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【特別企画】グレン・マトロック・インタヴュー
もしあの時「フレディ・マーキュリーに虫歯がなかったら」
グレン・マトロック視点によるセックス・ピストルズのアナザー・ストーリー、ドキュメンタリー映画『セックス・ピストルズ 破壊の設計図』は本日より公開。今回その公開にあたり張本人のグレン・マトロックがオンライン・インタヴューで様々な質問に答えてくれました。映画についてはもとより、ジョニー・ロットンとの確執、スティーヴ・ジョーンズには言えない話などなどなど、ピストルズに関する部分を中心に構成しました。もしクイーンがスタジオを空けてくれなければ、「Anarchy In The U.K.」は生まれなかったかもしれない。そしてあの日フレディ・マーキュリーの虫歯が痛まなければ、セックス・ピストルズはここまでセンセーショナルな存在として歴史に名を刻むことはなかったのかもしれない。真っ当すぎるが故にバンドを追われた、セックス・ピストルズにおける唯一の “ミュージシャン” の独占インタヴューをお送りします。
俺たちは確かにロックンロール・バンドだったし、それにはすごく誇りを持っているが、“ただのロックンロール・バンド”ではなかった
インタヴュー◉荒野政寿 協力◉株式会社ポイント・セット
インタヴュー◉荒野政寿 協力◉株式会社ポイント・セット
──ピストルズを組んだ段階で、あなただけがうまいミュージシャンだったのかと思っていました。この映画を観て知りましたが、実際はそうでもなかったんですね。
「彼らは良いミュージシャンに “なった” んだ。最初は俺の方がスティーヴ・ジョーンズより先を行っていたと思う。だが、たった6週間程度のことだった。スティーヴには言うなよ(笑)」
──オリジナル曲を作り始める段階で、何か手本にした曲はあったのでしょうか?
「俺の見解としては、さっき挙げた全てのバンドの曲(60's ブリティッシュ・ビート・バンドやモータウン勢)だな。ジョン・ライドンはそういうのを全部嫌っていて、俺とはまったく違うものが好きだった。でも、その2つが組み合わさったことで、何か違うものが生まれたんだと思う。カヴァーをやろうとしても、俺たちはかなり拙いプレイヤーだったから、目指していたものとは似ても似つかない音になった。でも、それが何か新しい別の音に聞こえたんだ。それが全ての出発点になったのさ」
「これだけ言わせてくれ。俺は日本の陶芸について少し知識があるんだが、職人が素晴らしい作品を手作りする時、不完全さこそが魅力を生み出すだろ? 俺たちを良くしたのも、そういう部分だったと思うんだ。だから実のところ、セックス・ピストルズは日本の陶芸の音楽版みたいなものとも言えるのさ」
──結成時に「PUNK」という言葉がなかったという話も印象的でした。
「かと言って、ただロックンロールを演奏するだけではなかった。世の中で起きていたこととは何か違うものを自分たちが持っていると自覚していたんだ。だからこそ俺たちはそれをやったのさ。世の中を少し撹乱してやろうと思っていたんだよ。まあ、マルコム・マクラーレンや、ジェイミー・リードやバーニー・ローズ[※ザ・クラッシュのマネージャー]みたいな連中がいて、自分たちが活動していた場所や人間関係があったからこそ、ああいう形で表に出てきた。ジョンは世の中に不満を抱えて怒っていたし、俺たちも間違いなく反抗的なアティチュードを持っていた。全てが然るべきタイミングでひとつになったんだよ、本当にね。俺たちは確かにロックンロール・バンドだったし、それにはすごく誇りを持っているが、 “ただのロックンロール・バンド” ではなかったんだ」
──ウェセックス・スタジオでのクイーンのエピソードが面白いですね。彼らは実際フレンドリーでしたか?
