『伊藤政則 ライナーノーツ集 プログレ編]発売記念、伊藤政則 × 大貫憲章トーク・イベント・レポート
4月28日(月) @ 渋谷タワーレコード
伊藤政則 × 大貫憲章 ライナーノーツ伝説

大貫憲章(以下大貫):大貫です。よろしくお願いいたします。
伊藤:今日はライナーノーツあれこれのお話を伺いたいと来ていただきました。
大貫:はい、そのように聞いとります。
伊藤:大貫さんは何年からレコード会社から頼まれてライナーノーツを書き始めました?
大貫:71年か72年頃じゃないですかね。
伊藤:最初に書いたの覚えてる?
大貫:マウンテンの『Flowers Of Evil(悪の華)』じゃないですか? レコード会社の担当の方から「これなんかどう?」って言われて。
伊藤:誰かの紹介で書いたの?
大貫:いや、紹介っていうか、そもそも仕事を始めるようになったところから話します(笑)?
──大貫さんは最初、雑誌『an・an(アンアン)』でライターとして「レコード紹介」などを担当。編集部に出入りしていた松山猛(作詞家・編集者)さんに気にいられ、『ミュージック・ライフ』、東芝音楽工業などを紹介された──とのこと。
伊藤:松山さんに足向けて寝れないよね。
大貫:数日前にお会いしましたけれど、毎回そう思っております。それで東芝の石坂さんからCBSソニーの堤さんを紹介してもらい、堤さんが担当されていたのがマウンテン。
伊藤:僕がレコードを買い始めたときに大貫憲章さんのライナーノーツは多かったけど、初期の頃プログレってあんまり書いた記憶ない?
大貫:あの頃ってプログレ花盛りだったけど、あまり書いた記憶はない──、少なくともキング・クリムゾンやイエスとかの大物はもう出てたし。でも、『ミュージック・ライフ』で初めて原稿を頼まれたのが「一枚のレコード」っていうレビューで、プログレだったんですよ。編集の方から「大貫君は何が得意なの?」って聞かれたから、イギリスの音楽が好きですって言ったらエマーソン、レイク&パーマー(EL&P)のファーストが出てきて、「これについて800字で書いて欲しい」って。まさか、これまで書いた原稿はみんな50字程度とは言えないから、作文は得意──と原稿を書いたら、「良かったわよ、じゃあ次はキング・クリムゾンをお願いしようかしら」って言われた。
ライナーノーツ伝説 ① プログレ・アルバムのライナー
伊藤:そうやって短い原稿で結構プログレを書いてたんだね。で、今日は初期にライナーを書いたアルバムを持ってきていただいてます。こちらは『キャメル・ファースト・アルバム』(73年)、この帯は再発もの。
大貫:彼はキャリアが長いんですよ、キャメルはプログレ──叙情派の印象が強いですけど、彼、元々は色々ビート・バンドを転々として、一番有名なのはゼム。
伊藤:ヴァン・モリソン。
大貫:ヴァン・モリソンが歌ってたバンドでキーボードを弾いてた印象が強くて、そんな人がこんな曲をやってるんだというが印象。
伊藤:キャメルは、ピーター・バーデンスとかキャリアがある人が中心となって作られたバンドなので書くべきことは少しはあったんだよね。アルバムのことだけではなく歴史について書くべきことがあるから、ここまで長文の原稿になってるんだと思うよ。
伊藤:あ、レーベルのフライヤー。
大貫:伊藤さん書いたの覚えてます? 渋谷陽一先生もお書きになってます。
伊藤:レコード会社のプロモーション素材にいろんな人たちが声を寄せている。
大貫:扉ページを開くと左側が私で右側に伊藤さんがコメントをされてます。
伊藤:俺の読んでみてよ。
大貫:「駱駝、それは灼熱の果てしなき砂漠を旅するキャラバンの友として、東方と西方のきらめく夢の交流を果たす道案内として、蜃気楼に揺らめきつつ次のオアシスを求めながら一人一人のドラマを乗せて歩き続ける」伊藤政則(Rockadom)。
伊藤:76年かな、大貫さんこれと似てること書いてますよキャメルのライナーで。三段目のキャッチが「千年もの昔の光と千年も未来の華栄に満ち、駱駝は時の涙を流し走る」──ほとんど僕と書いてること似てますよ。
大貫:ま、だいたいそんなとこですよ。で、メンバーのアンディ・ラティマーのインタヴューが載ってていて、これがメインなんだな。『ミュージック・ライフ』のインタヴューより転載って書いてある。
