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モービーがザ・キンクスの「ローラ」の歌詞を時代遅れのトランスジェンダー嫌悪と発言。デイヴ・デイヴィスがそれに反論「うちの兄貴も憤慨してるよ」

DJ/ミュージシャンのモービーが、ザ・キンクスの1970年のヒット曲「Lola」について、「低俗でトランス嫌悪主義的」だと発言したことが波紋を広げています。
事の起こりは先々週、モービーが『ザ・ガーディアン』紙の取材を受けた際、「今はもう聴けないなと思う曲を1曲挙げてください」という質問に対する回答として「Lola」を名指しし、つい最近スポティファイのプレイリストに上がってきたので久々に聴いたが、「あの歌詞は低俗でトランス嫌悪主義的だと思った」と発言したことでした。

件の曲の歌詞は、主人公の男性がソーホーのバーでトランスジェンダーの女性に遭遇した際の出来事が語られるという展開です。曲を書いたキンクスのシンガーであるレイ・デイヴィスはその内容について、自身とドラアグクイーンたちとの様々な形での交流からインスパイアされたものだと語っており、また彼らのマネジャーがかつてトランスジェンダーの女性と一晩踊り明かしたというエピソードもベースになっているということでした。

genius.com:Lyrics The Kinks/Lora
〈参考〉
The Kinks - Lola (Official Music Video)

「僕は彼らの初期の曲は好きだったんだけど、あの歌詞はあまりに前時代的で茫然とさせられたよ」とモービーのコメントは続いていましたが、これに対してキンクスのギタリスト、デイヴ・デイヴィス──レイ・デイヴィスの実弟でもある──が反撃に出たのです。

「うちの兄貴を前時代的だのトランス嫌悪主義だのと非難するモービーの発言を、俺は極めて無礼だと思ったよ」彼は自身のXにそう書き込み、またその投稿に添える形で、トランスジェンダーのパンク・シンガー、ジェイン・カウンティ(a.k.a. ウェイン・カウンティ)からの手紙を公開しました。この手紙の文面には「Lola」が「かつては誰も率先して語ることのなかった、“存在しないもの” として扱われていた題材を前面に押し出し、ジェンダーを隔てる壁を壊してくれた画期的な曲」であるという称賛の言葉がしたためられています。

Wayne County & the Electric Chairs - 1978
「どうしてモービーはこんなシンプルな曲に対して、あんな暴論を振りかざすんだろう?」デイヴィスは続けて書いています。「俺たちはトランス嫌悪主義者なんかじゃないよ。あいつは何でそんなに俺たちを攻撃したいんだ?」

この後デイヴは更に、『ザ・テレグラフ』紙によるインタヴューの中で、再びかのDJに対する批判をぶちまけ、インタヴュアーに訊ねています。「そもそもモービーって何者なの?」

彼いわく、兄のレイも自身と全く同じ疑問を持っていたそうで、彼と電話で話した際に、「モービーってどこの誰だよ?」と訊かれたそうです。

「うちの兄貴はたいそう気分を害してたよ」とデイヴは言い、またザ・キンクスは一貫してトランスジェンダーのコミュニティとは友好的な関係を築いていたことから、今回のコメントには非常に傷ついたとも語っていたと付け加えました。

「あれは愉快な曲だし、相当良くできた曲だと思うよ。現実世界でごく普通に生活してる人間たちの物語であり、そういう人々による他愛もない戯れさ。不快をもよおす要素なんか何もない。俺たちのバックステージにはしゅっちゅうそういう連中が来てたよ。ザ・キンクス[訳注:〈kink〉には『へそ曲がり、酔狂者』から転じて『変態性愛者』の意味もある]なんてバンド名で活動してるとそういうことになるわけさ。俺たちがあのバンドで成長するにつれて学んだことは、みんな違ってみんないいってことだ。誰もが色んな顔を持ってるもんだしね」

「(あの曲が出た当時は)まあまあ衝撃的だったと思うよ……けど俺たちはあの曲が大好きだし、世界的にも結構愛されてたと思う。あの当時は世の中の誰ひとりとして、トランス嫌悪主義なんて言葉を持ち出したりはしなかったよ。多分その言葉自体が存在してなかったんじゃないかな」

彼はまた、モービーのコメントを目にして、以下の様に警告もしています。「俺たちに対する理不尽なアンチが増殖するんじゃないかと不安になったよ、だって最近何だか世の中の人々が日に日におかしな方向に行ってる感じがするだろ? 安易に他人の名誉を傷つけるのはともすれば危険を伴うよ」

そして結論として、彼自身はモービーの発言を「みっともない勘違い」だと思っているとしながら、「きっと俺たちは感謝しなきゃいけないんだよな、自分の作りたい音楽が作れて、何でも好きに言いたいことが言える世界で生きてることにさ」とコメントを結びました。

この記事の執筆時点で、モービーはレイとデイヴ、どちらの反論に対しても何の反応も示していません。

なお、また、今年初めに23作目のスタジオ・アルバム『Future Quiet』をリリースしたモービーは、この夏一度限りのロンドンでのギグを予定しており、ブライトン・ビーチでも大規模なヘッドライン・ショウを開催する予定です。
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