映画『リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング』、公開記念トークイベントに臼井ミトン×高橋芳朗が登壇!
絶賛上映中、リトル・リチャードの生涯を追ったドキュメンタリー映画『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』。公開時に合わせ開催されたトークイベントについては先日萩原健太氏と近田春夫氏、丸屋九兵衛氏の2本立てのレポートをお送りしましたが(3月7日MLCニュース参照)、それに続いて今回は臼井ミトン氏 × 高橋芳朗氏によるトークイベントのレポートをお送りします。

ビートルズもストーンズもプレスリーも。すべては彼から始まった!
時代に抗い、幾多の困難を乗り越えた、不屈で繊細な魂の軌跡。
リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング
臼井ミトン×高橋芳朗が登壇!
公開記念トークイベント・オフィシャル・レポート!
ビートルズもストーンズも。ボウイもフレディもプリンスも。
JBもジミヘンも、そしてプレスリーまでもが彼に憧れ、敬愛し、真似た!
現代ロックの誕生を導き、あらゆる困難と闘った偉人、その知られざる史実と素顔とは?
1955年、デビュー・シングル「トゥッティ・フルッティ」の大ヒットで世に出ると、リトル・リチャードはヒット曲を連発して反権力志向の若者の心をつかみ、まさにイナズマのような活躍をみせるも突如引退を宣言。そこから5年の「教会への回帰」を経て、復帰後はイギリス・ツアーを通じて無名時代のビートルズやローリング・ストーンズに決定的な刺激と影響を与えていく。立ったままでピアノを弾き、左手でブギウギを、右手では打楽器的打鍵を披露。激しいリズムを背景に、叫ぶように歌ったかと思えば、ピアノの上に立ち、衣服を脱ぎ捨ててステージを縦横無尽に駆けめぐる。今ではすっかり当たり前になっているパフォーマンスの数々が約70年前にひとりの黒人シンガー・ソングライターによって創造されたのだ。さらに近年ではLGBTQ+(クイア)の先駆者としても再評価されている。
本作は、1950年代半ばに彗星のごとく音楽シーンに現れ、ビートルズやザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、デイヴィッド・ボーイなど偉大なるミュージシャンたちに多大なる影響を与え、自らをロックンロールの創造主と称したリトル・リチャードの人生を描いたドキュメンタリー。アーカイヴ映像に残されたリチャード自身の発言を軸に、リトル・リチャードの親族や関係者、識者に加えて、ミック・ジャガーやポール・マッカートニー、デイヴィッド・ボウイら著名なミュージシャンからの証言によってリチャードという人間が綴られる。
今回のトークテーマは、映画でもあまり触れられていなかった60年代後半から70年代にかけてのアーティストとしてのリトル・リチャードの動きを曲と共に振り返るというもの。
高橋氏は「そもそも50年代に活躍したロックンロールのパイオニア、チャック・ベリーやボー・ディドリー、ジェリー・リー・ルイスのような人たちが、60年代、70年代に出した曲というのは、まともに聴かれていない」と述べると、臼井氏も「実際に60年代、70年代にビートルズが出て、そのあとシンガーソングライターの時代になって、ファンクとかソウル・ミュージックが出てきて、50年代の音楽があまり振り返られることがなかった時代だったので、ロックンロールのパイオニアたちは、非常に苦しい時代だった」と解説する。
そんななか、60年代後半から70年代にかけてリトル・リチャードが残した曲にはかなり格好いいものがあり、他のアーティストとは一線を画した魅力があったという。
最初に披露された曲は66年にOKEHレーベルから発売された「POOR DOG」。高橋氏は「当時のモータウン・ソングと比べても遜色がない。ガンガンピアノを弾いてロックのものすごいエネルギーでやっていた50年代の曲とはちょっと趣が違う」と解説すると、臼井氏も「モータウンが切り開いた都会的でポップなソウルというマーケットを意識した曲調になっています」とリトル・リチャードの順応性に着目する。
さらに「I Don't Want to Discuss It」のイントロを披露すると、高橋氏は「イギリス人にめちゃくちゃ人気のある曲で、ロッド・スチュアートがカヴァーしていました」と触れ「ロックンロールのパイオニアで、ある意味でピークを過ぎたときに発表された曲を、当時の人気アーティストにリメイクされていたのは、かなりレアケース」とリトル・リチャードの影響力の大きさを強調する。
次は70年代。「REPRISE」というレーベルに移籍した後に出した「Greenwood, Mississippi」を流すと、臼井氏は「当時ものすごく流行っていたCCRというバンドを意識して書かれた曲。かなりスワンプ・ロックな風味で、いままでのロックンロールとも、60年代のポップソウルっぽい感じのどちらでもない」と、リトル・リチャードは時代に合わせて器用に音楽ジャンルを渡り歩いているアーティストであると証言する。
また1970年にリトル・リチャードがリリースしたアルバム「The Rill Thing」では、リトル・リチャードに憧れていたと語るビートルズの曲を時代に合わせてカバーしていたり、1958年にリトル・リチャードがリリースした「Keep A-Knockin'」のドラムのイントロに触れ、1970年に自身の曲をセルフ・オマージュした「Dew Drop Inn」を流すと、レッド・ツェッペリンの名曲「Rock and Roll」が本曲を引用していると解説するなど、いかに多くのアーティストがリトル・リチャードに影響を受け、多くの曲を引用しているかという事実を述べていた。
「80年代に入ってもリトル・リチャードの影響力は衰えることがなかった」と語る高橋氏は「『The Rill Thing』というタイトル曲は、定番のブレイクビートとして100曲以上にサンプリングされている。こうしてロックンロール・パイオニアの人が、70年代に残した作品が、こうやって後々90年代とか2000年代に入ってヒップホップ的な観点から再評価されるということはほぼないんです」と特別な存在のアーティストであることを語る。
こうした特徴に加え、臼井氏も高橋氏も「歌のうまさが半端ない」と、リトル・リチャードのヴォーカリストとしての魅力を述べると、映画のハイライトである1997年1月27日、米ロサンゼルスのシュライン・オーディトリアムで開かれた第24回アメリカン・ミュージック・アウォードで功労賞受賞した際の歌唱力を絶賛していた。
1. Little Richard/Poor Dog (Who Can't Wag His Own Tail) 『The Explosive Little Richard』
2. Little Richard/I Don't Want to Discuss It『The Explosive Little Richard』
3. Little Richard/Soul Train『Best Of Brunswick - For Brothers』
4. Little Richard/Greenwood, Mississippi『The Rill Thing』
5. Travis Wammack/Greenwood Mississippi『Shotgun Woman』
6. Creedence Clearwater Revival/Travelin Band『Cosmo's Factory』
7. Creedence Clearwater Revival/Born On the Bayou『Bayou Country』
8. Little Richard/Born On the Bayou『King of Rock and Roll』
9. The Beatles/I Saw Her Standing There『Please Please Me』
10. Little Richard/I Saw Her Standing There『The Rill Thing』
12. Fats Domino/Lady Madonna『Sweet Patootie:The Complete Reprise Recordings』
13. Little Richard/Keep A-Knockin'『Little Richard: The Georgia Peach』
14. Little Richard/Dew Drop Inn『The Rill Thing』
15. Esquerita/Dew Drop Inn『Vintage Voola』
16. Led Zeppelin/Rock and Roll『Led Zeppelin IV(Remastered)』
17. Little Richard/The Rill Thing『The Rill Thing』
18. Melanin 9/White Russian(feat. Roc Marciano)『Magna Carta』
19. Little Richard/Brown Sugar『King of Rock and Roll』
20. Quincy Jones/Money Is(feat. Little Richard)『$(Original Motion Picture Soundtrack)』
21. Corduroy/Money Is『Dad Man Cat』
─────────────
劇場情報
※上映期間/時間は劇場によって異なります。お近くの上映館のスケジュールをご確認ください。
※3/4現在
シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町、立川シネマシティ、札幌シネマフロンティア、シネマ・トーラス、函館シネマアイリス、MOVIX仙台、小山シネマロブレ、宇都宮ヒカリ座、長野相生座・ロキシー、シネマテークたかさき、シネプレックスつくば、T・ジョイ蘇我、キネマ旬報シアター、ムービル、あつぎのえいがかんkiki、静岡シネ・ギャラリー、シネマイーラ、シネ・ウインド、高田世界館、ミッドランドスクエア シネマ、アップリンク京都、シネマート心斎橋、T・ジョイ梅田、シネ・リーブル神戸、シネマ・クレール、八丁座、シネマルナティック、とさぴくシネマ、KBCシネマ、シネプレックス小倉、シアター・シエマ、T・ジョイパークプレイス大分、Denkikan、宮崎キネマ館、鹿児島ミッテ10、桜坂劇場
出演:リトル・リチャード、ミック・ジャガー、トム・ジョーンズ、ナイル・ロジャーズ、ノーナ・ヘンドリックス、ビリー・ポーター、ジョン・ウォーターズ
2023年/アメリカ/101分/カラー/ビスタ/5.1ch/DCP/原題:LITTLE RICHARD:I AM EVERYTHING
字幕:堀上香/字幕監修:ピーター・バラカン 提供・配給:キングレコード
little-richard.com
© 2023 Cable News Network, Inc. A Warner Bros. Discovery Company All Rights Reserved

