ブラック・サバスのキーボーディスト、アダム・ウェイクマンがジャズ・サバスのデビュー・アルバムをリリース

「ジャズ・サバスは1968年に結成され、当時のイギリスでは新たなジャズ・ムーヴメントの先頭に立つバンドと見なされていました。
 
1970年2月13日にリリースされるはずだった待望のデビュー・アルバム『ジャズ・サバス』は、今日まで日の目を見ることは一度もありませんでしたが、それから50年経った今年の4月10日、ついに発売されることになりました。
 
当時、バンドの創設メンバーでピアニストのミルトン・キーンズが重度の心臓発作を起こして入院し、彼は生涯にわたり闘病することになりました。レコード会社はリーダーのいないバンドのデビュー・アルバムをリリースすることへの財政的不安感とキーンズへの同情心から、アルバムの発売を中止しました。
 
キーンズは1970年の9月にようやく退院しましたが、“ブラック・サバス”と都合よく名乗るバーミンガム出身のバンドが2枚のアルバムをリリースし、そこにはキーンズが作曲したと主張している楽曲のメタル・ヴァージョンが収録されていることを知りました。
 
そこでキーンズは、彼のレコード会社だったラスティ・ベッドスプリングス・レコードに連絡しようとしましたが、そのレコード会社はすでに存在せず、レーベルのオーナーは刑務所に入っていました。ジャズ・サバスのアルバムは、1970年6月に起きた倉庫火災で全て焼失しましたが、その火事はレーベルのオーナーによる保険金詐欺だったことが判明し、ジャズ・サバスの存在を証明するために残っていたのは、ジャズ・サバスが1968年から1969年にかけて行なったライヴの海賊盤テープだけでした。
 
デビュー・アルバムのマスター音源は倉庫火災で焼失したと言われていましたが、実際には倉庫に置かれていたのではなく、何年もレコーディング・スタジオの地下室で埃をかぶったまま、一度も日の目を見ない運命にありました。
 
それから50年近く経った2019年の暮、レコーディング・スタジオがあったビルを購入した男性がマスター・レコーディングのテープを発見し、そこには1969年のレコーディング・セッションのオリジナル・マスターが収録されており、オリジナル・アルバム・カヴァーを映したスライドもありました。今回、これらのテープがリミックスされ、ついにリスナーの耳に届くことになったのです。
 
このアルバムは、世界中で何百万人ものファンから崇拝されているヘヴィ・メタル・バンドが、実際には音楽的ペテン師で、寝たきりで入院していた天才の音楽を盗んでいるにすぎないということを証明するでしょう」
 
また、ジャズ・サバスのモキュメンタリー『The Documentary : A Jazz Sabbath』が今日からネット上で公開されており、俳優のロバート・パウウェルがウェイクマン扮するキーンズにインタヴューを行ない、キーンズはジャズ・サバスの栄枯盛衰と自分の楽曲を露骨に盗まれたことについて語っています。