ポリス『シンクロニシティー』40周年記念盤、本日発売。3人他の発言をまとめた、書き下ろし超・濃密解説!!!〈MLC会員限定〉

ということで、ここでしか読めない濃密な『シンクロニシティー』40周年記念盤解説、ごゆっくりお楽しみください。
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わずか150ポンドの経費で製作されたデビュー・シングルから7年──本作で世界の頂点に立つことになったポリスのすべてを堪能できる、グループ初のアルバム・デラックス・リイシュー
文◉大島隆義
スチュワート・コ―プランドが回想する。「モンセラット島での録音は地獄だった。楽園の島で行き詰まった。3人しかいないわけだよ。衝突と苦闘。それがバンドにエネルギーを与えてくれたんだと、思い返せばそうなるね。いっしょに音楽をやりたいと思うのはあの2人だけだった。世界で最高の2人だから。奴らはまったく頭に来るこんちくしょうだけど、耐える価値があった。一緒に作り上げる音楽のためならね」
初公開の「見つめていたい(Every Breath You Take)」のデモ・ヴァージョンが驚嘆である。最終的にアンディ・サマーズのギター・アルペジオを得て完成する大ヒット曲は、デモの段階ではシンセサイザーのサウンドに支えられている。スティングは1982年末にロンドンのユートピア・スタジオでこの曲を録音した。
プロデューサーのヒュー・パジャムが「Sound On Sound」に語ったところでは、「 “見つめていたい” でスティングとスチュワートの間の緊迫感は最高点に達した。スチュワートは『ドラムの音を入れさせろ』、スティングは『お前のドラムは要らない』と言い争って。モンセラット島での10日分のテープは使えるものにならなかった」
最近公開された映像が興味深い。アンディ・サマーズがジョージ・マーティンの家をノックした際の様子を回想して語っている。
「録音に行き詰っています。メンバーは罵り合いのケンカ状態なんです」と話すと、ジョージは「前にもそういうバンドを見たよ。まあ、お茶でも飲もうよ」と言ってね。スウィートな紳士だった。「君たちは大丈夫だよ」って言われたんだ。「メンバーは憎みあっていて、もう一緒にいたくないって感じなんです。演奏もできない」と言うと「そういうの見たことあるよ。けれど君たちは大丈夫だよ」と言ってくれた。結局は彼が魔法の杖を振ってくれたみたいな感じになったんだよ。スタジオに戻ったら、僕ら3人は互いにとても丁寧な口調で話してね。「こうやるのがいいと思うのかい? そうだね。やってみるよ。(ギターの)4フレットか5フレットかどっちがよいかな」ってね。うまく行ったんだ。マーティン・マジックだね。
アンディは前述の自伝で「見つめていたい」について続ける。「数週間の紆余曲折の末、ようやくベースとドラム、そして印象的なヴォーカルが録音された」「スティングが『ギターのパートを入れてくれ』とソファーにもたれながら僕に告げた」「ルート、5番、3番、3番、アップ&ダウンを繰り返す」「調整室にいた全員が立ち上がって大歓声」記憶は鮮明である。米『ビルボード』誌シングル・チャート1位を8週間独走することになる楽曲は苦心の末に完成した。
1984年2月に授賞式が行なわれたグラミー賞で、「見つめていたい」は「今夜はビート・イット」「ビリー・ジーン」(マイケル・ジャクソン)、「マニアック」(マイケル・センベロ)、「オール・ナイト・ロング」(ライオネル・リッチー)を抑え、ソングライターに与えられる最優秀楽曲を受賞したが、会場であるロサンゼルス・シュライン・オーディトリアムにスティングは不在だった。スティーヴィー・ワンダーと共にプレゼンターを務めたボブ・ディランは「スティングは不在です。ツアー中なんで。けれどちゃんと届くよ」と会場を笑わせた。1983年7月23日のシカゴから1984年3月4日のメルボルンまで、226日間で105公演の世界ツアーを行なっていたポリスの多忙さを示している。
シンコー・ミュージックから2023年12月に『アンディ・サマーズ ポリスの音響設計士』が上梓されている。写真家でもあるアンディは2024年4月に自身の写真展のために東京と京都を訪れた。『ミュージック・ライフ』誌の「ロンドン在住特約カメラマン」として活躍し、アンディの長年の友人である浅沼ワタル氏は来日中のアンディに東京で会い、直接この書籍を手渡している。使用ギター、機材、ポリス加入以前の写真などが満載の一冊を、アンディは「Great Photo」と喜んで受け取ってくれたとの浅沼氏の談である。

