【新連載・朝日順子】ロック史の現場を見て！食べて！飲む！ UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏 第1回「サザビーズで体感したフレディ・ワールド」

ホーム
NEWS
【新連載・朝日順子】ロック史の現場を見て！食べて！飲む！　UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏　第1回「サザビーズで体感したフレディ・ワールド」

2023.09.04

新連載！　クイーンの歌詞解説でおなじみ朝日順子による、英国＆アイルランド「ロック聖地巡り」スタート！

新連載のスタートです！──MLCユーザーのみなさんには『クイーンは何を歌っているのか?』（音楽出版社：2019年刊）の著者としてや、弊社のYouTubeチャンネル “MUSIC LIFE CHANNEL” での歌詞解説などでお馴染みのはず、執筆はあの朝日順子さん。

朝日順子のサイト

編集部は、この夏に朝日さんが渡英していわゆる “ロックの聖地巡り” をなさると聞きつけ、「ではそれで原稿をお書きいただけませんか？」とご提案したところ快諾が！　というわけで本日より、朝日さんがクイーンやビートルズなどのゆかりの地を巡った “英国＆アイルランド滞在記” を8回ぐらいに分け、週刊での短期集中型でお書きいただきます。本日はその記念すべき第1回、「ならばやはりフレディのあれでしょう！」ということで──。

カフェ、美術品、歌詞世界……。フレディ・マーキュリーの世界が目の前に広がる

第1回　サザビーズで体感したフレディ・ワールド

旅の一番の目的は、フレディ・マーキュリーの自宅に保管されていた品々をロンドンのサザビーズで見ること。オークション前に一般公開されると聞き、詳細が分からないまま航空券を予約したのは5月だった。

今回の個人旅行は、見る・撮るだけでなく、飲み食いして場の雰囲気を味わおうともくろんでいたため、展示に合わせてフレディの猫愛をテーマにしたカフェで、カプチーノを飲む。目の前には、彼の最愛のデライラが首にサザビーズの札を付けて寝そべる写真が。この場にいられることに感謝しながら、涙ぐんでしまった。期間限定でフレディお気に入りのメニューが食せるサザビーズ内の食堂では、海老の前菜とアーモンドとチェリーのタルトを食す。後者はクロテッド・クリームが添えられていて、美味だった。

幸せな気分になったところで、フレディの自宅ガーデン・ロッジの入り口を模したドアを開けてフレディ・ワールドに踏み入れる。名古屋城の前に立つフレディの巨大な写真と、その時に着用していたジャケットが出迎えてくれ、彼の愛した数々の日本の美術品が目に飛び込んで来た。

洋楽の歌詞解説を仕事にしているせいか、フレディの精神世界のヒントになる物を自然と探してしまう。初期クイーンの世界を思わせる、ダークで淫靡な雰囲気の絵画も多かった。ペルシャとインドの絵画数点を除けば、フレディのルーツである地域の物は少ない。衣装やメモラビリアに比べて楽器の点数は多くなく、録音機材も小型のミキサー等があるだけだったので、オンとオフをはっきり分けていたのかもしれない。

手書きの歌詞が集められた部屋には、未発表の興味深い曲の原稿もあった。「ボヘミアン・ラプソディ」の歌詞の草案も、出品された15ページのうち3枚が展示されていた（展示以外のページでは、なんと主人公が出兵する設定になっているそう）。歌詞の部屋だけクイーンの曲が鳴っていたので、たまらず歌い出す人が続出。メモを必死で解読しようとしていた私は、「集中させてくれ～！」と心の中で叫んだのであった。

─────────────

いかがでしたでしょうか。朝日さんには行けない我々に成り代わって堪能していただき、その一部をリポートの形でまとめていただきました。フレディ秘蔵の品々や愛用品、手書きの歌詞など、本当にこのまま世界中を巡るツアーをしてもらいたいほどの貴重なアイテムの数々が展示されているこの展示会。楽器や機材が少なめというのはちょっと意外でしたね。

ということで来週の第2回、次回テーマはビートルズになりそうです。どうぞお楽しみに！

朝日順子・主な著作