※関連ニュースをご覧になる場合は、こちら↑のタグ(アーティスト名/項目)をクリック。
2月15日(日)@ タワーレコード渋谷店 8階 TOWER CLASSICAL SHIBUYA
鈴木淳史著「クラシック変化球音盤ガイド」出版記念イベント・レポート
「クラシックの楽しさ面白さは、その幅広さ。同じ曲でも演奏家によって違ってくる、そういう立体性が僕は好きです」
──鈴木淳史
タワーレコード渋谷店クラシック・フロアの名物選盤企画が単行本としてまとめられた『クラシック「変化球」音盤ガイド』のトーク・イベントが、2月15日同店8階のTOWER CLASSICAL SHIBUYAにて開催された。
登壇者は著者の鈴木淳史さん、渋谷店店長の青木太一さん、クラシック・バイヤーの北村晋さん。本書の成り立ちに関わったメンバーが揃い、司会は第一部は青木さん、第二部は同店の森山さんが担当された。
第一部は渋谷店からYouTubeチャンネルとして配信されている「タワレコシブヤミュージックトーク」用の内容。配信開始から約1年、これまではオアシスなど洋楽ロックを主に扱っていたのが、今回は初のクラシックの番組である。しかも2年前に階を移して単独のフロアに移転し、タンノイのヴィンテージ・スピーカー、オートグラフが左右に堂々と鎮座したスペースでのイベントとなった。
登壇者は著者の鈴木淳史さん、渋谷店店長の青木太一さん、クラシック・バイヤーの北村晋さん。本書の成り立ちに関わったメンバーが揃い、司会は第一部は青木さん、第二部は同店の森山さんが担当された。
第一部は渋谷店からYouTubeチャンネルとして配信されている「タワレコシブヤミュージックトーク」用の内容。配信開始から約1年、これまではオアシスなど洋楽ロックを主に扱っていたのが、今回は初のクラシックの番組である。しかも2年前に階を移して単独のフロアに移転し、タンノイのヴィンテージ・スピーカー、オートグラフが左右に堂々と鎮座したスペースでのイベントとなった。
青木太一(以下青木):この『クラシック「変化球」音盤ガイド』の元になった選盤コーナーが「鈴木淳史の悩殺10盤勝負」。このマニアックな名前は北村さんが考えてくれたもの?
北村 晋(以下北村):そうでしたっけ?(笑)。鈴木さんは直球派というよりは技巧派、それがよく伝わるネーミングかと思って、強引かと思いつつ〈悩殺〉を使いました、反対はなかったです。
鈴木淳史(以下鈴木):〈悩殺〉って言葉は品を作って誘惑する──って意味ですけど、文字的にも感覚的なものを呼び起こすから的確かなと。誰か反対するだろうって思ってたら現場はOKって言ってくれたから。でも流石に本では通用しないだろうと色々考えて、〈悩殺〉を使わずに〈変化球〉になりました。
北村:クラシックでは使わない〈悩殺〉は、いい意味でも幅を広げる感じもしましたし、熱い思いを伝えたいとも思ったので。
鈴木:僕は全然違和感はなかった、イメージ的に書きやすいじゃないですか。
青木:〈悩殺〉にしてよかったです。
北村 晋(以下北村):そうでしたっけ?(笑)。鈴木さんは直球派というよりは技巧派、それがよく伝わるネーミングかと思って、強引かと思いつつ〈悩殺〉を使いました、反対はなかったです。
鈴木淳史(以下鈴木):〈悩殺〉って言葉は品を作って誘惑する──って意味ですけど、文字的にも感覚的なものを呼び起こすから的確かなと。誰か反対するだろうって思ってたら現場はOKって言ってくれたから。でも流石に本では通用しないだろうと色々考えて、〈悩殺〉を使わずに〈変化球〉になりました。
北村:クラシックでは使わない〈悩殺〉は、いい意味でも幅を広げる感じもしましたし、熱い思いを伝えたいとも思ったので。
鈴木:僕は全然違和感はなかった、イメージ的に書きやすいじゃないですか。
青木:〈悩殺〉にしてよかったです。
鈴木:タイトルに〈変化球〉とありますけど、変化球を目指して書いてるわけじゃないんです。毎月出す選盤コーナーの10枚も全体を見渡して選んでるわけじゃないので、紹介したいものを順次出していく。しかも大体3枚選ぶと1枚ぐらいしか出せない。なぜかというとモノ・在庫がない、廃盤が多い。クラシックの業界のCDはアイテム数が異常に多いんです、それでいてロット数がすごく少ない。ちょっと売れたらすぐお終い、続きをあんまり作らないというパターンが多いので、これを推したいと思っても在庫がないとコーナーに出せない、そこが一番苦労しました。昔はたくさん作ってたくさん出して、残ったらバーゲン・コーナー行きだったのが。
青木:今はバーゲン・セールはやってませんね。
鈴木:音源としては配信とかストリーミングとかありますけれど、CDやレコードといったモノとして出会うのは一期一会になる時代になったんだなとは思いました。
青木:そうやって市場から無くなることも多くなってきました。北村さんはタワーレコードのオリジナル盤とかをよく作られているんですけど、その辺りはどうですか?