スティングは『シンクロニシティー』について「この作品は違うことが重要だった」「多くのグループが僕らのサウンドを模倣するようになった。ポリスみたいなフレーズを連発するアルバムを僕らが作るわけにはいかない、それが重要だった」(シンクロニシティ―・コンサートのツアー・パンフに引用掲載された『Musician』誌のインタビュー)と語っている。
結局、シンクロニシティ―・ツアーが日本の地を踏むことはなかった。
結局、日本公演は実現せず、「シンクロニシティー・ツアー」の終了と共に、ポリスは実質的に解散となった。スティングは「僕がポリスを離れた理由は、最高地点に達したと思ったから。シェア・スタジアムで演奏し、83年リリースで最大セールスのアルバムを作った。何か別のことを始めるべきだと感じた」(1996年) と話している。
sting.com
Interview: THE SAN FRANCISCO CHRONICLE(1996)
アンディ・サマーズは「(ツアーの最終公演を行なった)オーストラリアで(バンドは)終わった。魔法の城に7年間住んでいたけど、その城はなくなったんだ」との発言を前述の映像で残している。
『シンクロニシティー』のジャケットのデザインについては、その語の意味(Synchronicity:共時性)に関連が深い。スティングは「グループ・ショットは前にやったので、今回はやりたくなかった」「みんなが別々に自分の好きなようにデザインをして、出来上がった段階で持ち寄ってみた。それをまとめたら、メンバーの無意識の部分でのつながりが見えて、とても面白かったよ。ここでも “シンクロニシティー” の理論が働いたわけだ」(前出のウィリアム・ヘイムス氏によるインタビュー)。スチュワートは「40周年」のための動画で、「ジャケット写真のコンセプトはふたつ。ショウビズ的な写真ではなく、芸術的にすること。もう一つは、撮影した描写を集めて、シンクロニシティーの名にふさわしいものにすること。個々の写真は関係ないように見える。それぞれの関係が〈シンクロニシティー〉であることに気づかなければね」
『40周年記念盤』6CDに収録される未発表楽曲のひとつに、スチュワート・コープランドが作曲した「アイム・ブラインド(デモ)」がある。『シンクロニシティー』に採用されなかったこの楽曲は、後にスチュワートが担当する映画『ランブルフィッシュ』のサウンドトラック盤にインスト楽曲として再録音され「Brothers on Wheels」のタイトルで収録されたものである。

Stewart Copeland
『Rumble Fish』
Amazon Music・MP3(APR 21 1992)¥1,900
2023年8月の段階でスティングはこの「40周年」プロジェクトについて発言している。「『アウトランドス・ダムール』の頃はテープレコーダーを買う金がなかった。シンクロニシティーの時には、とてもとてもソフィスティケートされたデモが録れたよ」
102.9 WMGK - Philadelphia's Classic Rock 102.9 WMGK
Sting Confirms Police ‘Synchronicity’ Box Set Is Coming
■商品情報
ポリス
『シンクロニシティー』40周年記念盤
発売日:2024年7月26日(金)発売
〈発売フォーマット〉
① 6CD スーパー・デラックス・エディション〈輸入国内盤仕様・完全生産限定盤〉
ザ・ポリス
『シンクロニシティ〈40周年記念盤/スーパー・デラックス・エディション〉』
・6CDs(2024/7/26)¥23,100(完全生産限定盤/SHM-CD/6枚組)【Amazon.co.jp限定】特典:メガジャケ付
・6CDs(2024/7/26)¥23,100(完全生産限定盤/SHM-CD/6枚組)
UICY-80511/6 価格:23,100円税込
〈日本盤のみ〉ライナーノート付(奥田祐二・訳)、オリジナル・アルバムの歌詞対訳付、SHM-CD仕様
予約はこちら。
② 2CD
『シンクロニシティ〈40周年記念盤〉』
・2CDs(2024/7/26)¥3,960(通常盤/SHM-CD/2枚組)【Amazon.co.jp限定】特典:メガジャケ付
・2CDs(2024/7/26)¥3,960(通常盤/SHM-CD/2枚組)
UICY-16234/5 価格:3,960円税込
〈日本盤のみ〉オリジナル・アルバムの歌詞対訳付、SHM-CD仕様
予約はこちら。

