ロックンロールのパイオニア、リトル・リチャードが87歳で死去
Little Richard Long Tall Sally - Tutti Frutti
最も偉大なロック・アイコンの一人、リトル・リチャード(本名リチャード・ウェイン・ペニマン)が5月9日、ガンのため87歳で亡くなりました。息子のダニー・ジョーンズ・ペニマンが訃報を伝えています。
ワイルドで派手なパフォーマンス・スタイルで知られたリチャードは、50年代半ばに発表した「Tutti Frutti(トゥッティ・フルッティ)」や「Long Tall Sally(のっぽのサリー)」などが大ヒットし、ビートルズやローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョンをはじめとする多くのミュージシャンに多大な影響を与えました。
1932年にジョージア州メイコンで誕生したリチャードは、幼少期から教会で歌い始め、特にゴスペル・シンガーのブラザー・ジョー・メイやシスター、ロゼッタ・サープに熱中していました。14歳の時にロゼッタ・サープのツアーで前座を務めたことを機に、プロとしてのキャリアをスタートさせています。
同性愛者だったリチャードは、10代の頃から女装と男性経験を繰り返し、15歳の時に厳粛な父親から家を追い出され、アトランタに移住しました。地元のバンドで “リトル・リチャード” として活動する傍ら、ブルースやブギ、ゴスペルの要素とリズミックなビートを融合させた独自の音楽のレコーディングを開始し、1955年のシングル「Tutti Frutti」が初ヒットしました。
その後も「Long Tall Sally」や「Slippin’ and Slidin’」「Rip It Up」「Ready Teddy」をはじめ、17曲がトップ40入りを果たし、バディ・ホリー、エルヴィス・プレスリー、ジェイムス・ブラウン、ジミ・ヘンドリックス、ビートルズ、ストーンズ、ロッド・スチュワート、デヴィッド・ボウイなど、多くのミュージシャンに多大な影響を与えました。また、派手な衣装と劇場型のコンサート・パフォーマンスで多くの観客を魅了し、当時高校生だったボブ・ディランは、1959年の卒業アルバムに「リトル・リチャードと共演したい」と綴っています。
リチャードは1957年の人気絶頂期に突如引退を発表し、一時は牧師の道を歩み始めました。この頃には結婚もしましたが、ロング・ビーチのトイレでわいせつ行為に及んだとして逮捕され、協議離婚しています。
その後1962年に復帰し、サム・クックを前座にヨーロッパ・ツアーを行ないました。このツアーが成功したことで、駆け出し時代のビートルズと公演を行なうことになり、彼らと親交を深めたリチャードは、バンドにライヴ・パフォーマンスの仕方をアドバイスし、ポールに発声法を教えています。
また1964年には、エヴァリー・ブラザーズやローリング・ストーンズをフィーチャーしたツアーでヘッドライナーを務め、その翌年にはジミ・ヘンドリックスがリチャードのバンドに加入、その後もリチャードは、ジャニス・ジョプリンやジョン・レノンらとフェスティバルに出演していましたが、1979年に薬物とアルコールの依存症により、再び引退しました。
しかしながら再び80年代半ばに復帰を果たし、ツアーのみならず映画やテレビ番組にも出演するようになりました。1986年には、「ロックの殿堂」と「ソングライターの殿堂」入りを果たした初代アーティストの一人となり、1993年には「グラミー賞特別功労賞」を受賞しています。
リチャードの訃報を受け、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ジミー・ペイジなど、多くのアーティストが追悼メッセージを発表しています。
ポール・マッカートニー「“Tutti Frutti” から “Long Tall Sally”、“Good Golly, Miss Molly” “Lucille” に至るまで、リトル・リチャードはティーンエイジャーだった僕の人生に叫びながら入り込んできた。僕は彼と彼のスタイルから多大な恩恵を受け、彼もそれを分かっていた。彼は『ポールには知っていること全てを教えた』と語っていたが、彼は正しかったと認めざるを得ない。ビートルズ初期の頃、僕らはハンブルグでリチャードと共演し、彼を知るようになった。彼は僕らを楽屋に招き入れ、そこで僕らは彼が公演前に行なっている儀式を目の当たりにした。彼は熱湯の入ったボウルに浸したタオルを頭からかぶり、突然顔を上げると鏡に向かってこう言った。『こうやると自分があまりにも美しいからやめられないんだよね』と。そして彼は美しかった。彼が教えてくれたこと、そして友人として示してくれた思いやりに感謝しています」
この他、「Consequence of Sound」による記事では、ミュージシャンだけでなく、政治家/作家/映画監督らによる数多くの追悼メッセージがまとめられているので、そちらもご一読ください。
ミック・ジャガー、エルトン・ジョン、キース・リチャーズ、ジミー・ペイジ、ブライアン・ウィルソン、リンゴ・スター、クエストラヴ(ザ・ルーツ)、イギー・ポップ、ナイル・ロジャース、スティーヴ・ヴァン・ザント(リトル・スティーヴン)、ミシェル・オバマ、バーニー・サンダース、ビル・クリントン、チャンス・ザ・ラッパー、シンディ・ローパー、ビリー・ブラッグ、クインシー・ジョーンズ、トム・モレロ、キャロル・キング、ジーン・シモンズ、デイヴ・デイヴィス(ザ・キンクス)、クリス・ノヴォゼリック(元ニルヴァーナ)、スパイク・リー、ビリー・アイドル、チャック・D(パブリック・エネミー)、小野洋子、ニルス・ロフグレン、アル・ヤンコビック、ユスフ(キャット・スティーヴンス)、ロビー・ロバートソン、ジェフ・トゥイーディー(ウィルコ)、スティーヴン・キング他(登場順)。
安らかなる眠りをお祈りいたします。
Little Richard - Live in France 1966



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