「彼らとそれほど深い関わりがあったわけではないが、俺たちと同じレーベルに所属していた。俺たちはファースト・シングルの “Anarchy In The U.K.” を大急ぎで録音しなきゃならなかった。クイーンが自分たちのレコーディング時間を中断してくれたおかげで、俺たちがウェセックス・スタジオを使えたんだよ。そういう意味ではすごく協力的だった。それに、あの有名なビル・グランディの番組に出た時も、本来はフレディ・マーキュリーが出演するはずだったのに、ひどい虫歯になって出演できなくなったから俺たちにお鉢が回ってきたんだ。同じレーベルだったから、広報のトップの奴が『代わりにピストルズを出したらどうだ?』と言ってね。だからそういう形でも、彼らは俺たちを助けてくれたわけさ。大親友というわけではなかったが、決して敵同士ではなかったよ」
「音楽的にクイーンがすごく好きだったわけではないが、好きな部分もあった。“Bohemian Rhapsody” の終盤、激しくなる部分はなかなか良いと思う。スティーヴもそこが好きだったけど、ジョンは『曲の一部だけを好きになるなんて許されない』みたいに思っていた。俺は “Seven Seas Of Rhye” も好きだったよ、あれは良い曲だ。まあ、クイーンは大成功を収めたし、自分たちのスタイルを貫き通した。俺の一番のお気に入りというわけじゃないが、彼らの健闘を祈るよ。フレディ・マーキュリーに虫歯がなかったらビル・グランディ事件も起きなかったわけだから……フレディ、ありがとう!(笑)」
「彼らは良いミュージシャンに “なった” んだ。最初は俺の方がスティーヴ・ジョーンズより先を行っていたと思う。だが、たった6週間程度のことだった。スティーヴには言うなよ(笑)」
──オリジナル曲を作り始める段階で、何か手本にした曲はあったのでしょうか?
「俺の見解としては、さっき挙げた全てのバンドの曲(60's ブリティッシュ・ビート・バンドやモータウン勢)だな。ジョン・ライドンはそういうのを全部嫌っていて、俺とはまったく違うものが好きだった。でも、その2つが組み合わさったことで、何か違うものが生まれたんだと思う。カヴァーをやろうとしても、俺たちはかなり拙いプレイヤーだったから、目指していたものとは似ても似つかない音になった。でも、それが何か新しい別の音に聞こえたんだ。それが全ての出発点になったのさ」
「これだけ言わせてくれ。俺は日本の陶芸について少し知識があるんだが、職人が素晴らしい作品を手作りする時、不完全さこそが魅力を生み出すだろ? 俺たちを良くしたのも、そういう部分だったと思うんだ。だから実のところ、セックス・ピストルズは日本の陶芸の音楽版みたいなものとも言えるのさ」
──結成時に「PUNK」という言葉がなかったという話も印象的でした。
「かと言って、ただロックンロールを演奏するだけではなかった。世の中で起きていたこととは何か違うものを自分たちが持っていると自覚していたんだ。だからこそ俺たちはそれをやったのさ。世の中を少し撹乱してやろうと思っていたんだよ。まあ、マルコム・マクラーレンや、ジェイミー・リードやバーニー・ローズ[※ザ・クラッシュのマネージャー]みたいな連中がいて、自分たちが活動していた場所や人間関係があったからこそ、ああいう形で表に出てきた。ジョンは世の中に不満を抱えて怒っていたし、俺たちも間違いなく反抗的なアティチュードを持っていた。全てが然るべきタイミングでひとつになったんだよ、本当にね。俺たちは確かにロックンロール・バンドだったし、それにはすごく誇りを持っているが、 “ただのロックンロール・バンド” ではなかったんだ」
──ウェセックス・スタジオでのクイーンのエピソードが面白いですね。彼らは実際フレンドリーでしたか?
「彼らとそれほど深い関わりがあったわけではないが、俺たちと同じレーベルに所属していた。俺たちはファースト・シングルの “Anarchy In The U.K.” を大急ぎで録音しなきゃならなかった。クイーンが自分たちのレコーディング時間を中断してくれたおかげで、俺たちがウェセックス・スタジオを使えたんだよ。そういう意味ではすごく協力的だった。それに、あの有名なビル・グランディの番組に出た時も、本来はフレディ・マーキュリーが出演するはずだったのに、ひどい虫歯になって出演できなくなったから俺たちにお鉢が回ってきたんだ。同じレーベルだったから、広報のトップの奴が『代わりにピストルズを出したらどうだ?』と言ってね。だからそういう形でも、彼らは俺たちを助けてくれたわけさ。大親友というわけではなかったが、決して敵同士ではなかったよ」
「音楽的にクイーンがすごく好きだったわけではないが、好きな部分もあった。“Bohemian Rhapsody” の終盤、激しくなる部分はなかなか良いと思う。スティーヴもそこが好きだったけど、ジョンは『曲の一部だけを好きになるなんて許されない』みたいに思っていた。俺は “Seven Seas Of Rhye” も好きだったよ、あれは良い曲だ。まあ、クイーンは大成功を収めたし、自分たちのスタイルを貫き通した。俺の一番のお気に入りというわけじゃないが、彼らの健闘を祈るよ。フレディ・マーキュリーに虫歯がなかったらビル・グランディ事件も起きなかったわけだから……フレディ、ありがとう!(笑)」
──「ビートルズが好きだからグレンを解雇した」という発表には、何を感じた?