北村:オリジナル盤を出す意義というのは、廃盤になったままだったりとか、なかなか再発されないというところからスタートしました。今は出し尽くした感が若干あるんですが、それでもまだまだ出し尽くせてないし埋もれてるものがいっぱいあるのが実情です。マイナー・レーベルのものは特にすぐ市場からなくなってしまうか、非常に手に入りづらい時代ですから、その時に我々がどう出していくのか、今何を紹介すべきなのかということを考えながらやっている状況です。そこで、鈴木さんから毎月出していただいている10枚の選盤は、何が出てくるかわからないところが非常に面白い。我々が普段お客様にご紹介させていただいているアイテム以外の面白さがあって、我々も次何が出るんだろうというワクワク感があり、それをお客様にも感じていただきたいなという企画だったと思います。
青木:やっぱり鈴木さんというフィルターを通して紹介されたものだから聴きたくなる──っていうのがあって。そこでストリーミングで検索して聴くんですけど、なにか物足りなくてやっぱり盤で聴く。CDやレコードで聴くというのが習慣にもなってるんで、そういう意味では毎月僕も楽しみにしてました。今後どうします?
鈴木:一応区切りはついたので、また何か違う形でとか違う人を使ってとか、いろいろ方向性を変えても面白いのかなと思いますけど。まぁ、元々本にするというのも全然決まってなかったので、本に載っている分類も後からした分類なんですね。それっぽい章立てになってますが、今考えるとそうじゃなくても良かったかなと思ってます。AIがやるような人をガイドする分類じゃなくて、人を惑わせるようなもの。例えば背中が痒くなる音楽とか、なんか訳わからない、意味も分からないもので分類しておいて、あとは皆さんの感性におまかせする──みたいなのが良かったかなぁとか。すいません、なんかできたばっかりなのに(笑)。
クラシックの楽しさ、面白さ
青木:今はバーゲン・セールはやってませんね。
鈴木:音源としては配信とかストリーミングとかありますけれど、CDやレコードといったモノとして出会うのは一期一会になる時代になったんだなとは思いました。
青木:そうやって市場から無くなることも多くなってきました。北村さんはタワーレコードのオリジナル盤とかをよく作られているんですけど、その辺りはどうですか?
北村:オリジナル盤を出す意義というのは、廃盤になったままだったりとか、なかなか再発されないというところからスタートしました。今は出し尽くした感が若干あるんですが、それでもまだまだ出し尽くせてないし埋もれてるものがいっぱいあるのが実情です。マイナー・レーベルのものは特にすぐ市場からなくなってしまうか、非常に手に入りづらい時代ですから、その時に我々がどう出していくのか、今何を紹介すべきなのかということを考えながらやっている状況です。そこで、鈴木さんから毎月出していただいている10枚の選盤は、何が出てくるかわからないところが非常に面白い。我々が普段お客様にご紹介させていただいているアイテム以外の面白さがあって、我々も次何が出るんだろうというワクワク感があり、それをお客様にも感じていただきたいなという企画だったと思います。
青木:やっぱり鈴木さんというフィルターを通して紹介されたものだから聴きたくなる──っていうのがあって。そこでストリーミングで検索して聴くんですけど、なにか物足りなくてやっぱり盤で聴く。CDやレコードで聴くというのが習慣にもなってるんで、そういう意味では毎月僕も楽しみにしてました。今後どうします?
