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スティーヴ・アルビニ vs. レコード会社──ニルヴァーナ『In Utero』制作舞台裏の真実
当該オークションの出品目録には、アルビニが自身のパンク・ロック的政治理念により、このインドネシアの賞を手にするに至った経緯が詳細に記されています。
「『In Utero』がRIAA(米国レコード工業会)からゴールド・ディスクの認定を受けた際、スティーヴは大手レコード会社とその運営方法に対して自身の倫理的姿勢を示すため、それをバンドのマネジメントに突き返した。その後、恐らくは第三者に乞われて、彼は同賞の返還を求めた。しかし残念ながら、同賞はもはや入手不能状態だった。この点については正確に何が起こったのかは不明である」
「その代わりに、また恐らくはある種の意趣返しとして、スティーヴの元には『In Utero』のインドネシア国内認定ゴールド・レコード賞が送られてきたのだった」と説明文は続きます。「そして、これがかのマルチプラチナム・レコードに関して、彼のアーカイヴに残された唯一の記念品だった。というわけで、そう、これはRIAA版ではないものの(RIAA版の方のディスクの所在は未だ不明)、スティーヴが所有し保管していたものであることは紛れもない事実なのだ」
『Nevermind』が世界的な大ヒット作となった後の1992年の秋、コバーンが3枚目のアルバムのレコーディングをアルビニに打診すると、アルビニはよく考えさせて欲しいと答えました。そして1992年11月にバンドに対して送りつけた4ページにわたるファックスの中で、彼は「『プロダクション』は最小限に抑えながらも高品質で、(レコード会社の)フロントオフィスの頭でっかちな連中の干渉を受けつけることなく、ほんの数日でアルバムを完成させてしまった」彼らの直感を称賛しました。また、彼は自身の役割について明確に定義しました。
「プロデューサーやエンジニアに印税を支払うことは、倫理的には正当化できるものではないと思う……僕には配管工のように仕事料をもらえればいい。仕事をこなし、それに見合った金額をキミたちが支払ってくれればそれでいいから」。彼らから数十万ドル単位の金を受け取ったりすれば、夜も眠れなくなるとアルビニは書いていました。伝えられるところによれば、彼はこの仕事に対して僅か10万ドルきっかりの報酬しか受け取らなかったのだそうです。
ニルヴァーナは1993年2月、ミネソタ州にあったパキダーム・スタジオで2週間かけて『In Utero』をレコーディングしました。コバーンは当時『ローリング・ストーン』誌のインタヴューで、アルバムのヴォーカル録りを「トータル約7時間」で終えたと語っており、ドラマーのデイヴ・グロールも3日間でドラム・パートを全て録り終わりました。「彼は俺たちにとってはヒーローの一人だったからね、俺なんかめちゃめちゃビビってたよ」と、グロールは2013年に『Revolver』誌に語っています。
「俺たちはスティーヴに自分たちの実力を証明しなきゃならなかった」と、ベーシストのクリスト・ノヴォゼリックも2013年に語っていました。「だから “Serve The Servants” なんて、スタジオに入った途端にワンテイクでキメてやったんだ。アルバムのド頭で聴けるあの曲は、まさにその一発目の音源だよ。俺たちはそうやってスティーヴを圧倒したんだ」
彼らはオンのみならずオフでも意気投合し、アルビニとグロールは、テープ機器の掃除に使われていたアルコールに火をつけたり、知り合いにいたずらを仕掛けたりしていました。アルビニはレモンヘッズのイヴァン・ダンドゥに電話をかけ、マドンナのアシスタントを装って、45分間も保留状態で放置しました。またある時は、アルビニがコバーンに懇願されて彼になりすまし、ジーン・シモンズに電話をかけました。グロールはこう証言しています。「彼がちょっとだけカートの声真似をしてね。あれは最高に面白かったよ」
けれど、ニルヴァーナのレコード会社の担当者が、メインストリームのリスナー向けにはアルバムのサウンドが粗削り過ぎると判断し、その音質の悪さをアルビニひとりに押し付けたことで、楽しい日々は終わりを告げました。「僕らが揉めてたって噂はレコード会社発信だったんだ」と、アルビニは当時語っていました。「連中はバンドの自信に揺さぶりをかけようとしていたんだよ」。彼は数年後もこの説を曲げず、『Tape Op』誌に「(レーベル側が)バンドを辱めてレコードを作り直させようっていう広報キャンペーンを仕掛けてたんだ。あれは実におぞましくて不快な話だったね」と説明していました。
コバーンは『ローリング・ストーン』誌のインタビュー で、行き違いの責任はあくまで自分にあり、彼自身がプロダクションを気に入っていなかったのだと主張しました。「 『Nevermind』の時みたいなエナジーを感じられなかったのはどうしてなのか、俺たちにも理由が全く分からなかったんだけど。最終的に、ヴォーカルの音量が足りなかったし、ベースが全然聞こえなかったっていう結論に至ったんだ」。そして彼らはR.E.M.のプロデューサー、スコット・リットを雇い、「All Apologies」「Heart-Shaped Box」「Pennyroyal Tea」の3曲のシングルを全てミックスし直させたのです。
「自分では間違いなく良い仕事をしたって手応えがあったのに、レコード制作に立ち会いもしなかった人々が、後から寄ってたかって勝手に判断を下したんだ」と、アルビニは2013年に語っていました。「あの時は無知蒙昧な奴らの欲の皮の突っ張りとしか思えなかったし、今でも僕からすると無知蒙昧な奴らの欲の皮の突っ張りにしか見えないよ」。2013年に20周年を記念し『In Utero』のリイシューが決まると、アルビニはこれ幸いとその機会を利用してオリジナル・リリース版にリミックスを施し、当初自分が思い描いていた通りのサウンドに戻したのでした。
なお、当該オークションですが、入札は匿名で行なわれ、開始価格は5,000ドル。入札締め切りは5月3日となっています。
stevealbiniscloset.com/auction
Nirvana
『In Utero』
Amazon(2013/11/29)輸入盤LP
※その後、2023年に『イン・ユーテロ』30周年記念エディションが5枚組CDボックス/2枚組CDでリリースされましたが、2013ミックスはこちらには収録されていません。
ニルヴァーナ
『イン・ユーテロ - 30周年記念スーパー・デラックス・エディション』(完全生産限定盤/SHM-CD/5枚組)
・5CDs(2023/10/27)¥38,500【Amazon.co.jp限定】特典:メガジャケ付
・5CDs(2023/10/27)¥38,500
ニルヴァーナ
『イン・ユーテロ - 30周年記念スーパー・デラックス・エディション』(通常盤/SHM-CD/2枚組)
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・2CDs(2023/10/27)¥3,960
ニルヴァーナ
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・Amazon Music(NOV 01 1994)
・Amazon(2011/11/9)¥1,958
ニルヴァーナ
『ネヴァーマインド』〈スーパー・デラックス・エディション〉(DVD付)
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・8LPs+7”(2022/5/27)輸入盤
ニルヴァーナ
『ネヴァーマインド』〈デラックス・エディション〉
・Amazon Music・MP3(2021/10/12)¥2,800
・2CDs(2021/10/12)¥3,139
ニルヴァーナ
『ネヴァーマインド』
・Amazon Music・MP3(1991/9/24)¥1,500
・CD(2011/11/9)¥1,917
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