ポール・マッカートニーがザ・ビートルズ時代から長年愛用してきたことで有名なヴァイオリン・ベースの生産元、独ヘフナー（Höfner）社が今月初め、経営破綻のため廃業手続きに入ったと発表しました。それを受け、ポール・マッカートニーが自身のSNSでコメントを発表しています。

彼は自身が1961年、ハンブルグで30ポンドで買い求めたヘフナーの500/1ベース・ギターが生まれて初めて買ったベースだったと公言しており、同器はその後ザ・ビートルズの数々の名曲のレコーディングでも使用されたことで、歴史上最も重要なベースの異名を取っています。

「ヘフナーが廃業するとの報に接し、とても残念な気持ちでいっぱいだ。僕が最初にヘフナー・ベースを買ったのは1960年代のことで、以来ずっとこよなく愛用してきた。とにかく演奏しやすくて、軽量だからパフォーマンスの自由度が高いし、トーンのヴァリエーションでも楽しませてもらった。この場を借りてヘフナー社の皆さんにお悔やみと、長年にわたる素晴らしい仕事に対する心からの感謝を捧げたい──ポール」

ヘフナーは19世紀から続く楽器メーカー。150年に迫るその歴史の中には、ポールの愛機となったヴァイオリン・ベースの大ヒットもありましたが、これまでにも経営危機を迎え1990年代には会社そのものが売却されたことさえあります。しかしその後関係者が買い戻し、現在へと続いていました。今回も、現時点では「廃業手続きに入った」ことに間違いはありませんが、ブランドとしての「ヘフナー」を他者が買い取る可能性もあり、今後の動向が注目されます。