伊藤:さっきの『レフュジー』って日本フォノグラムから出てるでしょ、帯がちょっと破れていて残念だけど、帯に書いてある文字はバンドのメンバーより大貫さんの方が大きいって気づいてる? で、今見たらパトリック・モラーツ(イエス)って書いてある。大貫さんこれいつライナー書いてるの? 後で調べるけど、パトリック・モラーツはこの後にイエスに入るのに、「(イエス)」って書いてあるのは、イエスに入ってから出たレコードだね、これは。
大貫:再発だからね──再発だと思うんですけど。
伊藤:(ジャケットなどを調べて)再発です。当時日本盤出てないかもしれないね。76年6月に出てる。
大貫:初めて日本盤が出ました、っていう時に書かせてもらった──。
伊藤:読むと、パトリック・モラーツがイエスに入って2年後くらいに出てる。
大貫:そういうことがなけりゃ出なかったかもしれませんね。
ライナーノーツ伝説 ② 資料不足とイマジネーション
大貫:ま、人にもよりますけど、エンサイクロペディアとかウィキペディアとかそういうのがあった方が便利は便利。メンバー何人いて、いつから始まって、その上でこのアルバムに対して自分はどう思うのか──っていうのを書いてたんですけど。最近のライナーを書く方々がそういう自分の思いを音楽にぶつけたり、自分の中を通過する形で表現する──というのは少ないですよね。
伊藤:渋谷さんのレッド・ゼッペリンのライナーを読むとデータじゃないからね。見たことない?
大貫:人のライナーなんて読んだことない。興味ないからね。
伊藤:そこまで言うかね、ゼッペリンのレコードにライナーが入ってたら読むよ。読みながら聴かないの?
大貫:レコード聴いてるからね、眺める程度です。誰がどう思ってるかなんて興味ないです。
伊藤:例えば全然自分の知らないバンドが出てきてレコード聴いて──あ、いいなって思ったら、ライナー読まないの?
大貫:自分が興味持っていれば読む場合もあるし、全部がそういうわけじゃない。
伊藤:興味ないバンドはライナーも読まないし、そもそもレコード聴かないでしょ。
大貫:いやぁ、とりあえず聴いてみようかな──って聴くけどね。
伊藤:その時はライナーは読まないよ、普通。
大貫:誰が書いたかによっても違いますよね、誰々が書いたからっていうのはあります。当時だと僕の前の方は福田一郎先生とか、湯川れい子さんとか、八木誠さん、高崎一郎さん。そういう方の解説って、僕らとはまた違うんです。メンバーの好きなものや趣味とか情報が並べてあって。
伊藤:1960年代のライナーノーツはそうだよ、個人のプロフィールとか好みの音楽とか、レーベルから送ってきた資料に書いてあるからそれを写してるだけだよ。
大貫:昔は結局そういうところに興味があったんですね。アメリカで出てる音楽雑誌も音楽を掘り下げて語るってことがなくて、写真と読者のページみたいなものだったから。
伊藤:雑誌にもよると思うんだよね、イギリスだと音楽新聞じゃないですか。『ニュー・ミュージカル・エクスプレス』『メロディ・メイカー』『レコード・ミラー』とかね。編集方針によって、『ニュー・ミュージカル・エクスプレス』は七面倒臭いことを書くとか、『メロディ・メイカー』は割と王道のことを書くとか。
大貫:アメリカは音楽新聞はなかった。
伊藤:たぶん、ないですね。
大貫:パンクの新聞はあったけど70年代後半だからね。だからぺらぺらのアイドル雑誌みたいなのが多かった。
大貫:その時その時の情報を出していくのはやはり新聞ですよね、週刊で週に一回出てましたから。
伊藤:それでライナーノーツなんですけど、大貫さんは原稿の頭のところで、必ず四角で囲ってキャッチ・コピーみたいなものを入れてから、枕詞を書く──っていうスタイルになってたよね。
大貫:そうだね、いつの頃かそうなってたね。アルバム全体をどういう言葉で表現したらいいのかなっていうところで、これを読んでいただければだいたいこのアルバムの性格が分かるっていうのを自分なりに作った。ま、小見出しみたいな形で入れて原稿を書いていく。そうするとやっぱり文字数が稼げます(笑)。
伊藤:バンド全体の情報がないってこともあるけど、大貫さんの得意なのは、昨今の音楽情勢を頭に持ってきて。それからバンドのことを書く──という起承転結の解説が多かった。
伊藤:他の人がやってなかった手じゃない?
