元ローリング・ストーンズのビル・ワイマン、「もっと早く脱退すべきだった」

ビル・ワイマンはストーンズのメンバーで最もソロ活動に積極的だったが、その裏にはこうした事情もあったのか。写真は1982年ソロ3作目『ビル・ワイマン』プロモーションで、グループのメンバー中最も早く来日した際のもの（加入前に来日経験のあったロニーを除く）。左は当時の奥方アストリッド・ルンドストロム。

1993年にローリング・ストーンズを脱退したベーシストのビル・ワイマンが、『Classic Rock』誌の最新インタヴューで、バンドを脱退したタイミングが適切だったかと問われ、次のように語りました。

「もっと早く脱退すべきだったよ……80年代に。1989年から1990年にかけて3回のツアー（Steel Wheels／Urban Jungleツアーの3行程）で頑張ったけど、その前の7年間は稼ぎがなかったから、銀行の当座貸越が20万ポンド（※現在のレートで4,000万円）にまで膨れ上がったんだ。

ミックとキースは大金持ちだったから気にしてなかったけど、俺とチャーリーとロニーはギリギリの生活で、ロニーは家族を養うためにアートを始めた。とにかく、俺は彼らと再び演奏を始めけど、数年しか続かないことを願ってたんだ。他にやりたいことがたくさんあったから」

またワイマンは、バンドが1971年の春に脱税のためにイギリスを離れたと批判されたことにも言及しました。

「俺たちには金がなかった。アレン・クライン（68年～70年までのマネージャー）がすべての金を牛耳っていて、何か欲しいものがある時は、彼に送金を頼むしかなくてね。銀行口座も赤字だったから、年がら年中パーティーなんかしてないし、請求書の支払いが心配で、悪夢だったよ。

そしたらハロルド・ウィルソンが首相になって、93％まで増税した。まったく馬鹿げてるよ。だから俺たちはイギリスを去ったんだ。内国歳入庁に多額の借金があって、93％もの税率じゃ返済できるほどの収入が得られないし、出ていくしかなかった。でも、俺たちは億万長者のくせに税金を払いたくないからイギリスを去ったと非難されたんだ。そうじゃないのに。

ブライアンが亡くなった時、彼は3万ポンド以上の借金を抱えてた。俺がサフォークの邸宅を購入した時、銀行口座には1,000ポンドしかなかったから、住宅ローンを組んで、それを維持できるだけの稼ぎが続くことを祈るしかなかった。

それほど酷かったんだ。ミックとキースは作詞作曲と音楽出版の印税があったから裕福だったけど、俺とブライアン、チャーリー、そしてロニーも結果的に彼らの10分の１しか収入がなかったのさ」