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トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズのベーシスト、ジャッキー・ジャクソン死去
9月23日、ジャマイカのポピュラー・ミュージック界を支えた礎の一人で、半世紀以上にわたりトゥーツ・アンド・ザ・メイタルズのベーシストを務めたジャッキー・ジャクソンが亡くなりました。享年79。彼は1960年代から70年代にかけて、数々の歴史的に重要なレゲエ・ヒット曲を支える重厚かつメロディアスなベースラインを奏で、デズモンド・デッカーの「The Israelites」(邦題「イスラエルちゃん」)、ハリー・J・オールスターズの「The Liquidator」、そしてアップセッターズの「Return of Django」といった楽曲が1969年に英国のトップ10入りを果たすのに貢献しました。
商品情報 トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズ 『Live』Amazon Music(JAN 01 1980)
トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズ、アイランドから1980年リリースの『Live』。右はインナー・スリーヴ、右側中断がジャッキー・ジャクソン。
ロイド・ブレヴェットがザ・スカタライツで打ち出したアコースティック・アップライト・ベースでのパワフルなアプローチと、モータウンのジェイムズ・ジェマーソンのエレクトリックなフックの両方から等しく影響を受けたジャクソンは、60年代半ばにジャマイカを席巻したロック・ステディ・ブームにおいても重要な役割を果たしました。初めてのレコーディング・セッションはデューク・リードのトレジャー・アイル・スタジオのハウスバンド、スーパーソニックスの主力メンバーとして、アルトン・エリスの大ヒット曲「I Have Got a Date」(後に「Girl I’ve Got a Date」として再リリースされた楽曲の1966年のオリジナル)でした。ジャクソンの躍動感あふれるベースは、このナンバーをロック・ステディ全盛期の代表曲の一つに押し上げる原動力となりました。
そして1968年、ジャクソンは、彼らを雇うプロデューサーによって「オール・スターズ」「アップセッターズ」「ダイナマイツ」「クリスタライツ」等々、様々な名称で呼ばれていたセッション・バンドの中核を担い、新たなレゲエ・スタイルの誕生に貢献することになりました。彼の同僚にはドラマーのポール・ダグラスをはじめ、ギタリストのハックス・ブラウンとダギー・ブライアン、オルガニストのウィンストン・ライト、そしてピアニスト兼アレンジャーのグラディ・アンダーソンらがおり、これらのミュージシャンたちが、クランシー・エックルズのプロデュースによるキング・スティットの「Fire Corner」、ハリー・Jがプロデュースしたボブ&マーシャによるニーナ・シモンの「Young, Gifted and Black」のカヴァー、リー “スクラッチ” ペリーがプロデュースしたウェイラーズの「Small Axe」、デリック・ハリオットのプロデュースによるキース&テックスの「Stop That Train」、そしてレスリー・コンがプロデュースしたジミー・クリフの「Wonderful World」「Beautiful People」「Hard Road to Travel」「Vietnam」他、数多くのヒット曲全てに裏方として参加していたのです。中でも「Vietnam」は、1971年にポール・サイモンがジャクソンとその仲間たちと『Mother And Child Reunion』(邦題『母と子の絆』)で共演するきっかけともなりました。
ペリー・ヘンゼル監督の画期的な長編映画『The Harder They Come』(1972年)に出演したジャクソンは、タイトル曲でクリフのバックを務め、「Sweet and Dandy」ではトゥーツ・アンド・ザ・メイタルズの一員としてプレイしています。また、サウンドトラックにフィーチュアされているメイタルズのヒット曲「プレッシャー・ドロップ」でも、彼の演奏を聴くことができます。ジャクソンはさらに1970年、ザ・ウェイラーズが〈Kong〉レーベルのために録音したアルバム『The Best Of The Wailers』にも参加しており、彼のモータウン風のフレーズは、このLPに収録されているソウル・ミュージックからの影響色濃い楽曲に完璧にマッチしていました。
ジャクソンの穏やかな物腰、演奏に対する実直かつ真摯な姿勢、そして音楽的な適応力のおかげで、彼は誰とでも一緒に仕事ができるミュージシャンとして定評を得、それがメイタルズのトゥーツ・ヒバートとの長きにわたる協力関係にも繋がりました。また、彼は多くの若手ミュージシャンにとってもインスピレーションの源であり、特にウェイラーズのベーシスト、アストン “ファミリー・マン” バレットや、スライ&ロビーのロビー・シェイクスピアなどに多大な影響を与えました。