〈収録曲〉
[DISC 1](2024年最新リマスター)
1. シンクロニシティーI
2. ウォーキング・イン・ユア・フットステップス
3. オー・マイ・ゴッド
4. マザー
5. ミス・グラデンコ
6. シンクロニシティーII
7. 見つめていたい
8. キング・オブ・ペイン
9. アラウンド・ユア・フィンガー
10. サハラ砂漠でお茶を
11. マーダー・バイ・ナンバーズ
[DISC 2](全トラック初CD化)
1. トゥルース・ヒッツ・エヴリバディ(リミックス)
2. スーツケースの流れ者(ライヴ:1981年1月16日 ヴァラエティー・センター/ロサンゼルス)
3. サムワン・トゥ・トーク・トゥ
4. 孤独のメッセージ(ライヴ:1979年10月26日ガスマン・カルチャラル・センター/マイアミ)
5. アイ・バーン・フォー・ユー
6. ワンス・アポン・ア・デイドリーム
7. サハラ砂漠でお茶を(ライヴ:1983年11月3日 ジ・オムニ/アトランタ)
8. 見つめていたい(バッキング・トラック)
9. ロクサーヌ(バッキング・トラック)
10. アラウンド・ユア・フィンガー(ライヴ:1983年11月3日 ジ・オムニ/アトランタ)
11.エヴリ・ボム・ユー・メイク
12. ウォーキング・オン・ザ・ムーン(ライヴ:1983年11月3日 ジ・オムニ/アトランタ)
13. ホール・イン・マイ・ライフ(ライヴ:1983年11月3日 ジ・オムニ/アトランタ)
14. ワン・ワールド(ノット・スリー)(ライヴ:1983年11月3日 ジ・オムニ/アトランタ)
15. インヴィジブル・サン(ライヴ:1983年11月3日 ジ・オムニ/アトランタ)
16. マーダー・バイ・ナンバーズ(ライヴ:1983年11月3日 ジ・オムニ/アトランタ)
17. ウォーキング・イン・ユア・フットステップス(ディレンジメント)
18. サハラ砂漠でお茶を(ディレンジメント)
[DISC 3](全トラック未発表音源)
1. シンクロニシティーI(Demo)
2. シンクロニシティーI(Alternate Mix)
3. シンクロニシティーI(Instrumental)
4. ウォーキング・イン・ユア・フットステップス(Alternate Version)
5. ウォーキング・イン・ユア・フットステップス(Alternate Mix)
6. オー・マイ・ゴッド(Demo)
7. オー・マイ・ゴッド(Out-Take)
8. オー・マイ・ゴッド(OBX Version)
9. オー・マイ・ゴッド(Alternate Mix)
10. マザー(Alternate Version)
11. マザー(Instrumental)
12. ミス・グラデンコ(Alternate Mix)
13. シンクロニシティーII(Demo)
14. シンクロニシティーII(Out-Take)
15. シンクロニシティーII(Extended Version)
16. シンクロニシティーII(Alternate Mix)
17. シンクロニシティーII(Instrumental)
[DISC 4](全トラック未発表音源)
1. 見つめていたい(Demo)
2. 見つめていたい(Out-Take)
3. 見つめていたい(Alternate Mix)
4. キング・オブ・ペイン(Demo)
5. キング・オブ・ペイン(Alternate Version)
6. キング・オブ・ペイン(Alternate Mix)
7. アラウンド・ユア・フィンガー(Demo)
8. アラウンド・ユア・フィンガー(Alternate Mix)
9. アラウンド・ユア・フィンガー(Instrumental)
10. サハラ砂漠でお茶を(Demo)
11. サハラ砂漠でお茶を(Alternate Mix)
12. マーダー・バイ・ナンバーズ(Demo)
13. アイム・ブラインド(Demo)
14. ラック
15. ラゲッド・マン
16. グッドバイ・トゥモロー
17. トゥルース・ヒッツ・エヴリバディ(Remix/Out-Take)
18. スリー・ステップス・トゥ・ヘヴン
19. ロック・アンド・ロール・ミュージック
[DISC 5](全トラック未発表音源)
ライヴ:オークランド・コロシアム 1983年9月10日
1. シンクロニシティーI
2. シンクロニシティーII
3. ウォーキング・イン・ユア・フットステップス
4. メッセージ・イン・ア・ボトル
5. ウォーキング・オン・ザ・ムーン
6. オー・マイ・ゴッド
[DISC 6](全トラック未発表音源)
ライヴ:オークランド・コロシアム 1983年9月10日
1. ホール・イン・マイ・ライフ
2. インヴィジブル・サン
3. ワン・ワールド
4. キング・オブ・ペイン
5. 高校教師
6. マーダー・バイ・ナンバーズ
7. 見つめていたい
8. 愛しのロクサーヌ
9. キャント・スタンド・ルージング・ユー


スティング
『マイ・ソングス』
・2LPs(2023/3/8)¥6,600(完全生産限定盤/2枚組)

スティング
『マイ・ソングス』
・Amazon Music・MP3(2019/5/24)¥2,210(Deluxe)
・2CDs(2019/10/4)¥3,520(スペシャル・エディション)
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