「すごく腹が立った。事実じゃなかったからね。俺はメンバーと話し合って、『ジョンと一緒にやっていくのはもう本当に限界だし、彼も同じように思っているだろう』と言ったんだ。だから円満に別れたはずだったのに、1週間ほど経ってからマルコムが『NME』誌にあの電報を送った[※グレン・マトロック解雇の理由を「ポール・マッカートニーのファンであることが判明したため」と説明する内容]。本当に最低の仕打ちだと思ったよ。その数週間後に彼らはシド・ヴィシャスとリハーサルを始めたんだが、うまくいかなくてね。マルコムが電話をかけてきて『ミーティングできないか?』と言うから会いに行った。そしたら彼が『その……戻ってきてくれないか? シドとはうまくいかないんだ』と言うから、俺は言ってやった。『あんな電報を送っておいてふざけるな、失せろ!』ってね(笑)」
──最後に、この映画であなたが一番気に入っているシーンを教えてもらえますか?
「俺が一番気に入っているのは、映画の中で俺のために証言してくれた人たちの顔触れの素晴らしさだ。ブロンディのデビー・ハリーやクレム・バーク……あれはきっとクレムの最後の映像になるんじゃないかな。彼は良い友人だったよ。MC5のウェイン・クレイマーも、あれが最後のインタビューだったと思う」
「友人のアレックス・マクダウェルが出演してくれたこともうれしい。彼はセックス・ピストルズのギグを最初にブッキングしてくれた人物なんだが、後にハリウッドの有名なアートディレクターになって、映画『チャーリーとチョコレート工場』のデザインも手掛けたんだ。そんな彼がピストルズを最初にブッキングした奴なんだから、そこには深い歴史があるよな。しかも彼らはみんな、カプチーノ1杯と甘いケーキ1個程度の報酬で出演してくれたんだ」
「すごく腹が立った。事実じゃなかったからね。俺はメンバーと話し合って、『ジョンと一緒にやっていくのはもう本当に限界だし、彼も同じように思っているだろう』と言ったんだ。だから円満に別れたはずだったのに、1週間ほど経ってからマルコムが『NME』誌にあの電報を送った[※グレン・マトロック解雇の理由を「ポール・マッカートニーのファンであることが判明したため」と説明する内容]。本当に最低の仕打ちだと思ったよ。その数週間後に彼らはシド・ヴィシャスとリハーサルを始めたんだが、うまくいかなくてね。マルコムが電話をかけてきて『ミーティングできないか?』と言うから会いに行った。そしたら彼が『その……戻ってきてくれないか? シドとはうまくいかないんだ』と言うから、俺は言ってやった。『あんな電報を送っておいてふざけるな、失せろ!』ってね(笑)」
──最後に、この映画であなたが一番気に入っているシーンを教えてもらえますか?