鈴木:一応区切りはついたので、また何か違う形でとか違う人を使ってとか、いろいろ方向性を変えても面白いのかなと思いますけど。まぁ、元々本にするというのも全然決まってなかったので、本に載っている分類も後からした分類なんですね。それっぽい章立てになってますが、今考えるとそうじゃなくても良かったかなと思ってます。AIがやるような人をガイドする分類じゃなくて、人を惑わせるようなもの。例えば背中が痒くなる音楽とか、なんか訳わからない、意味も分からないもので分類しておいて、あとは皆さんの感性におまかせする──みたいなのが良かったかなぁとか。すいません、なんかできたばっかりなのに(笑)。
クラシックの楽しさ、面白さ
青木:じゃあ第2弾出しましょう(笑)。このタワーレコードのYouTubeチャンネルは、クラシックにあまり触れられたことがない方も見てくださる可能性もあるので、鈴木さんの思う〈クラシックの楽しさ、面白さ〉って何ですか?
鈴木:幅広さでしょうね。例えばこの音楽は好きじゃないなぁと思う曲でも、違う演奏家で聴くと好きになったりする。そういう立体性というのは結構僕は好きです。普通の音楽って、このアーティストがやった──ということでイメージ的にカチッと固定されてしまい、ライヴかセッションとかそのぐらいしか差がなくなってくる。そうじゃなくて、もう少し幅が広くなるな……というのが、僕はクラシックのいいところかなとは思ってます。
青木:なるほど。ありがとうございます。北村さんはいかがですか?
北村:同じ曲ばかりどうしてこんなに音源が出るんだろう?って、他のジャンルの方は思われるかもしれませんが、一枚一枚本当に違うんですよ。しかも同じ指揮者で何枚も同じものが出ており全て違いますし、演奏も毎日毎日行なわれてますが、全て違います。そこの面白さが、同じ曲だけど、何が違って、表
鈴木:幅広さでしょうね。例えばこの音楽は好きじゃないなぁと思う曲でも、違う演奏家で聴くと好きになったりする。そういう立体性というのは結構僕は好きです。普通の音楽って、このアーティストがやった──ということでイメージ的にカチッと固定されてしまい、ライヴかセッションとかそのぐらいしか差がなくなってくる。そうじゃなくて、もう少し幅が広くなるな……というのが、僕はクラシックのいいところかなとは思ってます。
青木:なるほど。ありがとうございます。北村さんはいかがですか?
北村:同じ曲ばかりどうしてこんなに音源が出るんだろう?って、他のジャンルの方は思われるかもしれませんが、一枚一枚本当に違うんですよ。しかも同じ指揮者で何枚も同じものが出ており全て違いますし、演奏も毎日毎日行なわれてますが、全て違います。そこの面白さが、同じ曲だけど、何が違って、表
現者がどういう表現をするのか、演奏者がどういう演奏をしているのか、そういう楽しみがありますし。それに、クラシックはまだディスクになってない曲というのがいっぱいあるんです。クラシックって古いと思われますけど、やっぱり現在進行形で動いてるジャンルだと思いますので、そこら辺もその時代、その時その時に評価していただきながら、皆さんにぜひ手に取って、さらに聴いていただきたいなというジャンルなんです。
青木:僕も実はクラシック大好きで、20年ぐらい前タワーレコード新宿店に入社した時はクラシックへの配属で3年ぐらい修業しました。ドイツ語だったか英語だったかの分厚いカタログ本と首っぴきでお客様からの質問にお答えして、すごく鍛えられました。クラシックはいまだに楽しんで聴いています。鈴木さんの選盤には本当にいろんな発見があります。最初はサブスクとかでも構わないので、ぜひ入り口のきっかけとして聴いてください。何かあれば、タワーレコード渋谷店に来ていただいて、ジャケットが気に入った盤とかスタッフのおすすめ盤をちょっと聴いてみてください。
北村:リアルの場の面白さを渋谷店は体現していると思いますし、タワーレコードは全国に店舗があります。クラシックは取扱店舗も非常に多いので、鈴木さんが紹介されている中で販売できるものは全国のタワーレコード、それからオンラインサイトで購入できます。ぜひよろしくお願いします。オーディオとしても渋谷店ではタンノイのオートグラフという大型スピーカーの生音で聴いていただけます。これは画期的なことです。