大貫:そんなこともないと思うけど、ああいうような形で枕から入って本文で自分の思っていること──というのは、当時あまりなかったかもしれない。
伊藤:今日、持ってこようと思ったんだけどレコード会社からこのアルバムで原稿を書いてこい──っていう資料が、デビュー・アルバムの場合ほとんどない。しかもイギリスやドイツから届いた資料が一枚だけの紙に書いてあって、メンバー名もドイツ人だと正しく読めない。これで書いてこいってなると、ある種イマジネーションを広げないとこちらも書けないんだよね。
大貫:僕の中で一番驚いたのは、プラスティック・ベルトランってベルギーで活躍した人で、パンクでもないんですけど、フランスでもヒットした曲のカヴァーを「恋のウー・イー・ウー」ってタイトルでラジオ・シティ・レコードから出した人(二度目の邦題「恋のパトカー」でヒット)。本当に紙っぺら一枚にどこの国出身でこういう活動をしたというのが数行だけ書いてあって。他に資料は?って聞いても、「まったくございません、私たちが認知しているものはこれだけです」。だからもう勝手に想像で書きましたよ。多分ほぼ嘘です(笑)。
伊藤:嘘ではないだろ(笑)、イマジネーションでしょ。
大貫:そうですね、そうとう苦しいことがいっぱい書いてありましたね。
伊藤:例えば、ファースト・アルバムは大貫憲章が資料なしのイマジネーションだけで書きました、一年後その人の二枚目を書いてくれと言われたときに、海外から送られてきた紙には〈新譜が完成しました〉としか書いてない、つまり同じ資料という場合にはどうなるか。
大貫:〈あのプラスティック・ベルトランの第二弾〉ぐらいでね(場内爆笑)。
伊藤:本当なんだよ。
大貫:それは十分にあったんじゃないんですか。
伊藤:そういうことが多々あったんだよ、俺なんかも。そうすると書きようがないじゃない。全く知られてない、ドイツから出てきた若手で、音を聴けば誰かの影響だろうってのが分かるだろうとかの感じで。今だとネットで検索して遡ったりとか色々細かい情報を得られる可能性はあるけどね、俺らの頃ってそういうのないからね。
大貫:そうだよね、資料的に困ることは当時あったよね。
伊藤:どういう感じで出てきたアーティストだかってくらい知りたかった。
大貫:向こうも新人だから書きようがないのかもしれないね。
ライナーノーツ伝説 ③ 原稿の〆切と誤植
大貫:いやぁ、他にないから自分が思ったことを書くしかないからね。
伊藤:あのクイーンのファースト・アルバムのライナーノーツは、いかにも大貫憲章らしいと言われてる内の代表作なんじゃないの。自分で言うのは口幅ったいかもしれないけど。
大貫:たしかに、そう言っていただけるのはありがたいことですけど。
伊藤:あの当時のクイーンの情報って、僕もワーナー・パイオニアからもらってライナーを見たけど。当時いい加減なのは資料がないだけじゃなく、〈ディーコン・ジョン〉って呼んでたんだよね。
伊藤:来日のときにジョン・ディーコンが「違う」って言って初めて名前が違ってたことが分かったていう。
大貫:なんとなく、違うんじゃないかなとは思ってましたけど。でもちゃんとした書類に書いてあるんだから。
伊藤:エレクトラ・レコードが文字のひっくり返ったまま〈Deacon John〉表記で全世界に情報を流した。
大貫:それしか情報がないわけだから。
伊藤:その通り。
大貫:こっちで勝手に変えるわけにはいかないからね。
伊藤:そういうものがやたら多かった、後になってみると。
大貫:誤植とかも多かったし。
伊藤:ライナーノーツ伝説の中で〈大貫憲章は他の人より原稿の〆切が早く設定されてる〉ということに関しては?
大貫:アァ、遅いから。まぁよく遅刻したからじゃないの。
伊藤:大貫さんは10日くらい早い〆切を言われてた。
大貫:よく遅れてましたから。
伊藤:それでアルバムが発売延期になったことってないの?