「俺が一番気に入っているのは、映画の中で俺のために証言してくれた人たちの顔触れの素晴らしさだ。ブロンディのデビー・ハリーやクレム・バーク……あれはきっとクレムの最後の映像になるんじゃないかな。彼は良い友人だったよ。MC5のウェイン・クレイマーも、あれが最後のインタビューだったと思う」
「友人のアレックス・マクダウェルが出演してくれたこともうれしい。彼はセックス・ピストルズのギグを最初にブッキングしてくれた人物なんだが、後にハリウッドの有名なアートディレクターになって、映画『チャーリーとチョコレート工場』のデザインも手掛けたんだ。そんな彼がピストルズを最初にブッキングした奴なんだから、そこには深い歴史があるよな。しかも彼らはみんな、カプチーノ1杯と甘いケーキ1個程度の報酬で出演してくれたんだ」
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この他グレンは、少年時代の話〜音楽との出会い〜楽器を手にしたきっかけから、ピストルズ結成に至るまで〜脱退後の活動(リッチ・キッズ〜イアン・マクラガンとの出会い〜フェイセズ再結成への参加)についてなど、非常に幅広く語ってくれています。が、今回は『セックス・ピストルズ 破壊の設計図』にまつわるここまでということで。
ノーカット版は機会を改めて近日公開いたしますので、どうぞお楽しみに!
セックス・ ピストルズ
破壊の設計図
破壊の設計図
・監督:アンドレ・レリス(『ランディ・ローズ』)/ニック・ミード(『アイアン・フィスト/モーターヘッド』)
・編集:ヴァネッサ・ローワース、ジャスティン・ウィリアムズ
・製作:グレン・マトロック、ニック・ミード、アンドレ・レリス、ジェシカ・ルッソ
・原作:グレン・マトロック著『I Was a Teenage Sex Pistol』
・出演:グレン・マトロック、ジョニー・ロットン、シド・ヴィシャス、スティーヴ・ジョーンズ、ポール・クック、クリス・スペディング、デボラ・ハリー、ビリー・アイドル、ウェイン・クレイマー、ケニー・ジョーンズ、ファット・マイク、トレイシー・ガンズ、リチャード・ストレンジ
2025年|アメリカ映画|英語|102分|原題:I Was A Teenage Sex Pistol提供:ニューセレクト|配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
© 2025, I WAS A TEENAGE SEX PISTOL PRODUCTION, LLC ALL RIGHTS RESERVED
・編集:ヴァネッサ・ローワース、ジャスティン・ウィリアムズ
・製作:グレン・マトロック、ニック・ミード、アンドレ・レリス、ジェシカ・ルッソ
・原作:グレン・マトロック著『I Was a Teenage Sex Pistol』
・出演:グレン・マトロック、ジョニー・ロットン、シド・ヴィシャス、スティーヴ・ジョーンズ、ポール・クック、クリス・スペディング、デボラ・ハリー、ビリー・アイドル、ウェイン・クレイマー、ケニー・ジョーンズ、ファット・マイク、トレイシー・ガンズ、リチャード・ストレンジ
2025年|アメリカ映画|英語|102分|原題:I Was A Teenage Sex Pistol提供:ニューセレクト|配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
© 2025, I WAS A TEENAGE SEX PISTOL PRODUCTION, LLC ALL RIGHTS RESERVED
本日より新宿武蔵野館ほかで破壊のロードショー!
商品詳細
セックス・ピストルズ
『勝手に来やがれ』30周年記念エディション
セックス・ピストルズ
『勝手に来やがれ』30周年記念エディション
商品詳細
セックス・ピストルズ
『ライヴ・イン・ザ・U.S.A. 1978』
Amazon(2025/4/25)¥6,600(限定盤/SHM-CD/3枚組)
セックス・ピストルズ
『ライヴ・イン・ザ・U.S.A. 1978』
Amazon(2025/4/25)¥6,600(限定盤/SHM-CD/3枚組)
商品詳細
セックス・ピストルズ
『勝手にしやがれ!!』
・Amazon Music/MP3(SEP 24 2012)¥2,200
・CD(2018/6/20)¥2,476
セックス・ピストルズ
『勝手にしやがれ!!』
・Amazon Music/MP3(SEP 24 2012)¥2,200
・CD(2018/6/20)¥2,476
商品詳細
『Jamie Reid : A Biography(1947- 2023):Art, Activism, and Subversion: The Life and Works of Jamie Reid』
Amanda L. McLennan(著)
・Kindle版(電子書籍)(2023/8/11)¥1,016
・ペーパーバック(2023/8/12)英語版
『Jamie Reid : A Biography(1947- 2023):Art, Activism, and Subversion: The Life and Works of Jamie Reid』
Amanda L. McLennan(著)
・Kindle版(電子書籍)(2023/8/11)¥1,016
・ペーパーバック(2023/8/12)英語版
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