連載・朝日順子の英国&アイルランド「ロック聖地巡りの旅」第6回 リヴァプールから見上げたミネソタの空
朝日順子さんによる英国とアイルランドでのロック聖地巡りの旅の記録、第6回めはちょっと異色の内容。今回の旅は、米国はミネソタ出身のロバート・ジマーマンさんの一人旅がきっかけです。
朝日順子のサイト
有名人とはいえ、同時にただのロック・ファンでもある、ということなんでしょうね。ジョンが少年時代に住んだ家を訪れてじーんとしているあの人の姿を想像すると、可愛らしくてちょっと笑えます。案の定途中でバレてツアーを離脱したそうですが、間違いなく現地では語り草のはず。しかも朝日さん、その過程でまた別の有名人の弟にも偶然会ってるし……。
酔っ払うのはいいけど、イリーガルなのはダメ絶対
第6回 リヴァプールから見上げたミネソタの空
ボブ・ディランがリヴァプールで一般人に混じってビートルズのバス・ツアーに参加したという小さなニュースを目にしたのは、15年近く前だ。きっとあの黄色い車体のマジカル・ミステリー・ツアー・バスに違いないと、現地に着いて真っ先に参加。ガイドさん(なんとフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのホリー・ジョンソンの弟!)に「ディランが参加したらしいですね」と聞くと、彼は “にやっ” と笑ってから「ナショナル・トラストの方だ」と言う。「誰も気づかなかったのですか?」にも「ああ」と答え、また “にやっ” と。これが聞きしに勝るリヴァプール人のラコニック・ユーモアか!と1人で感動してしまった。というわけで翌日、ジョンが幼少期から住んだ家でナショナル・トラストのガイドに質問し、以下の話を聞いた。
ジョンが1945年から1963年まで住んだ家。
前日マネージャーから電話があり、お金を払って参加したいと。フードをかぶり1人現われたディランは、ジョンの部屋で窓の外を見ながら「起きたらジョンが見る景色はこれだったの?」と聞き、感動した様子で「ミネソタの自分の部屋から見る景色と似ている。キッチンも母の台所に似ている」と。家から出ると他のツアー客が気づきカメラを取り出し始めたので、あくまで一般客として参加したかったディランはツアーを降り、ポールの家は外観だけ見たそう。
ボブ・ディラン『テンペスト』(2012年)収録の「ロール・オン・ジョン」は、
ディランがジョンの家を訪れたことにインスパイアされて書いたと思われる曲。
商品詳細
ボブ・ディラン
『テンペスト』
・Amazon Music・MP3(SEP 07 2012)¥1,800
・CD(2012/9/26)¥2,193
ボブ・ディラン
『テンペスト』
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・CD(2012/9/26)¥2,193
ロックに関する妄想一筋数十年、聖地をただ見て回るだけでなく、ディランになったつもりで足跡を辿ろうと決めていた私は、彼が62年の初渡英の際に演奏したトルバドールも訪れた。50年代のコーヒー・バーそのままの形では、ロンドンに唯一現存する店で、カリフォルニアのトルバドールの元にもなった。ピート・シーガーに教わって客として来たディランが店の勧めで演奏したのは、地下のライヴ・スペースだ。ここでは昔、チャーリー・ワッツやジミ・ヘンドリックスもライヴをやったという。
トルバドールの店内。
店名の入ったポスター。
ペールエールを飲みながらシェパーズパイをつついていると、肩に誰かが触れる。振り向くと、明らかに酒以外の物質で酩酊状態に陥っている若い女性が、口いっぱいにビールの泡をつけて “にかーっ” とこちらに笑いかけている。ディランとザ・バンドの『地下室(ザ・ベースメント・テープス)』のジャケを思い出させる時空を超えた店で、ロンドンの怪しい夜はふけていくのであった。
朝日順子氏「ロック史の現場を見て!食べて!飲む! UK & アイルランド体当たりレポート〜2023 夏」第6回目、真のテーマは「ボブ・ディラン目線で訪ねるリヴァプール、ロンドン」だったのでした。調べてみると、ディランがバスツアーに参加したのは2009年のUKツアーの際のようですね。この時はリヴァプール公演でのみ「サムシング」を演奏したそうです。「ジョンの曲じゃないじゃん……」は言いっこなしで。彼なりに思うところがあったということでしょう。
というわけで、次回は第7回。お次もリヴァプールですが、今度はポール編のようです。どうぞ次回もお楽しみに!
というわけで、次回は第7回。お次もリヴァプールですが、今度はポール編のようです。どうぞ次回もお楽しみに!
朝日順子・主な著作
商品詳細
アジョイ・ボース(著)、朝日順子(翻訳)、藤本国彦(解説)
『インドとビートルズ:シタール、ドラッグ&メディテーション』
・単行本(2022/12/26)¥2,860
・Kindle版(電子書籍)( 2022/12/26)¥2,717
アジョイ・ボース(著)、朝日順子(翻訳)、藤本国彦(解説)
『インドとビートルズ:シタール、ドラッグ&メディテーション』
・単行本(2022/12/26)¥2,860
・Kindle版(電子書籍)( 2022/12/26)¥2,717
商品詳細
朝日順子(著)、藤本国彦(監修)、杉本綾子(イラスト)
『クイーンは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』
・ムック(2019/7/31)¥1,935
・Kindle版(電子書籍)( 2019/7/31)¥1,742
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『クイーンは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』
・ムック(2019/7/31)¥1,935
・Kindle版(電子書籍)( 2019/7/31)¥1,742
商品詳細
朝日順子(著)、藤本国彦(編集、読み手)
『ビートルズは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』
・ムック(2018/6/4)¥1,731
・Kindle版(電子書籍)(2018/6/4)¥1,558
朝日順子(著)、藤本国彦(編集、読み手)
『ビートルズは何を歌っているのか?(CDジャーナルムック)』
・ムック(2018/6/4)¥1,731
・Kindle版(電子書籍)(2018/6/4)¥1,558
クイーン 誇り高き闘い
3,520円
ジャッキー・スミス、ジム・ジェンキンズ 著/田村亜紀 訳
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●関連ニュース
BOOK・2021.12.28
ファンクラブ会長とバンド公認コレクターによる クイーンの公式評伝 世界に先駆けて日本先行発売!〜『クイーン 誇り高き闘い』
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