リトル・リチャードほか
『リトル・リチャード:アイ・アム・エヴリシング』オリジナル・サウンドトラック
・Amazon Music・MP3(JUN 16 2023)¥1,900
・CD(2024/3/1)¥2,860(SHM-CD)【Amazon.co.jp限定】特典:メガジャケ付
・CD(2024/3/1)¥2,860(SHM-CD)
2. ストレンジ・シングス・ハプニング・エヴリ・デイ/ヴァレリー・ジューン
3. ベイビー(デモ)
4. アイム・ジャスト・ア・ロンリー・ガイ
5. トゥッティ・フルッティ
6. のっぽのサリー
7. ルシール
8. バマ・ラマ・バマ・ルー
9. リップ・イット・アップ
10. レディ・テディ
11. 女はそれを我慢できない
12. センド・ミー・サム・ラヴィン
13. トゥッティ・フルッティ/コリー・ヘンリー
14. クエーサー/タマ―ル=カリ


リトル・リチャード
『ヒアズ・リトル・リチャード』
・Amazon Music・MP3(MAR 04 1957)¥1,500
・CD(2024/3/1)¥1,980(限定盤)

リトル・リチャード
『リトル・リチャード Vol. 2』
・Amazon Music・MP3(JUL 21 1958)¥1,200
・CD(2024/3/1)¥1,980(限定盤)

リトル・リチャード
『ザ・ファビュラス・リトル・リチャード』
・Amazon Music・MP3(JAN 01 1958)¥300
・CD(2024/3/1)¥1,980(限定盤)

この記事へのコメントはまだありません





RELATED POSTS
関連記事
LATEST POSTS
最新記事