4月6日(日)東京・日本橋三井ホール

「クイーン・デイ10周年スペシャル I」速報レポート

※4/11情報追加:4/17(木)「クイーンの日」に、MLC会員限定で〈第1部「オペラ座の夜」解説トーク〉ノーカット版を公開予定。

文◉石角 隆行

クイーンのトリビュート・バンド、GUEENが4月6日(日)東京・日本橋三井ホールで開催された「クイーン・デイ10周年スペシャル I」に出演し、ライヴ・パフォーマンスを披露した。
「クイーン・デイ」はクイーンが初来日(1975)で羽田空港に降り立った4月17日を「クイーンの日=The Queen Day」と制定し2015年から始まったファン・イベント。2025年は10周年を迎え、それを記念し今年春はクイーン・デイを3回開催。その第1弾となったのがこの夜のイベント。テーマは初リリースから50周年を迎える4枚目のアルバム『オペラ座の夜』で、第1部はクイーン・コンシェルジュの吉田聡志によるアルバム解説。第2部はGUEENによる「オペラ座の夜」収録曲を曲順通りに完全再現するライヴ・パフォーマンスの2部構成。
 

〈第1部「オペラ座の夜」解説トーク〉

16時ジャスト、客電が落ちるとステージにはクイーン研究家の石角隆行が登壇し「クイーン・デイ」の開会を宣言。クイーン・コンシェルジュの吉田聡志を呼び込み、第1部のトークがスタートした。吉田はアルバム『オペラ座の夜』制作に至る前提に1975年4月の初来日公演をあげる。この成功体験があってこそ、アルバムのレコーディングに繋がったのではと分析。トークでは吉田が取材したアルバムのリハーサルに使われたリッジファーム・スタジオ、録音で使用したロックフィールド・スタジオでの写真やエピソードを交えながら解説。なかでも印象に残ったのが当時、アシスタント・エンジニアを務めたジョン・ハリスの「外で聴いていて、いったい何をやっているかわからない」という証言。実験的な作業を繰り返していた「ボヘミアン・ラプソディ」や「預言者の唄」を録音していた頃の話で、確かに当事者(メンバー)だけにしかわからない先の見えない現場だったのであろう。アルバム『オペラ座の夜』は初来日公演から8ヵ月後の1975年12月27日付けで英チャート1位となる。最後に吉田は『「日本のクイーンから、世界のクイーンに羽ばたいた瞬間でした!」と締め、第1部のトークが終了した。
〈第2部「オペラ座の夜」完全再現/A面〉

冒頭、スクリーンには "GUEEN 結成35周年” を高らかに宣言する20世紀FOX映画オープニング風の動画が映し出される。いよいよGUEENの登場だ。600人のオーディエンスは今か今かと待ち構える。場内には外国のノスタルジックな遊園地の効果音が流れ、ブライアン慎也井口のギターが一閃! オープニングは「Brighton Rock」だ。続けて演奏されたのは「Killer Queen」。これらはいずれもサード・アルバム『シアー・ハート・アタック』収録曲。あれ? 『オペラ座の夜』再現じゃなかったの? とファンの戸惑いをよそに同アルバム収録曲もこのあと2曲演奏。どうやらこれは導入部。『オペラ座の夜』に至る前のサウンドを聴いてもらいたいというGUEENのホスピタリティであった。MCでフレディ波多江は「イカガデスカ?(フレディが来日公演時によく披露していたMC)」とオーディエンスに語りかけ「オペラ座の夜」完全再現を宣言。
 
1曲目は「Death on Two Legs」。ここからLPのA面の曲順通りに演奏していく。ロジャー・松本淳がドラムを叩きながらリード・ヴォーカルを務める「I'm In Love with My Car」ではエンディングにレースカーのエンジン音が挿入されていたが、なんとそれをフレディ波多江がヴォイスで再現。そこまでするか!と驚きを隠せない。さらに「Seaside Rendezvous」、原曲の間奏部分での金管楽器、木管楽器をフレディとロジャーがヴォイスで再現していたが、このパートをベースの山田Anthonyサトシとブライアン慎也井口、フレディ波多江の3人がなんとカズーでリビルド!こ う来たか!と意表を突く形で再現した実に見事なカズー・アンサンブルであった。なんでもこのパートがリハーサルでいちばん時間がかかったとか。