本名クリフトン・コートニー・ジャクソンとして、ジャマイカの生キングストンでまれた彼は、シングルマザーの家庭で育ちました。叔父のルーサー・ウィリアムズは、1950年代から60年代にかけて人気を博したダンスバンド、アラワクス(Arawaks)を率いたピアニストで、ジャクソンも幼い頃からピアノを習い始めましたが、ティーンエイジャーになり、1962年頃にボーンマス・クラブで観たザ・スカタライツの一員としてプレイするブレベットの姿に触発され、アップライト・ベースに転向しました。
彼は1964年前後にクラブ・バンドのタイ・アンド・ザ・タイタンズに加入し、この頃からエレクトリック・ベースを演奏するようになったと言われています。タイタンズが解散すると、彼はザ・スカタライツのアルト・サックス奏者レスター・スターリングが所属するザ・キャヴァリアーズに加入しました。そして1966年後半にキャバリアーズが解散すると、ジャクソンはその卓越した演奏技術を武器に、トミー・マクックによってトレジャー・アイル・レーベルに所属するスーパーソニックスにスカウトされたのでした。
駆け出しの頃のジャクソンは1曲につき5シリングの報酬を得て、パラゴンズ、メロディアンズ、テクニックス、ホープトン・ルイス、フィリス・ディロンといったロック・ステディ界を代表するアーティストたちの大ヒット曲で仕事をこなしていました。様々なプロデューサーの下でセッションを掛け持ちする中で、彼はプリンス・バスターのアンチ・ルード・ボーイの物語「Judge Dread」や、当時まだ新進気鋭のプロデューサーだったジョー・ギブスが手掛けたロイ・シャーリーの一風変わったロック・ステディ・ヒット「Hold Them」に参加した他、ウェイラーズのセルフ・プロデュースによるシングル「Hypocrites」「Nice Time」「Pound Get A Blow」でもプレイしました。
1968年以降、ジャクソンはトゥーツ・アンド・ザ・メイタルズでレギュラーとしてプレイするようになり、1973年までにはセッション仕事を減らして同グループでの活動に専念しました。同グループはアルバム『Funky Kingston』が海外でリリースされたことをきっかけに、その知名度を上げつつありました。とはいえ、彼はそれと並行してクリフとの関係を継続しており、アルバム『Unlimited』や『House of Exile』に参加した他、ジャマイカで制作された外国人アーティストによるハイ・クオリティなフュージョン・プロジェクトにも参加しており、その中には、アメリカのフォーク歌手ピーター・ヤーロウ(PP&M)の『That’s Enough for Me』、 ニューヨークのロッカー、ガーランド・ジェフリーズのアトランティック・レコードからの自身の名を冠したデビュー作、ジャズ・サックス奏者ロビン・ケニヤッタの『Terra Nova』、フルート奏者ハービー・マンによる『Reggae』、そしてソウル・シンガーのドリス・トロイが出した『Stretchin’ Out』等が含まれています。
やがてメイタルズとの過酷なツアー生活や、セッションワークの不安定さに疲弊したジャクソンは、1982年後半にツアーやレコーディングから身を引くと、ライヴによる音楽イヴェントの企画・運営を専門とするエンターテインメント・コンサルタントとして新たなキャリアをスタートさせました。ジャマイカ北岸のモンテゴ・ベイを拠点に、1995年まで事業を成功裏に運営していたものの、彼はその年にメイタルズへの復帰を決め、新型コロナウイルスのパンデミックにより演奏活動に制限が課されるまで、グループと共にツアーを続けました。
なお2012年、ジャクソンはジャマイカのポピュラー音楽への貢献が認められ、名誉勲章(コマンダー級)を授与されています。
彼が1989年に結婚した妻でキャバレー歌手のカレン・スミスは、2021年に亡くなりました。彼には遺族として娘のコートニ(Courtni、自身のミドルネームとはスペル違い)の他に、他の女性たちとの間に生まれた3人の娘、マリー、ジャネル、ジャニーンがいることが伝えられています。
安らかなる眠りをお祈りいたします。
Toots & The Maytals
『Monkey Man / From The Roots : 2 On 1 Expanded Edition』
Amazon(2018/8/1)輸入盤
ジミー・クリフ
『The Harder They Come Original Soundtrack』
Amazon Music(1972/7/7)
Toots & The Maytals
『Got To Be Tough』
Amazon(2020/8/28)輸入盤
Toots & The Maytals
『Pressure Drop - The Best Of』
Amazon(2012/6/12)輸入盤
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