鈴木:リニューアルするときにわざわざ探して購入したんですよね。
北村:駆けずり回って探して購入させていただきました。
青木:このスピーカーで、音を浴びるように聴いて体験していただいたらいいなと本当に僕も思っています。では一旦、今日のタワレコシブヤ ミュージックトークは終了とさせていただきます。鈴木さん、北村さんありがとうございました。
鈴木:ありがとうございました。
北村:ありがとうございました。
ここで第一部YouTubeチャンネルは終了し、セットチェンジの上ほどなく第二部の開始となった。
第二部はタワーレコード・クラシックの森山さんが司会に立ち、一部同様店長の青木さん、著者の鈴木さん、クラシック・バイヤーの北村さんの登壇で進められた。バックグラウンド・ミュージックとして場内には『クラシック「変化球』音盤ガイド』掲載の音源が流れ、プレイリストも配布された。
青木:僕も実はクラシック大好きで、20年ぐらい前タワーレコード新宿店に入社した時はクラシックへの配属で3年ぐらい修業しました。ドイツ語だったか英語だったかの分厚いカタログ本と首っぴきでお客様からの質問にお答えして、すごく鍛えられました。クラシックはいまだに楽しんで聴いています。鈴木さんの選盤には本当にいろんな発見があります。最初はサブスクとかでも構わないので、ぜひ入り口のきっかけとして聴いてください。何かあれば、タワーレコード渋谷店に来ていただいて、ジャケットが気に入った盤とかスタッフのおすすめ盤をちょっと聴いてみてください。
北村:リアルの場の面白さを渋谷店は体現していると思いますし、タワーレコードは全国に店舗があります。クラシックは取扱店舗も非常に多いので、鈴木さんが紹介されている中で販売できるものは全国のタワーレコード、それからオンラインサイトで購入できます。ぜひよろしくお願いします。オーディオとしても渋谷店ではタンノイのオートグラフという大型スピーカーの生音で聴いていただけます。これは画期的なことです。
鈴木:リニューアルするときにわざわざ探して購入したんですよね。
北村:駆けずり回って探して購入させていただきました。
青木:このスピーカーで、音を浴びるように聴いて体験していただいたらいいなと本当に僕も思っています。では一旦、今日のタワレコシブヤ ミュージックトークは終了とさせていただきます。鈴木さん、北村さんありがとうございました。
鈴木:ありがとうございました。
北村:ありがとうございました。
ここで第一部YouTubeチャンネルは終了し、セットチェンジの上ほどなく第二部の開始となった。
第二部はタワーレコード・クラシックの森山さんが司会に立ち、一部同様店長の青木さん、著者の鈴木さん、クラシック・バイヤーの北村さんの登壇で進められた。バックグラウンド・ミュージックとして場内には『クラシック「変化球』音盤ガイド』掲載の音源が流れ、プレイリストも配布された。
森山:ここでは本のことを深掘りといいますか、どんな思いでどんな意図があってこういう企画コーナーを作り、最終的にこういった形で本になったのか──仕掛け人のお三方に伺いたいと思います。まず『クラシック「変化球」音盤ガイド』ですが、書籍にするにあたり、当初の選盤210タイトルのうち39タイトルの原稿は鈴木さんが加筆増補されております。それにプラスして13タイトル書き下ろしで選盤していただきました。入手困難な廃盤作品、LPになったきりの未CD化作品、そういったタイトルを選んでいただいています。最後には索引をつけてどういった盤が載っているのか、調べやすいような形にしました。全部で233タイトル収録されています。毎月10枚ずつ選んでいただいた中で、“特に分類は考えてなかった” と鈴木さんからお話がありましたが、今回全部で12の章に分類しています。一つの本の中で12も章があるディスク・ガイドはあまりないと思っています。鈴木さん、そのあたりの意図はどんなものだったでしょうか?
