタートした朝日順子さんによる英国とアイルランドでのロック聖地巡りの旅、今回はその第2回。MLCではおそらく、他社本ながらクイーンの歌詞解説の書籍の著者としてみなさんご存知でしょうが、それ以外にも著書・翻訳書は多数あり。

朝日順子のサイト

中でもビートルズについては歌詞の解説をした『ビートルズは何を歌っているのか?』(シーディージャーナル:2018年刊)に加え、最新の翻訳書『インドとビートルズ:シタール、ドラッグ&メディテーション』(青土社:2022年刊)や、その他雑誌/ムックへの寄稿も多数。しかもこのあとの本文冒頭にもありますが、ゲット・バック・セッションの会話起こしもご担当なさっているので、知らず知らず朝日さんの仕事のお世話になっている方も多いはずです。今回はそんなビートルズがらみのお話。

ロックの聖地めぐりの旅は、ゆかりの美味しいもの巡りの旅でもあるのです

第2回 半世紀以上前、ここでビートルズが撮影を

ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Get Back』と『レット・イット・ビー』の元となったビートルズのセッション、通称ゲット・バック・セッション。これを録音した100時間近い音源を、藤本国彦さん著『ゲット・バック・ネイキッド ―1969年、ビートルズが揺れた22日間』のために数ヵ月かけて文字起こしをして、心身共に壊れかけた身としては、現場となったスタジオをこの目で見なくては死ねないと、ロンドンのトゥイッケナム地区を訪れた。
まずは映画『ハード・デイズ・ナイト』のリンゴ・スター出演シーンに使われたパブ、タークス・ヘッドに入る。想像よりも大きな建物で、外観も店内もラブリー。映画でリンゴはパサパサのサンドイッチを食べていたので、BLTサンドイッチを注文する。具材がぎっしり詰まってボリュームたっぷりだったが、美味しかったのでぺろりと平らげてしまった。窓のステンドグラスは映画と全く同じで、当時のままのようだ。
パブから歩いてすぐのところにある、映画『ヘルプ』に登場する4軒並びのビートルズの家も訪れた。彼らが仲良く一斉に入るドアのステンドグラスも、当時のままのように見える。可愛らしい家の並ぶトゥイッケナムを歩いていると、この景色にビートルズも撮影の疲れが癒されただろうかと、ぼんやり考えてしまう。
左画像の右下拡大
そしていよいよ、数々のビートルズの映画とミュージック・ビデオが撮影された、トゥイッケナム映画スタジオに。郊外の駅近の住宅街といった趣の中に建つスタジオで、ハリウッドにある映画スタジオに比べれば、圧倒的に可愛らしい大きさだ。4人がベビーカーに乗って電話をするシュールな『ハード・デイズ・ナイト』のトレイラーが撮影された、レンガ造りの外壁をたっぷり眺めた後で、門越しに中を覗く。正面玄関から出てきた職員の人に「ご用ですか?」と聞かれたので、「ビートルズの映画スタジオを見に日本から来ました」と伝えると、「こっちはメイン・オフィスでロビーがあって、あっちはスタジオ」と、親切に教えてくれた。ビートルズがスタジオ使用中に、門の中を覗いたであろう60年代当時のファンの気分が味わえた瞬間だった。

─────────────

ビートルズが活躍し、何本もの映画を撮影したのは60年近く前のこと。改めて思いますが、とても昔の話なのですよ。それがそのままの佇まいで今も残っているというのは、素晴らしいことですね。そこで半世紀以上前に想いを馳せながら、美味しいものをいただく──もうただただ羨ましい限り!

そして今回の執筆に際し、前回のサザビーズでのフレディの遺品展示会で召し上がったケーキの写真も加えておきたい!ということで追加しました。すでにお読みになった方もぜひもう一度ご覧ください。甘いもの好きなら確実に食べたくなること請け合い。

MUSIC|FEATURE・2023.09.04

【新連載・朝日順子】ロック史の現場を見て!食べて!飲む! UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏 第1回「サザビーズで体感したフレディ・ワールド」

ということで来週の第3回は、クイーンやビートルズゆかりの地であり、そして映画でモッズとロッカーズが大人数での大乱闘を繰り広げたあの海岸のお話。今ならサッカー日本代表の三苫薫の所属チームの地元、というのが最もわかりやすいかも。どうぞお楽しみに!

朝日順子・主な著作

商品詳細
アジョイ・ボース(著)、朝日順子(翻訳)、藤本国彦(解説)
『インドとビートルズ:シタール、ドラッグ&メディテーション』

単行本(2022/12/26)¥2,860
Kindle版(電子書籍)(‎‎ 2022/12/26)¥2,717
商品詳細
朝日順子(著)、藤本国彦(監修)、杉本綾子(イラスト)
『クイーンは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』

ムック(2019/7/31)¥1,935
Kindle版(電子書籍)(‎ 2019/7/31)¥1,742
商品詳細
朝日順子(著)、藤本国彦(編集、読み手)
『ビートルズは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』

ムック(2018/6/4)¥1,731
Kindle版(電子書籍)(‎2018/6/4)¥1,558
この記事についてのコメントコメントを投稿

この記事へのコメントはまだありません

ディスカバー・ビートルズ THE BOOK

ディスカバー・ビートルズ THE BOOK

2,970円
ジョージ・ハリスン・インタヴューズ

ジョージ・ハリスン・インタヴューズ

3,250円
MUSIC LIFE ザ・ビートルズ リボルバー・エディション

MUSIC LIFE ザ・ビートルズ リボルバー・エディション

2,200円
伝説の音楽雑誌ティーンビート ビートルズ特集保存版

伝説の音楽雑誌ティーンビート ビートルズ特集保存版

2,970円

RELATED POSTS

関連記事

LATEST POSTS

最新記事

ページトップ