大貫:僕は延期になったことは一度もないですね。延期になった方は誰だか知ってますよ(場内笑い声)。
伊藤:誰ですか?
大貫:言えませんけど、上の方も結構いらっしゃって。(原稿の遅延は)俺だけなのかなって世間話的にディレクターに聞いたら「◎◎さんとかいますけど」って。確かに遅そう(笑)。他にも原稿が読めない、とかね。
大貫:読めないけど──まぁ、俺なんかマシな方で、読めないから書き直し──というのはなかったですよ。
伊藤:書いた字が読めない人って多いじゃない。
大貫:鉛筆で書くんですけど、中には走り書きみたいな人もいるんですよ。その方は今でも現役でやられてますけども、『ポパイ』で原稿を書いていただいたんですけど読めないんで、編集者から電話がかかってきて「お前、ちょっと読んでくれ」って。「◎◎さんの原稿ですよね、それは俺でも結構厳しいと思います」って言って、でも編集部に行きましたよ。で、原稿用紙見ましたけど、いやぁこれはきつい、濃淡もあるし殴り書きみたいな感じなので。
大貫:ここはこうなんじゃないんですか──ってことは言いましたけど、最終的にはご本人が来てやったみたいですよ。
伊藤:大貫さんは自分の書いたライナーってレコードを受け取ってから見直す?
大貫:一応それは見ますよ。
伊藤:誤植とかなかったですか? 自分が書いた漢字と違う字が使われていたり。
大貫:それは、たまにはありますよね。書いた字がきたなかった場合とか。
伊藤:校正やれって言われたことないもんね。
大貫:ないことはないですよ、ありますよ。
伊藤:俺はないな。文字打ってからこれでいいのか──っていう確認は。大貫さんの一番の誤植って何? 俺はあるよ、自分が書いた原稿と全然違うことが書かれているっていうのが。
大貫:対談原稿の誤植がいっぱいあったというのはあります。そういう風に聞こえちゃったのかなっていうのは。何人かで討論をしたテープを専門の人が文字に起こして、それをリライトする人に渡すんですけど、その方が音楽の知識に精通してないと、例えば〈僕、知らん〉って書いてあったので、なんだろうなとテープを聞き直したら、ボブ・ディランって言ってるから(場内爆笑)。
伊藤:(笑)校正の問題だと思うよ。大貫さんが〆切ギリギリであげた原稿は、校正をしないですぐに一発入稿して原稿校了のこともあるわけですよ。
大貫:そういうときもありますね。
伊藤:今みたいにワードで入力したものを……じゃなくて、手書き原稿をプロの人が写植で打って入稿。立川直樹さんはプログレ系で痛い目に遭ったって仰ってました。〈このレコードに針を落とす〉の針が釘になってた(場内爆笑)。
大貫:写植屋さんに行ったことはあります。最後の段階だから、お前そこで校正して直してもらえって──それは雑誌だったかも。全部アナログな感じでやってましたね。
伊藤:原稿が遅れて一発入稿が多かったのはアルファ・レコード。スーパートランプだったか結構売れてるバンドの原稿で、〈イギリスからアメリカに渡って成功したバンド、フリートウッド・マックとかELOとか──〉のELOがカタカナの〈モレロ〉になってた(場内爆笑)。校正してないわけよ。
大貫:担当者は笑ってごまかしてたね。
ライナーノーツ伝説 ④ 文字量と原稿料
伊藤:大貫さんはライナーノーツの文字量は、どのくらいって言われてました?
大貫:だいたい4,000字。ちょうど見開きくらいに入るから。
伊藤:ワーナー・パイオニアはちょっと少なかったでしょ、1ページの半分くらいのスペースで。大貫さんのクイーンは全面使ってたけど。
大貫:基本はだいたい4,000字で、何字まで掲載可能ですか?って聞くと、文字の大きさを下げれば可能だけど読みづらくなるから、多くても6,000字くらいまでに収めてくださいってよく言われました。逆にこちらも書くことがなくて、短いときは2,000字でどうですかっていうのもありました。
伊藤:ちょっと待って、6,000字書いたこともあるの?
大貫:ありますよ、一番多いときは8,000字くらい書いたことも。
伊藤:なんでそんなに書きたいことがあったの? 普通のライナーの2倍。原稿料も2倍ってことじゃないでしょ。
大貫:いや、原稿料も倍になりますよ、文字数だもん。
伊藤:わざと?