鈴木:あんまり意図というものよりも、分かりやすい方向でいきましょうねという風になると、やっぱりこういう分け方が一番親切なのかなという感じで分けました。だから、“絶対これ違うじゃんって” っていうのも入ってます。でもそれはあえて動かさないようにして、もうその場のインスピレーションのまま、“もうこれはこれでいいのだ” と思って変えてません。厳密にカテゴライズするのはあえて避けたんですよ。はい。
森山:ありがとうございます。バッハとかヴィヴァルディの時代の古楽から、もうバリバリの現代音楽の範囲まで幅広く網羅して、一人の選者が選んでいるという、実はなかなかないディスク・ガイドなんですね。それがうまく12の章に分けられ、その章ごとにいろんな切り口が埋め込まれています。例えばチェリビダッケのCDが複数の章で紹介されていたりします。その辺も少し読み取っていただけると面白さが増すのかなと思います。「悩殺10盤勝負」というかなり攻めたタイトルで始めたのも、リアル店舗としてお客様にご提案させていただくというところで、何が今できるかを一生懸命考えた末のことでした。今は便利なオンラインがある中で、わざわざお客様が電車や車に乗ってお店に来ていただくという、本当にひと手間ふた手間かけていただいている中での独自の発信、オンラインの便利さといったところから、ちょっと違う角度でクラシックをご紹介していただく──そういった部分が多分にあると思うのですが。
鈴木:先ほども申しましたけれども、やはり盤を選ぶ範囲っていうのが狭まってくる。結構何でも選べるんだったら、本当に分母がすごい広いわけだけど、今手に入るCDで選ぶというところが、制約というか、一つの、遊びとしては機能したかなというのはありますね。
森山:ラインナップを見ておりますと、いわゆるクラシックの名盤ガイドとは随分雰囲気が違うんですね。よくオンラインでクラシックのCDを探す時にお薦めがたくさん出てきますよね、アルゴリズムとかで。よく売れてる盤やいわゆる名盤みたいなものは調べれば簡単に機械的にわかるんです。ところが今回の本だと、むしろそういうアルゴリズムに引っかからないディスクがすごく多い。この本でしか見つけられない盤、膨大な数のCDがある中で、この盤を見つける、発見できるという部分は、この本でないと難しいんじゃないかなという気が読んでいてしました。その辺は意図としてはどうなんでしょうか。
鈴木:あんまり意図というものよりも、分かりやすい方向でいきましょうねという風になると、やっぱりこういう分け方が一番親切なのかなという感じで分けました。だから、“絶対これ違うじゃんって” っていうのも入ってます。でもそれはあえて動かさないようにして、もうその場のインスピレーションのまま、“もうこれはこれでいいのだ” と思って変えてません。厳密にカテゴライズするのはあえて避けたんですよ。はい。
森山:ありがとうございます。バッハとかヴィヴァルディの時代の古楽から、もうバリバリの現代音楽の範囲まで幅広く網羅して、一人の選者が選んでいるという、実はなかなかないディスク・ガイドなんですね。それがうまく12の章に分けられ、その章ごとにいろんな切り口が埋め込まれています。例えばチェリビダッケのCDが複数の章で紹介されていたりします。その辺も少し読み取っていただけると面白さが増すのかなと思います。「悩殺10盤勝負」というかなり攻めたタイトルで始めたのも、リアル店舗としてお客様にご提案させていただくというところで、何が今できるかを一生懸命考えた末のことでした。今は便利なオンラインがある中で、わざわざお客様が電車や車に乗ってお店に来ていただくという、本当にひと手間ふた手間かけていただいている中での独自の発信、オンラインの便利さといったところから、ちょっと違う角度でクラシックをご紹介していただく──そういった部分が多分にあると思うのですが。
鈴木:先ほども申しましたけれども、やはり盤を選ぶ範囲っていうのが狭まってくる。結構何でも選べるんだったら、本当に分母がすごい広いわけだけど、今手に入るCDで選ぶというところが、制約というか、一つの、遊びとしては機能したかなというのはありますね。
森山:ラインナップを見ておりますと、いわゆるクラシックの名盤ガイドとは随分雰囲気が違うんですね。よくオンラインでクラシックのCDを探す時にお薦めがたくさん出てきますよね、アルゴリズムとかで。よく売れてる盤やいわゆる名盤みたいなものは調べれば簡単に機械的にわかるんです。ところが今回の本だと、むしろそういうアルゴリズムに引っかからないディスクがすごく多い。この本でしか見つけられない盤、膨大な数のCDがある中で、この盤を見つける、発見できるという部分は、この本でないと難しいんじゃないかなという気が読んでいてしました。その辺は意図としてはどうなんでしょうか。