フレディ波多江のアーメン風のかけ声「A面(エーメン!)」でLPのA面が終了。レコード盤を裏返して針をかけたノイズまでも口で再現する徹底ぶりでB面に突入。
〈第2部「オペラ座の夜」完全再現/B面〉

LP B面1曲目は「預言者の唄/The Prophet's Song」。原曲冒頭の風のSEはフレディ波多江のホイッスルで再現。どこまでもやりますね。そしてこの曲の白眉は中間部、フレディのデジタルディレイ・マシーンを駆使したひとり多重コーラス。ブライアンのひとりギター多重奏のヴォーカル版だ。こちらはメンバーのコーラスのサポートを得て見事に再現。さらにエンディングでのアコースティック・ギターとTOY KOTO(おもちゃの琴)はレッド本間とブライアン井口のアコギで奏でていく。ここから、モーガン竹中が弾く美しいピアノ・イントロの「Love of My Life」に続くクロスフェードのシークエンスがゾクゾクするほどカッコいい。「Love of My Life」、クイーンのライヴではブライアンのアコギとフレディのヴォーカルで綴り、オーディエンスが合唱することで知られる楽曲だが、GUEENのコンセプトはオリジナル・アルバム音源をステージで再現すること。それゆえ、ここではお馴染みのシンガロング・ヴァージョンではなく、究極の美しさを称えたバラード・スタイルだ。逆にこのヴァージョンをライヴで聴けるのは新鮮。このままアルバム曲順に沿って次はブライアン作の「Good Company」に。ブライアン井口はA面の「'39」に続き、この日2度目のリード・ヴォーカル。いつものレッドスペシャル・ギターではなく、ウクレレ・バンジョーを抱えて歌い、原曲の楽しいデキシーランド・ジャズバンドの世界観までも蘇らせた。そしてラストは「ボヘミアン・ラプソディ」。本家ですらステージでは生演奏しなかった冒頭のコーラスと中盤のオペラ・パートをメンバー全員で再現。そこまでやるか!にただただ圧倒される。GUEENは個々のメンバーの演奏技術の高さもさることながら、ヴォーカル&コーラスも素晴らしい。

アルバム「オペラ座の夜」完全再現を終えフレディ波多江は『いや~出来た!出来た!』と思わず胸をなで下ろしていた。さて、ここからはGUEENさんの通常運転。「Radio Ga Ga」や「We Will Rock You」「We Are the Champions」といったお馴染みのナンバーを畳みかけられると、場内のムードは最高潮に達し、エンディングの「God Save the Queen」までも生演奏し2時間弱に及んだパフォーマンスは終了した。
 
GUEENはこのあと、7月26日に東京、8月2日にフレディ波多江の地元・福岡でコンサートを開催する。
「クイーン・デイ10周年スペシャル企画」、次回はフレディのパーソナル・アシスタントを12年間務めたピーター・フリーストーン(フィービーさん)氏を招聘。4月24日にホテルニューオータニでフレディのレシピを再現した晩餐会を、4月27日にはライブ・パフォーマンス&講演会を開催する。

MUSIC LIFE CLUB Presents The Queen Day 10th Anniversary Special I 
SET LIST〉


01. Brighton Rock
02. Killer Queen
03. Now I'm Here
04. In the lap of the gods revisited...
05. Death on Two Legs
06. Lazing on the Sunday Afternoon
07. I'm In Love with My Car
08. You are My Best Friend
09. '39
10. Sweet Lady
11. Seaside Rendezvous
12. The Prophet's Song
13. Love of My Life
14. Good Company
15. Bohemian Rhapsody
16. Tie Your Mother Down
17. Radio Ga Ga
18. Hammer to Fall
19. We Will Rock You
20. We Are the Champions
21. God Save the Queen
 
・出演
トークゲスト:吉田聡志(クイーン・コンシェルジュ)
司会:石角隆行(クイーン研究家)
GUEEN;フレディ波多江(Vo)/ブライアン慎也井口(G)/山田Anthonyサトシ(B)/モーガン竹中(Key)/ロジャー・松本淳(Ds)/レッド本間(Key&G)
 
〈GUEEN公式サイト〉gueen.com

※4/11情報追加:4/17(木)「クイーンの日」に、MLC会員限定で〈第1部「オペラ座の夜」解説トーク〉ノーカット版を公開予定です。どうぞお楽しみに!!!

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