大貫:わざとじゃないですよ(笑)。これくらいになっちゃいますよって言って、向こうがそれはちょっと多いなって言いますけど、これは絶対に必要なんだよ!って言ったら、わかりましたって言ってくれますから。まぁ、印刷代や挟む紙の厚さとか経費はかかっちゃいますけど、これは力入れた作品ですよね、ってガンガン押していくんです。でも、二度とやらないでくださいって言われた(笑)。
伊藤:昔、ライナーノーツって請求書出したことはあった?
大貫:請求書はないかも。
伊藤:どうなってた? 東芝音工のときは、〈早く原稿料が欲しければ取りに来い〉って言われて取りに行くとデスクの人が経理に取りに行ってくれて。そういうのは。今はもうないでしょ。
大貫:現金取りに行くのはないでしょ、今は請求書を書いて振込だから。昔は字数計算だったからアバウトでだいたいこのくらいって。
伊藤:しかし8,000字は書いたことないよ。
大貫:俺もほとんどなかったかな。
伊藤:ちなみにさ、マウンテンとかクイーン、プログレだとPFMとかも書いてますよね。73年頃ってライナー1枚いくらだった? おおよそでいいよ。
大貫:200字で400円くらい。
伊藤:え~~それはないでしょ。
大貫:だって、1万もらったことなかったよ当時。4,000字で8,000円。
伊藤:単価そんな安いの?
大貫:最初の頃はみんなそれくらいだったよ。
伊藤:ライナー1枚1万円もらってない。
大貫:最初はね、あとはもっともらいましたよ。
伊藤:いつくらいから1万円超えた?
大貫:そこまで覚えてないよ。
伊藤:気になるよ。
大貫:ライナー1枚8,000円くらい。『ミュージック・ライフ』さんはもっと安かった。
伊藤:それは小さい記事だからね。
大貫:雑誌はどこもだいたい同じで、決まってるんですよ。レートがありますからって言われて。
伊藤:なるほど、そうですか。そろそろ終わりの合図が来てますよ。
大貫:いやぁ、まだしゃべれますけど。
伊藤:最後に何か面白いこと言って終わってくださいよ。
大貫:ライナーノーツって書いてる人によって内容も違いますけど、私の場合は自分の感情──そのアルバムに対する感覚・感情が先に立つから、説明的なことよりも、〈こんな気持ちで聴いています、皆さんにもこんな気持ちが分かってもらえればうれしいな〉って感じで書いてます。ちょっと押し付けがましいところがあったかもしれないですけど、当時はそれが “新しいね、いいね” って言われてました。福田一郎先生も “大貫君の書く原稿はパッションだよね” って仰ったこともあったので、褒め言葉として受け取らせていただきました、〈自分はパッションです!!〉って。
伊藤:いいですね。というところで、どうもありがとうございました。
大貫:ありがとうございました(場内大拍手)。
このあと、伊藤政則氏のサイン本お渡し会が行われた。

プログレ編
メタル・ゴッドとして知られる伊藤政則だが、そのルーツはプログレ・マスターだった!!
今や入手困難なLPレコード時代のライナーノーツを含む40タイトルを掲載! 70年代半ばから数多くのプログレ系アーティストのライナーノーツを手がけ、日本のプログレ文化を牽引してきた伊藤政則。その足跡を辿る。プログレ愛好家からプログレ入門者までが読んで楽しめる貴重な史料集となっている。
[主な掲載タイトル]
キャメル『ライヴ・ファンタジア』/ザ・ナイス『組曲〜五つの橋』/ソフト・マシーン『イン・パリ(ライヴ・パフォーマンス)』/ハットフィールド&ザ・ノース『ロッターズ・クラブ』/ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター『ワールド・レコード』/ドリーム・シアター『アウェイク』/カンサス『永遠の序曲』/フォーカス『ムーヴィング・ウエイヴス』/クラフトワーク『人間解体』/トリアンヴィラート『ポンペイ最後の日』/セバスチャン・ハーディー『モー・モーメンツ』/タイ・フォン『恐るべき静寂』、他
伊藤政則 ライナーノーツ集
プログレ編
伊藤政則 著
四六判/304頁/定価2,200円(税込)/4月14日発売予定


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