鈴木:普通の名盤とか、僕もそういう仕事もやらないわけじゃないですが、今回もそれほど違いを出そうと思ったわけではないですね。そもそも名盤に対する考え方も、1人ひとり違うわけですし。たとえば、音楽雑誌の名盤選びなどは、何人かの選者が選ぶことによって、一つの結果として名盤らしきものが生まれればよいとも思ってますし。というか、これぞ名盤などと、自分から主張することはあまりやってきてないことは確かです。この本もそうですけど、自分のあんまり整理されていない属性をそのまま出すしかない。タワーレコードのサイトを見ても、僕の属性を読み込んでお薦めのディスクをご親切に出してくれたりするけれど、そのアルゴリズムのデータになっているのが、アーティストとかジャンルといったものでしかない。そういったタグとは関係ない、意表を突くようなものを薦めてはくれないわけです。たぶん、そういうところは人間のほうがうまくやってくれるような気がするんですよね。
森山:予備知識は必要なくて、音を聴いて面白い。よく知らないような演奏家の名前もゴロゴロ出てくるんですけど、実際CD買って聴いてみると音がすごく面白い。そういうディスクが本当にたくさん埋め込まれていて、知識とかではなくもっとその音を楽しむというか、いろんな音楽の幅広さ、多様さが楽しめる、出会いを見つけられる、そういう本でもあるかなと思いました。
森山:予備知識は必要なくて、音を聴いて面白い。よく知らないような演奏家の名前もゴロゴロ出てくるんですけど、実際CD買って聴いてみると音がすごく面白い。そういうディスクが本当にたくさん埋め込まれていて、知識とかではなくもっとその音を楽しむというか、いろんな音楽の幅広さ、多様さが楽しめる、出会いを見つけられる、そういう本でもあるかなと思いました。
タワーレコードのクラシック企画盤
森山:タワーレコードでは、北村さんがクラシック企画盤をたくさん出してこられました。もう1,500タイトル以上になりますか。そのタワーレコードのクラシック・オリジナル企画盤シリーズが、「レコード芸術ON LINE」が主催しておられる、2025年からスタートした「新レコード・アカデミー賞」の「特別部門/企画・制作」を受賞しました。今回の『クラシック「変化球」音盤ガイド』のコンセプトに通ずるものが、北村さんが出してこられたCDにもあるのではと思ってるのですが。
北村:ありましたね。ちなみに今流れてる曲『ヴィヴァルディ:フルート協奏曲ト短調「夜」より第6楽章』、ここは聴きころです。
鈴木:このイベントのための選曲をしたときに、割と静かな曲ばっかり入れたんですけど、そればかりだと単にBGMになってしまうんで、話を割るような音楽も入れた方がいいかなと1曲だけ入れました。パンフルートのハンスペーター・オッジャーがものすごく、なんかこういいですね、粘り強さみたいなのがあって。こういう換変わりモノの楽器とコラボするときって、オーケストラがおとなしくなってしまうことが多いんですよね。でもこれは割とオケが結構ノリノリでやってるのでそこがいいですね。
北村:これも、紹介されないとなかなか聴く機会がないので。パンフルートって何だろうとか。確かに鈴木さんがオススメしないと購入しないかもしれませんので、そういった意味でも発見が。
鈴木:(BGMが変わって)これは中国楽器によるストラヴィンスキーですね。
北村:これ、『火の鳥』のあの有名なメロディのとこですけど。
森山:タワーレコードでは、北村さんがクラシック企画盤をたくさん出してこられました。もう1,500タイトル以上になりますか。そのタワーレコードのクラシック・オリジナル企画盤シリーズが、「レコード芸術ON LINE」が主催しておられる、2025年からスタートした「新レコード・アカデミー賞」の「特別部門/企画・制作」を受賞しました。今回の『クラシック「変化球」音盤ガイド』のコンセプトに通ずるものが、北村さんが出してこられたCDにもあるのではと思ってるのですが。
北村:ありましたね。ちなみに今流れてる曲『ヴィヴァルディ:フルート協奏曲ト短調「夜」より第6楽章』、ここは聴きころです。
鈴木:このイベントのための選曲をしたときに、割と静かな曲ばっかり入れたんですけど、そればかりだと単にBGMになってしまうんで、話を割るような音楽も入れた方がいいかなと1曲だけ入れました。パンフルートのハンスペーター・オッジャーがものすごく、なんかこういいですね、粘り強さみたいなのがあって。こういう換変わりモノの楽器とコラボするときって、オーケストラがおとなしくなってしまうことが多いんですよね。でもこれは割とオケが結構ノリノリでやってるのでそこがいいですね。
北村:これも、紹介されないとなかなか聴く機会がないので。パンフルートって何だろうとか。確かに鈴木さんがオススメしないと購入しないかもしれませんので、そういった意味でも発見が。
鈴木:(BGMが変わって)これは中国楽器によるストラヴィンスキーですね。
北村:これ、『火の鳥』のあの有名なメロディのとこですけど。
鈴木:中国の放送民族楽団というのはクラシックをやるんですけども、とても原曲に忠実にアレンジしてくれてるんです。こういうケースでは異化効果をアピールしまくる編曲も多いのですが、そういうことをやっていないのが逆に面白い。『展覧会の絵』とかもやってるんですよね。こっちのほうはレア盤なので、僕、手に入れてません。
北村:えー、知らないな、じゃあ僕これ聴いてなかった。
鈴木:『火の鳥』はね、配信やストリーミングとかでも今聴けると思います。中国の笙が使われてますし、ヴァイオリンのパートは胡弓ですね。
北村:企画盤については、鈴木さんの本でもタワーレコードの企画盤を少し紹介してもらって、いくつか入ってます。もともとのコンセプトとはちょっと違うかもしれませんけど、タワーの企画盤はメジャー・メーカーさんやレーベルさんでは廃盤になってるもの、世の中であまり売れてないとすぐ廃盤になっちゃったとか、1回しか出てないとか、そういったものしか最初制作の許諾を得られなかったんです。売れるものは当然市販で出したいと思いますからね。そこに入らなかったもの、でもお客様の支持がある、リクエストももらってるし、僕も出したいというものからスタートしました。それが今結構メジャーなところまで来ちゃってはいますけど、根っこは同じなのかもし
北村:えー、知らないな、じゃあ僕これ聴いてなかった。
鈴木:『火の鳥』はね、配信やストリーミングとかでも今聴けると思います。中国の笙が使われてますし、ヴァイオリンのパートは胡弓ですね。
北村:企画盤については、鈴木さんの本でもタワーレコードの企画盤を少し紹介してもらって、いくつか入ってます。もともとのコンセプトとはちょっと違うかもしれませんけど、タワーの企画盤はメジャー・メーカーさんやレーベルさんでは廃盤になってるもの、世の中であまり売れてないとすぐ廃盤になっちゃったとか、1回しか出てないとか、そういったものしか最初制作の許諾を得られなかったんです。売れるものは当然市販で出したいと思いますからね。そこに入らなかったもの、でもお客様の支持がある、リクエストももらってるし、僕も出したいというものからスタートしました。それが今結構メジャーなところまで来ちゃってはいますけど、根っこは同じなのかもし
れないです。メジャーなものがダメなわけでは全然ないし、一般的に評価されてるものあります。あと、音質的なことも加味して、今出すんだったら、やっぱりマスターに遡って音質的にも最善のものを出したいと思うところも、タワーの企画盤のコンセプトとしてあります。ちょっとまた違った意味ですが、ただ根本は同じです。
森山:ありがとうございます。ファン目線、ユーザー目線と言いますか、お客様が欲しいんだけど聴ける盤がない、というところが出発点としてありました。ですから今後も続いていきますし、クラシックは扱う時代がものすごく広く、まだまだ私たちが聴いて楽しめる音がたくさんあるジャンルです。店舗としても一生懸命そういった音楽をご紹介する、聴けるディスクをご紹介していくことを続けていきたいと思いますし、鈴木さんにはますますたくさんの面白いディスク、面白い音楽を紹介していただけたら嬉しいなと。今回、渋谷店発信の企画がこうして本になり、本当に感激なんですけれども、ぜひこの本を片手に、ディスク探しと言いますか、新しい発見の種といいますか、興味を広げる、そういうきっかけの一つの地図というか、ツールみたいな形でご活用いただけたらなと思います。最後に何かご質問あったりしますか?
Q:先ほどのパンフルートがすごく新鮮すぎてびっくりしたんですけども、ああいう方々がやってらっしゃる他の曲というのはあるものなんですか?
鈴木:えーと、バロックが3枚ぐらい出てますね。バロック作品でこういう編曲をして、フルートとかヴァイオリンとかのパートをパンフルートがやったりしてます。パンフルートという楽器は、楽器の構造上、跳躍の多い速い曲はすごく苦手なんですよ。だからそこをうまく、なんかこう粘り腰でうまく音をつなげて吹くので、そこにすごい力強さが出て、思わず引き込まれてしまいますね。
森山:ありがとうございます。「パンフルートがかすれ声のような」と、お書きになっておられました。そういった鈴木さん独自の軽妙洒脱といいますか、ご文体も楽しんでいただけたら、と思います。では、本日の出版記念イベントはこれで終わりにしたいと思います。皆様、本日は本当に貴重なお時間いただきまして、お越しいただきました。どうもありがとうございました。皆さん、今日はどうもありがとうございました。
鈴木:ありがとうございました。
北村:ありがとうございました。
この後、鈴木さんによる『クラシック「変化球」音盤ガイド』のサイン会が行なわれた。
森山:ありがとうございます。ファン目線、ユーザー目線と言いますか、お客様が欲しいんだけど聴ける盤がない、というところが出発点としてありました。ですから今後も続いていきますし、クラシックは扱う時代がものすごく広く、まだまだ私たちが聴いて楽しめる音がたくさんあるジャンルです。店舗としても一生懸命そういった音楽をご紹介する、聴けるディスクをご紹介していくことを続けていきたいと思いますし、鈴木さんにはますますたくさんの面白いディスク、面白い音楽を紹介していただけたら嬉しいなと。今回、渋谷店発信の企画がこうして本になり、本当に感激なんですけれども、ぜひこの本を片手に、ディスク探しと言いますか、新しい発見の種といいますか、興味を広げる、そういうきっかけの一つの地図というか、ツールみたいな形でご活用いただけたらなと思います。最後に何かご質問あったりしますか?
Q:先ほどのパンフルートがすごく新鮮すぎてびっくりしたんですけども、ああいう方々がやってらっしゃる他の曲というのはあるものなんですか?
鈴木:えーと、バロックが3枚ぐらい出てますね。バロック作品でこういう編曲をして、フルートとかヴァイオリンとかのパートをパンフルートがやったりしてます。パンフルートという楽器は、楽器の構造上、跳躍の多い速い曲はすごく苦手なんですよ。だからそこをうまく、なんかこう粘り腰でうまく音をつなげて吹くので、そこにすごい力強さが出て、思わず引き込まれてしまいますね。
森山:ありがとうございます。「パンフルートがかすれ声のような」と、お書きになっておられました。そういった鈴木さん独自の軽妙洒脱といいますか、ご文体も楽しんでいただけたら、と思います。では、本日の出版記念イベントはこれで終わりにしたいと思います。皆様、本日は本当に貴重なお時間いただきまして、お越しいただきました。どうもありがとうございました。皆さん、今日はどうもありがとうございました。
鈴木:ありがとうございました。
北村:ありがとうございました。
この後、鈴木さんによる『クラシック「変化球」音盤ガイド』のサイン会が行なわれた。
クラシック「変化球」音盤ガイド
1,980円
著者:鈴木淳史
著者:鈴木淳史
■目次
第1章 爆演?奇演? 孤高の鬼才演奏家たち
第2章 原曲より面白い「編曲モノ」
第3章 コンセプト・アルバムの面白さ
第4章 新・越境音楽の世界
第5章 名曲発掘!こんないい曲、埋もれているのはもったいない
第6章 古楽復興から新しい古楽へ
第7章 楽しすぎる現代音楽!
第8章 「巨匠」指揮者の奥深き世界
第9章 21世紀の指揮者とオーケストラ
第10章 ソリストの妙技
第11章 際どい表現力で聴く名曲
第12章 いつもと違う風景を見せてくれる演奏家たち
●関連ニュース
MUSIC・2026.01.22
2/20発売 型破りなクラシック音楽ディスク・ガイド〜『クラシック「変化球」音盤ガイド』
第1章 爆演?奇演? 孤高の鬼才演奏家たち
第2章 原曲より面白い「編曲モノ」
第3章 コンセプト・アルバムの面白さ
第4章 新・越境音楽の世界
第5章 名曲発掘!こんないい曲、埋もれているのはもったいない
第6章 古楽復興から新しい古楽へ
第7章 楽しすぎる現代音楽!
第8章 「巨匠」指揮者の奥深き世界
第9章 21世紀の指揮者とオーケストラ
第10章 ソリストの妙技
第11章 際どい表現力で聴く名曲
第12章 いつもと違う風景を見せてくれる演奏家たち
●関連ニュース
MUSIC・2026.01.22
2/20発売 型破りなクラシック音楽ディスク・ガイド〜『クラシック「変化球」音盤ガイド』
●関連ニュース
MUSIC|FEATURE・2026.02.19
この記事についてのコメントコメントを投稿
この記事へのコメントはまだありません
RELATED POSTS
関連記事
-
2026.03.27 クイーン関連 最新ニュースまとめ2026
-
2024.04.02 【動画】関係者が語る雑誌『ミュージック・ライフ』の歴史【全6本】
-
2023.03.07 直近開催予定のイベントまとめ(2026/4/7更新)
-
2026.04.07 ブライアン・メイ、写真家の故ミック・ロックの遺族から訴えられていることを明かす
LATEST POSTS
最新記事
-
2026.04.01 MLC8周年記念・人気投票企画スタート!──「リーダース・ポール2026!」
-
2026.03.27 クイーン関連 最新ニュースまとめ2026
-
2026.03.27 ビートルズ関連 最新ニュースまとめ2026